コロナ後に観光客が増えた市町村・減った市町村|新潟県の回復ランキング(2019→2024年)

ランキング

2024年時点でコロナ前(2019年)の水準を上回った市町村は、30市町村中5市町村です。一方、コロナ前の半分以下にとどまる市町村も3か所存在します。

この記事では、新潟県観光政策課「令和6年観光客入込数・消費額調査」をもとに、2019年(コロナ前)と2024年の観光客入込数を市町村別に比較し、回復率の高い順にランキング形式で整理します。コロナ後に観光客が増えた市町村・減った市町村の内訳と、回復率の差が生じた背景も確認できます。


この記事でわかること

  • 新潟県30市町村の2019→2024年コロナ後回復率ランキング(コロナ前比・100%超=コロナ前超え)
  • コロナ前水準を上回ったのは5市町村(五泉市200.0%・田上町199.6%・阿賀野市150.9%・燕市126.6%・長岡市106.6%)
  • 県全体のコロナ前比は86.4%(6,336万人÷7,330万人):新潟県全体はまだ回復途中
  • 回復が最も遅い3市町村(粟島浦村22.7%・関川村50.0%・上越市59.0%)の構造的要因
  • 観光タイプ別の回復傾向(都市型は高め・スキー型は遅れ・行祭事型は開催有無で差大)

① 2019→2024年 コロナ後回復ランキング(全30市町村)

順位市町村2019年(R1)2024年(R6)コロナ前比変化率主な観光タイプ
1位五泉市41.6万人83.1万人200.0%+100.0%都市型
2位田上町39.6万人79.1万人199.6%+99.6%都市型
3位阿賀野市116.4万人175.7万人150.9%+50.9%都市型
4位燕市96.1万人121.6万人126.6%+26.6%都市型
5位長岡市692.5万人737.9万人106.6%+6.6%都市型
6位見附市169.4万人167.3万人98.7%−1.3%都市型
7位刈羽村23.8万人23.0万人96.8%−3.2%スポーツレク
8位十日町市225.7万人212.9万人94.3%−5.7%行祭事・イベント
9位魚沼市149.8万人140.5万人93.7%−6.3%都市型
10位胎内市73.8万人69.0万人93.5%−6.5%スポーツレク
11位妙高市558.0万人517.9万人92.8%−7.2%都市型・温泉
12位弥彦村261.0万人235.2万人90.1%−9.9%歴史文化
13位小千谷市64.3万人56.7万人88.2%−11.8%行祭事・イベント
14位新潟市1864.8万人1601.9万人85.9%−14.1%都市型
15位阿賀町84.1万人70.7万人84.1%−15.9%自然
16位糸魚川市210.4万人173.2万人82.3%−17.7%都市型
17位村上市180.9万人145.8万人80.6%−19.4%都市型
18位聖籠町18.0万人14.4万人79.8%−20.2%スポーツレク
19位佐渡市123.3万人97.9万人79.4%−20.6%歴史文化
20位三条市219.0万人171.6万人78.3%−21.7%都市型
21位新発田市246.9万人192.0万人77.8%−22.2%温泉健康
22位南魚沼市377.2万人287.0万人76.1%−23.9%スポーツレク
23位湯沢町418.7万人312.4万人74.6%−25.4%スポーツレク
24位出雲崎町23.3万人17.0万人72.8%−27.2%都市型
25位津南町35.1万人23.5万人67.0%−33.0%スポーツレク
26位加茂市51.9万人34.6万人66.7%−33.3%スポーツレク
27位柏崎市315.2万人202.5万人64.2%−35.8%行祭事・イベント
28位上越市539.8万人318.3万人59.0%−41.0%歴史文化
29位関川村104.8万人52.4万人50.0%−50.0%都市型
30位粟島浦村4.9万人1.1万人22.7%−77.3%自然

※コロナ前比=2024年÷2019年(R1)×100。100%超=コロナ前を上回る。
※出典:新潟県観光政策課「令和6年観光客入込数・消費額調査」

2024年の新潟県全体の観光客入込数は6,336万人、コロナ前(2019年:7,330万人)比は86.4%です。


▼【グラフ:R2_コロナ後回復ランキング.png 新潟県30市町村のコロナ後回復率ランキング(2019→2024年)横棒グラフ・コロナ前比%順】


② コロナ前水準を上回った市町村(5市町村)

30市町村のうち、2024年の観光客数が2019年を上回っているのは5市町村です。

1位 五泉市(コロナ前比200.0%)・2位 田上町(コロナ前比199.6%)

両市町村とも2019年の約2倍の観光客数を記録しています。ただし、この数値は「観光地としての魅力が2倍になった」ことを意味するわけではなく、集計対象施設の追加(道の駅の新設・施設の調査対象化)が数値を大きく押し上げている可能性があります(詳細は⑦参照)。実態としての観光客増加分と集計構造の変化を合わせた数値として読む必要があります。

3位 阿賀野市(コロナ前比150.9%)

2019年比で1.5倍の観光客数となっています。阿賀野市の主要観光地点は道の駅(大きな施設)が中心で、道の駅の利用者増加や新規施設整備が2019年以降に進んだとみられます。

4位 燕市(コロナ前比126.6%)

燕市は産業観光(刃物・洋食器の製造見学)と道の駅が観光の中心で、2019年比で1.26倍の水準です。コロナ禍後の国内観光需要回復と、燕三条エリアへの注目度向上が寄与しているとみられます。

5位 長岡市(コロナ前比106.6%)

上位5市町村の中で唯一、観光客規模が大きい市(737.9万人・県内2位)がコロナ前水準を回復しています。長岡まつり大花火大会(2023年以降フル開催)の復活と道の駅の集客増が回復を牽引したとみられます。


③ コロナ前比90〜100%:ほぼ回復グループ(7市町村)

コロナ前比90〜100%の市町村は7市町村(見附市・刈羽村・十日町市・魚沼市・胎内市・妙高市・弥彦村)です。コロナ前水準まであと1割以内の回復状況にあります。

6位 見附市(98.7%)は道の駅パティオにいがた(112.5万人・県内2位)を核とする都市型観光地で、コロナ前水準をほぼ回復しています。道の駅が県内屈指の集客力を持ち、安定した集客が続いているとみられます。

8位 十日町市(94.3%)は2024年に「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024」が開催され、前年比+22.6%の大幅増加を記録しました。3年に1度の開催年にあたる2024年は非開催年より観光客が大幅に多く、コロナ前比94.3%は開催効果を含む数値です。非開催年(2022年・2023年)の水準はこれより低い可能性があります。

11位 妙高市(92.8%)は道の駅あらい(285.6万人・県内施設1位)と温泉・スキーリゾートが組み合わさった構成で、上位グループの中では回復率が高い市町村です。


④ コロナ前比70〜90%:回復途中グループ(12市町村)

コロナ前比70〜90%の市町村は12市町村(小千谷市・新潟市・阿賀町・糸魚川市・村上市・聖籠町・佐渡市・三条市・新発田市・南魚沼市・湯沢町・出雲崎町)です。

14位 新潟市(85.9%)は県内最大の都市ですが、コロナ前比85.9%とまだ14%の回復余地が残っています。コンベンション・文化施設・都市型観光が主軸で、インバウンドの回復状況やビジネス客の動向が回復速度に影響しているとみられます。

19位 佐渡市(79.4%)は2024年に「佐渡島の金山」がユネスコ世界文化遺産に登録されました(2024年7月)。2024年観光客数(97.9万人・前年比+14.1%)は世界遺産登録効果の初期的な反映が含まれているとみられますが、コロナ前比79.4%とまだ2割弱の回復余地があります。2025年以降に本格的な訪日外国人観光客の増加効果が出るか注目されます。

22位 南魚沼市(76.1%)・23位 湯沢町(74.6%)は、スキー場への来訪が観光の中心となっている市町村です。コロナ禍でのスキー場の閉鎖・人数制限の影響に加え、コロナ後もスキー需要の完全回復には至っておらず、75%前後の水準が続いています。


⑤ コロナ前比70%未満:回復遅れグループ(6市町村)

コロナ前比70%未満の市町村は6市町村(津南町・加茂市・柏崎市・上越市・関川村・粟島浦村)です。2024年時点でもコロナ前の7割を下回っており、回復の遅れが際立っています。

27位 柏崎市(64.2%)は行祭事・イベント比率が高い市町村です。柏崎まつり海の大花火大会を中心とする大型行事の集客が主軸ですが、2024年は前年比−12.7%と大幅減少し、コロナ前比64.2%にとどまっています。行事の開催規模や来訪者動員数の回復が課題とみられます。

28位 上越市(59.0%)は2024年の回復率が30市町村中4番目に低い水準です。上越市の観光客の約31%が歴史文化型(高田城址公園観桜会等)で、コロナ前に比べて観光客数が大きく落ち込んだまま回復が進んでいません。2019年(539.8万人)に対して2024年は318.3万人と、約220万人以上の減少が続いている状態です。

29位 関川村(50.0%)は2024年でコロナ前の半分の水準にとどまっています。2019年の観光客数(104.8万人)は2024年(52.4万人)の2倍で、コロナ前の水準への回復が最も遅れているグループの1つです。

30位 粟島浦村(22.7%)は県内で最もコロナ前比が低い市町村です。2021年には観光客数がゼロを記録しており(コロナ禍による離島への渡航停止とみられる)、2022〜2024年は1.1万人前後で横ばいが続いています。コロナ前(2019年:4.9万人)の約5分の1の水準で、県内で最も回復が遅れています。


▼【グラフ:R2_回復グループ別.png 新潟県30市町村のコロナ後回復グループ分類(2024年)】


⑥ 観光タイプ別の回復傾向

観光タイプ別に回復状況をまとめると、以下の傾向が見られます。

都市型観光:回復率は高め(ただし集計変化の影響に注意)

都市型観光(道の駅・産業施設・市街地観光)を主軸とする市町村は13市町村あり、うち上位5位(五泉市・田上町・阿賀野市・燕市・長岡市)が全てこの類型です。ただし五泉市・田上町の200%前後は集計対象施設の追加によるとみられ、実態の回復率は分母・分子の定義変化を含む数値です。

スポーツ・レクリエーション型(スキー場):回復遅れが顕著

湯沢町(74.6%)・南魚沼市(76.1%)・津南町(67.0%)・加茂市(66.7%)等、スキー場を主軸とする市町村は回復が遅れています。コロナ禍のスキー需要落ち込みから完全には回復しておらず、国内スキー人口の長期的な減少傾向も影響しているとみられます。

歴史文化型:上越市が特に低い

歴史文化型は弥彦村(90.1%)・佐渡市(79.4%)・上越市(59.0%)と市町村間の差が大きく、上越市の低回復率が引き下げています。

行祭事・イベント型:開催有無による変動が大

十日町市(94.3%・大地の芸術祭開催年)・小千谷市(88.2%)と、柏崎市(64.2%・大型行事の集客減少)で回復状況が大きく異なります。同タイプでも開催行事の規模・内容によって回復速度が変わっています。


⑦ データの見方・注意点

コロナ前比200%超の解釈に注意が必要です

五泉市(200.0%)・田上町(199.6%)のコロナ前比200%前後は、集計対象施設の追加(道の駅の新設・施設の調査対象化)が数値を大きく押し上げている可能性があります。「観光地としての魅力・集客力が2倍になった」という解釈は適切ではなく、集計構造の変化を含む数値として読む必要があります。

観光客入込数は推計値です

新潟県の調査は、各市町村から報告された観光施設の利用者数をもとに集計・推計しています。統計手法や報告施設の範囲が市町村によって異なるため、市町村間の厳密な比較には限界があります。

2019年自体が特殊な年の市町村があります

粟島浦村は2019年の観光客数が4.9万人と、2017年・2018年の水準(5〜6万人台)より既に大幅に低い状態でした。「コロナ前」を2019年で固定すると、一部の市町村では「コロナ前の基準値自体が例年より低い(または高い)」という問題が生じます。

宿泊者・日帰り客の内訳はデータなし

新潟県の市区町村別調査では宿泊者数・日帰り客数の内訳は公表されていません。


まとめ

  • 2024年にコロナ前(2019年)水準を上回ったのは5市町村(五泉市・田上町・阿賀野市・燕市・長岡市)。ただし五泉市・田上町の200%前後は集計対象施設の追加によるとみられ、実態解釈に注意が必要です
  • 新潟県全体のコロナ前比は86.4%(6,336万人÷7,330万人)で、全体的には回復途中の段階です
  • 回復が遅れている市町村にはスキー型(湯沢町74.6%・南魚沼市76.1%)イベント型(柏崎市64.2%)が多く含まれます
  • 最も回復が遅いのは粟島浦村(22.7%)・関川村(50.0%)・上越市(59.0%)で、コロナ前の水準には大きな隔たりがあります
  • 佐渡市はユネスコ世界文化遺産登録(2024年7月)後の本格的な回復加速が2025年以降の焦点です

出典

  • 観光客入込数:新潟県観光政策課(令和6年観光客入込数・消費額調査)

データ基準日:2024年(令和6年)
次回更新推奨:2025年(令和7年)観光客入込数調査公表後

コメント