10年で所得の伸びが鈍かった市町村ランキング(H25→R5)|新潟県30市町村の停滞パターン

ランキング

新潟県30市町村の1人当たり課税対象所得は、
過去10年(平成25年度→令和5年度)で
全市町村がプラスに転じました

ただし伸び幅には16.8ポイントの差があり、
最も伸びが鈍かったのは粟島浦村(+0.7%・+1.9万円)
次いで刈羽村(+7.2%・+19.5万円)佐渡市(+7.5%・+18.1万円) でした。

伸びが鈍かった下位10市町村のうち、
柏崎市(所得6位)・刈羽村(所得7位) はR5年度の1人当たり所得順位では上位10入りしています。
所得の絶対値は高いのに、10年での伸びが緩やかだった「上位停滞組」の姿が見えてきます。

この記事では、総務省「市町村税課税状況等の調べ」をもとに、
全30市町村を10年成長率の低い順に並べ、
前半5年と後半5年で見える停滞のパターンも整理します。


この記事でわかること

  • 新潟県30市町村は 全市町村がプラス成長(+0.7%〜+17.5%)で、絶対値ベースで「所得が減った」市町村はありません
  • 10年成長率が最も鈍かったのは 粟島浦村(+0.7%・+1.9万円)、次いで刈羽村(+7.2%・+19.5万円)佐渡市(+7.5%・+18.1万円) です
  • 下位10市町村のうち 柏崎市(所得6位)・刈羽村(所得7位) はR-1(1人当たり所得ランキング)では上位10入りしており、「上位停滞組」に該当します
  • 下位10市町村のうち 加茂市(所得27位・変化率27位)・佐渡市(所得28位・変化率28位) は所得順位と伸び順位がほぼ揃う「下位下位組」に該当します
  • 前半5年(H25→H30)と後半5年(H30→R5)を分けて見ると、下位10市町村の停滞は 継続停滞型・後半失速型・前半失速→後半持ち直し型・全体緩やか型 など複数のパターンに分かれます

① 全30市町村・10年変化率ランキング表【下位から並べる版】(H25→R5)

平成25年度(2013年度)から令和5年度(2023年度)までの10年間で、新潟県30市町村の1人当たり課税対象所得が何%伸びたかを 伸びの小さい順(30位→1位) に並べた一覧です。R-2(10年で伸びた順ランキング)の並びを逆転させた表になります。

「10年変化率」は、H25年度の1人当たり所得と比べてR5年度の1人当たり所得が何%増えたかを示します。「増減額」は10年間で1人当たり所得が何万円増えたかです。「所得順位(R5)」はR5年度の1人当たり所得の絶対値順位で、R-1(別記事)と対応する順位です。伸び順位と現在の所得順位を見比べるために併記しました。

変化率順位市町村10年変化率増減額所得順位(R5)地域産業タイプ
30粟島浦村+0.7%+1.9万円22位岩船離島農業型
29刈羽村+7.2%+19.5万円7位中越製造業集積型
28佐渡市+7.5%+18.1万円28位佐渡農業型
27加茂市+8.2%+19.9万円27位下越製造業集積型
26柏崎市+8.8%+23.6万円6位中越製造業集積型
25田上町+9.1%+21.9万円24位下越製造業集積型
24津南町+10.0%+23.2万円30位中越農業型
23魚沼市+10.1%+24.4万円20位中越製造業集積型
22村上市+10.9%+25.7万円26位下越製造業集積型
21弥彦村+11.1%+27.3万円16位下越製造業集積型
20新潟市+11.3%+32.4万円1位下越複合型
19小千谷市+11.4%+28.7万円12位中越製造業集積型
17(同率)上越市+11.5%+31.4万円2位上越高付加価値製造業型
17(同率)長岡市+11.5%+31.2万円3位中越製造業集積型
15(同率)妙高市+11.7%+29.7万円9位上越高付加価値製造業型
15(同率)新発田市+11.7%+29.7万円10位下越複合型
14胎内市+11.8%+29.0万円15位下越高付加価値製造業型
12(同率)見附市+11.9%+28.9万円17位中越製造業集積型
12(同率)阿賀野市+11.9%+28.1万円23位下越製造業集積型
11南魚沼市+12.2%+29.9万円14位中越複合型
9(同率)三条市+13.9%+36.4万円5位中越製造業集積型
9(同率)十日町市+13.9%+32.5万円19位中越複合型
8五泉市+14.3%+32.6万円25位下越製造業集積型
6(同率)糸魚川市+15.0%+37.5万円8位上越製造業集積型
6(同率)関川村+15.0%+34.6万円21位下越農業型
5阿賀町+15.2%+34.0万円29位下越製造業集積型
4燕市+15.6%+40.7万円4位下越製造業集積型
3出雲崎町+15.7%+36.2万円18位中越製造業集積型
2湯沢町+16.0%+39.1万円11位中越複合型
1聖籠町+17.5%+41.0万円13位下越製造業集積型

表の読み方:

  • 「10年変化率」はH25年度(2013年度)→R5年度(2023年度)の1人当たり課税対象所得の変化率です
  • 表は 30位(下位)→1位(上位)の並びで、R-2 の逆順です
  • 「増減額」は10年間で1人当たり所得が何万円増えたかを示します
  • 「所得順位(R5)」はR5年度の1人当たり所得の絶対値順位(R-1で見た順位)です
  • 「同率」は10年変化率が小数第1位まで同じで並んだものです(5組)

重要な注記:新潟県30市町村は全市町村がプラス成長です

上表のとおり、10年変化率は+0.7%(粟島浦村)から+17.5%(聖籠町)まで、全市町村が正の値です。「絶対値で1人当たり課税対象所得が減った市町村」は30市町村中0です。この記事で「伸びが鈍い」「停滞」と呼ぶ市町村も、絶対値では10年でプラスに転じています。ただし県平均+11.75%を大きく下回る市町村もあり、伸び幅の差は最大16.8ポイントに広がりました。

10年変化率が同率で並んだ組(5組・下位10には該当なし):

  • 6位同率:糸魚川市・関川村(+15.0%)
  • 9位同率:三条市・十日町市(+13.9%)
  • 12位同率:見附市・阿賀野市(+11.9%)
  • 15位同率:妙高市・新発田市(+11.7%)
  • 17位同率:上越市・長岡市(+11.5%)
  • 下位10市町村(21〜30位)はすべて単独順位で並んでいます

※出典:総務省(市町村税課税状況等の調べ 令和5年・平成25年)


▼【グラフ:ranking_stagnation_top30.png 新潟県30市町村・10年変化率ランキング(下位から)】


② 下位10市町村の傾向(伸びが鈍かった町)

下位10市町村の10年変化率は+0.7%〜+11.1% の範囲に分布しています。1位の聖籠町(+17.5%)とは約6ポイント〜約17ポイントの差があります。

30位の粟島浦村が唯一の+1%未満

30位の粟島浦村は+0.7%(+1.9万円)で、下位10市町村の中で唯一の+1%未満の水準にあります。29位の刈羽村(+7.2%・+19.5万円)とは6.5ポイントの差、21位の弥彦村(+11.1%・+27.3万円)とは10.4ポイントの差があります。

粟島浦村の変動パターンについては⑥「前半5年 vs 後半5年」で詳しく扱いますが、前半5年で30市町村中唯一の負値(-10.16%)、後半5年で+12.13%まで回復し、10年トータルでは横ばい水準(+0.7%)となりました。

所得絶対値が上位でも下位10入りしている市町村

下位10のうち 柏崎市(所得順位6位)・刈羽村(所得順位7位) は、R5年度の1人当たり所得順位ではいずれもTop10圏内に位置しています。所得絶対値は上位でありながら、10年での伸びが緩やかだった市町村です。この構図は③「上位停滞組」で詳しく扱います。

下位10市町村の詳細(変化率・所得順位・地域・産業タイプ)

変化率順位市町村10年変化率増減額所得順位(R5)地域産業タイプ
30粟島浦村+0.7%+1.9万円22位岩船離島農業型
29刈羽村+7.2%+19.5万円7位中越製造業集積型
28佐渡市+7.5%+18.1万円28位佐渡農業型
27加茂市+8.2%+19.9万円27位下越製造業集積型
26柏崎市+8.8%+23.6万円6位中越製造業集積型
25田上町+9.1%+21.9万円24位下越製造業集積型
24津南町+10.0%+23.2万円30位中越農業型
23魚沼市+10.1%+24.4万円20位中越製造業集積型
22村上市+10.9%+25.7万円26位下越製造業集積型
21弥彦村+11.1%+27.3万円16位下越製造業集積型

下位10の産業タイプ分布

産業タイプ下位10のうち市町村数市町村名
製造業集積型7弥彦村・村上市・魚沼市・田上町・柏崎市・加茂市・刈羽村
農業型3津南町・佐渡市・粟島浦村
複合型0
高付加価値製造業型0
合計10

下位10の内訳は製造業集積型7市町村と農業型3市町村です。R-1(所得絶対値)で下位10だった「農業型」4市町村のうち3市町村(佐渡・津南・粟島浦)が下位10入りしており、残る関川村は変化率6位(+15.0%)で上位10入りしているという分布です。「農業型=一律で伸びが鈍い」わけではないことは、③以降のセクションで再度触れます。

複合型5市町村・高付加価値製造業型3市町村は下位10に0で、いずれのタイプも変化率下位を回避しました。


③ 地域別に見た10年変化率の分布(下位視点)

新潟県は5地域(下越・中越・上越・佐渡・岩船離島)に分けられます。10年変化率の順位が地域ごとにどう分布しているかを、下位10市町村の視点で確認します。

地域市町村数下位10(21〜30位)中位10(11〜20位)Top10(1〜10位)
下越134市町村(弥彦・村上・田上・加茂)4市町村(阿賀野・胎内・新発田・新潟)5市町村(聖籠・燕・阿賀町・関川村・五泉)
中越124市町村(魚沼・津南・柏崎・刈羽)4市町村(南魚沼・見附・長岡・小千谷)4市町村(湯沢・出雲崎・三条・十日町)
上越302市(妙高・上越)1市(糸魚川)
佐渡11(佐渡市)00
岩船離島11(粟島浦村)00
合計30101010

地域内の分布に見える特徴(下位視点):

  • 上越地域の3市(上越市・糸魚川市・妙高市)は下位10に0で、変化率でも中位以上に踏みとどまっています。R-1(所得絶対値順位)では上越3市が全員Top10入りだった分布と併せて確認すると、上越3市は所得水準・伸び幅の両方で下位を回避する結果になっています
  • 佐渡・岩船離島の2地域は、佐渡市(所得28位・変化率28位)・粟島浦村(所得22位・変化率30位)と、所得順位でも変化率順位でも下位10に位置しています
  • 下越地域は13市町村のうち4市町村(弥彦・村上・田上・加茂)が下位10入りする一方、Top10にも5市町村(聖籠・燕・阿賀町・関川村・五泉)が入っており、地域内で上位・下位に分散する分布です
  • 中越地域は12市町村がTop10・中位10・下位10にほぼ均等に分散(各4市町村)しており、地域一括で「伸びが鈍い」「伸びが大きい」と言える傾向は見えません

▼【グラフ:ranking_stagnation_region.png 5地域別の10年変化率分布(下位視点)】


④ 上位停滞組―所得は高いが10年での伸びは鈍い5市町村

R5年度の1人当たり所得順位(絶対値)ではTop10に位置しているにもかかわらず、10年変化率順位では中位下〜下位10入りしている市町村を「上位停滞組」と呼びます。所得順位と変化率順位の乖離幅が大きい5市町村がこれに該当します。

市町村所得順位(R5)変化率順位順位乖離10年変化率R5 1人当たり所得増減額
刈羽村7位29位22+7.2%292.5万円+19.5万円
柏崎市6位26位20+8.8%292.8万円+23.6万円
新潟市1位20位19+11.3%319.5万円+32.4万円
上越市2位17位(同率)15+11.5%305.4万円+31.4万円
長岡市3位17位(同率)14+11.5%302.5万円+31.2万円

5市町村中2市町村(刈羽村・柏崎市)は変化率順位でも下位10入り

刈羽村(変化率29位)・柏崎市(変化率26位)は、所得絶対値では県内Top10圏内に位置していますが、10年変化率でも下位10入りしています。柏崎市の所得順位は6位、刈羽村は7位で、いずれも1人当たり所得は290万円台の水準です。しかし10年間の伸び幅は+7.2%〜+8.8%と、県平均+11.75%を約3〜4.5ポイント下回っています。

残り3市町村(新潟市・上越市・長岡市)は変化率順位が中位帯

R-1で1位〜3位を占めた大都市(新潟市・上越市・長岡市)は、変化率順位が17位〜20位の中位帯に位置しています。所得絶対値では県内Top3ですが、10年変化率は県平均(+11.75%)を下回る水準です。上越市・長岡市は同率17位(+11.5%)で並んでいます。

対象者数(納税義務者数)の動きと対応する構図

「対象者数」(住民税を払っている所得割納税義務者の数)の10年変化率を上位停滞組5市町村について見ると、次のようになっています。

市町村10年変化率対象者数変化率
新潟市+11.3%+4.16%
上越市+11.5%+1.14%
長岡市+11.5%+1.10%
柏崎市+8.8%-5.38%
刈羽村+7.2%-4.39%
  • 新潟市・上越市・長岡市の3市は対象者数が10年で+1〜+4%増えています。1人当たり所得は「課税対象所得の総額 ÷ 対象者数」で計算されるため、対象者数が増えた市町村では1人当たり値の伸びに下押しがかかる形になります
  • 柏崎市・刈羽村の2市町村は対象者数が10年で△4〜△5%減っており、対象者数の減少は1人当たり値を押し上げる方向に働きます。それにもかかわらず1人当たり所得の10年変化率は+7〜+9%の範囲にとどまっています。総額(分子)の伸び自体も緩やかで、柏崎市の課税対象所得総額の10年変化率は+2.9%、刈羽村は+2.5%の水準です

対象者数の動きと1人当たり所得の伸びの関係は、市町村ごとに異なる形になっています。


⑤ 下位下位組―所得も伸びも下位に並ぶ6市町村

R5年度の1人当たり所得順位(絶対値)と10年変化率順位が 両方とも21位以下(下位10圏内) の市町村を「下位下位組」と呼びます。所得水準・10年での伸びの両面で下位に位置する6市町村です。

市町村所得順位(R5)変化率順位10年変化率R5 1人当たり所得増減額
加茂市27位27位+8.2%260.8万円+19.9万円
佐渡市28位28位+7.5%257.9万円+18.1万円
田上町24位25位+9.1%261.7万円+21.9万円
村上市26位22位+10.9%261.1万円+25.7万円
津南町30位24位+10.0%256.7万円+23.2万円
粟島浦村22位30位+0.7%265.8万円+1.9万円

加茂市・佐渡市は所得順位と変化率順位がほぼ揃う

加茂市(所得27位・変化率27位)・佐渡市(所得28位・変化率28位)は、所得順位と変化率順位がほぼ揃った形で並んでいます。所得絶対値も下位10、10年での伸び幅も下位10という位置関係です。

6市町村の産業タイプは製造業集積型3・農業型3

下位下位組6市町村の内訳は、製造業集積型3市町村(加茂市・田上町・村上市)と農業型3市町村(佐渡市・津南町・粟島浦村)です。

対象者数の動き

下位下位組6市町村の対象者数(納税義務者数)の10年変化率は次の通りです。

市町村対象者数変化率
加茂市△11.43%
佐渡市△8.52%
田上町△6.83%
村上市△6.06%
津南町△6.65%
粟島浦村+16.82%

粟島浦村を除く5市町村では、対象者数が10年で△6〜△11%減少しています。対象者数の減少は1人当たり所得を押し上げる方向に働くはずですが、5市町村の10年変化率は+7〜+11%の範囲にとどまっており、県平均+11.75%を下回っています。総額(分子)の伸びも緩やかだったことが数値から見えます。

粟島浦村は対象者数が+16.82%増えていますが、母数が125人(県内最小)と小さい規模のため単年度の変動が大きく出やすい市町村です。詳細は⑥および⑦で扱います。


⑥ 前半5年 vs 後半5年で見る停滞パターン

10年変化率をH25→H30(前半5年)とH30→R5(後半5年)に分けて見ると、下位10市町村の停滞にも複数のパターンがあります。

まず県全体の前半・後半の分布

項目前半5年(H25→H30)後半5年(H30→R5)
県平均+3.60%+7.90%
後半優勢の市町村数28市町村
前半優勢の市町村数2市町村(新潟市・刈羽村)

30市町村中28市町村で後半5年の伸びが前半5年を上回っており、県全体では「後半優勢」の分布です。前半5年が後半5年を上回るのは新潟市・刈羽村の2市町村のみです(この観察はR-2 と共通)。

粟島浦村は前半-10.16%・後半+12.13%の大きな変動パターンで、「前半優勢」とは異なる形になっています。

下位10市町村の停滞パターン分類

下位10市町村を、前半5年と後半5年の伸び方によって以下の5タイプに整理しました。

パターン特徴該当市町村
A 継続停滞型前半・後半とも県平均を下回る加茂市・佐渡市・魚沼市
B 後半失速型前半は県平均以上、後半で県平均を大きく下回る柏崎市・刈羽村
C 前半失速→後半持ち直し型前半は県平均を大きく下回るが、後半で県平均以上に田上町
D 全体緩やか型両期とも県平均に近いが県平均を下回る弥彦村・村上市・津南町
E 大きな変動型前半が30市町村で唯一の負値、後半で急回復粟島浦村

パターンA 継続停滞型:前半・後半とも県平均を下回る

市町村前半5年前半対平均差後半5年後半対平均差10年変化率
加茂市+3.04%△0.56pt+5.05%△2.85pt+8.2%
佐渡市+2.29%△1.31pt+5.14%△2.76pt+7.5%
魚沼市+2.73%△0.87pt+7.14%△0.76pt+10.1%

加茂市・佐渡市・魚沼市の3市は、前半5年・後半5年とも県平均を下回っています。10年トータルでも下位10入りする「継続停滞型」の分布です。

パターンB 後半失速型:前半は県平均以上・後半で急降下

市町村前半5年前半対平均差後半5年後半対平均差10年変化率
柏崎市+4.27%+0.67pt+4.32%△3.58pt+8.8%
刈羽村+4.99%+1.39pt+2.06%△5.84pt+7.2%

柏崎市・刈羽村は前半5年で県平均以上の伸び幅(それぞれ+0.67pt・+1.39pt上回る)でしたが、後半5年で県平均を3.58pt・5.84pt下回る形になりました。刈羽村の後半5年+2.06%は30市町村中の最小値で、後半5年の伸びが県内で最も鈍い水準です。10年トータルでは「前半で伸びた分がそのまま10年変化率になった」形の分布です。

パターンC 前半失速→後半持ち直し型:前半は県平均を大きく下回るが後半で県平均以上に

市町村前半5年前半対平均差後半5年後半対平均差10年変化率
田上町+0.34%△3.26pt+8.76%+0.86pt+9.1%

田上町は前半5年+0.34%で、粟島浦村(-10.16%)に次いで県内で2番目に小さい水準でした。後半5年は+8.76%で県平均+7.90%を0.86pt上回り、持ち直す形になっています。ただし前半の伸び幅が小さかったため、10年トータルでは+9.1%(下位10入り)にとどまっています。

パターンD 全体緩やか型:両期とも県平均に近いが県平均を下回る

市町村前半5年前半対平均差後半5年後半対平均差10年変化率
弥彦村+4.15%+0.55pt+6.71%△1.19pt+11.1%
村上市+3.33%△0.27pt+7.35%△0.55pt+10.9%
津南町+3.84%+0.24pt+5.89%△2.01pt+10.0%

弥彦村・村上市・津南町は前半・後半ともに県平均に近い水準で推移しましたが、後半5年でわずかに県平均を下回る形になっています。10年トータルでは+10.0%〜+11.1%の範囲で、下位10入りしました。

パターンE 大きな変動型:粟島浦村

市町村前半5年後半5年10年変化率
粟島浦村-10.16%+12.13%+0.7%

粟島浦村は前半5年で30市町村中唯一の負値(-10.16%)を記録し、後半5年で+12.13%まで回復しました。10年トータルでは+0.7%の横ばい水準です。粟島浦村の対象者数(納税義務者数)は125人で県内最小規模のため、少数の人の去就で1人当たり値が大きく振れる市町村です。この変動は⑦の「データの見方・注意点」で改めて触れます。


▼【グラフ:ranking_stagnation_pattern.png 前半5年 vs 後半5年の停滞パターン分類】


⑦ データの見方・注意点

順位=豊かさではありません

10年変化率の順位・停滞のパターン分類は、後述する複数の解釈上の制約を含んだ指標に基づいています。順位が低い(伸びが鈍い)ことをもって「豊かでない地域」「停滞した地域」等の価値判断を行うことはできません。順位はあくまで所得割の課税ベース上の数値の相対比較です。

「所得が減った」ではなく「伸びが鈍い」

新潟県30市町村は全市町村で1人当たり課税対象所得が10年でプラスに転じています。伸び幅は+0.7%(粟島浦村)〜+17.5%(聖籠町)の範囲で、絶対値で減った市町村は0です。この記事の「下位10市町村」「上位停滞組」「下位下位組」は、いずれも「絶対値では増えたが、伸び幅が県平均を大きく下回った」市町村を指す用語です。

課税対象所得は手取り収入ではありません

課税対象所得(合計所得金額)は、給与・事業・農業などの各所得から給与所得控除等の所得種別の控除を差し引いた所得の合計です。ここからさらに基礎控除・社会保険料控除・配偶者控除・扶養控除等を差し引いた額が住民税・所得税の課税標準となります。課税対象所得と実際の手取り収入は異なります。

1人当たり所得の変化率は「対象者数」の変化の影響を受けます

1人当たり所得は「課税対象所得の総額 ÷ 所得割納税義務者数」で計算されます。分母である納税義務者数(住民税を払っている人)が減った市町村は、総額が同じでも1人当たり値が上昇する形になります。下位10市町村のうち9市町村(粟島浦村除く)で対象者数が10年で減少していますが、それでも1人当たり所得の伸びが鈍かったということは、総額(分子)の伸びも小さかったことになります。

小規模自治体は変動が大きく出やすくなります

粟島浦村(納税義務者数125人)のような小規模自治体では、少数の高所得者の去就で1人当たり所得が大きく振れます。粟島浦村の前半5年-10.16%・後半5年+12.13%はこの規模による変動と考える必要があります。刈羽村(2,049人)・関川村(1,928人)・出雲崎町(1,735人)なども納税義務者数が少なく、単年度の変動が反映されやすくなります。

農業地域では過小表示になる場合があります

農業所得は申告による実額ですが、自家消費・現物収入は含まれない場合があります。農業主体の市町村では、1人当たり課税対象所得が実態の生活水準より低く見える可能性があります。今回の下位10には農業型4市町村中3市町村(津南町・佐渡市・粟島浦村)が含まれていますが、この分布はこの過小表示の可能性を踏まえて解釈する必要があります。ただし残る関川村は変化率6位(+15.0%)で上位10入りしており、「農業型=一律で伸びが小さい」わけではありません。

所得割納税義務者は全住民ではありません

課税対象所得が控除額を下回る場合(所得が低い・年金受給のみ等)は所得割の納税義務者に含まれません。高齢化が進んだ市町村では納税義務者の分母が小さくなり、1人当たり所得が見かけ上高くなる場合があります。


まとめ

10年で所得の伸びが鈍かった市町村ランキング(H25→R5)の要点

  • 新潟県30市町村は 全市町村がプラス成長(+0.7%〜+17.5%)で、絶対値で1人当たり所得が減った市町村は0です。この記事の「下位10」「上位停滞組」「下位下位組」はいずれも「絶対値では増えたが、伸び幅が県平均+11.75%を大きく下回った」市町村を指します
  • 最も伸びが鈍かったのは 粟島浦村(+0.7%・+1.9万円)、次いで 刈羽村(+7.2%・+19.5万円)佐渡市(+7.5%・+18.1万円) です。上位1位・聖籠町(+17.5%)とは16.8ポイントの差があります
  • 上位停滞組(所得順位Top10・変化率順位が中位下〜下位10)に該当するのは 刈羽村・柏崎市・新潟市・上越市・長岡市 の5市町村です。所得絶対値は県内上位ですが、10年での伸びは県平均を下回っています
  • 下位下位組(所得順位・変化率順位ともに21位以下)に該当するのは 加茂市・佐渡市・田上町・村上市・津南町・粟島浦村 の6市町村です。加茂市(27・27)・佐渡市(28・28)は所得順位と変化率順位がほぼ揃った位置関係です
  • 下位10市町村の停滞は 継続停滞型(加茂・佐渡・魚沼)・後半失速型(柏崎・刈羽)・前半失速→後半持ち直し型(田上町)・全体緩やか型(弥彦・村上・津南)・大きな変動型(粟島浦村) の5パターンに分かれ、一括で「同じ停滞」と言える構図ではありません

出典

  • 1人当たり課税対象所得・所得割納税義務者数(令和5年度・平成25年度):
    総務省(市町村税課税状況等の調べ 令和5年・平成25年)
  • 産業タイプ・地域区分:
    総務省(国勢調査 令和2年)をもとに分類

データ基準日:令和5年度(2023年度)と平成25年度(2013年度)の10年比較
次回更新推奨:令和6年度データ公表後

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