新発田市は年間 192.0 万人の観光客が訪れる県内 10 位の観光地です。県全体(約 6,336 万人)の 3.03% を占めます。
新発田市の観光構造で数値上目立つのは、観光分類「温泉・健康」が 32.4% で県内 1 位でありながら、最大施設(月岡温泉)の集中度は 20.1% で県内 19 位という組み合わせです。比率は県内トップ、集中度は中位という配置は他の 29 市町村では成立しません。
温泉健康 32.4% は月岡温泉(38.6 万人)・紫雲の郷(9.2 万人)・新発田あやめの湯(5.7 万人)の 3 施設で構成されますが、3 施設合計でも市全体の 27.9% で、残る 7 割超は非温泉の集客です。
集客カレンダーは 8 月にピーク(34.1 万人・年間の 17.7%) が来る 2 峰型で、8 月は城下町新発田まつり(13.2 万人)が中心、11 月に第 2 峰(21.3 万人・年間の 11.1%) で紅葉温泉需要が加わります。
この記事では、新発田市の観光客数を 13 年間の推移・観光分類の内訳・月別の集客カレンダー・主要観光施設 9 か所の集中度の 4 側面から整理します。とくに、温泉の比率が県内 1 位でありながら 1 施設への集中度は県内 19 位という配置が、市内のどこにどれだけ人が来ているかという形でどう表れているかを数値で確認します。温泉目的で訪れる場合と、市内の他のエリアを見る場合とで数値がどう違うかも示します。
▼【グラフ:新発田市_県内ランキング.png 新潟県内 30 市町村の観光客入込数ランキング(2024 年・新発田市を強調表示)】

新発田市の観光を支える 3 つの構造
新発田市の観光構造は「温泉主導 + 城下町イベント + レジャー・都市型」の 3 要素で成立していると観察できます。
1. 温泉主導:月岡温泉と温泉健康 32.4%(県内 1 位)
新発田市の観光分類「温泉・健康」の比率は 32.4% で、県内 30 市町村中 1 位です。以下、県内主要自治体との比較:
| 市町村 | 温泉健康比率 | 主要温泉地 |
|---|---|---|
| 新発田市 | 32.4%(県内 1 位) | 月岡温泉 |
| 湯沢町 | 25.8% | 越後湯沢温泉 |
| 村上市 | 19.6% | 瀬波温泉・村上温泉 |
| 妙高市 | 12.9% | 妙高高原温泉郷 |
| 阿賀野市 | 11.6% | 五頭温泉郷 |
| 弥彦村 | 11.1% | 弥彦温泉 |
| 十日町市 | 11.0% | 松之山温泉 |
温泉健康 32.4% の中核を担うのは、以下 3 施設です。
| 施設 | 2024 年入込数 | 市全体シェア |
|---|---|---|
| 月岡温泉 | 38.6 万人 | 20.1% |
| 紫雲の郷 | 9.2 万人 | 4.8% |
| 新発田あやめの湯 | 5.7 万人 | 3.0% |
| 温泉施設 3 つ合計 | 53.5 万人 | 27.9% |
温泉施設 3 つで市全体入込の 27.9% を占めており、これに月岡温泉周辺の宿泊需要(主要観光地点として計上されない部分)を含めると、温泉健康 32.4% の水準に到達する構造です。
月岡温泉は新潟県の 4 大温泉地(月岡・瀬波・岩室・咲花)の 1 つで、東京圏・仙台圏からの温泉旅行需要を集める立地条件にあります(JR 白新線 豊栄駅・磐越自動車道 豊栄新潟東港 IC・日本海東北自動車道 聖籠新発田 IC からアクセス可能な立地です)。
2. 8 月急増:城下町新発田まつり
新発田市の月別ピークは 8 月(34.1 万人)で、年間の 17.7% を占めます。8 月は 2 位の 11 月(21.3 万人)の 1.6 倍の水準で、8 月に集中する構造です。
8 月急増の中心にあるのが城下町新発田まつり(8 月下旬開催)で、2024 年の入込は 13.2 万人・前年比 +7.5% です。このほか市島酒造(酒蔵見学)・新発田市カルチャーセンター等の集客も 8 月に厚みが出る施設として位置づけられます。
観光分類「行祭事・イベント」の比率は 12.7% で、この中核を城下町新発田まつりが構成します。
3. 11 月第 2 峰:紅葉温泉需要と月岡温泉の秋シーズン
新発田市の月別で 8 月に次いで多いのは 11 月(21.3 万人・年間の 11.1%) で、10 月(13.8 万人)・12 月(9.3 万人)を大きく上回る第 2 峰を形成しています。
11 月の集客の中心は月岡温泉の紅葉シーズン需要とみられ、温泉健康比率 32.4% が高い新発田市において秋の温泉訪問が集客カレンダーの重要な柱となっています。8 月と 11 月の 2 峰の間の 9 月(16.1 万人)・10 月(13.8 万人)はやや低く、11 月に集中する秋の需要パターンとして観察できます。
3 要因が生む「振幅倍率 3.7 倍」の集客
これら 3 要素の組み合わせにより、振幅倍率(最多月 8 月 34.1 万 ÷ 最少月 12 月 9.3 万)は 3.7 倍 です(県内 8 位)。妙高市(2.9 倍)・新潟市(2.8 倍)ほど通年安定ではありませんが、湯沢町(8.7 倍)・弥彦村(6.7 倍)・十日町市(6.3 倍)と比べると振幅は緩やかです。
13 年推移(2012〜2024 年):コロナ前比 77.8%(県内 21 位・回復途上)
| 年(和暦) | 観光客入込数 | 前年比 |
|---|---|---|
| 2012 年(H24) | 251.6 万人 | ─ |
| 2013 年(H25) | 251.2 万人 | −0.2% |
| 2014 年(H26) | 262.2 万人 | +4.3% |
| 2015 年(H27) | 248.8 万人 | −5.1% |
| 2016 年(H28) | 274.5 万人(13 年間のピーク) | +10.3% |
| 2017 年(H29) | 260.2 万人 | −5.2% |
| 2018 年(H30) | 254.3 万人 | −2.3% |
| 2019 年(R1) | 246.9 万人 | −2.9% |
| 2020 年(R2) | 124.0 万人 | −49.8% |
| 2021 年(R3) | 120.8 万人 | −2.6% |
| 2022 年(R4) | 174.9 万人 | +44.8% |
| 2023 年(R5) | 194.1 万人 | +11.0% |
| 2024 年(R6) | 192.0 万人 | −1.1% |
※2020〜2021 年の急減はコロナ禍の影響とみられます。
コロナ前比 77.8%(県内 21 位)
コロナ前(2019 年:246.9 万人)と比べると、2024 年は 192.0 万人で 77.8%(県内 21 位)です。県内 30 市町村の平均コロナ前比(約 91%)を大きく下回り、県内で回復が遅い部類に位置づけられます。
参考として、コロナ前比順位で湯沢町(74.6%・県内 23 位)・新潟市(85.9%・14 位)と比べると、新発田市は「湯沢町ほどではないが県内でも回復が遅い」構造です。温泉主導型の観光地では宿泊需要(特に平日のビジネス・団体需要)の回復進捗が課題となる傾向があり、月岡温泉もその影響を受けているとみられます。
3 つの時期区分
| 期間 | 変化率 | 動向 |
|---|---|---|
| 2014→2019 年(コロナ前 5 年) | −5.8% | 2016 年ピーク後の緩やかな減少 |
| 2019→2024 年(コロナ後 5 年) | −22.2% | 減少・未回復(県内 21 位) |
| 2013→2024 年(長期 11 年) | −23.6% | 長期減少傾向(県内 18 位) |
長期的(H25→R6)に −23.6% の減少で、コロナ前から続く減少傾向がコロナ禍を経て一段深まった構造です。
前年比:3 年連続増加から微減へ
前年比は 2022 年(+44.8%)→ 2023 年(+11.0%)→ 2024 年(−1.1%)と、コロナ後の急速回復から鈍化・微減フェーズへ移行しています。他の県内主要観光地(新潟市 +3.0%・長岡市 +4.9%・妙高市 +2.0%)が微増を維持する中で、新発田市の −1.1% は回復ピッチが遅れている構造として観察できます。
▼【グラフ:新発田市_入込数推移.png 新発田市の観光客入込数の推移(2012〜2024 年)】

観光の種類(分類別内訳):温泉主導 + 3 分野バランス
| 観光分類 | 比率 | 県内順位 |
|---|---|---|
| 温泉・健康 | 32.4% | 1 位 |
| スポーツ・レクリエーション | 28.0% | 9 位 |
| 都市型観光 | 16.9% | 18 位 |
| 行祭事・イベント | 12.7% | 16 位 |
| 歴史・文化 | 6.0% | 14 位 |
| その他 | 3.3% | 4 位 |
| 自然 | 0.7% | 21 位 |
温泉健康 32.4%(県内 1 位)を軸に、スポレク 28.0%・都市型 16.9%・行祭事 12.7% が続く構造で、1 分野への集中ではなく 3〜4 分野に集客が分散 した複合型として観察できます。
スポーツレク 28.0% の中身
スポーツレク 28.0% の中身は新発田市カルチャーセンター(19.0 万人)・五十公野公園(5.7 万人)・海水浴場 1 か所(3.3 万人)等が含まれます。スキー場も市内にあり(利用客 4.6 万人・県内 6 位)、スポレク比率の一部を構成しています。
温泉健康 + スポレク で 60.4%
温泉健康(32.4%)とスポレク(28.0%)を合わせると 60.4% で、市全体入込の過半を「温泉 + レジャー」で構成する滞在型観光構造として位置づけられます。
▼【グラフ:新発田市_分類別.png 新発田市の観光分類別内訳(2024 年)】

月別カレンダー:8 月ピーク + 11 月第 2 峰の 2 峰型
| 月 | 観光客数 | 年間シェア |
|---|---|---|
| 1 月 | 11.7 万人 | 6.1% |
| 2 月 | 10.8 万人 | 5.6% |
| 3 月 | 13.1 万人 | 6.8% |
| 4 月 | 17.3 万人 | 9.0% |
| 5 月 | 15.0 万人 | 7.8% |
| 6 月 | 15.0 万人 | 7.8% |
| 7 月 | 14.7 万人 | 7.7% |
| 8 月(ピーク) | 34.1 万人 | 17.7% |
| 9 月 | 16.1 万人 | 8.4% |
| 10 月 | 13.8 万人 | 7.2% |
| 11 月(第 2 峰) | 21.3 万人 | 11.1% |
| 12 月(最少) | 9.3 万人 | 4.8% |
季節集中度
| 季節 | 集中度 | 主な集客源 |
|---|---|---|
| 春(3〜5 月) | 23.6% | GW 温泉旅行(4 月 17.3 万人) |
| 夏(7〜8 月) | 25.4% | 城下町新発田まつり(8 月 34.1 万人) |
| 秋(9〜11 月) | 26.6% | 紅葉温泉(11 月 21.3 万人が中心) |
| 冬(12〜2 月) | 16.5% | 4 季節で最も低い |
振幅倍率:8 月 34.1 万人 ÷ 12 月 9.3 万人 = 3.7 倍
8 月 34.1 万人(ピーク・17.7%)
8 月ピーク 17.7% は新潟市(14.9%)・妙高市(14.4%)よりやや高く、長岡市(19.6%)に近い水準です。長岡市は花火大会依存型、新発田市は城下町新発田まつり + 温泉夏需要の組み合わせで、性格が異なります。
11 月 21.3 万人(第 2 峰・11.1%)
11 月は年間 2 位の集客月で、10 月(13.8 万人)や 9 月(16.1 万人)を大きく上回ります。紅葉シーズンの月岡温泉需要が中心とみられ、秋の温泉旅行が新発田市の集客カレンダーの重要な柱として位置づけられます。県内他自治体で 11 月ピーク型は弥彦村(弥彦もみじ谷 + 弥彦菊まつり)が該当し、新発田市は「8 月ピーク + 11 月第 2 峰」型として弥彦村とは異なる集客構造です。
12 月 9.3 万人(最少・4.8%)
12 月は年間最少で、冬集中度(12〜2 月)16.5% は 4 季節で最も低い値です。12 月 9.3 万・1 月 11.7 万・2 月 10.8 万と、冬の 3 か月はいずれも月間 9〜12 万人台で推移します。温泉比率が県内 1 位でありながら、冬が最も少ない季節という配置です(湯沢町は冬集中 48.3% で最も多い季節)。
▼【グラフ:新発田市_月別推移.png 新発田市の月別観光客数(2024 年・R4〜R6 の 3 年比較)】

主要観光施設:9 施設・上位 3 施設で 39.9%
新発田市で主要観光地点として計上されている施設は 9 か所です(2024 年)。施設入込数合計は 127.1 万人で、市全体入込 192.0 万人の 66.2% を把握しています。
| 施設名 | 分類 | 2024 年入込数 | 2023 年入込数 | 前年比 | 市全体シェア |
|---|---|---|---|---|---|
| 月岡温泉 | 温泉健康 | 38.6 万人 | 36.0 万人 | +7.5% | 20.1% |
| 道の駅加治川 | 都市型 | 19.1 万人 | 22.3 万人 | −14.7% | 9.9% |
| 新発田市カルチャーセンター | スポーツレク | 19.0 万人 | 16.1 万人 | +17.7% | 9.9% |
| 城下町新発田まつり | 行祭事 | 13.2 万人 | 12.3 万人 | +7.5% | 6.9% |
| 市島酒造(酒蔵見学) | 都市型 | 10.7 万人 | 9.4 万人 | +14.3% | 5.6% |
| 紫雲の郷 | 温泉健康 | 9.2 万人 | 12.4 万人 | −25.7% | 4.8% |
| 新発田城 | 歴史文化 | 5.8 万人 | 5.3 万人 | +11.2% | 3.0% |
| 新発田あやめの湯 | 温泉健康 | 5.7 万人 | 4.8 万人 | +20.7% | 3.0% |
| 五十公野公園 | スポーツレク | 5.7 万人 | 5.8 万人 | −2.1% | 3.0% |
集中度の県内順位
- 最大施設集中度(月岡温泉 20.1%):県内 19 位/30 市町村中
- 上位 3 施設集中度(39.9%):県内 19 位/30 市町村中
県内の集中度上位(弥彦村:彌彦神社 45.6%・妙高市:道の駅あらい 55.1%・十日町市:大地の芸術祭 25.6%)と比べると、新発田市の集中度 20.1% は「1 施設集中型ではなく分散型」に近い位置です。市全体入込の 79.9% は月岡温泉以外の 8 施設と、その他(宿泊・小規模施設・イベント)で構成されています。
前年比大変動施設
- 大きく増加:新発田あやめの湯(前年比 +20.7%・5.7 万人)
- 大きく増加:新発田市カルチャーセンター(+17.7%)・市島酒造(+14.3%)・新発田城(+11.2%)
- 大きく減少:紫雲の郷(前年比 −25.7%・9.2 万人)
- 中程度減少:道の駅加治川(−14.7%)
紫雲の郷 −25.7%(2023 年 12.4 万 → 2024 年 9.2 万)は温泉施設の減少です。単年の値のため、次回(R7)調査で継続性を確認する必要があります。
補助データ:温泉 1 位(分類)・海水浴 6 位・スキー 6 位
新発田市の観光を性格づける補助的なデータを整理します。
| データ種別 | 2024 年実績 | 県内順位 |
|---|---|---|
| 温泉健康比率(分類別) | 32.4% | 1 位/30 市町村中 |
| スキー場利用客数(R5-6 シーズン) | 4.6 万人 | 6 位/16 市町村中 |
| 海水浴客数(1 か所) | 3.3 万人 | 6 位/12 市町村中 |
| 道の駅利用者数(1 施設) | 19.1 万人 | 10 位/15 市町村中 |
温泉主導型に加え、スキー・海水浴・道の駅も中位水準で保有する複合型構造です。海に面した部分(新潟東港 – 藤塚浜海水浴場)・山側部分(二王子岳周辺の登山・スキー)・平野部(月岡温泉・城下町中心部)と、地形の多様性が観光資源の分散を生んでいるとみられます。
新発田市の観光を選ぶときの判断材料
8 月と 11 月に山が 2 つあり、温泉の比率は県内 1 位です。需要が市内で分かれている形を数値で示します。
8 月と 11 月に 2 つの山がある
新発田市の月別入込は 8 月(34.1 万人)が最多で、11 月(21.3 万人)が 2 番目です。この 2 か月のあいだにある 9 月・10 月は 13.8〜16.1 万人で、いったん落ちてから再び上がる形になっています。
| 時期 | 月別入込 | 性格 |
|---|---|---|
| 8 月 | 34.1 万人(17.7%) | 年間最多。城下町新発田まつり(13.2 万人)を含む月 |
| 11 月 | 21.3 万人(11.1%) | 第 2 の山。8 月の 62% の水準 |
| 4 月・9 月 | 16.1〜17.3 万人(8.4〜9.0%) | 中間層の上 |
| 5 月・6 月・7 月・10 月 | 13.8〜15.0 万人(7.2〜7.8%) | 中間層。4 か月が横並び |
| 1 月・2 月・3 月・12 月 | 9.3〜13.1 万人(4.8〜6.8%) | 冬の 4 か月が年間で最も少ない |
最多の 8 月と最少の 12 月で 3.7 倍の開きがあります。8 月と 11 月を外した 10 か月はいずれも月 9〜17 万人台で、時期による混雑差はこの 2 か月に集中しています。
温泉の比率は県内 1 位、1 施設への集中は県内 19 位
観光分類「温泉・健康」の 32.4% は県内 1 位です。一方で最大施設である月岡温泉(38.6 万人)が市全体に占める比率は 20.1%(県内 19 位)、上位 3 施設を合わせても 39.9%(県内 19 位)にとどまります。
温泉健康 32.4% の中身は月岡温泉(38.6 万人)・紫雲の郷(9.2 万人)・新発田あやめの湯(5.7 万人)の 3 施設で、3 施設を合わせても市全体の 27.9% です。「温泉の街」という比率上の性格と、「1 か所に人が集まる街」ではないという集中度上の性格が同居しています。
月岡温泉は JR 白新線の豊栄駅、磐越自動車道の豊栄新潟東港 IC・日本海東北自動車道の聖籠新発田 IC からアクセスできる立地にあります。主要観光地点 9 か所は、海側(藤塚浜海水浴場)・山側(二王子岳周辺の登山・スキー)・平野部(月岡温泉・城下町中心部)に分かれており、市内での移動を前提に考える必要があります。
移住検討者向け:観光客/人口比 20.95 倍は県内 22 位
人口 91,677 人に対して年間 192.0 万人が訪れ、観光客/人口比は 20.95 倍(県内 22 位) です。湯沢町(377.83 倍)・弥彦村(312.16 倍)・妙高市(175.48 倍)のような観光特化型とは水準が異なり、県内では下位グループにあたります。人口 9 万人台の市として、住民生活に対する観光の比重は小さい部類です。
月単位で人口と比べると次の水準です。
| 月 | 入込 | 住民 1 人あたり |
|---|---|---|
| 8 月(最多) | 34.1 万人 | 3.72 人(県内 25 位) |
| 11 月(第 2 の山) | 21.3 万人 | 2.32 人 |
| 12 月(最少) | 9.3 万人 | 1.01 人 |
最も混む 8 月でも住民 1 人あたり 3.72 人で県内 25 位、最少の 12 月は住民とほぼ同数(1.01 倍)です。観光客の人出が住民生活を左右する水準ではなく、県内では下位グループにあたります。
人出が増えるのは 8 月(城下町新発田まつり 13.2 万人を含む)と 11 月の 2 時期で、いずれもイベントと紅葉期にあたります。それ以外の 10 か月は月 9.3〜17.3 万人で推移します。また観光地が市内の 1 か所に集まっておらず、海側(藤塚浜)・山側(二王子岳周辺)・平野部(月岡温泉・城下町)に分かれるため、混雑もエリアごとに分かれます。
8 月のまつり期と 11 月の紅葉期は、温泉・飲食・イベントが最も動く時期にあたります。
事業出店検討者向け:需要が市内で分かれている
月別需要は 9.3〜34.1 万人の幅です。市全体の入込は県内 10 位ですが、1 施設あたりに割り戻すと集中度は県内 19 位で、需要が 1 か所にまとまっていません。
補助データでもスキー 6 位(4.6 万人)・海水浴 6 位(3.3 万人・1 か所)・道の駅 10 位(19.1 万人)と、いずれも県内中位です。1 つの大型施設の集客に乗る形ではなく、どのエリアのどの需要を取るかを決める必要がある構成です。
新発田市のデータを見るときの注意点
新発田市の観光構造を他自治体と比較する際、以下 4 点に留意が必要です。
1. 温泉健康 32.4% は「県内 1 位」だが集客規模は湯沢町の 61%
温泉健康比率は県内 1 位(32.4%)ですが、観光客総数(192.0 万人)は湯沢町(312.4 万人)の 61% の規模です。分類別比率の高さは「観光資源の性格が温泉に集中している」ことを示しますが、「絶対規模で県内 1 位の温泉集客」を意味するわけではありません。宿泊者数・温泉利用者数の絶対比較は公表データでは困難です。
2. コロナ前比 77.8% の背景
コロナ前比 77.8% は県内 21 位で、県内で回復が遅い部類です。温泉主導型市町村の中では:
| 市町村 | コロナ前比 | 順位 |
|---|---|---|
| 阿賀野市(五頭温泉郷) | 150.9% | 3 位 |
| 妙高市(妙高高原温泉郷) | 92.8% | 11 位 |
| 村上市(瀬波温泉) | 80.6% | 17 位 |
| 新発田市(月岡温泉) | 77.8% | 21 位 |
| 湯沢町(越後湯沢温泉) | 74.6% | 23 位 |
温泉主導型自治体の中では、阿賀野市(150.9%・県内 3 位)がコロナ前を大きく上回って回復している一方、新発田市(21 位)と湯沢町(23 位)は下位に位置しています。月岡温泉の宿泊需要変動が回復進捗に影響しているとみられます。
3. 月岡温泉 20.1% の集中度は県内 19 位
月岡温泉の集中度 20.1% は県内 19 位で、1 施設集中度としては中位水準です。妙高市(道の駅あらい 55.1%)や弥彦村(彌彦神社 45.6%)のような 1 施設集中型ではなく、新発田市は「月岡温泉 + 複数施設」の分散型として位置づけられます。
4. スキー場・海水浴場は別集計
スキー場利用客数(4.6 万人)・海水浴客数(3.3 万人)はそれぞれ別集計されており、主要観光地点の入込数(127.1 万人)とは計上方法が異なります。市全体観光客数 192.0 万人と単純合算することは適切ではありません。観光客数は各施設利用者数を市町村が集計・推計した値で、実測値ではないため、市町村間の比較は「概ねの規模感」として扱う必要があります。宿泊者数・日帰り客数の内訳、消費額の市区町村別データは新潟県の調査で非公表です。
まとめ
2024 年の新発田市(数値一覧)
| 項目 | 2024 年 | 県内順位 |
|---|---|---|
| 観光客入込数 | 192.0 万人(県全体の 3.03%) | 10 位 |
| 前年比 | −1.1% | 20 位 |
| コロナ前(2019 年)比 | 77.8% | 21 位 |
| 長期変化(2013 年→2024 年) | −23.6% | 18 位 |
| 最多月 | 8 月 34.1 万人(17.7%) | ─ |
| 第 2 の山 | 11 月 21.3 万人(11.1%) | ─ |
| 最少月 | 12 月 9.3 万人(4.8%)・振幅 3.7 倍 | ─ |
| 最大の観光分類 | 温泉・健康 32.4% | 1 位 |
| 最大施設 | 月岡温泉 38.6 万人(20.1%) | 施設集中度 19 位 |
| 上位 3 施設集中度 | 39.9% | 19 位 |
| 観光客/人口比 | 20.95 倍 | 22 位 |
この数値が示していること
新発田市で県内 1 位なのは観光分類「温泉・健康」の比率(32.4%)だけで、入込数は 10 位、施設集中度は 19 位、観光客/人口比は 22 位と、それ以外の指標は中位から下位に並びます。「温泉の比率が県内で最も高い市」であることと、「温泉に人が集中している市」であることは別で、月岡温泉を含む温泉 3 施設の合計でも市全体の 27.9% です。残る 7 割強は温泉以外の集客が担っています。
2024 年は回復が止まった年にあたります。前年比は +44.8%(2022 年)→ +11.0%(2023 年)と伸びたあと、2024 年は −1.1% と減少に転じました。コロナ禍前の 2012〜2019 年は 246.9〜274.5 万人の幅で推移しており、2024 年の 192.0 万人はこの下限をなお 55 万人下回っています。コロナ前比 77.8%(県内 21 位)はこの差を指しています。
長期で見ると、13 年間のピークは 2016 年の 274.5 万人で、2013 年(251.2 万人)との比較では −23.6% です。2024 年に減った施設は紫雲の郷(−25.7%)・道の駅加治川(−14.7%)で、いずれも温泉・都市型の通年施設にあたります。一方で新発田あやめの湯(+20.7%)・新発田市カルチャーセンター(+17.7%)は増えており、市全体の −1.1% は温泉分野の内部で増減が分かれた結果として表れています。
出典
- 観光客入込数:新潟県観光政策課(令和 6 年観光客入込数・消費額調査)
- 主要観光地点入込数:新潟県観光政策課(同調査 表 7)
- スキー場利用客数:新潟県観光政策課(令和 5-6 シーズン スキー場利用客数)
- 海水浴場入込客数:新潟県観光政策課(令和 6 年海水浴客入込状況)
- 道の駅利用者数:新潟県観光政策課(令和 6 年観光客入込数・消費額調査)
- 人口:総務省(住民基本台帳 R7 年 1 月 1 日)
- アクセス情報:JR 東日本公表値・NEXCO 東日本公表値
データ基準日:2024 年(令和 6 年)
次回更新推奨:2025 年(令和 7 年)観光客入込数調査公表後

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