新潟で観光客が急増した市町村・急減した市町村|12年間の長期変化ランキング(2013→2024年)

ランキング

2013年から2024年の12年間で、観光客が3倍近く増えた市町村と8割近く減った市町村が新潟県内に共存しています。コロナ禍の影響だけでなく、それ以前から続く構造的な変化が各市町村の格差を生み出しています。

この記事では、新潟県観光政策課「令和6年観光客入込数・消費額調査」をもとに、2013年→2024年の12年間の観光客入込数の変化を市町村別にランキング形式で整理します。増えた市町村・減った市町村の背景と傾向も合わせて確認できます。


この記事でわかること

  • 新潟県30市町村の2013→2024年・12年間の観光客変化率ランキング(1位見附市+180.8%〜30位粟島浦村−80.0%)
  • 観光客が急増した市町村(5市町村が+50%以上)の特徴と背景
  • 観光客が大幅に減少した市町村(10市町村が−30%以上)の特徴
  • 増加・減少の背景にある構造的な要因(施設整備・観光タイプ・コロナ影響の継続)
  • 「コロナ前から既に減少傾向だった」市町村の識別

① 2013→2024年 長期変化ランキング(全30市町村)

順位市町村2013年(H25)2024年(R6)変化率主な観光タイプ
1位見附市59.6万人167.3万人+180.8%都市型
2位五泉市32.7万人83.1万人+154.6%都市型
3位燕市64.0万人121.6万人+89.9%都市型
4位田上町43.0万人79.1万人+83.8%都市型
5位阿賀野市110.2万人175.7万人+59.4%都市型
6位聖籠町12.6万人14.4万人+14.5%スポーツレク
7位十日町市187.1万人212.9万人+13.8%行祭事・イベント
8位魚沼市138.4万人140.5万人+1.5%都市型
9位長岡市742.2万人737.9万人−0.6%都市型
10位三条市175.9万人171.6万人−2.5%都市型
11位胎内市72.5万人69.0万人−4.8%スポーツレク
12位弥彦村248.0万人235.2万人−5.2%歴史文化
13位糸魚川市184.1万人173.2万人−5.9%都市型
14位新潟市1713.8万人1601.9万人−6.5%都市型
15位刈羽村24.8万人23.0万人−7.4%スポーツレク
16位妙高市595.8万人517.9万人−13.1%都市型・温泉
17位南魚沼市353.7万人287.0万人−18.8%スポーツレク
18位新発田市251.2万人192.0万人−23.6%温泉健康
19位村上市194.1万人145.8万人−24.9%都市型
20位湯沢町425.7万人312.4万人−26.6%スポーツレク
21位小千谷市80.9万人56.7万人−29.8%行祭事・イベント
22位加茂市51.4万人34.6万人−32.7%スポーツレク
23位津南町37.5万人23.5万人−37.4%スポーツレク
24位出雲崎町27.6万人17.0万人−38.6%都市型
25位関川村86.5万人52.4万人−39.4%都市型
26位阿賀町119.9万人70.7万人−41.0%自然
27位佐渡市167.7万人97.9万人−41.6%歴史文化
28位上越市568.7万人318.3万人−44.0%歴史文化
29位柏崎市385.0万人202.5万人−47.4%行祭事・イベント
30位粟島浦村5.5万人1.1万人−80.0%自然

※出典:新潟県観光政策課「令和6年観光客入込数・消費額調査」(H25年・R6年)

2013年(H25)の新潟県全体の観光客入込数は約7,160万人、2024年(R6)は6,336万人で、12年間で約−11.5%(約824万人減)となっています。


▼【グラフ:R3_長期変化ランキング.png 新潟県30市町村の観光客数12年間変化率ランキング(2013→2024年)横棒グラフ】


② 急増グループ(+50%以上・5市町村)の特徴

12年間で観光客が50%以上増加したのは5市町村(見附市・五泉市・燕市・田上町・阿賀野市)で、いずれも都市型観光(道の駅・産業施設・市街地観光)が主軸です。

1位 見附市(+180.8%・59.6万人→167.3万人)

12年間で約2.8倍に増加した市町村です。2013年時点(59.6万人)から、道の駅パティオにいがた(R6:112.5万人・県内施設2位)の開業・集客拡大が観光客数を大幅に押し上げたとみられます。観光客/人口比は県内上位水準で、市の規模に対して大きな集客力を持つ構造が12年間で形成されました。

2位 五泉市(+154.6%・32.7万人→83.1万人)・4位 田上町(+83.8%・43.0万人→79.1万人)

両市町村は12年間で大幅増加していますが、2024年の観光客数がコロナ前(2019年)比200%前後であることから(R2記事参照)、集計対象施設の追加(道の駅の新設・施設の調査対象化)が数値を大きく押し上げている可能性があります。長期変化率が大きい理由の一部は、実際の来訪者増加だけでなく集計構造の変化を含むとみられます。

3位 燕市(+89.9%・64.0万人→121.6万人)

燕市は産業観光(刃物・洋食器)と道の駅が核で、12年間で約1.9倍に増加しました。燕三条エリアへの観光需要の高まりが集客増に寄与しているとみられます。コロナ前(2019年比)でも126.6%と上位水準を維持しており、長期・短期ともに増加傾向が確認できます。

5位 阿賀野市(+59.4%・110.2万人→175.7万人)

道の駅等の施設整備・集客強化が主因とみられます。コロナ前(2019年)比でも150.9%(県内3位)で、2019年以前から増加傾向が続いていた市町村です。


③ 増加・ほぼ横ばいグループ(6〜15位・変化率−10%〜+15%)

6〜15位の10市町村は、12年間でほぼ横ばい(±10%以内)に近い変化を示しています。

6位 聖籠町(+14.5%)・7位 十日町市(+13.8%)は、小幅ながら増加しています。聖籠町は海水浴場(8月集中・夏型)を核とする小規模観光地で、観光ぶどう園が集客を維持しています。十日町市は2024年が「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」の開催年にあたり、3年に1度の開催効果が+13.8%の上位寄与に反映されているとみられます。

9位 長岡市(−0.6%)・10位 三条市(−2.5%)・14位 新潟市(−6.5%)は、規模が大きい都市型観光地が12年間でほぼ横ばいを維持しています。長岡市はコロナ禍の落ち込みを花火大会の再開等で回復させた一方、新潟市は2013年から2024年で約112万人減少しており、完全回復には至っていません。


④ 大幅減少グループ(−30%以上・10市町村)

21〜30位の10市町村は12年間で30%以上の減少を記録しています。

29位 柏崎市(−47.4%・385.0万人→202.5万人)

2013年時点では385.0万人と県内第2位の水準でしたが、2024年は202.5万人(県内9位)に落ち込んでいます。行祭事・イベント比率が高く(柏崎まつり海の大花火大会等)、大型行事の来訪動員数の変動が12年間の累積的な減少に影響しているとみられます。

28位 上越市(−44.0%・568.7万人→318.3万人)

2013年に568.7万人(県内2位水準)だった観光客が2024年には318.3万人(県内4位)まで減少しました。歴史文化型観光(高田城址公園観桜会・春日山城跡等)を主軸としており、長期的な集客力の低下が続いています。上越市はコロナ前比でも59.0%(県内4番目に低い)と、コロナ禍以前から減少傾向が続いていた可能性があります。

27位 佐渡市(−41.6%・167.7万人→97.9万人)

2024年の佐渡島の金山ユネスコ世界文化遺産登録(2024年7月)により、今後の集客回復が期待されますが、2024年時点の変化率は−41.6%と依然大幅な減少が続いています。アクセス面(フェリーのみ)の制約と人口減少による島内観光基盤の変化が影響しているとみられます。

30位 粟島浦村(−80.0%・5.5万人→1.1万人)

12年間で約5分の1に減少した市町村です。2021年のコロナ禍で観光客がゼロを記録し(離島への渡航停止とみられる)、以降も1.1万人前後の横ばいが続いています。コロナ前(2019年)から既に減少傾向にあり、12年前(5.5万人)と比べると2024年は1.1万人でした。


▼【グラフ:R3_増加減少別.png 新潟県30市町村の長期変化グループ分類(2013→2024年)】


⑤ 増加・減少の背景にある構造的な要因

増加した市町村に共通すること:道の駅の開業・拡大

12年間で増加した上位5市町村(見附市・五泉市・燕市・田上町・阿賀野市)は全て都市型観光で、道の駅や産業施設を核とした集客モデルを持っています。新潟県内では2010年代以降に道の駅の整備が進み、これが市町村別の観光客数を大きく引き上げた要因の一つとみられます。ただし、一部市町村(五泉市・田上町)では集計対象施設の追加による数値の上振れも含まれている可能性があります。

減少した市町村に多い類型:スキー・大型イベント依存型

スキー場を主軸とする市町村(湯沢町・南魚沼市・津南町・加茂市)は12年間で20〜37%の減少を記録しています。国内スキー人口の長期的な減少傾向(参加人口の縮小・高齢化)が、スキー型観光地の集客数に直接影響しているとみられます。

柏崎市・上越市のような大型イベント・歴史文化型市町村でも、来場者動員数の低下が観光統計に反映されています。

コロナ前から既に減少していた市町村

上越市はコロナ前(2019年)の観光客数も2013年比で大幅に下落しており、コロナ禍の前から長期的な減少傾向が続いていたとみられます。粟島浦村も2019年(4.9万人)は2013年(5.5万人)より既に減少していました。「コロナで減った」だけでなく「コロナ前から減っていた」市町村があることに注意が必要です。


⑥ データの見方・注意点

2013年(H25)のデータは一部推計精度に差があります

2013年の数値は2024年の調査と同じ手法・対象施設で集計されているわけではない市町村があります。集計対象施設の追加・変更が12年の間に複数回行われている可能性があり、変化率が大きい市町村(特に+100%超)の解釈には注意が必要です。

10年以上の期間には複数の外部要因が含まれます

2013〜2024年の12年間には、消費税増税(2014年・2019年)・訪日外国人観光客の急増(2016〜2019年)・コロナ禍(2020〜2022年)・コロナ後の回復(2022〜2024年)など、複数の外部環境の変化が含まれます。変化率の解釈は「長期的な構造変化の方向性の把握」に留め、単年の要因分析には別途の短期比較データを参照することが適切です。

観光客入込数は推計値です

新潟県の調査は、各市町村から報告された観光施設の利用者数をもとに集計・推計しています。


まとめ

  • 12年間(2013→2024年)で観光客が最も増加したのは見附市(+180.8%・約2.8倍)・五泉市(+154.6%)・燕市(+89.9%)・田上町(+83.8%)・阿賀野市(+59.4%)。全て都市型観光(道の駅等)が核の市町村です
  • ただし五泉市・田上町の急増は集計対象施設の追加による数値の上振れを含む可能性があり、解釈に注意が必要です
  • 新潟県全体では12年間で約−11.5%(7,160万人→6,336万人)と長期的な減少傾向にあります
  • 最も大幅に減少したのは粟島浦村(−80.0%)・柏崎市(−47.4%)・上越市(−44.0%)・佐渡市(−41.6%)で、4市町村が12年間で4〜8割の減少です
  • スキー型観光地(湯沢町・南魚沼市・津南町等)は長期的な減少傾向で、国内スキー人口の縮小が背景にあるとみられます

出典

  • 観光客入込数:新潟県観光政策課(令和6年観光客入込数・消費額調査、平成25年観光客入込数・消費額調査)

データ基準日:2024年(令和6年)
次回更新推奨:2025年(令和7年)観光客入込数調査公表後

コメント