小千谷市は年間 56.7 万人の観光客が訪れる県内 23 位の観光地です。県全体(約 6,336 万人)の 0.90% を占めます。
小千谷市の観光構造で数値上目立つのは、観光分類「行祭事・イベント」が 70.1% で県内 1 位である点です。2 位の柏崎市(39.6%)の 1.8 倍にあたり、県内で唯一 7 割を超えます。
集客は 8 月(20.5 万人・36.2%)と 9 月(19.3 万人・33.9%)に集まり、この 2 か月で年間の 70.1% が入ります。おぢやまつり(8 月・16.0 万人)と片貝まつり(9 月・17.0 万人)の 2 つの祭りが、この 2 か月を作っています。
この記事では、小千谷市の観光客数を 13 年間の推移・観光分類の内訳・月別の集客カレンダー・主要観光施設 3 か所の集中度から整理します。2024 年に市全体が +2.4% だった一方、施設として計上されている 3 か所の合計は −5.5% でした。この差がどこで生じたのかも数値で確認します。訪問時期を選ぶとき・移住や出店を検討するときの判断材料になる部分もあわせて示します。
▼【グラフ:小千谷市_県内ランキング.png 新潟県内 30 市町村の観光客入込数ランキング(2024 年・小千谷市を強調表示)】

小千谷市の観光を支える 2 つの祭り
小千谷市の主要観光地点は 3 か所で、うち 2 か所が祭りです。
| 施設名 | 分類 | 2024 年 | 市全体シェア | 前年比 |
|---|---|---|---|---|
| 片貝まつり | 行祭事・イベント | 17.0 万人 | 30.0% | +6.2% |
| おぢやまつり | 行祭事・イベント | 16.0 万人 | 28.2% | −19.2% |
| 総合産業会館サンプラザ | 都市型観光 | 6.4 万人 | 11.2% | +9.1% |
上位 3 施設の合計は市全体の 69.4%(県内 7 位)です。このうち 2 つの祭りだけで 58.2% を占めます。
1. 片貝まつり(市全体の 30.0%)
片貝まつりは花火大会で、17.0 万人が訪れ、市全体入込の 30.0% にあたります(最大施設の集中度・県内 15 位)。2024 年は前年の 16.0 万人から +6.2% でした。
2. おぢやまつり(市全体の 28.2%)
おぢやまつりは 16.0 万人で、市全体の 28.2% です。2024 年は前年の 19.8 万人から −19.2%(−3.8 万人)と、3 施設で唯一減少しました。
3. 総合産業会館サンプラザ(市全体の 11.2%)
総合産業会館サンプラザは 63,546 人で、市全体の 11.2% です。観光分類「都市型観光」の比率(11.2%)とちょうど一致しており、この分類はこの 1 施設で構成されています。2024 年は +9.1% でした。
祭り 2 つで 58.2%、通年型の施設 1 つで 11.2% という構成が、小千谷市の観光データの骨格にあたります。
13 年推移(2012〜2024 年):2015 年 94.1 万人ピークからの減少
| 年(和暦) | 観光客入込数 | 前年比 |
|---|---|---|
| 2012 年(H24) | 90.5 万人 | ─ |
| 2013 年(H25) | 80.9 万人 | −10.7% |
| 2014 年(H26) | 91.5 万人 | +13.2% |
| 2015 年(H27) | 94.1 万人(13 年間のピーク) | +2.9% |
| 2016 年(H28) | 74.0 万人 | −21.4% |
| 2017 年(H29) | 76.2 万人 | +2.9% |
| 2018 年(H30) | 65.6 万人 | −13.9% |
| 2019 年(R1) | 64.3 万人 | −2.0% |
| 2020 年(R2) | 13.7 万人 | −78.7% |
| 2021 年(R3) | 13.6 万人 | −0.6% |
| 2022 年(R4) | 37.6 万人 | +176.1% |
| 2023 年(R5) | 55.4 万人 | +47.5% |
| 2024 年(R6) | 56.7 万人 | +2.4% |
コロナ禍の前から減少していた
13 年間のピークは 2015 年の 94.1 万人で、2024 年の 56.7 万人との差は 37.4 万人です。2015 年から 2019 年までの 4 年間でも 94.1 万人 → 64.3 万人と 29.8 万人減っており、減少はコロナ禍の前から続いていました。
2013 年(80.9 万人)と 2024 年を比べた 13 年変化は −29.8%(県内 21 位) です。
2020 年の −78.7% は県内でも大きい落ち込み
2020 年の −78.7%(64.3 万人 → 13.7 万人)は県内でも大きい落ち込みにあたります。行祭事・イベントが 70.1% を占める構造のため、祭りの開催状況が市全体の入込にそのまま表れます。2021 年も 13.6 万人と低水準が続き、2022 年に 37.6 万人(+176.1%)、2023 年に 55.4 万人(+47.5%)と戻しました。
コロナ前比 88.2%(県内 13 位)
2019 年(64.3 万人)と 2024 年(56.7 万人)を比べると 88.2%(県内 13 位) で、残る差は 7.6 万人です。前年比 +2.4% は県内 13 位で、2022・2023 年の戻りに比べると 2024 年の伸びは小さくなっています。
▼【グラフ:小千谷市_入込数推移.png 小千谷市の観光客入込数の推移(2012〜2024 年)】

観光の種類(分類別内訳):行祭事 70.1% は県内 1 位
| 観光分類 | 比率 | 該当施設 |
|---|---|---|
| 行祭事・イベント | 70.1% | 片貝まつり・おぢやまつり |
| 歴史・文化 | 14.1% | ─ |
| 都市型観光 | 11.2% | 総合産業会館サンプラザ |
| スポーツ・レクリエーション | 4.7% | ─ |
| 自然 | 0.0% | ─ |
| 温泉・健康 | 0.0% | ─ |
行祭事 70.1% の水準
行祭事・イベント 70.1% は県内 1 位です。2 位の柏崎市(39.6%)の 1.8 倍、3 位の十日町市(31.5%)の 2.2 倍にあたり、県内で唯一 7 割を超えます。
県内 30 市町村で最も多い観光分類は都市型観光で、道の駅・商業施設・展望施設などが該当します。小千谷市は都市型が 11.2% にとどまり、代わりに年 2 回の祭りが集客の中心を担う構成です。
自然・温泉・健康はいずれも 0.0% で、スキー場・海水浴場・道の駅はありません。
▼【グラフ:小千谷市_分類別.png 小千谷市の観光分類別内訳(2024 年)】

月別カレンダー:8〜9 月で年間の 70.1%・振幅 34.2 倍
| 月 | 観光客数 | 年間シェア |
|---|---|---|
| 1 月 | 0.6 万人 | 1.1% |
| 2 月 | 2.7 万人 | 4.8% |
| 3 月 | 0.9 万人 | 1.6% |
| 4 月 | 1.5 万人 | 2.7% |
| 5 月 | 1.8 万人 | 3.1% |
| 6 月 | 1.6 万人 | 2.9% |
| 7 月 | 1.4 万人 | 2.4% |
| 8 月(最多) | 20.5 万人 | 36.2% |
| 9 月 | 19.3 万人 | 33.9% |
| 10 月 | 3.5 万人 | 6.3% |
| 11 月 | 2.2 万人 | 3.8% |
| 12 月(最少) | 0.7 万人 | 1.2% |
8 月と 9 月に年間の 70.1%
8 月(20.5 万人)と 9 月(19.3 万人)の 2 か月で 39.8 万人、年間の 70.1% が入ります。残る 10 か月の合計は 16.9 万人で、月あたり平均 1.7 万人です。
ピーク月集中度 36.2% は県内 2 位です(1 位は聖籠町 52.2%)。この 2 か月だけが他の月の 10 倍以上になります。
振幅倍率 34.2 倍
最多の 8 月(205,203 人)と最少の 12 月(5,995 人)の比は 34.2 倍です。この振幅は県内 3 位にあたります(1 位 聖籠町 51.0 倍・2 位 佐渡市 36.1 倍)。
冬集中度(12〜2 月)は 7.1% で、12 月 0.7 万人・1 月 0.6 万人・3 月 0.9 万人と、冬から春にかけては月 1 万人を下回る月が続きます。
▼【グラフ:小千谷市_月別推移.png 小千谷市の月別観光客数(2024 年・R4〜R6 の 3 年比較)】

主要観光施設:3 施設・上位 3 施設で 69.4%
主要観光地点として計上されているのは 3 か所で、合計 39.4 万人・市全体の 69.4%(県内 7 位)を把握しています。残る 30.6%(17.3 万人)は施設別データに表れません。
2024 年は市全体 +2.4%、施設合計 −5.5%
2024 年は市全体が +2.4%(55.4 万人 → 56.7 万人)でしたが、施設別に見ると動きが分かれます。
| 区分 | 2023 年 | 2024 年 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 片貝まつり | 16.0 万人 | 17.0 万人 | +1.0 万人(+6.2%) |
| おぢやまつり | 19.8 万人 | 16.0 万人 | −3.8 万人(−19.2%) |
| 総合産業会館サンプラザ | 5.8 万人 | 6.4 万人 | +0.5 万人(+9.1%) |
| 施設 3 か所 合計 | 41.6 万人 | 39.4 万人 | −2.3 万人(−5.5%) |
| 施設に計上されない部分 | 13.8 万人 | 17.3 万人 | +3.6 万人(+25.9%) |
| 市全体 | 55.4 万人 | 56.7 万人 | +1.3 万人(+2.4%) |
施設として計上されている 3 か所の合計は −5.5% と減っています。市全体が +2.4% になったのは、施設に計上されていない部分が 13.8 万人から 17.3 万人へ +25.9% 増えたためです。施設把握率も 75.1%(2023 年)から 69.4%(2024 年)へ下がっています。
この「施設に計上されない部分」の内訳は、公表されている調査データには含まれていません。
小千谷市の観光を選ぶときの判断材料
年に 2 回だけ人出が跳ね上がる市です。その 2 回と、残りの 10 か月を別に数えます。
行くなら 8 月か 9 月、それ以外は月 0.6〜3.5 万人
小千谷市の月別入込は、8 月と 9 月だけが他の月と桁が異なります。
| 時期 | 月別入込 | 年間シェア |
|---|---|---|
| 8 月(おぢやまつり) | 20.5 万人 | 36.2% |
| 9 月(片貝まつり) | 19.3 万人 | 33.9% |
| 10 月 | 3.5 万人 | 6.3% |
| 2 月・11 月 | 2.2〜2.7 万人 | 3.8〜4.8% |
| 4 月・5 月・6 月・7 月 | 1.4〜1.8 万人 | 2.4〜3.1% |
| 1 月・3 月・12 月 | 0.6〜0.9 万人 | 1.1〜1.6% |
8 月と 9 月を外すと、残る 10 か月は月 0.6〜3.5 万人です。最少の 12 月(0.7 万人)は 8 月の 34 分の 1 にあたります。数値に表れている「小千谷市の観光」の 7 割が、年 2 回の祭りに集中している形です。
祭りの時期以外に訪れる場合、施設として数値が公表されているのは総合産業会館サンプラザ(年間 63,546 人)の 1 か所のみです。
2 つの祭りで市全体の 58.2%
片貝まつり(17.0 万人・30.0%)とおぢやまつり(16.0 万人・28.2%)の 2 つで市全体の 58.2% を占めます。この 2 施設はいずれも特定の日程で開催されるもので、通年で訪問できる施設ではありません。
通年型の集客源は総合産業会館サンプラザ 1 か所(11.2%)です。道の駅・スキー場・海水浴場はなく、観光分類でも自然 0.0%・温泉 0.0% と、屋外レジャーや温泉に関する数値は計上されていません。
移住検討者向け:年 2 回だけ人出が 6 倍になる
| 月 | 入込 | 住民 1 人あたり |
|---|---|---|
| 8 月(最多) | 20.5 万人 | 6.29 人(県内 16 位) |
| 9 月 | 19.3 万人 | 5.91 人 |
| 12 月(最少) | 0.7 万人 | 0.18 人 |
人口 32,602 人に対して、最も混む 8 月は住民 1 人あたり 6.29 人(県内 16 位)です。一方で最少の 12 月は 0.18 倍で、住民数の 5 分の 1 程度にとどまります。この差が振幅 34.2 倍(県内 3 位)にあたります。
年間のほとんどの月は観光客の人出が住民数を下回り、8 月と 9 月の祭り期間だけが例外になります。観光客/km² は 3,656.1 人(県内 16 位)で、面積 155.19 km² に対しては中位の密度です。
8 月と 9 月の祭り期は、会場周辺の運営・飲食が最も動く時期にあたります。
事業出店検討者向け:需要が年 2 回に寄っている
月別需要は 0.6〜20.5 万人で、振幅 34.2 倍です。年間の 70.1% が 8〜9 月に入り、残る 10 か月は月 0.6〜3.5 万人という水準です。
通年営業を前提にする場合、10 か月分の需要は月 1.7 万人(平均)という規模になります。一方で祭りの 2 か月に合わせる場合、その需要は特定の日程に集中します。年間平均ではなく、この 2 つの時期をどう扱うかで設計が分かれる構成です。
なお 2024 年は施設 3 か所の合計が −5.5% だった一方、施設に計上されない部分が +25.9% と増えています。市全体の数値だけでは需要の所在が読み取りにくい年にあたります。
小千谷市のデータを見るときの注意点
1. 行祭事 70.1% は開催状況に左右される
観光分類「行祭事・イベント」が 70.1%(県内 1 位)を占めるため、祭りの開催・中止が市全体の入込に直接表れます。2020 年の −78.7%・2021 年の 13.6 万人という水準は、この構造が数値に出たものです。年次比較を行う際は、各年の開催状況とあわせて見る必要があります。
2. 施設把握率が年によって変わる
主要観光地点 3 か所の合計が市全体に占める比率は、2023 年 75.1% → 2024 年 69.4% と変わっています。施設別データと市全体の数値は同じ動きをしないため、どちらを見ているかを区別する必要があります。
3. 祭りの入込は 1 万人単位で計上されている
片貝まつり(170,000 人)・おぢやまつり(160,000 人)はいずれも 1 万人単位の数値で公表されています。総合産業会館サンプラザ(63,546 人)のような 1 人単位の計上とは精度が異なります。
4. 推計値・宿泊内訳の非公表
観光客入込数は各観光施設の利用者数を市町村が集計・推計した値で、実測値ではありません。市町村ごとに集計対象施設・カウント方法が異なるため、市町村間の比較は「概ねの規模感」として扱う必要があります。宿泊者数・日帰り客数の内訳、消費額の市区町村別データは新潟県の調査で非公表です。
まとめ
2024 年の小千谷市(数値一覧)
| 項目 | 2024 年 | 県内順位 |
|---|---|---|
| 観光客入込数 | 56.7 万人(県全体の 0.90%) | 23 位 |
| 前年比 | +2.4% | 13 位 |
| コロナ前(2019 年)比 | 88.2% | 13 位 |
| 長期変化(2013 年→2024 年) | −29.8% | 21 位 |
| 最多月 | 8 月 20.5 万人(36.2%) | ピーク月集中度 2 位 |
| 最少月 | 12 月 0.7 万人(1.2%)・振幅 34.2 倍 | 振幅 3 位 |
| 8〜9 月の 2 か月集中度 | 70.1% | ─ |
| 冬集中度(12〜2 月) | 7.1% | ─ |
| ピーク月入込/人口比 | 6.29 人 | 16 位 |
| 最大の観光分類 | 行祭事・イベント 70.1% | 1 位 |
| 主要観光地点数 | 3 か所 | ─ |
| 最大施設 | 片貝まつり(30.0%) | 施設集中度 15 位 |
| 上位 3 施設集中度 | 69.4% | 7 位 |
| 観光客/人口比 | 17.40 倍 | 27 位 |
この数値が示していること
小千谷市で県内 1 位なのは、観光分類「行祭事・イベント」の比率 70.1% です。2 位の柏崎市(39.6%)の 1.8 倍で、県内で唯一 7 割を超えます。ピーク月集中度 36.2%(2 位)・振幅 34.2 倍(3 位)も上位に並びますが、これらはいずれも「年 2 回の祭りに集客が集まっている」という同じ状態を別の角度から測った数字です。一方で入込の絶対数は 23 位、観光客/人口比は 27 位で、規模としては県内下位にあたります。
13 年の推移では、減少がコロナ禍より前から続いていました。ピークの 2015 年(94.1 万人)から 2019 年(64.3 万人)までの 4 年間で 29.8 万人減り、コロナ禍の 2020 年に 13.7 万人まで落ちています。2022 年 37.6 万人・2023 年 55.4 万人と戻したあと、2024 年は 56.7 万人(前年比 +2.4%)で伸びが鈍りました。2019 年との差は 7.6 万人、2015 年との差は 37.4 万人です。
2024 年の内訳では、市全体の数値と施設別の数値が逆を向いています。市全体は +2.4% でしたが、施設 3 か所の合計は −5.5%(41.6 万人 → 39.4 万人)でした。内訳はおぢやまつりが −19.2%(−3.8 万人)、片貝まつりが +6.2%、総合産業会館サンプラザが +9.1% です。市全体が増えたのは、施設に計上されていない部分が 13.8 万人から 17.3 万人へ +25.9% 増えたことによります。この部分の内訳は公表データに含まれていません。
出典
- 観光客入込数:新潟県観光政策課(令和 6 年観光客入込数・消費額調査)
- 主要観光地点入込数:新潟県観光政策課(同調査 表 7)
- 人口:新潟県(住民基本台帳人口 令和 7 年 1 月 1 日現在)

コメント