糸魚川市の気温・降水量データ完全版|気温1位・熱帯夜2位のフェーン地帯で2023年8月39.3℃を記録

データ

この記事でわかること:

  • 糸魚川市の年間平均気温15.0℃・県内30市町村中で気温高い順1位という位置
  • 熱帯夜16.5日・県内2位/冬日21.1日・県内で最も少ないという4指標同時の温暖化
  • 2023年8月に月最高39.3℃・月降水量3.5mmを記録したフェーン日の実データ
  • 30年前と比べた気温・降水量・熱帯夜・猛暑日の変化幅
  • 上越・柏崎・新潟・佐渡と並べたときの糸魚川の県内位置

① 糸魚川市の気候データ一覧(10年平均の要点)

糸魚川市は年間平均気温15.0℃・熱帯夜16.5日・冬日21.1日・年間降水量2,659.2mm・土砂災害合計1,890区域という10年平均値を持つ市町村です。県内30市町村の中で気温高い順1位(熱帯夜2位)、冬日30位(最少)という上位・下位のポジションを同時に占める沿岸の海岸都市に位置しています。まず10年平均値を1枚の表で要約します。

項目数値県内順位
年間平均気温15.0℃1位(気温高い順)
猛暑日数2.7日26位
熱帯夜日数16.5日2位
冬日日数21.1日30位(最少)
真冬日日数0.4日29位(最少級)
年間降水量2,659.2mm4位
日100mm超日数0.5日8位
土砂災害警戒区域数1,090箇所—
土砂災害特別警戒区域数800箇所—
土砂災害合計区域数1,890箇所6位

上表は気温・降水量・災害区域数を横断的に集約したもので、糸魚川市の気候の骨格を1枚で読み取れる要約となります。


② フェーン現象で観測された記録的な高温(2023年8月39.3℃・月降水量たった3.5mm)

糸魚川市の気候を語るうえで欠かせないのが、南寄りの風が飛騨山地を越えて乾燥高温化して降りるフェーン現象の発生時に記録される極端値です。2023年8月には月最高気温39.3℃・月平均気温30.5℃・月平均最高気温34.1℃、しかも月降水量はわずか3.5mm。1か月間ほぼ雨が降らず、乾燥した高温だけが持続する状況が観測されました。

同じような季節外れの高温は2023年8月に限らず、直近5年間の6〜9月に複数回顔を出しています。以下は糸魚川観測所の直近5年の主な高温事例です。

発生時期月最高気温月降水量
2020年9月37.6℃—
2022年6月36.8℃—
2022年9月37.0℃—
2023年8月39.3℃3.5mm

年間の猛暑日数10年平均は2.7日で県内26位と少なめですが、通常時に海風が高温を和らげている一方、フェーン発生時には別の顔を見せます。2023年8月39.3℃と月降水量3.5mmという高温少雨の組み合わせは、フェーン地帯としての糸魚川固有の気候の一面を示す事例となります。


③ 年間平均気温15.0℃・県内で最も暖かい海岸都市(冬日21.1日は県内最少)

糸魚川市の年間平均気温は10年平均で15.0℃、県内30市町村の中で最も高い1位です。県内2位の新潟市(14.4℃)よりも0.6℃、豪雪山間の湯沢町・津南町よりは2℃前後暖かい沿岸海岸線上の市町村となります。

温暖ポジションは年間平均気温だけではなく、4つの指標が同時に上位(あるいは下位)に並びます。

指標糸魚川10年平均県内順位
年間平均気温15.0℃1位(気温高い順)
熱帯夜日数16.5日2位
冬日日数21.1日30位(最少)
真冬日日数0.4日29位(最少級)

▼【グラフ:itoigawa_avg_temp_30y.png|糸魚川観測所の年間平均気温30年推移(1994-2024年)】

海岸線に接する市街地標高7mという平坦沿岸立地が骨格にあり、暖かい季節の熱帯夜も寒い季節の冬日・真冬日も、糸魚川は県内30市町村の上位・下位に同時に顔を出す気候構成となっています。県内で最も暖かい海岸都市という位置に、この4指標が対応しています。


④ 熱帯夜16.5日・県内2位 — 直近5年で23.8日へと加速中

糸魚川市の熱帯夜(夜間最低気温25℃以上の日)は10年平均で16.5日・県内2位です。県内1位は聖籠町の17.1日で、糸魚川はその次に位置します。ここまでは10年間の平均値ですが、直近5年間の平均を取ると数値がさらに動きます。

10年平均16.5日に対し、直近5年平均は23.8日。差は+7.3日、変化率にすると+44.24%の増加です。同じ計算を猛暑日で行うと、10年平均2.7日から直近5年平均3.8日へと+40.74%の増加が見られます。

指標10年平均直近5年平均5年vs10年変化率
熱帯夜日数16.5日23.8日+44.24%
猛暑日日数2.7日3.8日+40.74%

▼【グラフ:itoigawa_heat_days_30y.png|糸魚川観測所の猛暑日・熱帯夜 30年推移】

30年前と比べても熱帯夜は+1.5日・猛暑日は+1.5日の増加幅で、県内の平均的な増え方が続いています。海洋性の温暖な気候の上に温暖化が積み重なっているのが糸魚川固有の気候変化の輪郭となります。


⑤ 過去30年で見る気温上昇(+0.64℃・猛暑日+1.5日の非対称)

糸魚川観測所の30年前(1994〜2003年10年平均)と最近(2014〜2023年10年平均)を比較すると、年間平均気温は+0.64℃上昇しています。全指標を見渡すと、変化幅は指標ごとに大きく異なります。

指標30年前比の変化
年間平均気温+0.64℃
猛暑日日数+1.5日
熱帯夜日数+1.5日
冬日日数−3.2日
年間降水量−272.6mm

根拠となる数値を並べると、暖かい季節を示す猛暑日・熱帯夜がプラス方向に、寒い季節を示す冬日がマイナス方向に、それぞれ非対称に動いていることが見えてきます。県内の沿岸都市では30年前比気温差が+0.36〜+0.48℃程度に留まる例が多く、糸魚川の+0.64℃はそれよりやや大きい変化幅にあたります。

▼【グラフ:itoigawa_monthly_temp_5y.png|糸魚川観測所の月別平均気温 5年平均(2020-2024年)】

上のグラフは直近5年の月別平均気温を示すもので、夏季(7〜9月)に高温期が集中する糸魚川観測所の月別分布が読み取れます。海と山に挟まれた沿岸フェーン地帯という気温構造の上で、暖季側と寒季側が非対称に動く変化が続いています。


⑥ 年間降水量2,659mm(県内4位)と30年前より200mm減少した降水パターン

糸魚川市の年間降水量は10年平均で2,659.2mm、県内30市町村の中で4位に位置します。県内1位の妙高市(2,922.5mm)や2位の上越市(同2,922.5mm・両市とも高田観測所を共有)に続く沿岸山間の多雨市町村です。

30年前(1994〜2003年)と比較すると年間降水量は−272.6mmの減少、直近5年平均は2,613.5mm・5年vs10年変化率は−1.72%と、減少方向で推移しています。

指標数値30年前比
年間降水量10年平均2,659.2mm−272.6mm
年間降水量5年平均2,613.5mm変化率 −1.72%
日100mm超日数10年平均0.5日−0.3日

▼【グラフ:itoigawa_precip_30y.png|糸魚川観測所の年間降水量 30年推移(1994-2024年)】

一方で、単年で見ると2011年の3,510.5mm(10年平均を800mm以上上回る多雨年)、2015年の2,046.5mm(10年平均を600mm下回る少雨年)といった年による幅も残っています。総量が減少方向にあると同時に極端年も混じるパターンで、山地からの吹きおろしと海側からの湿潤空気が複合する降水構造の一端が読み取れます。


⑦ 土砂災害警戒区域1,890箇所(県内6位)— フォッサマグナ西端・姫川と早川の急峻地形

糸魚川市の土砂災害警戒区域数は1,090箇所、特別警戒区域は800箇所、合計1,890箇所で県内6位に位置します。この規模の背景を地形の側から見ていくと、糸魚川固有の地質構造が浮かび上がります。

糸魚川市はフォッサマグナ西端に接する市町村で、姫川と早川という2本の急峻な河川が海に向かって流れる地形を持ちます。海岸線からわずかな距離で山地が立ち上がる「山が海に迫る」急傾斜の地形が、市域の広い範囲を占めています。

項目数値県内順位
土砂災害警戒区域数1,090箇所—
土砂災害特別警戒区域数800箇所—
土砂災害合計区域数1,890箇所6位

沿岸都市でありながら山地との距離が非常に近く、フォッサマグナ西端の急峻地形が土砂災害警戒・特別警戒区域の分布の構造背景となっています。


⑧ 近隣沿岸市町村との比較・糸魚川の県内最温暖位置(上越・柏崎・新潟・佐渡)

糸魚川の気候ポジションを近隣の沿岸市町村と並べて確認します。ここでは日本海側の海岸都市である上越市・柏崎市・新潟市・佐渡市の4市町村と、糸魚川市の5市町村比較を取り上げます。

項目糸魚川上越柏崎新潟佐渡
年間平均気温15.0℃(1位)14.3℃(4位)13.9℃(19位)14.4℃(2位)14.3℃(5位)
熱帯夜日数16.5日(2位)8.5日(15位)2.5日(23位)15.8日(3位)14.5日(4位)
猛暑日日数2.7日(26位)8.5日(15位)3.1日(23位)4.8日(20位)2.2日(27位)
年間降水量2,659.2mm(4位)2,922.5mm(2位)2,446.3mm(8位)1,803.2mm(27位)1,694.6mm(28位)
土砂災害合計区域数1,890箇所(6位)4,049箇所(2位)2,068箇所(5位)602箇所(16位)3,299箇所(3位)
30年前比 平均気温差+0.64℃+0.48℃+0.40℃+0.36℃+0.73℃

▼【グラフ:itoigawa_nearby_climate.png|近隣沿岸5市町村(糸魚川・上越・柏崎・新潟・佐渡)の気候比較】

5市町村を並べたときの糸魚川の位置を4点にまとめると、次のようになります。

  • 年間平均気温:糸魚川15.0℃で5市町村中最温暖。新潟14.4℃より+0.6℃、柏崎13.9℃より+1.1℃暖かい
  • 熱帯夜:糸魚川16.5日で5市町村中最多。柏崎2.5日の約6.6倍の日数
  • 猛暑日:上越8.5日・新潟4.8日・柏崎3.1日・糸魚川2.7日・佐渡2.2日で糸魚川は4番手。海風で通常時の日中気温上昇が和らぐことが数値の少なさに対応(一方でフェーン日は章②の極端値)
  • 年間降水量:上越2,923mm・糸魚川2,659mm・柏崎2,446mm・新潟1,803mm・佐渡1,695mmで糸魚川は2番目に多い

沿岸4市町村と並べても、糸魚川は最温暖・熱帯夜2位・降水量4位という県内位置に収まる海岸都市となります。


⑨ 移住・住宅選択への示唆(夏の暮らし・フェーン日の対策・急傾斜地の確認)

糸魚川市への移住や住宅選択を検討する読者に向けて、ここまでのデータから見ておきたい視点を3点にまとめます。フェーン日の対策と急傾斜地の確認の2つが、他タイプの市町村と異なる糸魚川固有の要点となります。

視点1:夏の暮らしは「通常の海風」と「フェーン日の極端値」の二段構え
年間の猛暑日10年平均は2.7日と多くありませんが、2023年8月39.3℃・月降水量3.5mmのような月が数年に一度発生します。冷房設備の能力・断熱・遮光対策は「通常年ではなく極端年」を基準に検討する材料になります。

視点2:熱帯夜は直近5年で23.8日まで加速
10年平均16.5日から直近5年23.8日への加速(+44.24%)は住宅の睡眠環境設計に影響する変化幅と重なります。夜間の窓開けで凌ぐ想定は、5年前と現在とでは前提が異なってきていることが読み取れます。

視点3:土砂災害警戒区域1,890箇所(県内6位)と急傾斜地
姫川・早川流域とフォッサマグナ西端の急峻地形の分布が土砂災害警戒・特別警戒区域と対応しています。物件情報を見る際は、対象地が警戒区域・特別警戒区域に該当するかを新潟県「土砂災害警戒区域等マップ」で確認する作業が、糸魚川では他の平野系市町村より重みを持ちます。

豪雪山間市町村(湯沢・津南等)で優先される克雪・除雪の視点や、平野部(燕・三条等)で優先される猛暑日への対策とは、糸魚川では優先順位が異なります。フェーン日と急傾斜地の確認は、糸魚川で住まいを考える際に見ておきたい視点として位置づけられます。


まとめ

  • 糸魚川市は年間平均気温15.0℃で県内30市町村中で気温高い順1位、熱帯夜16.5日で県内2位、冬日21.1日で県内最少という4指標同時の温暖化ポジションを持つ沿岸のフェーン地帯です
  • 2023年8月の月最高39.3℃・月降水量3.5mmはフェーン発生時の高温少雨の典型例で、通常年は海風で猛暑日が抑えられる一方、極端年に大きな値を示します
  • 30年前と比較すると年間平均気温+0.64℃・熱帯夜+1.5日・猛暑日+1.5日・冬日−3.2日・年間降水量−272.6mmの変化が並び、暖かい季節と寒い季節の非対称な動きが続いています
  • 上越・柏崎・新潟・佐渡と並べたときの糸魚川は、気温15.0℃で最温暖・熱帯夜16.5日で最多・年間降水量2,659mmで2番目に多い位置に収まります
  • 土砂災害合計区域数は1,890箇所(県内6位)で、フォッサマグナ西端・姫川と早川の急峻地形の分布と対応しています

観測所についての注記

参照観測所について: 糸魚川市にはAMeDAS観測所がないため、糸魚川観測所(1.2km E)の観測値を使用しています。当観測所は糸魚川市のみで参照しているため、他市町村との数値重複は発生しません。


データ・情報基準日

項目内容
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土砂災害警戒区域数・特別警戒区域数新潟県「土砂災害警戒区域等マップ」
フォッサマグナ西端・姫川・早川の地形記述各市町村公式サイト
情報基準日気象庁AMeDAS 2024年末(10年平均は2014〜2023年、5年平均は2019〜2023年、30年前比は1994〜2003年vs2014〜2023年)

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