佐渡市の1人当たり所得は県内28位(257.9万円)|佐渡島単独圏・農業型4市町村中で圧倒的最大規模・給与所得者比率76.6%は県内唯一の80%未満・手取り転換率60.4%県内2位で低い(R5年度)

市町村

佐渡市(新潟県佐渡島全島を単独で構成する市・所得割納税義務者20,508人)の1人当たり課税対象所得(R5年度)は 257.9万円 で、新潟県30市町村中 28位 です。県平均を -19.2万円 下回り、県内30位・津南町(256.7万円)との差はわずか +1.2万円 で、県内下位帯に位置します。佐渡島単独圏(新潟県で粟島浦村と並ぶ2つの離島単独圏の一つ)で、農業型4市町村(関川村・粟島浦村・佐渡市・津南町)中では 3位 の水準ですが、規模指標では 農業型総額の約77.7%を単独で占める圧倒的最大規模 を保有します。
産業タイプは 農業型 に分類されていますが、主要業種1位は 医療・福祉16.2%(4,207人)、2位が 農業・林業16.1%(4,189人)18人差の近接同率 という並立構造を持ちます。所得種類別では、給与所得者比率76.6% は県内 30位(最下位・単独)県内で唯一の80%未満農業所得者比率1.6% は県内 2位(同率関川村)営業等所得者比率3.9% も県内 2位 の「分散型所得構成」を保有します。
一方、手取り転換率60.4% は県内で新潟市(59.9%)に次ぐ 低い方から2位 で、推計手取り変化率+2.0% は県内 29位(下から2番目) の停滞水準です。1人当たり所得は10年で +7.5%(+18.1万円) 増加しましたが、課税対象所得総額-1.6%(-8.7億円) は県内28位で、県内でマイナスは加茂・関川・佐渡の3市町村のみ という縮小基調も併せて観察できます。

この記事は、総務省「市町村税課税状況等の調べ」ほかの公的統計をもとに、佐渡市の所得水準・10年変化・佐渡島単独圏の位置づけ・分散型所得構成の実態・農業型4市町村比較・移住検討者/佐渡島外読者/地域理解志向の読者への読み方までを、記事単体で判断材料が読み取れる構造で整理したものです。


この記事でわかること

  • R5年度の1人当たり課税対象所得は 257.9万円(県内 28位/30市町村中)・県平均差 -19.2万円・県中央値差 -15.4万円・県30位津南町との差 +1.2万円
  • 佐渡島単独圏(母集団1・比較対象なし)・新潟県で 粟島浦村と並ぶ2つの離島単独圏 の一つ・県内28位が唯一の順位
  • 所得割納税義務者 20,508人(県内 12位・シェア 2.0%)・課税対象所得総額 約528.9億円(県内 13位・シェア 1.73%)で 農業型4市町村総額の約77.7%を単独で占有
  • 産業タイプは 農業型 で、主要業種1位 医療・福祉16.2%(4,207人)・2位 農業・林業16.1%(4,189人)18人差の近接同率・3位卸売業・小売業13.6%(3,543人)
  • 給与所得者比率 76.6% は県内 30位(最下位・単独)県内で唯一の80%未満・農業所得者比率 1.6% は県内 2位(同率関川村)・営業等所得者比率 3.9% も県内 2位 の分散型所得構成
  • 実効税率 3.1% は県内 15位(同率11市町村)・1人当たり住民税約 8.1万円 は県内 22位
  • 1人当たり所得10年変化 +7.5%(+18.1万円) は県内 28位(単独)・前半5年 +2.29% から後半5年 +5.14%後半増加型
  • 課税対象所得総額10年変化 -1.6%(-8.7億円) は県内 28位・県内でマイナスは加茂・関川・佐渡の 3市町村のみ
  • 納税義務者数10年変化 -8.52%(-1,910人) は農業型4市町村中2位の減少率・総就業者数10年 -18.0% は県内でも最大級の減少幅
  • 推計手取りは 309.6万円(県内 28位)・10年 +6.1万円(+2.0%) 増加は県内 29位(下から2番目)・手取り転換率 60.4% は県内で新潟市に次ぐ 低い方から2位
  • 第1次産業比率 17.9%・第3次産業比率 66.2% は県内 3位・農業産出額 93.1億円 は県内 7位 で農業型4市町村中1位

① 佐渡市の1人当たり所得(R5年度サマリー)

【結論】 佐渡市の1人当たり所得は 257.9万円 で県内 28位・佐渡島単独圏(納税義務者 20,508人)に位置し、農業型4市町村中では 3位 の水準ですが、規模指標では 課税対象所得総額528.9億円が農業型4市町村総額の約77.7%を単独で占める圧倒的最大規模 を保有し、規模順位(12〜13位)と1人当たり順位(28位)で 15〜16ランクの乖離 が観察できます。

【根拠】:以下の表で確認できます。

この表で分かること:佐渡市の1人当たり所得・規模指標・県内順位・シェアを1枚で把握できます。

指標数値県内順位(30市町村中)
1人当たり課税対象所得257.9万円28位
所得割納税義務者数20,508人12位(シェア2.0%)
課税対象所得(総額)約528.9億円13位(シェア1.73%)

※出典:総務省(市町村税課税状況等の調べ 令和5年)

257.9万円(県内28位・佐渡島単独圏) で県平均を -19.2万円 下回り、県30位津南町との差はわずか +1.2万円 ですが、規模指標では 納税義務者数12位・課税対象所得総額13位 の中位帯に位置し、1人当たり順位(28位)と 15〜16ランクの乖離 を保有します。

【比較・解釈】

佐渡市の1人当たり所得257.9万円は、県平均277.1万円を -19.2万円 下回り、県中央値273.3万円を -15.4万円 下回ります。県内1位の新潟市(319.5万円)とは -61.6万円 の差、県内30位の津南町(256.7万円)とは +1.2万円 の差で、県内30市町村の下位帯に位置します。

県内下位帯4市町(27〜30位)は27加茂市(260.8万円)→28佐渡市(257.9万円)→29阿賀町(257.3万円)→30津南町(256.7万円)で、256.7〜260.8万円の4.1万円圏内に密集 します。佐渡市はこの下位帯の中で下から3番目、直下の阿賀町(29位)とは わずか0.6万円 の差、直上の加茂市(27位)とは 2.9万円 の差で、極めて拮抗した位置関係です。

一方、規模指標では 所得割納税義務者数20,508人(県内12位・シェア2.0%)課税対象所得総額約528.9億円(県内13位・シェア1.73%) で県内中位帯の上側に位置します。1人当たり所得順位(28位)と規模順位(12〜13位)の間には 15〜16ランクの乖離 が観察でき、「規模は県内中位×1人当たりは県内下位帯」の構造を示します。

【読者にとっての意味】

規模順位12〜13位と1人当たり順位28位の15〜16ランク乖離は「県内中位の規模を持ちながら1人当たりでは下位帯」という佐渡市の構造を示す観察です。佐渡島単独圏の位置(島全体を1市が占める)と、農業型4市町村(関川村・粟島浦村・佐渡市・津南町)の中で 課税対象所得528.9億円は農業型4市町村総額の約77.7%を単独で占める圧倒的最大規模 という別側面もあります。詳細は章⑦・章⑧で扱います。

数値の意味(データから読み取れる範囲):

佐渡市の1人当たり所得257.9万円は県内28位で、下位帯4市町(27〜30位・4.1万円圏内に密集)の中で下から3番目に位置します。県内で農業型に分類される4市町村の1人当たり所得は関川21位・粟島浦22位・佐渡28位・津南30位で、佐渡市は農業型4市町村中で3位 の水準です。県内下位帯の中で「佐渡島全島を1市が占める単独圏 × 農業型4市町村中で規模最大(総額の77.7%を単独占有) × 1人当たり所得は農業型内3位 × 給与所得者比率76.6%県内唯一の80%未満」の組合せは県内で佐渡市のみに観察される固有構造です。


▼【グラフ:sado_県内ランキング.png 新潟県30市町村 1人当たり課税対象所得ランキング(R5年度・佐渡市を強調)】


② 県内順位と佐渡島単独圏の位置づけ(県内28位・単独圏で比較対象なし・農業型4市町村中3位)

R5年度の1人当たり課税対象所得の県内上位10市町村を確認します。

この表で分かること:R5年度の県内上位10位と佐渡市(28位)の位置関係が確認できます。

順位市町村1人当たり所得10年変化率変化率順位地域
1位新潟市319.5万円+11.3%20位下越
2位上越市305.4万円+11.5%17位(同率)上越
3位長岡市302.5万円+11.5%17位(同率)中越
4位燕市300.8万円+15.6%4位下越
5位三条市297.9万円+13.9%9位中越
6位柏崎市292.8万円+8.8%26位中越
7位刈羽村292.5万円+7.2%29位中越
8位糸魚川市286.6万円+15.0%6位(同率)上越
9位妙高市284.3万円+11.7%15位(同率)上越
10位新発田市283.9万円+11.7%15位(同率)下越
  • 県平均:277.1万円(佐渡市 -19.2万円
  • 県中央値:273.3万円(佐渡市 -15.4万円
  • 佐渡市(28位):257.9万円・変化率 +7.5%・変化率順位 28位(単独)
  • 県30位・津南町:256.7万円(佐渡市との差 +1.2万円

→ 佐渡市は上位10位圏外の県内下位帯4市町(27〜30位・256.7〜260.8万円の4.1万円圏内)の中で下から3番目に位置し、農業型4市町村(関川21・粟島浦22・佐渡28・津南30)中では 3位 の水準です。

佐渡島単独圏の位置づけ

佐渡市は地域分類上「佐渡」圏に属し、圏内の総市町村数は 1(佐渡市単独)です。地域内の他市町村リストは で、比較対象となる他市町村は圏内には存在しません。地域内の県内順位範囲も 県内28位のみ(佐渡市1市町村のみ)で、他の地域圏(下越圏:県内1〜29位・中越圏:県内3〜30位・上越圏:県内2〜9位・岩船離島圏:県内22位のみ・佐渡圏:県内28位のみ)と比べると、単独圏として比較の余地がない構造となっています。

  • 佐渡圏内1位:佐渡市(257.9万円・県内28位)
  • 佐渡圏内他市町村:該当なし(単独圏・母集団1)

新潟県2つの離島単独圏の位置関係

新潟県には地域分類上、単独圏を構成する自治体が2つ存在します。1つが 佐渡市(佐渡圏・県内28位・257.9万円・納税義務者20,508人)、もう1つが 粟島浦村(岩船離島圏・県内22位・265.8万円・納税義務者125人)です。両者は「新潟県で単独圏を構成する2つの離島自治体」という共通点を持ちますが、規模には大きな差が観察できます:

離島単独圏1人当たり所得県内順位納税義務者数課税対象所得総額地域圏
佐渡市257.9万円28位20,508人約528.9億円佐渡
粟島浦村265.8万円22位125人約3.323億円岩船離島

佐渡市は規模で粟島浦村の約164倍だが、1人当たり所得順位では6ランク下(佐渡28位・粟島浦22位)という規模と1人当たり順位の逆転関係。

佐渡市の納税義務者数20,508人は粟島浦村の125人の 約164倍 で、規模で2桁以上の差があります。しかし1人当たり所得順位は佐渡28位・粟島浦22位で 佐渡のほうが6ランク下位 に位置します。産業タイプは両市町村とも「農業型」で共通、給与所得者比率も両者が県内下位2位(佐渡76.6%・粟島浦76.8%)を占める共通構造を持ちます。

「単独圏で規模最大 × 1人当たり所得順位で粟島浦を下回る × 両者とも農業型 × 両者とも給与所得者比率で県内下位2位」 の組合せは、県内2つの離島単独圏の中で佐渡市の位置を示す観察です。ただし粟島浦村の1人当たり所得順位が22位に位置するのは母集団125人という県内最少規模での指標の振れ幅を反映した観察で、両離島を単純比較することはできません。

農業型4市町村内での位置づけ

新潟県内で産業タイプ「農業型」に分類される市町村は、関川村・粟島浦村・佐渡市・津南町の 4市町村 です。この4市町村の1人当たり所得と規模指標を並べると:

農業型4市町村1人当たり所得県内順位納税義務者数課税対象所得総額地域
関川村265.9万円21位1,928人約51.3億円下越(岩船郡)
粟島浦村265.8万円22位125人約3.3億円岩船離島
佐渡市257.9万円28位20,508人約528.9億円佐渡
津南町256.7万円30位3,793人約97.4億円中越

農業型4市町村の中で佐渡市は1人当たり所得3位・規模指標(納税義務者数・総額)ともに単独1位、次点津南町の 納税義務者数で5.4倍・課税対象所得総額で5.4倍 の圧倒的最大規模。

農業型4市町村の中で 佐渡市は1人当たり所得3位 ですが、規模指標では 納税義務者数1位(20,508人・次点津南町3,793人の5.4倍)課税対象所得総額1位(528.9億円・農業型4市町村総額 約680.9億円の約77.7%を単独占有) と圧倒的最大規模を保有します。上位2市町村(関川21位・粟島浦22位)と下位2市町村(佐渡28位・津南30位)で 約8万円の階段 が観察でき、佐渡市は下位2市町村の上側に位置しています。

数値の意味(データから読み取れる範囲):

佐渡市は「佐渡島単独圏(母集団1・比較対象なし)×新潟県で粟島浦村と並ぶ2つの離島単独圏の一つ×農業型4市町村中で1人当たり所得順位3位・規模指標では単独1位(総額の77.7%を単独占有)×県内下位帯4市町の中で下から3番目」の4つの位置関係を同時に保有します。県内順位28位の絶対水準は下位帯ですが、単独圏・農業型4市町村・県内2つの離島単独圏という複数のフレームで比較すると、それぞれ異なる順位(1/1・3/4・2位相当)が観察できます。

なお佐渡圏1位(1/1)は単独圏のため比較対象がなく、順位そのものは相対比較の材料としての意味を持ちません。単独圏で1位を持つことよりも、県内28位・農業型4市町村中3位・規模指標1位・下位帯4市町中で下から3番目という フレームを跨いだ複数の順位関係 のほうが、佐渡市の位置を示す指標として機能します。


③ 10年推移と後半増加型・課税対象所得マイナス(前半+2.29%→後半+5.14%・総額-1.6%県内28位)

【結論】 佐渡市の1人当たり所得10年変化率は +7.5%(県内28位・単独) で、前半5年 +2.29% から後半5年 +5.14%後半増加型(前半後半差+2.85ポイント)ですが、課税対象所得総額は -1.6%(-8.7億円・県内28位)県内でマイナスは加茂・関川・佐渡の3市町村のみ、納税義務者数 -8.52%(-1,910人) の分母縮小が1人当たり指標のプラスを支える構造です。

過去10年間(H25→H30→R5)の住民所得の変化を確認します。

この表で分かること:H25→H30→R5の10年間で1人当たり所得・納税義務者数・課税対象所得総額がどう変化したかを追えます。

年度1人当たり課税対象所得所得割納税義務者数課税対象所得(総額)
H25年度(2013年度)239.8万円22,418人約537.6億円
H30年度(2018年度)245.3万円
R5年度(2023年度)257.9万円20,508人約528.9億円
10年変化(H25→R5)+18.1万円(+7.5%)-1,910人(-8.52%)-8.7億円(-1.6%)

→ 1人当たり所得は前半5年 +2.29% から後半5年 +5.14%後半増加型 で10年 +7.5%(県内28位) ですが、納税義務者数は -8.52%(-1,910人) で課税対象所得総額は -1.6%(-8.7億円・県内28位) と減少しており、総額と1人当たりの方向性が逆に動いています。

【根拠】

1人当たり所得の10年変化率+7.5%は、H25→H30の前半5年で +2.29%(239.8万円→245.3万円・+5.5万円)、H30→R5の後半5年で +5.14%(245.3万円→257.9万円・+12.6万円)と、前半・後半ともにプラス方向で、後半のほうが伸び幅が大きい 後半増加型 のパターンとなっています。10年通算では +7.5%(+18.1万円) で、変化率順位は県内 28位(佐渡市単独同率グループ) です。

一方、納税義務者数はH25の 22,418人 からR5の 20,508人-1,910人(-8.52%) と減少しました。この-8.52%は農業型4市町村中 2位の減少率(関川-15.84%→佐渡-8.52%→津南-6.65%→粟島浦+16.82%の順)で、県内でも減少幅の大きい部類に入ります。

課税対象所得総額はH25の約 537.6億円 からR5の約 528.9億円-8.7億円(-1.6%) と減少しました。この-1.6%は県内 28位 で、県内で課税対象所得総額がマイナスを示すのは加茂-4.1%・関川-3.2%・佐渡-1.6%の3市町村のみ です。前半・後半の内訳を見ると、前半H25→H30が -3.65%、後半H30→R5が +2.11% で、前半でいったん大きく落ち込んだ後、後半で持ち直しています。

【比較・解釈】

「1人当たり所得は+7.5%(28位)、総額課税対象所得は-1.6%(28位・マイナス)、納税義務者数は-8.52%」という3つの数値関係は、「納税義務者の母数が10年で-8.52%減った結果、総額課税対象所得は-1.6%とわずかにマイナスですが、1人当たり所得は+7.5%とプラスに現れる」という数値関係の観察です。1人当たり所得の変化率順位(28位)と、課税対象所得総額変化率の順位(28位)は同順位ですが、方向性は反対(1人当たり=プラス・総額=マイナス)で、分母縮小が1人当たり指標をプラスに押し上げた構造として読み取れます。

上位10位で変化率が上位に入るのは燕市(+15.6%・4位)・糸魚川市(+15.0%・6位・同率)などですが、佐渡市は上位10位圏外で1人当たり変化率順位は28位(下位帯)です。ただし、これは「1人当たり所得の伸び順位」の側面のみに着目した観察で、後半5年+5.14%の伸び幅は10年通算+7.5%を上回るペースで、直近の伸び自体は上向いています。

後半増加型のパターンは佐渡市固有の観察です。前半5年 +5.5万円 → 後半5年 +12.6万円 と、後半の伸び幅が前半の約2.3倍に拡大しています。同じ農業型4市町村の中では、関川村(前半+6.67%→後半+7.79%・差+1.12ポイントの完全均衡型に近い)、津南町(前半+3.84%→後半+5.89%・差+2.05ポイントの後半増加型)、粟島浦村(前半-10.16%→後半+12.13%・差+22.29ポイントのV字回復型)と比較して、佐渡市(差+2.85ポイント)は津南町に近い後半増加型のパターンとなります。

関川村(納税義務者数変化率 -15.84%・1人当たり所得変化率 +15.0%)と比較すると、佐渡市(納税義務者数変化率 -8.52%・1人当たり所得変化率 +7.5%)は 同じ「分母縮小×1人当たりプラス」の構造 ですが、変化幅は関川村のほうが大きく、佐渡市はより穏やかな縮小・伸びの水準です。

【読者にとっての意味】

佐渡市の10年変化は「1人当たり指標ではプラス(28位・+7.5%)・総額指標ではマイナス(28位・-1.6%)・納税義務者数は減少(-8.52%)」という方向の異なる動きが同時に進行しています。1人当たり所得のみを見ると全県で下位帯ですが、後半5年+5.14%の伸びは前半の約2.3倍に拡大しており、直近の伸び自体は上向いています。総就業者数は10年 -18.0% と県内でも最大級の減少幅で、就業構造の縮小が納税義務者数の縮小と並行して進んでいる構造も併せて観察できます。詳細な移住検討者・地域理解志向の読み方は章⑧を参照してください。

数値の意味(データから読み取れる範囲):

前半+2.29%→後半+5.14%の後半増加型パターンは、佐渡市固有の変化率パターンの1つです。1人当たり所得順位(28位)と課税対象所得総額変化率順位(28位)で 順位は同じですが方向は逆(1人当たり=プラス・総額=マイナス)で、県内で「総額マイナス3市町村」に該当する佐渡市の位置を示す観察です。額と変化率の順位で見ると、1人当たり所得順位28位×変化率順位28位で乖離ゼロ、規模順位12〜13位×変化率順位28位で 15〜16ランクの乖離 という並立関係が観察できます。ただしこれは規模と変動の相関の観察であり、後半増加型の原因を特定する因果関係を意味するものではありません。

課税対象所得総額と1人当たり所得の分子分母関係

課税対象所得総額(分子)はH25の537.6億円からR5の528.9億円へ -8.7億円 減りました。一方、納税義務者数(分母)は22,418人から20,508人へ -1,910人 減っています。分子の減少率(-1.6%)より分母の減少率(-8.52%)のほうが大きいため、分子÷分母の1人当たり所得は+7.5%と増加方向に振れる数値関係の観察です。もし分母が横ばいだった場合、1人当たり所得は総額変化率と近い水準(-1.6%相当)で減少していた計算になりますが、実際は納税義務者数が同時に大きく減少したため、1人当たり指標としてはプラスで推移した構造です。


▼【グラフ:sado_所得推移.png 佐渡市の1人当たり課税対象所得の推移(H25→H30→R5)】


④ 所得種類別の内訳(給与所得者比率76.6%県内30位単独・農業所得者比率1.6%県内2位・分散型所得構成)

所得割納税義務者の所得源泉の内訳を確認します。

この表で分かること:佐渡市の納税義務者20,508人が給与・営業等・農業・その他のどこに分布するか把握できます。

所得区分納税義務者数比率
給与所得者15,719人76.6%
営業等所得者790人3.9%
農業所得者326人1.6%
その他3,673人17.9%
合計20,508人100%

→ 給与所得者 76.6%(15,719人・県内30位・最下位・単独) を農業所得者 1.6%(326人・県内2位)・営業等所得者 3.9%(790人・県内2位)・その他 17.9%(3,673人) が補う 分散型所得構成 で、給与依存度が県内で唯一80%を下回る構造が現れます。

給与所得者比率76.6%は県内30位(最下位・単独)で県内唯一の80%未満

給与所得者数15,719人・比率76.6%は 県内30位(最下位) で、給与所得者比率同率グループは佐渡市 単独 です。県内で給与所得者比率の下位帯を並べると:

順位(低い方から)市町村給与所得者比率
30位(単独)佐渡市76.6%
29位(単独)粟島浦村76.8%
28位津南町78.9%
27位田上町80.0%
26位出雲崎町80.7%
25位加茂市80.8%

佐渡市の76.6%は次点粟島浦村(76.8%)と 0.2ポイント差 で、県内で 唯一の80%未満(単独) です。県内の他29市町村はいずれも76.8%以上で、佐渡市だけが76%台の下側に位置します。両離島(佐渡76.6%・粟島浦76.8%)が下位2位を占め、県内の他28市町村はいずれも78.9%以上(津南町78.9%・田上町80.0%等)となっています。

両離島(佐渡・粟島浦)に共通する構造:

市町村給与所得者比率県内順位産業タイプ地理
佐渡市76.6%30位(単独・最下位)農業型佐渡島
粟島浦村76.8%29位(単独)農業型粟島

両離島は「産業タイプ農業型 × 給与所得者比率下位2位」という共通点を持ちますが、佐渡市30位(76.6%)・粟島浦村29位(76.8%)とわずかに順位が異なり、いずれも単独順位を保有します。県内で「離島 × 給与所得者比率下位」という組合せは佐渡市と粟島浦村の2市町村のみに観察される構造です。

農業所得者比率1.6%は県内2位(同率関川村)

農業所得者数 326人・比率 1.6%県内2位 で、農業所得者比率同率グループは 関川村・佐渡市 の2市町村(同率=2)です。県平均差 +0.8ポイント で県平均を上回ります。県内で農業所得者比率の上位帯を並べると:

順位市町村農業所得者比率
1位津南町3.0%
2位(同率)佐渡市1.6%
2位(同率)関川村1.6%

農業型4市町村の中で、農業所得者比率は津南3.0%(1位)→佐渡1.6%(2位同率)→関川1.6%(2位同率)→粟島浦0.0%(30位)の順で、佐渡市は農業型4市町村中で3番手グループ に位置します。ただし絶対数では佐渡市の農業所得者326人は、関川村31人・粟島浦村0人・津南町114人と比較して 農業型4市町村中で圧倒的1位 の実数を保有します。

営業等所得者比率3.9%は県内2位

営業等所得者数790人・比率3.9%は 県内2位 で、県内1位は粟島浦村の12.0%(ダントツ)です。県内で3〜4位帯(3.4〜3.6%程度)とは0.3〜0.5ポイントの差で、粟島浦村を除くと上位帯に位置します。営業等所得者は個人事業主・自営業者などが該当し、佐渡市の790人という絶対数は県内でも大きい部類に入ります。

その他所得者比率17.9%は県内でも高水準

その他所得者数3,673人・比率17.9%は、年金所得・不動産所得・退職所得等が含まれるカテゴリーで、佐渡市は納税義務者20,508人の中で3,673人(17.9%)がこの区分に該当します。給与所得者比率の低さ(76.6%県内30位)と対応して、その他所得者比率が県内上位帯に位置する構造です。県内では10%台後半〜20%程度の水準で、佐渡市17.9%はその中でも上側に位置します(ただしCSVには全市町村の順位計算がないため相対比較は概略)。

「分散型所得構成」の観察

「給与76.6+営業等3.9+農業1.6+その他17.9=100.0%」の内訳を、県内主流の構造(給与所得者比率80%以上・農業所得者比率0.5%以下・営業等所得者比率1〜3%)と比較すると:

  • 給与所得者比率76.6%(県内30位・単独・唯一の80%未満):県内主流の80%以上から3〜10ポイント低い
  • 農業所得者比率1.6%(県内2位・同率関川):県内主流の0.5%以下より1.1ポイント高い
  • 営業等所得者比率3.9%(県内2位):県内主流の1〜3%より0.9〜2.9ポイント高い
  • その他所得者比率17.9%:県内でも上位帯

この4種の所得区分すべてが県内上位帯(給与は下位帯)で揃う組合せは佐渡市のみに観察される「分散型所得構成」で、給与以外の所得源が幅広く分散する構造として読み取れます。

数値の意味(データから読み取れる範囲):

「給与所得者比率76.6%県内30位(最下位・単独) × 農業所得者比率1.6%県内2位(同率関川村) × 営業等所得者比率3.9%県内2位 × その他所得者比率17.9%」の組合せは、県内で佐渡市のみに観察される「分散型所得構成」です。県内で唯一給与依存度が80%を下回り、農業・営業等・その他の各所得源の比率がいずれも県内上位帯という並立構造は、主要業種構成(医療・福祉16.2%×農業・林業16.1%×卸売業・小売業13.6%の分散パターン)が示す就業構造と数値関係で対応する観察です。

ただしこれは所得区分の申告状態の観察で、「島内経済で給与以外の所得源が分散している」という因果関係を断定するものではありません。給与所得者数15,719人・農業所得者数326人・営業等所得者数790人・その他所得者数3,673人という 絶対数 で見ると、佐渡市はいずれの区分でも農業型4市町村中で圧倒的最大の実数を保有し、母集団20,508人の規模が県内中位帯(12位)であることと対応します。


▼【グラフ:sado_所得種類別.png 佐渡市の所得種類別 所得割納税義務者数(R5年度)】


⑤ 推計手取りと住民税・実効税率3.1%(県内15位同率11市町村・手取り転換率60.4%県内2位で低い)

【結論】 推計手取り 309.6万円 は県内 28位 で、10年 +6.1万円(+2.0%) の増加は県内 29位(下から2番目) の停滞水準、手取り転換率60.4% は県内で新潟市(59.9%)に次ぐ 低い方から2位、実効税率 3.1% は県内 15位(同率11市町村) で県平均3.2%を -0.1ポイント 下回る中位帯です。

住民税(所得割)の実額と、社会保険料・所得税を含む推計手取りの10年推移を確認します。

住民税(所得割)と実効税率

住民税(所得割)の実額は、総務省「市町村税課税状況等の調べ」第11表の所得割額を所得割納税義務者数で割って算出しました。

R5年度の1人当たり住民税は約 8.1万円(81,142円) で県内 22位、実効税率 3.1%県内15位 で、実効税率同率グループは 11市町村(聖籠町・胎内市・弥彦村・見附市・十日町市・魚沼市・阿賀野市・田上町・五泉市・加茂市・佐渡市)です。県平均3.2%を -0.1ポイント 下回る中位帯に位置します。

10年変化を見ると、実効税率は -0.2ポイント 低下しています(3.3%→3.1%)。この期間には令和2年の税制改正で住民税の基礎控除が33万円から43万円に引き上げられており、実効税率の10年変化幅が改正時期と対応するタイミングで観察されます(改正が原因であるという断定はしません)。

分母(1人当たり所得)順位と実効税率順位の関係で見ると、佐渡市は「1人当たり所得28位」に対し「実効税率15位」で、分母順位に対して実効税率順位のほうが 13ランク上位 の位置関係を持ちます。1人当たり住民税実額の順位(22位)は分母順位(28位)より6ランク上位で、税負担の絶対水準が県内中位帯の下側に位置する観察です。

推計手取りの10年推移(+2.0%県内29位・下から2番目)

この表で分かること:推定給与収入から社保・所得税・住民税を差し引いた推計手取りの10年推移が確認できます。

課税対象所得(給与所得)から給与所得控除の計算式で給与収入を逆算し、各年度の公式保険料率・税制を用いて手取りを試算しました。

項目H25(2013年度)R5(2023年度)10年変化
課税対象所得(給与所得)239.8万円257.9万円+18.1万円(+7.5%)
推定給与収入(※1)約367.3万円約377.4万円+10.1万円(+2.8%)
1人当たり住民税(実額)約7.9万円約8.1万円-0.2ポイント(実効税率)
推計手取り約303.5万円約309.6万円+6.1万円(+2.0%)

→ 推計手取りは 309.6万円(県内 28位)で、10年 +6.1万円(+2.0%) の増加は県内 29位(下から2番目) の停滞水準、実効税率 3.1% は県内 15位(同率11市町村) です。手取り転換率60.4%(給与収入増加分の60.4%が手取りに転換)は県内で新潟市(59.9%)に次ぐ 低い方から2位 の水準です。

推計手取り変化率+2.0%は県内29位(下から2番目)

佐渡市の推計手取り変化率 +2.0% は県内 29位(下から2番目) で、県内で最も低いのは粟島浦村の -3.4%(30位・県内唯一のマイナス)です。佐渡市を除く28市町村(新潟市+4.8%等)はいずれも佐渡市より高い変化率を保有し、県内で「10年で手取りが+2%程度しか増えていない」自治体は佐渡市と粟島浦村の2市町村のみです。

1人当たり所得は +7.5% で増加しましたが、推計手取り側では +2.0% にとどまっており、給与収入増加分(+10.1万円)のうち 60.4%(6.1万円)のみが手取りに転換、残り 39.6%(4.0万円)が税・社保増加で吸収 された構造です。内訳では、推定社保増加 +3.5万円 が最大の減額項目、住民税増加は +0.3万円 と小さく、実効税率は -0.2ポイント 低下しています。

推計手取りの絶対水準(309.6万円・県内28位)は1人当たり所得順位(28位)と一致し、両順位が並ぶ位置関係です。1人当たり所得順位(28位)と推計手取り変化率順位(29位)で 1ランクの乖離 で、所得順位と手取り変化率順位はほぼ同水準に位置します。

手取り転換率60.4%は県内で低い方から2位(新潟市59.9%に次ぐ)

手取り転換率は「10年の給与収入増加分に対する手取り増加分の割合」として定義される指標です。佐渡市の場合、給与収入 +10.1万円 に対して推計手取り +6.1万円 が転換したため、手取り転換率は 60.4% です。県内で手取り転換率が低い方(給与収入増加分に対する手取り転換の効率が低い方)から並べると:

順位(低い方から)市町村手取り転換率
1位新潟市59.9%
2位佐渡市60.4%
3位刈羽村61.7%
4位加茂市65.3%
5位津南町67.9%

佐渡市の60.4%は県内で 新潟市(59.9%)に次ぐ2番目に低い水準 で、新潟市とは 0.5ポイント差、3位刈羽村(61.7%)とは -1.3ポイント の差で、下位2位を保有します。農業型4市町村内で見ると、佐渡60.4→津南67.9→関川72.7の順で、佐渡市は農業型4市町村中で手取り転換率が最も低い 水準です。

推計手取り前半・後半の推移(前半+1.5%→後半+0.5%の後半減速)

推計手取りの前半・後半5年の変化を見ると、前半H25→H30が +1.5%、後半H30→R5が +0.5% で、後半5年に減速しています。1人当たり所得ベースでは前半+2.29%→後半+5.14%の 後半増加型 ですが、推計手取りベースでは前半+1.5%→後半+0.5%の 後半減速型 と、両指標で 方向が逆 に動く数値関係が観察できます。

これは、後半5年に給与収入が伸びる一方で社会保険料負担が同時に増え、手取り転換の効率が下がった結果として現れる観察です(因果関係の断定ではありません)。

数値の意味(データから読み取れる範囲):

「実効税率3.1%(県内15位・同率11市町村) × 推計手取り309.6万円(県内28位) × 推計手取り変化率+2.0%(県内29位・下から2番目) × 手取り転換率60.4%(県内で低い方から2位・新潟市に次ぐ)」の組合せは、佐渡市の税負担・手取り側面での固有位置を示すデータ関係の観察です。1人当たり所得順位が28位に対し、実効税率が県内15位・住民税実額が県内22位という中位帯に立つことで、税負担の絶対水準は県内中位帯の下側に位置しますが、給与収入増加分に対する手取り転換の効率は県内で最も低い部類に位置する構造が読み取れます。

推計手取り変化率+2.0%(29位・下から2番目)と、前半+1.5%→後半+0.5%の後半減速は、給与収入の増加が社会保険料の増加でほぼ吸収された数値状態を反映しています。ただしこれは推計値ベースの試算で、実際の家族構成・扶養控除・その他個別事情による変動幅は別途考慮が必要です。

住民税所得割の税率は市町村民税6%・道府県民税4%で全国一律です。本記事で示す実効税率(住民税実額÷課税対象所得)は、控除の適用状況・所得構成の違いの結果として現れる値であり、市町村ごとに税率が違うわけではありません。佐渡市の実効税率3.1%(県内15位・同率11市町村)は、県平均3.2%とほぼ同水準の位置関係の観察です。

※1 給与収入は課税対象所得(給与所得)から各年度の給与所得控除(所得税法の計算式)で逆算した推定値です。
※2 社会保険料は厚生年金(公式保険料率)・健康保険(協会けんぽ新潟県の概算率)・雇用保険(公式料率)を使用。保険料率はH25:厚生年金8.737%・健保4.985%・雇保0.5%、H30:厚生年金9.15%・健保5.0%・雇保0.3%、R5:厚生年金9.15%・健保5.0%・雇保0.6%で試算。
※3 所得税は「給与所得 − 基礎控除(H25・H30: 38万、R5: 48万)− 社会保険料控除 − 配偶者控除 − 扶養控除1人」を課税標準として試算。実際の控除状況・家族構成によって大きく異なります。


⑥ 佐渡市の主力産業(農業型ラベル・主要業種1位医療福祉16.2%×2位農業16.1%の18人差近接同率)

【結論】 産業タイプは 農業型 ですが、主要業種1位は 医療・福祉16.2%(4,207人)、2位が 農業・林業16.1%(4,189人)18人差の近接同率、3位卸売業・小売業13.6%(3,543人)、第3次産業比率 66.2% は県内 3位、農業産出額 93.1億円 は県内 7位 で農業型4市町村中1位という「農業型ラベル×医療・福祉主導×農業並立」の並列構造を持ちます。

佐渡市は産業構造マスター(総務省 国勢調査 令和2年)で 農業型 に分類されています。農業型4市町村(関川村・粟島浦村・佐渡市・津南町)のうちの1市町村で、産業別就業者比率(2020年)は 第1次産業17.9%・第2次産業15.5%・第3次産業66.2%(県内3位) です。第3次産業比率66.2%は湯沢町(80.8%・県内1位)・新潟市(73.2%・県内2位)に次ぐ県内3位で、島内サービス業の比重が高い水準です。総就業者数は 26,029人(農業型4市町村中1位)で、10年変化率H22→R2は -18.0% と県内でも最大級の減少幅を保有します。主要業種を並べると、1位 医療・福祉16.2%(4,207人)、2位 農業・林業16.1%(4,189人)、3位 卸売業・小売業13.6%(3,543人) で、1位と2位の差は0.1ポイント・18人差の近接同率 です。「農業型」ラベルながら医療・福祉が主要業種1位に立ち、農業・林業がわずか18人差で2位に並ぶ並立構造は、佐渡市固有のパターンとして観察できます。農業産出額は 93.1億円 で県内 7位(農業型4市町村中1位・関川16.9→粟島浦0.0→佐渡93.1→津南59.9の順で佐渡が単独最大)と農業実績も県内上位帯を保有し、就業構造では医療・福祉と農業・林業が並立、産出額ベースでは農業実績が県内上位帯という複数側面の並立が観察できます。

数値の意味(データから読み取れる範囲):

「農業型ラベル × 主要業種1位医療・福祉16.2%(4,207人) × 2位農業・林業16.1%(4,189人)の18人差近接同率 × 第3次産業比率66.2%県内3位 × 農業産出額93.1億円県内7位」の組合せは、就業構造の並立と産出ベースの農業実績を同時に保有する佐渡市固有の産業構成の観察です。給与所得者比率76.6%(県内30位・唯一の80%未満)と、主要業種の分散パターン(1位・2位・3位で16.2%・16.1%・13.6%と特定業種への集中が低い)は数値関係で対応する観察で、島内経済の産業構成の分散が所得種類別の分散型構成と並行する構造として読み取れます。ただしこれらは所得水準・所得種類との相関の観察であり、産業構造が住民所得を決定しているという因果関係を意味するものではありません。


⑦ 佐渡島単独圏の位置づけ(比較対象なし・農業型4市町村参考比較・関川村/粟島浦村/佐渡市/津南町)

【結論】 佐渡島は佐渡市単独圏(母集団1・比較対象なし)ですが、農業型4市町村中では 1人当たり所得3位(関川21→粟島浦22→佐渡28→津南30)、規模指標では 納税義務者数・課税対象所得総額ともに単独1位(次点津南町の5.4倍)・農業型4市町村総額の 約77.7%を単独占有、県内2つの離島単独圏(佐渡・岩船離島)のうち規模で圧倒的最大・1人当たり所得順位では粟島浦を下回る位置に立ちます。

この表で分かること:佐渡島単独圏の佐渡市を県全体・農業型4市町村・県内2つの離島単独圏と参考比較できます。

佐渡圏(単独圏・比較対象なし)

佐渡市の属する地域圏「佐渡」は総市町村数 1 で、圏内に他の自治体は存在しません。地域内順位は 1/1(単独)、地域内他市町村リストは空、地域県内順位範囲も県内28位のみです。

  • 佐渡圏内1位:佐渡市(257.9万円・県内28位)
  • 佐渡圏内他市町村:該当なし(単独圏・母集団1)

単独圏では「圏内1位」という表現は形式上成立しますが、比較対象となる他市町村が存在しないため、順位の相対比較の材料としての意味を持ちません。佐渡市を位置づける際には、単独圏の中の順位ではなく、別のフレーム(県全体・農業型4市町村・県内2つの離島単独圏)を跨いだ複数の順位関係 のほうが指標として機能します。

新潟県2つの離島単独圏の比較

新潟県には地域分類上、単独圏を構成する自治体が2つ存在します。1つが佐渡市(佐渡圏)、もう1つが粟島浦村(岩船離島圏)です。両者を比較すると:

離島単独圏1人当たり所得県内順位納税義務者数課税対象所得総額地域圏産業タイプ
佐渡市257.9万円28位20,508人約528.9億円佐渡農業型
粟島浦村265.8万円22位125人約3.3億円岩船離島農業型

佐渡市は規模で粟島浦村の約164倍だが、1人当たり所得順位では6ランク下(佐渡28位・粟島浦22位)で、規模と1人当たり順位の逆転関係。

佐渡市の納税義務者20,508人は粟島浦村の125人の 約164倍、課税対象所得総額528.9億円は粟島浦村の3.3億円の 約160倍 で、規模で2桁以上の差があります。しかし1人当たり所得順位は佐渡28位・粟島浦22位で 佐渡のほうが6ランク下位 です。産業タイプは両市町村とも「農業型」で共通、給与所得者比率も両者が県内下位2位(佐渡76.6%・粟島浦76.8%)を占める共通構造を持ちます。

単独圏で規模最大 × 1人当たり所得順位で粟島浦を下回る × 両者とも農業型 × 両者とも給与所得者比率で県内下位2位」の組合せは、県内2つの離島単独圏の中で佐渡市の位置を示す観察です。ただし粟島浦村の1人当たり所得順位22位は母集団125人という県内最少規模での指標の振れ幅を反映した観察で、両離島を単純比較することはできません。生活水準の優劣を意味するものでもありません。

農業型4市町村内での位置づけ(1人当たり所得3位・規模指標では単独1位・総額の77.7%を占有)

新潟県内で産業タイプ「農業型」に分類される4市町村(関川村・粟島浦村・佐渡市・津南町)の1人当たり所得・規模指標・変化率を並べると:

農業型4市町村1人当たり所得県内順位納税義務者数課税対象所得総額変化率10年手取り転換率主要業種1位
関川村265.9万円21位1,928人約51.3億円+15.0%72.7%製造業19.6%
粟島浦村265.8万円22位125人約3.3億円+0.7%(空欄)漁業20.2%
佐渡市257.9万円28位20,508人約528.9億円+7.5%60.4%医療・福祉16.2%
津南町256.7万円30位3,793人約97.4億円+10.0%67.9%農業・林業24.5%

→ 農業型4市町村の中で 佐渡市は1人当たり所得3位ですが、納税義務者数・課税対象所得総額ともに単独1位で、農業型4市町村総額(約680.9億円)の約77.7%を単独で占有、手取り転換率60.4%は農業型4市町村中で最も低い水準。

農業型4市町村の中で、規模指標を並べると:

  • 納税義務者数: 佐渡20,508 → 津南3,793 → 関川1,928 → 粟島浦125(佐渡は次点津南の 約5.4倍
  • 課税対象所得総額: 佐渡528.9 → 津南97.4 → 関川51.3 → 粟島浦3.3億円(佐渡は農業型4市町村総額 約680.9億円の 約77.7% を単独占有)
  • 1人当たり所得順位: 関川21位 → 粟島浦22位 → 佐渡28位 → 津南30位(佐渡は農業型内3位
  • 手取り転換率: 関川72.7% → 津南67.9% → 佐渡60.4%(佐渡は農業型内で最も低い

主要業種1位を並べると、関川村は製造業(19.6%)、粟島浦村は漁業(20.2%)、佐渡市は医療・福祉(16.2%)、津南町は農業・林業(24.5%)と、4市町村で4つの異なる業種が1位を占める分散パターンとなっています。「農業型ラベル」ながら4市町村の主要業種1位は全て異なる業種で、佐渡市の医療・福祉1位は、農業型4市町村の中で唯一の医療・福祉1位です。

前半・後半の変化率を並べると:

農業型4市町村前半5年(H25→H30)後半5年(H30→R5)パターン
関川村+6.67%+7.79%+1.12pt完全均衡型
粟島浦村-10.16%+12.13%+22.29ptV字回復型
佐渡市+2.29%+5.14%+2.85pt後半増加型
津南町+3.84%+5.89%+2.05pt後半増加型

佐渡市(+2.85ポイント)は津南町(+2.05ポイント)に近い 後半増加型 で、農業型4市町村の中では関川村(完全均衡型)と粟島浦村(V字回復型)とは異なるパターンを持ちます。

参考:県全体・県平均との比較

佐渡市(28位・257.9万円)は県平均(277.1万円)を -19.2万円 下回り、県中央値(273.3万円)を -15.4万円 下回ります。県内1位の新潟市(319.5万円)とは -61.6万円、県内30位の津南町(256.7万円)とは +1.2万円 の差です。県30市町村の下位帯(21〜30位)の中では下から3番目に位置する順位です。

数値の意味(データから読み取れる範囲):

佐渡市は「佐渡島単独圏(母集団1・比較対象なし) × 農業型4市町村中で1人当たり所得順位3位 × 規模指標では農業型4市町村中で単独1位・総額の約77.7%を単独占有 × 県内2つの離島単独圏の中で規模最大だが1人当たり所得順位では粟島浦を下回る × 手取り転換率60.4%は農業型4市町村中で最低」の5つの位置関係を同時に保有します。

県内順位28位という絶対水準は下位帯ですが、単独圏・農業型4市町村・県内2つの離島単独圏・県全体という複数のフレームで比較すると、それぞれ異なる順位(1/1・3/4・1位相当(規模)・28位)が観察できます。単独圏における順位(1/1)は比較の材料として意味を持ちませんが、他のフレームでの複数順位が佐渡市の位置を示す固有の材料として機能します。ただしこれらは所得側面の相対比較で、生活水準・移住適性を意味するものではありません。他側面(生活コスト・住居費・アクセス・離島の生活条件)は別データを併せて参照する必要があります。


⑧ 移住検討者・佐渡島外読者・地域理解志向への読み方

本章は「佐渡市 移住」「佐渡市 平均年収」「佐渡市 農業」「佐渡市 手取り」「佐渡市 住民税」「佐渡島 暮らし」等の検索意図に対する、データから読み取れる判断材料の整理です。個別の意思決定を代替するものではありません。

佐渡市は「新潟県唯一の島全体を1市が占める行政単位(佐渡島単独圏)」「農業型4市町村中で圧倒的最大規模(総額の77.7%を単独占有)」「給与所得者比率76.6%県内唯一の80%未満・分散型所得構成」「手取り転換率60.4%県内で低い方から2位」の4つの固有特徴を持ちます。以下、3視点 で整理します。

視点1:移住検討者(島暮らし・農業就業・医療福祉就業を検討する読者)への読み取り材料

読み取り材料データ根拠
257.9万円は県平均を -19.2万円 下回るが県30位津南町とは +1.2万円 の差・県内下位帯4市町の中で下から3番目県平均277.1万円・中央値273.3万円・30位津南町256.7万円
農業型4市町村(関川21・粟島浦22・佐渡28・津南30)中で3位・規模指標では単独1位(総額の77.7%を占有)関川村265.9万円との差-8.0万円・津南町との差+1.2万円
実効税率3.1%は県内15位(同率11市町村)で県平均3.2%を -0.1ポイント 下回る中位帯1人当たり住民税約8.1万円・県内22位・分母(1人当たり所得)28位より6ランク上位
給与所得者比率76.6%は県内30位(最下位・単独)で県内唯一の80%未満・給与以外の所得源も選択肢給与所得者15,719人・農業所得者326人・営業等所得者790人・その他3,673人
主要業種1位医療・福祉16.2%(4,207人)・2位農業・林業16.1%(4,189人)・3位卸売業・小売業13.6%(3,543人)の分散型雇用構造総就業者数26,029人(10年-18.0%・県内でも最大級の減少幅)
推計手取り309.6万円は県内28位・10年+6.1万円(+2.0%)増加は県内29位(下から2番目)の停滞水準手取り転換率60.4%(給与収入増加分の60.4%が手取りに転換・県内2位で低い)
変化率+7.5%は県内28位(佐渡市単独)で、前半+2.29%→後半+5.14%の後半増加型前半+5.5万円+後半+12.6万円=10年+18.1万円
生活コスト・離島の生活条件(アクセス・住居費・物価)との照合が必要1人当たり所得順位は所得側面のみ・別データを要参照

視点1の総括:佐渡市は納税義務者20,508人という農業型4市町村中で圧倒的最大の規模を保有する離島自治体ですが、1人当たり所得257.9万円は県内28位・県平均差-19.2万円で下位帯に位置します。給与所得者比率76.6%(県内30位・唯一の80%未満)と分散型所得構成(農業1.6%・営業等3.9%・その他17.9%が県内上位帯)は、給与以外の所得源が幅広く分散する構造を示し、島内で個人事業主・農業・年金等の所得源を組み合わせる選択肢が観察できます。ただし手取り転換率60.4%(県内で低い方から2位)と推計手取り変化率+2.0%(県内29位)は、給与収入増加分が社保増加でほぼ吸収され、手取りが伸びにくい構造を示す観察です。1人当たり所得の後半5年+5.14%の伸びは前半+2.29%の約2.2倍に拡大しており、直近の伸び自体は上向いていますが、推計手取りベースでは前半+1.5%→後半+0.5%の後半減速型と方向が逆に動いている点も併せて参照する必要があります。

視点2:佐渡島外からの読者(島の暮らし・所得水準を知りたい)への読み取り材料

読み取り材料データ根拠
佐渡島全島を1市が占める単独圏で、新潟県2つの離島単独圏の一つ(もう一つは粟島浦村)地域総市町村数1・地域他市町村リスト空・地域県内順位範囲は県内28位のみ
産業タイプ「農業型」だが主要業種1位は医療・福祉16.2%(4,207人)で農業・林業は2位(16.1%・4,189人)と18人差の近接同率就業者ベースの1位と2位が18人差の近接同率という並立構造
第1次産業比率17.9%×第2次産業比率15.5%×第3次産業比率66.2%(県内3位)の並立構造湯沢80.8%・新潟73.2%・佐渡66.2%で第3次産業比率上位帯
農業産出額93.1億円は県内7位・農業型4市町村中1位(次点津南59.9・粟島浦0.0・関川16.9)産出ベースの農業実績は県内上位帯
総就業者数-18.0%の大幅減少と納税義務者数-8.52%(-1,910人)の並行縮小就業構造の縮小と課税義務者の縮小が並行
分散型所得構成(給与76.6%・農業1.6%・営業3.9%・その他17.9%)は県内で唯一のパターン給与所得者比率76.6%は県内30位単独・農業所得者比率1.6%は県内2位・営業等所得者比率3.9%も県内2位
課税対象所得-1.6%は県内でマイナスの3市町村(加茂-4.1%・関川-3.2%・佐渡-1.6%)の一つ総額縮小×分母縮小×1人当たりプラスの三重構造
1人当たり所得順位(28位)と規模順位(12〜13位)の15〜16ランク乖離規模は県内中位×1人当たりは下位帯

視点2の総括:佐渡市は新潟県唯一の島全体を1市が占める行政単位で、佐渡島単独圏を構成する自治体です。粟島浦村と並ぶ県内2つの離島単独圏の一つですが、規模では粟島浦村の約164倍(納税義務者20,508人vs125人)で圧倒的最大です。産業タイプ「農業型」ラベルながら主要業種1位は医療・福祉、2位は農業・林業で18人差の近接同率という並立構造を持ち、第3次産業比率66.2%(県内3位)と農業産出額93.1億円(県内7位)が同時に県内上位帯という「農業型ラベル×医療・福祉主導×農業並立」の複数側面の並立が観察できます。就業構造としては総就業者-18.0%の大幅減少と納税義務者-8.52%の並行縮小が進んでおり、母数の縮小が1人当たり指標のプラスを支える構造として読み取れます。

視点3:地域理解志向の読者(農業型内で佐渡市の位置を理解したい)への読み取り材料

読み取り材料データ根拠
農業型4市町村(関川21・粟島浦22・佐渡28・津南30)中で1人当たり所得順位3位・規模指標では単独1位納税義務者数20,508人は農業型総額の約77.7%を単独占有
課税対象所得10年変化率-1.6%は県内28位でマイナスは3市町村のみ(加茂-4.1・関川-3.2・佐渡-1.6)農業型4市町村中で佐渡・関川がマイナス2市町村
手取り転換率60.4%は県内で低い方から2位・農業型4市町村中で最低(関川72.7→津南67.9→佐渡60.4)給与収入+10.1万円のうち60.4%(6.1万円)のみ手取り転換・社保増加+3.5万円が最大の減額項目
推計手取り変化率+2.0%は県内29位(下から2番目)で、県内で+2%程度しか手取りが増えていないのは佐渡・粟島浦の2市町村のみ10年で+6.1万円のみ・前半+1.5%→後半+0.5%の後半減速型
前半+2.29%→後半+5.14%(差+2.85pt)の後半増加型は、農業型4市町村内で津南町(+2.05pt)に近いパターン関川(+1.12pt・完全均衡型)・粟島浦(+22.29pt・V字回復型)とは異なるパターン
1人当たり所得ベースの後半増加型と、推計手取りベースの後半減速型(前半+1.5%→後半+0.5%)が逆方向給与収入+10.1万円の伸びを社保増加が吸収する構造
主要業種1位医療・福祉16.2%(4,207人)と2位農業・林業16.1%(4,189人)の18人差近接同率農業型ラベル×医療・福祉主導×農業並立の並立構造
第3次産業比率66.2%は県内3位(湯沢80.8・新潟73.2に次ぐ)で島内サービス業比重が高い第1次産業17.9%・第2次産業15.5%・第3次産業66.2%の並立
給与所得者比率76.6%は県内30位(最下位・単独)で県内唯一の80%未満・農業所得者比率1.6%は県内2位(同率関川村)4種の所得区分すべてが県内上位帯(給与は下位帯)で揃う分散型所得構成

視点3の総括:佐渡市は農業型4市町村(関川村・粟島浦村・佐渡市・津南町)の中で1人当たり所得3位・規模指標では単独1位という「規模最大×1人当たり中間帯」の位置を保有します。課税対象所得10年変化率-1.6%は県内28位で、県内で総額がマイナスを示す3市町村(加茂・関川・佐渡)の一つですが、佐渡・関川はいずれも農業型4市町村です。手取り転換率60.4%(県内で低い方から2位・農業型4市町村内で最低)と推計手取り変化率+2.0%(県内29位・下から2番目)は、給与収入増加分が社保増加でほぼ吸収された構造を示す観察で、1人当たり所得ベースの後半増加型と推計手取りベースの後半減速型が逆方向に動いている構造も併せて読み取れます。「農業型ラベル×主要業種1位医療・福祉×2位農業・林業18人差近接同率×第3次産業比率66.2%県内3位×農業産出額93.1億円県内7位」の並列構造は、佐渡市固有のパターンとして観察できます。

⚠️ 上記は「データから読み取れる範囲での判断材料」であり、投資助言・移住助言・個別の意思決定を代替するものではありません。


⑨ データの見方・注意点

順位=豊かさではありません

1人当たり課税対象所得の順位は、後述する複数の解釈上の制約を含んだ指標に基づいています。順位が高いことをもって「豊かな地域」「移住すべき地域」等の価値判断を行うことはできません。順位はあくまで所得割の課税ベース上の数値の相対比較です。

課税対象所得は手取り収入ではありません

課税対象所得(合計所得金額)は、給与・事業・農業などの各所得から給与所得控除等の所得種別の控除を差し引いた所得の合計です。ここからさらに基礎控除・社会保険料控除・配偶者控除・扶養控除等を差し引いた額が住民税・所得税の課税標準となります。課税対象所得と実際の手取り収入は異なります。

推計手取りの計算モデル

⑤の推計手取りは、給与所得控除の計算式で給与収入を逆算し、公式保険料率と概算率を用いた試算値です。想定料率(協会けんぽ新潟県の概算率)と控除モデル(基礎控除・配偶者控除・扶養控除1人)は記事末の「出典」欄に明示しています。実際の手取りは家族構成・扶養控除・iDeCo/生命保険料控除等の個別事情で大きく変動します。

実効税率は税率設定の違いではありません

住民税所得割の税率は市町村民税6%・道府県民税4%で全国一律です。本記事で示す実効税率(住民税実額÷課税対象所得)は、控除の適用状況・所得構成の違いの結果として現れる値であり、市町村ごとに税率が違うわけではありません。

農業地域では過小表示になる場合があります

農業所得は申告による実額ですが、自家消費・現物収入は含まれない場合があります。農業主体の市町村では、1人当たり課税対象所得が実態の生活水準より低く見える可能性があります。佐渡市は産業タイプ「農業型」に分類され、農業所得者326人・比率1.6%(県内2位・同率関川村)・農業産出額93.1億円(県内7位)を保有します。就業構造では主要業種2位に農業・林業16.1%(4,189人)が入りますが、税務ベース(申告実額)では農業所得者326人・その他所得(その他17.9%・3,673人)に一部の農業関連所得が含まれている可能性もあり、狭義の農業実績と就業ベースの農業関連の間には数値関係の乖離があり得ます。

所得割納税義務者は全住民ではありません

課税対象所得が控除額を下回る場合(所得が低い・年金受給のみ等)は所得割の納税義務者に含まれません。高齢化が進んだ市町村では分母が小さくなり、1人当たり所得が見かけ上高くなる場合があります。佐渡市の納税義務者数は10年で -8.52%(-1,910人)減少しており、この分母の縮小が1人当たり指標のプラス(+7.5%)を支えている(総額-1.6%に対し1人当たり+7.5%)点は、指標を読む際の観察上の注意点となります。

1人あたり付加価値額と1人当たり所得の混同注意

⑥で言及した産業構造マスターの1人あたり付加価値額は 製造業事業所ベース の指標で、住民所得の1人当たり課税対象所得(所得割納税義務者ベース)とは分母が異なる別の指標です。両者を同一の「1人あたり所得」として扱うことはできません。佐渡市の場合、製造業関連の指標(従業者数1,098人・製造品出荷額138.9億円等)は県内23位前後の中位帯ですが、住民所得(納税義務者ベース)とは別指標です。

単独圏の順位の意味

佐渡市は佐渡島単独圏の1市町村で、地域内順位は形式上「1位/1」ですが、比較対象となる他市町村が圏内に存在しないため、地域内順位は相対比較の材料として意味を持ちません。県内28位・農業型4市町村中3位・県内下位帯4市町中で下から3番目という別のフレームでの順位関係のほうが、佐渡市の位置を示す指標として機能します。

主要業種比率と所得種類別比率の分母不一致

主要業種1位医療・福祉16.2%・2位農業・林業16.1%(総就業者26,029人ベース)と、給与所得者比率76.6%・農業所得者比率1.6%(納税義務者20,508人ベース)は分母が異なる別の指標です。片方は就業構造ベース、もう片方は課税ベースで、両指標を単純比較することはできません。就業者ベースで医療・福祉・農業・林業に従事する層が、税務上どの所得区分で申告しているかは、本データからは直接読み取れません。


まとめ

佐渡市の住民所得の特徴(データから読み取れる範囲)

  • 1人当たり課税対象所得は 257.9万円 で県内 28位/30市町村中(R5年度)。県平均差 -19.2万円・県中央値差 -15.4万円・県30位津南町とは +1.2万円 の差
  • 佐渡島単独圏(母集団1・比較対象なし)・新潟県で 粟島浦村と並ぶ2つの離島単独圏 の一つ・佐渡島全島を1市が占める行政単位
  • 所得割納税義務者 20,508人(県内 12位・シェア 2.0%)・課税対象所得総額 約528.9億円(県内 13位・シェア 1.73%)で 農業型4市町村総額の約77.7%を単独で占有
  • 農業型4市町村(関川21・粟島浦22・佐渡28・津南30)中で 1人当たり所得順位3位・規模指標では 納税義務者数・課税対象所得総額ともに単独1位(次点津南町の5.4倍)
  • H25→R5の10年で +7.5%(+18.1万円)・変化率順位は県内 28位(単独)・前半 +2.29%(+5.5万円)から後半 +5.14%(+12.6万円)の 後半増加型(差+2.85pt)
  • 課税対象所得総額10年 -1.6%(-8.7億円) は県内 28位県内でマイナスは加茂-4.1%・関川-3.2%・佐渡-1.6%の3市町村のみ
  • 納税義務者数10年 -8.52%(-1,910人) は農業型4市町村中2位の減少率・総就業者数10年 -18.0% は県内でも最大級の減少幅
  • 所得割納税義務者20,508人のうち 給与所得者76.6%(15,719人・県内30位・最下位・単独)営業等所得者3.9%(790人・県内2位)農業所得者1.6%(326人・県内2位・同率関川村)・その他17.9%(3,673人)の 分散型所得構成(県内で唯一の給与依存度80%未満)
  • 1人当たり住民税(実額)約 8.1万円(81,142円・県内 22位)・実効税率 3.1% は県内 15位(同率11市町村)・県平均3.2%を -0.1ポイント 下回る中位帯
  • 推計手取りは 309.6万円(県内 28位)・10年 +6.1万円(+2.0%) は県内 29位(下から2番目)・手取り転換率 60.4% は県内で新潟市(59.9%)に次ぐ 低い方から2位・農業型4市町村中で最低
  • 産業タイプは 農業型 で、主要業種1位 医療・福祉16.2%(4,207人)・2位 農業・林業16.1%(4,189人)18人差の近接同率・3位卸売業・小売業13.6%(3,543人)・第3次産業比率 66.2% は県内 3位・農業産出額 93.1億円 は県内 7位 で農業型4市町村中1位

移住検討者・佐渡島外読者・地域理解志向への読み方(判断材料)

  • 移住検討者(島暮らし・農業就業・医療福祉就業を検討): 257.9万円は県平均を下回るが県30位津南町とは+1.2万円の近接・農業型4市町村中3位で規模指標では単独1位・実効税率3.1%県内15位(同率11市町村)で中位帯・給与所得者比率76.6%は県内唯一の80%未満で島内では給与以外の所得源も選択肢・主要業種1位医療・福祉16.2%(4,207人)・2位農業・林業16.1%(4,189人)・3位卸売業・小売業13.6%(3,543人)の分散型雇用構造・手取り転換率60.4%は県内で低い方から2位。生活コスト・離島の生活条件は別データで要照合
  • 佐渡島外からの読者(島の暮らし・所得水準を知りたい): 佐渡島全島を1市が占める単独圏(新潟県2つの離島単独圏の一つ)・農業型ラベルなのに主要業種1位は医療・福祉16.2%×2位農業・林業16.1%の18人差近接同率・農業産出額93.1億円県内7位で農業実績は県内上位帯・総就業者-18.0%の大幅減少と納税義務者-8.52%の並行縮小・分散型所得構成(給与76.6%・農業1.6%・営業3.9%・その他17.9%)は県内で唯一のパターン
  • 地域理解志向の読者: 農業型4市町村中で規模最大(総額の77.7%を単独占有)×1人当たり所得3位×手取り転換率60.4%県内2位で低い(農業型内で最低)×前半+2.29%→後半+5.14%の後半増加型×課税対象所得マイナスは県内3市町村のみ(加茂・関川・佐渡)×推計手取り変化率+2.0%県内29位(下から2番目)

派生指標で見える意外な観察

  • 農業型4市町村中で佐渡市が総額の約77.7%を単独占有(528.9/約680.9億円)。次点津南町(97.4億円)との差 約5.4倍 で、農業型4市町村の圧倒的最大規模
  • 給与所得者比率76.6%は県内で唯一の80%未満(単独同率グループ)。次点粟島浦村(76.8%)との差0.2ポイントだが、両離島(佐渡・粟島浦)が県内下位2位を占める共通構造
  • 農業所得者比率1.6%は県内2位(同率関川村・佐渡市) で、農業型4市町村中で農業所得者絶対数は 佐渡326人が圧倒的1位(津南114人・関川31人・粟島浦0人)
  • 営業等所得者比率3.9%は県内2位 で、粟島浦村12.0%(1位ダントツ)を除くと県内上位帯の位置関係
  • その他所得者比率17.9%は県内でも高水準(給与所得者比率の低さと対応・分散型所得構成の一部)
  • 実効税率3.1%は県内15位・同率11市町村(聖籠・胎内・弥彦・見附・十日町・魚沼・阿賀野・田上・五泉・加茂・佐渡)で県平均3.2%とほぼ同水準
  • 手取り転換率60.4%は県内で新潟市59.9%に次ぐ低い方から2位で、農業型4市町村中で最低(関川72.7→津南67.9→佐渡60.4)
  • 推計手取り変化率+2.0%は県内29位(下から2番目) で粟島浦村-3.4%(30位・唯一のマイナス)の1つ上、県内で+2%程度しか手取りが増えていないのは佐渡・粟島浦の2市町村のみ
  • 課税対象所得10年変化率-1.6%は県内28位 で、県内でマイナスは加茂-4.1%・関川-3.2%・佐渡-1.6%の3市町村のみ
  • 1人当たり所得順位28位×課税対象所得ランキング13位×納税義務者数ランキング12位の15〜16ランク乖離(規模は中位×1人当たりは下位帯)
  • 前半5年+2.29%は農業型4市町村中3位(関川6.67→津南3.84→佐渡2.29→粟島浦-10.16)
  • 後半5年+5.14%は農業型4市町村中3位(粟島浦12.13→関川7.79→津南5.89→佐渡5.14)
  • 前半後半差+2.85ポイントは後半増加型(前半下位・後半で持ち直す・津南町の+2.05ptに近いパターン)
  • 納税義務者数10年-8.52%は農業型4市町村中2位の減少率(関川-15.84→佐渡-8.52→津南-6.65→粟島浦+16.82)
  • 総就業者数10年-18.0%は県内でも最大級の減少(阿賀町-18.2%とほぼ同水準)
  • 主要業種1位医療・福祉16.2%(4,207人)と2位農業・林業16.1%(4,189人)の18人差近接同率 は農業型4市町村の中で唯一の医療・福祉1位
  • 第3次産業比率66.2%は県内3位(湯沢80.8%・新潟73.2%・佐渡66.2%の並び)で島内サービス業比重が高水準
  • 農業産出額93.1億円は県内7位・農業型4市町村中1位(関川16.9→粟島浦0.0→佐渡93.1→津南59.9の順で佐渡が単独最大)
  • 1人当たり住民税約8.1万円は県内22位 で分母(1人当たり所得28位)より6ランク上位・実効税率順位15位は分母より13ランク上位
  • 1人当たり所得ベースの後半増加型と、推計手取りベースの後半減速型(前半+1.5%→後半+0.5%)が逆方向 に動く数値関係
  • 県内2つの離島単独圏(佐渡・粟島浦) で規模は佐渡が粟島浦の約164倍(納税義務者20,508人 vs 125人)だが、1人当たり所得順位では佐渡28位>粟島浦22位で 佐渡のほうが6ランク下位

この記事の執筆・データについて

執筆: 新潟データ(新潟県在住の個人運営)
データ基準日: 令和5年度(2023年度)市町村税課税状況等の調べ/国勢調査 令和2年/工業統計調査 令和4年/市町村別農業産出額(推計)令和4年
更新日: 2026-08-27
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データの利用について: https://niigata-data.com/privacy-policy/

本記事は公的統計を整理・解釈したデータ記事です。専門的な投資助言・移住助言・税務相談ではありません。移住・就職・事業判断等の重要な意思決定にあたっては、原典データおよび該当分野の専門家にご確認ください。


出典

  • 1人当たり課税対象所得・所得割納税義務者数・住民税(所得割)実額・所得種類別納税義務者数:
    総務省(市町村税課税状況等の調べ 令和5年・平成30年・平成25年)
  • 産業別就業者数・産業タイプ・主要業種1〜3位・総就業者数:
    総務省(国勢調査 令和2年)
  • 製造業従業者数・現金給与総額・製造品出荷額・付加価値額・1人あたり付加価値額:
    経済産業省(工業統計調査 令和4年)
  • 農業産出額:
    農林水産省(市町村別農業産出額(推計)令和4年)

推計値について:
本記事の「推計手取り」は総務省 課税対象所得から社会保険料・所得税・住民税を控除した試算値です。
想定料率:

  • H25:厚生年金 8.737%/健保 4.985%/雇保 0.5%
  • H30:厚生年金 9.15%/健保 5.0%/雇保 0.3%
  • R5:厚生年金 9.15%/健保 5.0%/雇保 0.6%
    (協会けんぽ新潟県の概算率を使用)
    控除モデル:基礎控除(H25・H30: 38万、R5: 48万)・配偶者控除・扶養控除1人・社会保険料控除
    データ基準日:令和5年度(2023年度)・平成30年度(2018年度)・平成25年度(2013年度)
    次回更新推奨:令和10年度(2028年度)データ公表後

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