人口が減っているのに住宅が建つ町・両方減る町|新潟県30市町村・人口動向と住宅着工の対比(H25→R5)

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新潟県30市町村を「人口の変化(H25→R5の納税義務者数変化率)」と
「住宅着工の変化(H25→R5)」の2軸で分類すると、
新潟市・長岡市・上越市・新発田市・見附市・聖籠町の主要都市6市町村は、
人口が増えているにもかかわらず住宅着工が10年で17〜50%減少
しています。

一方で両方が減っている市町村は19あり、
岩船郡合算分を除いた28市町村の約68%(19/28) を占めます。

両方が増えた市町村は燕市・湯沢町の2つ
人口減・住宅増に単独で該当するのは阿賀野市1市のみでした。

この記事では、総務省「市町村税課税状況等の調」の納税義務者数と
新潟県「建築統計年報」の住宅着工数をもとに、
30市町村を4分類に整理してその分布を確認します。

※関川村・粟島浦村は住宅着工が岩船郡合算のため、村単独の4分類判定はできません。
記事本文では合算を除いた28市町村を分析対象としています。


この記事でわかること

  • H25→R5の10年間で、人口(納税義務者数)と住宅着工の変化を組み合わせた4分類が、30市町村でどう分布しているかを一覧で確認できます
  • 主要都市6市町村(新潟・長岡・上越・新発田・見附・聖籠)が全て「人口増・住宅減」 に該当し、都市部で人口が保たれていても住宅着工は3〜5割減という共通パターンが見えます
  • 両方が減っている市町村は19(岩船郡除く28市町村の約68%)で、県内多数派は「人口減と住宅市場縮小の同時進行」です
  • 両方増は燕市・湯沢町の2市町村のみ、単独で「人口減・住宅増」に該当するのは阿賀野市1市という希少パターンを整理します
  • 人口が県内トップクラスで増えている聖籠町(+9.98%) でも住宅着工は-17.4%減、湯沢町(+8.76%) の着工増は絶対数15戸という母数極小の変動である点も注記します

① 4分類サマリー|主要都市は全て「人口増・住宅減」

30市町村(岩船郡合算のため関川村・粟島浦村を除く28市町村)を、H25→R5の10年変化で4分類しました。

分類該当市町村数該当割合
(/28)
主な該当市町村
【1】人口増・住宅減621.4%新潟・長岡・上越・新発田・見附・聖籠
【2】両方増27.1%燕・湯沢
【3】両方減1967.9%三条・柏崎・糸魚川・妙高・小千谷 ほか
【4】人口減・住宅増13.6%阿賀野
合計28100%
  • 両方減が19市町村(67.9%)で県内多数派です。中山間・郊外部で人口減と住宅市場縮小が同時に進んでいます
  • 人口増・住宅減が6市町村(21.4%)で、新潟県の主要都市6つがそのままここに入ります
  • 両方増は燕市・湯沢町の2市町村のみ、単独で人口減・住宅増に該当するのは阿賀野市1市という少数派です
  • 関川村・粟島浦村は住宅着工が岩船郡として合算集計されており、村単独の4分類判定はできません(記事では28市町村ベース)

▼【グラフ:h9_population_vs_housing.png 人口変化率×住宅着工変化率の散布図(4象限)】

※出典:総務省(市町村税課税状況等の調 平成25年度・令和5年度)/新潟県(建築統計年報 平成25年度・令和5年度)


② 【人口増・住宅減】6市町村|新潟県の主要都市パターン

人口(納税義務者数)が10年間で増加しつつ、住宅着工が減少した市町村は6市町村です。

市町村納税義務者数変化率
(H25→R5)
着工変化率
(H25→R5)
R5着工戸数1000人あたり
着工(R5)
新潟市+4.16%-35.8%4,049戸5.32戸
上越市+1.14%-43.8%643戸3.56戸
長岡市+1.10%-37.7%1,094戸4.29戸
新発田市+1.19%-43.7%328戸3.58戸
見附市+0.21%-49.8%103戸2.71戸
聖籠町+9.98%-17.4%71戸5.08戸
  • 新潟県の中核市・人口安定都市6つがすべてこの分類に集中しています。人口が保たれている(あるいは増えている)都市部で、住宅着工だけが10年で3〜5割減という共通パターンです
  • 聖籠町の納税義務者数+9.98%は県内トップクラスの増加率ですが、着工は-17.4%減です。人口が増えていても新規建築の水準は縮小しています
  • 新潟市は人口+4.16%・着工-35.8%で、着工の絶対数(4,049戸)と1000人あたり着工(5.32戸)は県内トップクラスの供給水準を維持しています
  • 見附市・長岡市・上越市・新発田市の4市はいずれも人口増加率が+0.21〜+1.19%と小幅で、着工減少幅はいずれも-37%以上の大幅減です

※出典:総務省(市町村税課税状況等の調 平成25年度・令和5年度)/新潟県(建築統計年報 平成25年度・令和5年度)


③ 【両方増】2市町村|燕市と湯沢町だけ

人口・住宅ともに10年で増加した市町村は2つだけです。

市町村納税義務者数変化率
(H25→R5)
着工変化率
(H25→R5)
R5着工戸数1000人あたり
着工(R5)
燕市+3.06%+2.9%421戸5.54戸
湯沢町+8.76%+66.7%15戸1.81戸
  • 県内でこの2市町村のみが「人口・住宅の両方が増えた」分類に該当します
  • 燕市は着工絶対数421戸・1000人あたり5.54戸で県内1位の水準を保ちながらの増加です
  • 湯沢町の着工+66.7%は絶対数15戸・1000人あたり1.81戸という母数の小さい増加で、単年で数戸増減しただけで大きく振れる水準です
  • 両市町村の性格は異なり、燕市は人口約7.6万人の中規模都市、湯沢町は人口約8,000人のリゾート地です

▼【グラフ:h9_4pattern_count.png 4分類別の市町村数】

※出典:総務省(市町村税課税状況等の調 平成25年度・令和5年度)/新潟県(建築統計年報 平成25年度・令和5年度)


④ 【両方減】19市町村|県内28市町村の68%を占める

人口・住宅の両方が10年で減少した市町村は19あり、岩船郡合算を除いた28市町村の67.9%(19/28) を占めます。

市町村納税義務者数変化率
(H25→R5)
着工変化率
(H25→R5)
R5着工戸数
三条市-2.09%-42.8%308戸
柏崎市-5.38%-59.4%191戸
刈羽村-4.39%-50.0%10戸
糸魚川市-6.96%-63.1%93戸
妙高市-6.03%-29.5%62戸
小千谷市-4.59%-42.0%87戸
南魚沼市-0.49%-55.1%118戸
胎内市-5.27%-51.8%66戸
弥彦村-2.05%-70.0%6戸
出雲崎町-10.84%-64.3%5戸
十日町市-7.79%-49.2%64戸
魚沼市-3.73%-44.7%63戸
田上町-6.83%-51.4%17戸
五泉市-4.35%-45.3%128戸
村上市-6.06%-46.7%114戸
加茂市-11.43%-21.5%84戸
佐渡市-8.52%-27.5%74戸
阿賀町-11.03%-60.0%8戸
津南町-6.65%-83.9%5戸
  • 19市町村が両方減で、県内多数派のパターンです。中山間・郊外部で人口減と住宅市場縮小が同時に進行しています
  • 津南町(-83.9%)・弥彦村(-70.0%)・出雲崎町(-64.3%)・糸魚川市(-63.1%)・阿賀町(-60.0%) の5市町村は10年で住宅着工が6割以上減少しています
  • 加茂市は着工-21.5%と減少幅は小さめですが、人口は-11.43%と19市町村の中で最大の減少幅です。住宅ストックの回転は残っているのに人口流出が続く構図です
  • 出雲崎町(-10.84%)・阿賀町(-11.03%)・加茂市(-11.43%)は納税義務者数の減少幅が10%を超えます
  • 年間着工5〜17戸の小規模自治体(津南5戸・出雲崎5戸・弥彦6戸・阿賀町8戸・刈羽村10戸・湯沢15戸・田上町17戸)は年変動が大きく、10年変化率で見ることで相対比較が可能になります

※出典:総務省(市町村税課税状況等の調 平成25年度・令和5年度)/新潟県(建築統計年報 平成25年度・令和5年度)


⑤ 【人口減・住宅増】阿賀野市のみ(岩船郡合算除く)

人口が減っているのに住宅着工が増加した市町村は、単独判定可能な範囲で阿賀野市1市のみです。

市町村納税義務者数変化率
(H25→R5)
着工変化率
(H25→R5)
R5着工戸数備考
阿賀野市-1.71%+2.2%141戸単独で該当する唯一の市町村
関川村-15.84%+142.9%17戸※岩船郡合算のため単独判定不能

※関川村の着工数17戸は粟島浦村との岩船郡合算値。両村単独の住宅市場動向は原データからは特定できません。

  • 阿賀野市は人口-1.71%(緩やかな減少)にもかかわらず着工+2.2%とプラス圏です。R5着工141戸は県内8位、1000人あたり3.60戸で県内5位の水準です
  • 関川村は納税義務者数-15.84%ですが、住宅着工は岩船郡合算のため関川村単独の変化は特定できません
  • 岩船郡合算を含めない場合、「人口減・住宅増」に該当するのは県内28市町村中1市のみという希少パターンです

▼【グラフ:h9_urban_paradox.png 主要都市6市町村の人口増vs住宅減】

※出典:総務省(市町村税課税状況等の調 平成25年度・令和5年度)/新潟県(建築統計年報 平成25年度・令和5年度)


⑥ 意外な観察4選

観察1:新潟県の主要都市6市町村は全て「人口増・住宅減」

新潟市・長岡市・上越市・新発田市・見附市・聖籠町の6市町村がすべて人口増・住宅減に該当しました。

  • 新潟県の中核市・人口安定都市がほぼ全てこの分類に集中
  • 人口が増えている(あるいは維持されている)市町村でも、住宅着工は10年で17〜50%減少
  • 「人口が増えている=住宅需要が増えている」という直感的な関係が、この10年の県内主要都市では成立していません

観察2:聖籠町は人口+9.98%(県内トップクラス)でも着工-17.4%

聖籠町の納税義務者数+9.98%は県内トップクラスの増加率ですが、住宅着工は-17.4%減です。

  • H25年度の86戸からR5年度の71戸に減少
  • 1000人あたり着工5.08戸は県内3位で水準は依然として高い
  • 人口増加率と着工増減率が同じ方向を向いていない典型例

観察3:湯沢町の着工+66.7%は絶対数15戸の増加

湯沢町は人口+8.76%・着工+66.7%と両方が県内トップクラスで増加していますが、着工の絶対数は15戸です。

  • 1000人あたり着工1.81戸は県内下位水準
  • 母数が小さいため、単年で数戸増減するだけで変化率が大きく振れます
  • 「両方増」に分類されるものの、住宅市場の絶対規模は県内下位グループ

観察4:加茂市は人口-11.43%でも着工減は-21.5%どまり

加茂市は納税義務者数が-11.43%と両方減19市町村の中で最大の減少幅ですが、着工減少は-21.5%と19市町村の中で最も小さい水準です。

  • H25年度107戸→R5年度84戸で、着工数の絶対水準はある程度維持
  • 一方で人口減少幅は県内でも上位クラス
  • 住宅ストックの更新は続いているのに、人口流出が並行して進行している構図

⑦ データの見方・注意点

着工数≠住宅需要ではありません

建築統計年報の着工戸数は「建設が始まった住宅の数(供給側の数字)」であり、その市町村の住宅需要の強弱を直接示すものではありません。「人口が増えているのに着工が減った」という現象も、需要が減ったのか、既存住宅ストックの活用が進んだのか、複数の解釈が可能です。この記事では「〜という組み合わせが観察された」までを言い、「〜のために着工が減った」という因果には踏み込んでいません。

岩船郡(関川村・粟島浦村)は住宅着工が合算集計されます

新潟県の建築統計年報では、関川村と粟島浦村の着工数が郡単位で公表されており、村単位に分離できません。この記事の4分類では両村を分析対象から除外し、28市町村で集計しています。関川村の納税義務者数-15.84%と岩船郡合算着工+142.9%を組み合わせて「関川村は人口減・住宅増」と読むことはできません。粟島浦村の納税義務者数+16.82%も分母が数百人の極小自治体特有の統計変動であり、額面通り「人口増加自治体」として扱うのは適切ではありません。

小規模市町村では変化率が大きく振れます

年間の着工数が5〜17戸前後の小規模市町村(津南町5戸・出雲崎町5戸・弥彦村6戸・阿賀町8戸・刈羽村10戸・湯沢町15戸・田上町17戸)では、単年で数戸増減するだけで変化率が数十〜数百パーセント動きます。10年変化率で見ることで相対比較は可能ですが、絶対規模としては県内住宅市場の主流ではない点にご注意ください。

順位≠豊かさではありません

4分類は「人口と住宅着工がどの方向に動いたか」という組み合わせを示すものであり、住みやすさや豊かさを直接示す指標ではありません。「両方減=衰退」「両方増=成長」のような単純な評価はできません。人口動向は納税義務者数(経済人口の代理指標)で見ており、無職・非課税世帯・年少人口の変動は反映されていない点も含めてお読みください。


まとめ

人口動向と住宅着工の4分類|新潟県30市町村の要点

  • H25→R5の10年間で30市町村(岩船郡合算除く28市町村)を4分類すると、両方減が19市町村(67.9%)で県内多数派人口増・住宅減が6市町村(21.4%)両方増が2市町村(7.1%)人口減・住宅増が1市町村(3.6%) の分布です
  • 新潟県の主要都市6市町村(新潟・長岡・上越・新発田・見附・聖籠)は全て「人口増・住宅減」 に該当し、都市部で人口が保たれていても住宅着工は10年で17〜50%減という共通パターンが見えます
  • 両方増は燕市・湯沢町の2市町村のみで、燕市(+3.06%・+2.9%)は中規模都市、湯沢町(+8.76%・+66.7%)は着工絶対数15戸の変動という異なる性格です
  • 両方減の19市町村では、津南町・弥彦村・出雲崎町・糸魚川市・阿賀町が10年で住宅着工が3分の1以下に縮小しました。一方で加茂市は人口-11.43%と最大の減少幅ながら着工減は-21.5%どまりです
  • 単独で「人口減・住宅増」に該当するのは阿賀野市1市のみ(岩船郡合算除く)で、県内で希少な組み合わせです

出典

  • 新設住宅着工戸数(市町村別・用途別):
    新潟県(建築統計年報 平成25年度・令和5年度)
  • 納税義務者数(H25→R5変化率算出用):
    総務省(市町村税課税状況等の調 平成25年度・令和5年度)

データ基準日:令和5年度(2023年度)・平成25年度(2013年度)
次回更新推奨:令和6年度データ公表後

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