新潟県30市町村の1人当たり課税対象所得(R5年度)は、
1位の新潟市(319.5万円) と30位の津南町(256.7万円) で
62.8万円の差(1.24倍) があります。都道府県間の比較では東京都と沖縄県で約2倍近い差が生じますが、
新潟県内では1.24倍・約63万円の差にとどまり、県内格差は緩やかな水準です。上位10市町村のうち8市町村が「製造業集積型」または「高付加価値製造業型」 に分類され、
「農業型」の4市町村(関川村・粟島浦村・佐渡市・津南町)はすべて21位以下に並びました。この記事では、総務省「市町村税課税状況等の調べ」をもとに、
全30市町村の年収(1人当たり課税対象所得)と税・社会保険料を差し引いた
推計手取りを1つの表で比較します。
この記事でわかること
- R5年度(2023年度)の1人当たり課税対象所得を、1位(新潟市 319.5万円)から30位(津南町 256.7万円)まで全30市町村一覧で確認できます
- 1位と30位の差は62.8万円(1.24倍)。県平均は277.1万円、県中央値は273.3万円で、平均と中央値の差はわずか3.8万円です
- 上位10市町村のうち8市町村が製造業系(製造業集積型・高付加価値製造業型)に分類されます
- 「農業型」に分類される4市町村(関川村・粟島浦村・佐渡市・津南町)は全員が21位以下に位置します
- 所得順位と手取り順位はほぼ一致しており、30市町村中で実質的な順位変動があるのは2市町村(関川村↑2・魚沼市↓1)のみです
① 全30市町村ランキング表(R5年度)
R5年度(2023年度)の新潟県30市町村・1人当たり課税対象所得ランキングです。「1人当たり課税対象所得」は、その市町村で住民税を払っている人(所得割納税義務者)1人あたりの課税対象所得を表す指標で、読者にとって馴染みのある「年収」に近い概念です(ただし完全な年収ではなく、後述の注意点があります)。
「推計手取り」は、この課税対象所得から給与収入を逆算し、社会保険料・所得税・住民税を差し引いた「実際に手元に残ると見込まれる金額」の試算値です。
| 順位 | 市町村 | 1人当たり所得 | 推計手取り | 手取り順位 | 地域 | 産業タイプ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 新潟市 | 319.5万円 | 366.3万円 | 1位 | 下越 | 複合型 |
| 2 | 上越市 | 305.4万円 | 356.1万円 | 2位 | 上越 | 高付加価値製造業型 |
| 3 | 長岡市 | 302.5万円 | 353.3万円 | 3位 | 中越 | 製造業集積型 |
| 4 | 燕市 | 300.8万円 | 351.8万円 | 4位 | 下越 | 製造業集積型 |
| 5 | 三条市 | 297.9万円 | 348.9万円 | 5位 | 中越 | 製造業集積型 |
| 6 | 柏崎市 | 292.8万円 | 343.7万円 | 6位 | 中越 | 製造業集積型 |
| 7 | 刈羽村 | 292.5万円 | 343.6万円 | 7位 | 中越 | 製造業集積型 |
| 8 | 糸魚川市 | 286.6万円 | 337.6万円 | 8位 | 上越 | 製造業集積型 |
| 9 | 妙高市 | 284.3万円 | 335.6万円 | 9位 | 上越 | 高付加価値製造業型 |
| 10 | 新発田市 | 283.9万円 | 335.2万円 | 10位 | 下越 | 複合型 |
| 11 | 湯沢町 | 282.6万円 | 333.7万円 | 11位 | 中越 | 複合型 |
| 12 | 小千谷市 | 281.3万円 | 332.6万円 | 12位 | 中越 | 製造業集積型 |
| 13 | 聖籠町 | 275.7万円 | 327.4万円 | 13位 | 下越 | 製造業集積型 |
| 14 | 南魚沼市 | 274.8万円 | 326.3万円 | 14位 | 中越 | 複合型 |
| 15 | 胎内市 | 273.9万円 | 325.6万円 | 15位 | 下越 | 高付加価値製造業型 |
| 16 | 弥彦村 | 272.7万円 | 324.5万円 | 16位 | 下越 | 製造業集積型 |
| 17 | 見附市 | 271.3万円 | 322.9万円 | 17位 | 中越 | 製造業集積型 |
| 18 | 出雲崎町 | 267.4万円 | 319.4万円 | 18位 | 中越 | 製造業集積型 |
| 19 | 十日町市 | 266.6万円 | 318.3万円 | 19位(同率) | 中越 | 複合型 |
| 20 | 魚沼市 | 266.2万円 | 317.9万円 | 21位 ↓ | 中越 | 製造業集積型 |
| 21 | 関川村 | 265.9万円 | 318.3万円 | 19位(同率)↑↑ | 下越 | 農業型 |
| 22 | 粟島浦村 | 265.8万円 | 316.9万円 | 22位 | 岩船離島 | 農業型 |
| 23 | 阿賀野市 | 265.1万円 | 316.8万円 | 23位 | 下越 | 製造業集積型 |
| 24 | 田上町 | 261.7万円 | 313.5万円 | 24位 | 下越 | 製造業集積型 |
| 25 | 五泉市 | 261.3万円 | 313.1万円 | 25位(同率) | 下越 | 製造業集積型 |
| 26 | 村上市 | 261.1万円 | 313.1万円 | 25位(同率)↑ | 下越 | 製造業集積型 |
| 27 | 加茂市 | 260.8万円 | 312.7万円 | 27位 | 下越 | 製造業集積型 |
| 28 | 佐渡市 | 257.9万円 | 309.6万円 | 28位(同率) | 佐渡 | 農業型 |
| 29 | 阿賀町 | 257.3万円 | 309.6万円 | 28位(同率)↑ | 下越 | 製造業集積型 |
| 30 | 津南町 | 256.7万円 | 308.9万円 | 30位 | 中越 | 農業型 |
表の読み方:
- 「順位」は1人当たり課税対象所得(R5年度)の順位です
- 「手取り順位」は税・社会保険料を差し引いた推計手取りの順位です
- 「↓」「↑」「↑↑」は所得順位から手取り順位への変動を表します(矢印1本=1位変動)
- 「同率」は他市町村と手取り額が同じで並んだものです
※出典:総務省(市町村税課税状況等の調べ 令和5年)
▼【グラフ:ranking_top30.png 新潟県30市町村・1人当たり課税対象所得ランキング(R5年度)】

② 上位10市町村の傾向(1位〜10位)
上位10市町村の1人当たり所得は283.9万円〜319.5万円の範囲に分布しています。
新潟市が唯一の320万円近い水準
1位の新潟市は319.5万円で、上位10市町村の中で唯一の310万円台の水準にあります。2位の上越市(305.4万円)とは14.1万円の差、10位の新発田市(283.9万円)とは35.6万円の差があります。
上越3市が全てTop10入り
上越地域は上越市(2位)・糸魚川市(8位)・妙高市(9位) の3市のみで構成されており、その3市全員がTop10入りしています。上越3市の産業タイプはいずれも「製造業集積型」または「高付加価値製造業型」に分類されており、1人当たり所得が県内上位10位以内に位置している結果になっています。
製造業系が上位10のうち8市町村
上位10市町村の産業タイプの内訳は以下の通りです。
| 産業タイプ | 上位10のうち市町村数 | 市町村名 |
|---|---|---|
| 製造業集積型 | 6 | 長岡市・燕市・三条市・柏崎市・刈羽村・糸魚川市 |
| 高付加価値製造業型 | 2 | 上越市・妙高市 |
| 複合型 | 2 | 新潟市・新発田市 |
| 合計 | 10 | ― |
上位10のうち8市町村(80%)が製造業系(製造業集積型または高付加価値製造業型)に属しています。残り2市町村(新潟市・新発田市)は「複合型」に分類されています。
③ 地域別に見た分布
新潟県は5地域(下越・中越・上越・佐渡・岩船離島)に分けられます。地域ごとの1人当たり所得の分布を確認します。
| 地域 | 市町村数 | Top10(1〜10位) | 中位10(11〜20位) | 下位10(21〜30位) |
|---|---|---|---|---|
| 下越 | 13 | 3市(新潟・燕・新発田) | 3市町村(聖籠・胎内・弥彦) | 7市町村(関川・阿賀野・田上・五泉・村上・加茂・阿賀町) |
| 中越 | 12 | 4市町村(長岡・三条・柏崎・刈羽) | 7市町村(湯沢・小千谷・南魚沼・見附・出雲崎・十日町・魚沼) | 1町(津南町) |
| 上越 | 3 | 3市(上越・糸魚川・妙高) | 0 | 0 |
| 佐渡 | 1 | 0 | 0 | 1(佐渡市) |
| 岩船離島 | 1 | 0 | 0 | 1(粟島浦村) |
| 合計 | 30 | 10 | 10 | 10 |
地域内の分布に見える特徴:
- 上越地域は3市全員がTop10入り(100%)です
- 中越地域は12市町村中7市町村(58%)が中位10(11〜20位)に集中しています
- 下越地域は13市町村がTop10・中位10・下位10に分散しており、地域内の差が県内5地域の中で最も大きくなっています
- 佐渡市と粟島浦村はそれぞれ地域を単独で構成しており、いずれも下位10に位置しています
▼【グラフ:ranking_region_map.png 新潟5地域別の所得分布】

④ 中位10市町村の傾向(11位〜20位)
中位10市町村の1人当たり所得は266.2万円〜282.6万円の範囲に分布しています。県平均277.1万円・県中央値273.3万円が含まれるゾーンです。
中越の市町村が7市町村
中位10のうち7市町村(湯沢町・小千谷市・南魚沼市・見附市・出雲崎町・十日町市・魚沼市)が中越地域です。中越12市町村のうち約6割が中位10に入る分布となっています。
人口小規模でも上位食い込みのケース
11位の湯沢町(282.6万円)・13位の聖籠町(275.7万円)・16位の弥彦村(272.7万円)は所得割納税義務者数が少ない小規模自治体ですが、1人当たり所得ではTop15圏内に位置しています。
⑤ 下位10市町村の傾向(21位〜30位)
下位10市町村の1人当たり所得は256.7万円〜265.9万円の範囲に分布しています。1位の新潟市との差は約53万円〜約63万円です。
農業型4市町村がすべて下位10入り
「農業型」に分類される市町村は県内に4市町村あり、その全員が下位10に位置しています。
| 順位 | 市町村 | 1人当たり所得 | 地域 |
|---|---|---|---|
| 21位 | 関川村 | 265.9万円 | 下越 |
| 22位 | 粟島浦村 | 265.8万円 | 岩船離島 |
| 28位 | 佐渡市 | 257.9万円 | 佐渡 |
| 30位 | 津南町 | 256.7万円 | 中越 |
農業型4市町村が全員21位以下となっていますが、これには次のような注意点があります。農業所得は申告による実額で、自家消費・現物収入は含まれない場合があります。農業主体の市町村では、1人当たり課税対象所得が実態の生活水準より低く見える可能性があります(詳細は⑦の「データの見方・注意点」参照)。
下位10のうち6市町村は「製造業集積型」
一方、下位10のうち6市町村は「製造業集積型」に分類されています。
| 順位 | 市町村 | 1人当たり所得 | 産業タイプ |
|---|---|---|---|
| 23位 | 阿賀野市 | 265.1万円 | 製造業集積型 |
| 24位 | 田上町 | 261.7万円 | 製造業集積型 |
| 25位 | 五泉市 | 261.3万円 | 製造業集積型 |
| 26位 | 村上市 | 261.1万円 | 製造業集積型 |
| 27位 | 加茂市 | 260.8万円 | 製造業集積型 |
| 29位 | 阿賀町 | 257.3万円 | 製造業集積型 |
「製造業集積型」は県内30市町村中18市町村が分類される最も市町村数の多い産業タイプで、3位(長岡市)から29位(阿賀町)まで幅広く分布しています。産業タイプが「製造業集積型」であることと1人当たり所得の順位は、そのままでは対応していません。
産業タイプ別の分布まとめ
| 産業タイプ | 市町村数 | 所得順位範囲 | 全員が下位10入り? |
|---|---|---|---|
| 複合型 | 5 | 1位〜19位 | いいえ |
| 高付加価値製造業型 | 3 | 2位〜15位 | いいえ |
| 製造業集積型 | 18 | 3位〜29位 | いいえ(幅広い) |
| 農業型 | 4 | 21位〜30位 | はい(全員21位以下) |
「農業型」だけが4市町村全員が下位10に集中する分布となっていますが、上述の通り農業所得の性質による過小表示の可能性を踏まえて解釈する必要があります。
⑥ 所得と手取りの順位はほぼ一致
所得(1人当たり課税対象所得)から税・社会保険料を差し引くと、順位はどう変わるでしょうか。全30市町村について、所得順位と推計手取り順位を比較すると次のことが分かります。
実質的な順位変動があるのは2市町村のみ
30市町村中、所得順位と手取り順位が別の市町村と入れ替わったのは以下の2市町村です。
- 関川村:所得順位21位 → 手取り順位19位(↑2位上昇、十日町市と同率)
- 魚沼市:所得順位20位 → 手取り順位21位(↓1位低下)
残り28市町村は所得順位と手取り順位が同じ、または他市町村と同率になる形で並んでいます。
同率になった手取りペアが3組
推計手取り額が同一で並んだペアは3組あります。
| 手取り順位 | 市町村 | 推計手取り |
|---|---|---|
| 19位(同率) | 十日町市・関川村 | 318.3万円 |
| 25位(同率) | 五泉市・村上市 | 313.1万円 |
| 28位(同率) | 佐渡市・阿賀町 | 309.6万円 |
読者にとっての結論:所得順位を見れば手取り順位もほぼ分かる
30市町村中28市町村で所得順位と手取り順位が実質的に変わらないため、「1人当たり所得の順位」を確認すれば、「税・社会保険料を差し引いた手取りの順位」もほぼ同じ順に並ぶ、と言えます。
▼【グラフ:ranking_income_vs_takehome.png 所得と推計手取りの散布図(30市町村)】

⑦ データの見方・注意点
順位=豊かさではありません
1人当たり課税対象所得の順位は、後述する複数の解釈上の制約を含んだ指標に基づいています。順位が高いことをもって「豊かな地域」「移住すべき地域」等の価値判断を行うことはできません。順位はあくまで所得割の課税ベース上の数値の相対比較です。
課税対象所得は手取り収入ではありません
課税対象所得(合計所得金額)は、給与・事業・農業などの各所得から給与所得控除等の所得種別の控除を差し引いた所得の合計です。ここからさらに基礎控除・社会保険料控除・配偶者控除・扶養控除等を差し引いた額が住民税・所得税の課税標準となります。課税対象所得と実際の手取り収入は異なります。
農業地域では過小表示になる場合があります
農業所得は申告による実額ですが、自家消費・現物収入は含まれない場合があります。農業主体の市町村では、1人当たり課税対象所得が実態の生活水準より低く見える可能性があります。今回のランキングでも「農業型」4市町村(関川村・粟島浦村・佐渡市・津南町)が下位10に集中していますが、この分布はこの過小表示の可能性を踏まえて解釈する必要があります。
所得割納税義務者は全住民ではありません
課税対象所得が控除額を下回る場合(所得が低い・年金受給のみ等)は所得割の納税義務者に含まれません。R5年度の新潟県内の所得割納税義務者数は約102.4万人で、これは全人口とは異なります。高齢化が進んだ市町村では納税義務者の分母が小さくなり、1人当たり所得が見かけ上高くなる場合があります。
手取り額は「試算値」です
本記事の推計手取りは、課税対象所得(給与所得)から給与所得控除の計算式で給与収入を逆算し、公式保険料率(厚生年金・協会けんぽ新潟県・雇用保険)と各年度の税制を用いて算出した試算値です。R5年度は、厚生年金9.15%・健保5.0%・雇保0.6%を使用しています。所得税は基礎控除48万円・配偶者控除38万円・扶養控除1人38万円を仮定して算出しました。実際の家族構成・控除状況によって、手取り額は大きく異なります。
まとめ
新潟県30市町村・年収ランキング(R5年度)の要点
- 1人当たり課税対象所得は1位・新潟市の319.5万円から30位・津南町の256.7万円まで分布。差は62.8万円(1.24倍) で、都道府県間の格差(東京と沖縄で約2倍)と比べると県内格差は緩やかです
- 県平均は277.1万円、県中央値は273.3万円。両者の差はわずか3.8万円で、上位数市が大きく引き上げる歪みは小さい分布です
- 上位10市町村のうち8市町村が「製造業集積型」または「高付加価値製造業型」、残り2市町村(新潟市・新発田市)が「複合型」です
- 上越3市(上越・糸魚川・妙高)はすべて上位10入り。「農業型」4市町村(関川・粟島浦・佐渡・津南)はすべて21位以下という分布です
- 所得順位と手取り順位はほぼ一致しており、実質的な順位変動があるのは関川村(↑2位)と魚沼市(↓1位)の2市町村のみです。所得順位を見ておけば、手取り順位もほぼ同じ順に並びます
出典
- 1人当たり課税対象所得・所得割納税義務者数・住民税(所得割)実額:
総務省(市町村税課税状況等の調べ 令和5年) - 産業タイプ・地域区分:
総務省(国勢調査 令和2年)をもとに分類
データ基準日:令和5年度(2023年度)
次回更新推奨:令和6年度データ公表後

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