長岡市の1人当たり所得は県内3位(302.5万円)|10年変化率17位・製造業集積型・中越圏1位の中核市データ(R5年度)

市町村

長岡市(新潟県中越地域・人口約25万人)は、中越圏12市町村中 1位 の1人当たり課税対象所得を持つ中核市です。R5年度の1人当たり所得は 302.5万円(県内 3位)で、県平均を+25.4万円上回ります。ただし10年変化率は +11.5%(+31.2万円・県内17位) で、額の3位と変化率の17位に14ランクの乖離 が観察できます。中越No.1の水準と、上位主要3市に共通する「高水準・低成長」パターンが、この乖離に重なって現れる構造です。

産業構造は、主要業種1位の製造業21.3%に加え、卸売業16.5%・医療福祉13.1%が続き、3業種いずれも就業者の10%以上を占める複合中枢(3業種合計51.0%)です。給与所得者比率 82.6%(県内で同率のない単独水準)・実効税率 3.3%(8市町村同率)・推計手取り 353.3万円(県内3位)で、25万人規模の中越圏中核市固有の所得構造が観察できます。

この記事は、総務省「市町村税課税状況等の調べ」ほかの公的統計をもとに、長岡市の所得水準・10年変化・産業構造との対応・中越圏内での位置づけ・移住検討者/事業者への読み方までを、記事単体で判断材料が読み取れる構造で整理したものです。


この記事でわかること

  • R5年度の1人当たり課税対象所得は 302.5万円(県内 3位/30市町村中)・県平均+25.4万円・県中央値+29.2万円
  • H25→R5の10年変化は +11.5%(+31.2万円) で、変化率順位は県内 17位(上越市と同率)
  • 所得割納税義務者 126,054人(県内シェア12.31%・県内2位)のうち 82.6%が給与所得者、農業所得者は0.3%
  • 1人当たり住民税(所得割)は約 10.02万円・実効税率 3.3%(8市町村同率・分母が3位のため実額は県内3位)
  • 推計手取りはH25の334.2万円からR5の 353.3万円+19.1万円(+5.7%)・変化率順位は県内12位
  • 主要業種は製造業21.3%・卸売業16.5%・医療福祉13.1%の 3業種10%以上構造、製造業集積型で分類
  • 中越圏12市町村では 1位、中越圏内の所得幅は45.8万円で県全体格差の約7割を占める

① 中越No.1中核市・額と変化率の乖離——サマリーで見る長岡の位置

長岡市は中越圏12市町村中1位(1人当たり所得302.5万円)を占める25万人規模の中核市です。この首位性と、額(3位)と10年変化率(17位)の14ランク乖離という2つの主題を軸に、長岡市の住民所得の全体像を数値で確認します。

指標数値県内順位(30市町村中)
1人当たり課税対象所得302.5万円3位
所得割納税義務者数126,054人2位
課税対象所得(総額)約3,812.9億円2位

※出典:総務省(市町村税課税状況等の調べ 令和5年)

1人当たり所得は県内3位です。一方で所得割納税義務者数・課税対象所得総額はいずれも新潟市に次ぐ県内2位で、規模指標(人数・総額)と1人当たり指標で順位に差があります。県平均(277.1万円)を+25.4万円、県中央値(273.3万円)を+29.2万円上回っています。所得割納税義務者数の県内シェアは12.31%、課税対象所得総額のシェアは12.46%で、新潟市(シェア約32%)に次ぐ規模の中核市に相当します。

数値の意味(データから読み取れる範囲):

規模指標2つと1人当たり指標1つで順位差があるという構造は、長岡市が「県内主要3市(新潟市・上越市・長岡市)の一角として県平均を大きく上回る所得水準を持ちつつ、上位2市(新潟市・上越市)との差は数万円圏内」に位置していることを示す観察です。県内で1人当たり所得が長岡市を上回るのは新潟市(+17.0万円)と上越市(+2.9万円)の2市に限られます。


▼【グラフ:nagaoka_県内ランキング.png 新潟県30市町村 1人当たり課税対象所得ランキング(R5年度・長岡市を強調)】


② 県内順位と中越圏内での位置づけ|県内3位・県平均+25.4万円で県内主要3市の一角

R5年度の1人当たり課税対象所得の県内上位10市町村を確認します。

順位市町村1人当たり所得10年変化率変化率順位地域
1位新潟市319.5万円+11.3%20位下越
2位上越市305.4万円+11.5%17位(同率)上越
3位長岡市302.5万円+11.5%17位(同率)中越
4位燕市300.8万円+15.6%4位下越
5位三条市297.9万円+13.9%9位中越
6位柏崎市292.8万円+8.8%26位中越
7位刈羽村292.5万円+7.2%29位中越
8位糸魚川市286.6万円+15.0%6位上越
9位妙高市284.3万円+11.7%15位上越
10位新発田市283.9万円+11.7%15位(同率)下越
  • 県平均:277.1万円(長岡市 +25.4万円)
  • 県中央値:273.3万円(長岡市 +29.2万円)
  • 県30位・津南町:256.7万円(長岡市との差 +45.8万円)

長岡市の1人当たり所得は上位10位中で3番目に高い水準にあります。一方10年変化率+11.5%は上位10市町村の中で7番目(上越市と同率17位)で、額の順位と変化率の順位が乖離しています。上位10位で長岡市より変化率が低いのは新潟市・柏崎市・刈羽村の3市町村のみです。

中越圏12市町村内での位置づけ

長岡市は中越12市町村(三条市・柏崎市・刈羽村・湯沢町・小千谷市・南魚沼市・見附市・出雲崎町・十日町市・魚沼市・津南町)で1人当たり所得 1位、県内順位でも上位3位に位置します。中越の他11市町村の県内順位は5位(三条市)から30位(津南町)まで分布し、圏内は県内順位で 3〜30位の全域 に広がる分布です。

数値の意味(データから読み取れる範囲):

同じ「地域内1位」でも、下越(新潟市が1位・地域内13市町村・県内順位1〜29位)や上越(上越市が1位・地域内3市町村・県内順位2〜9位)と比較して、中越は地域内格差が大きい観察となります。長岡市(納税義務者12.6万人)と中越圏2位の三条市(同4.4万人)では規模差が約2.9倍あり、長岡市は中越圏の中核市として周辺市町村と広い規模差を持って位置づけられています。


③ 10年間の推移と「所得は3位・変化率は17位」の乖離

過去10年間(H25→H30→R5)の住民所得の変化を確認します。

年度1人当たり課税対象所得所得割納税義務者数課税対象所得(総額)
H25年度(2013年度)271.2万円124,688人約3,382.2億円
H30年度(2018年度)285.0万円125,868人約3,586.8億円
R5年度(2023年度)302.5万円126,054人約3,812.9億円
10年変化(H25→R5)+31.2万円(+11.5%)+1,366人(+1.1%)+430.7億円(+12.7%)

前半(H25→H30)の1人当たり所得の変化率は+5.06%、後半(H30→R5)は+6.15%で、後半5年の変化幅のほうが1.09ポイント大きくなっています。所得割納税義務者数は10年で+1,366人(+1.1%)と微増、課税対象所得総額は+430.7億円(+12.7%)増加しています。

「所得は3位・変化率は17位」の乖離14ランクの観察

R5の1人当たり所得ランキングは県内3位、10年変化率ランキングは県内17位で、その差は 14ランク です。県内主要3市の変化率順位を並べると、新潟市20位・上越市17位(長岡市と同率)・長岡市17位で、いずれも上位10位内で相対的に低位にあります。これに対し4〜8位の燕市(変化率4位)・三条市(同9位)・糸魚川市(同6位)は「額の順位も変化率順位も上位」で、乖離が小さい構成です。

上位10位に含まれる10市町村を「額と変化率の乖離」で分類すると:

  • 乖離が大きい上位グループ(額上位・変化率下位):新潟市・上越市・長岡市・柏崎市・刈羽村
  • 乖離が小さい上位グループ(額上位・変化率も上位):燕市・三条市・糸魚川市・妙高市・新発田市

長岡市は前者に属し、上越市と変化率+11.5%で完全同率(2市同率グループ)です。

数値の意味(データから読み取れる範囲):

10年変化率17位(同率上越市)という順位は、県内主要3市(新潟・上越・長岡)が「高い所得水準を保有する一方、10年の伸び幅は上位グループの中で相対的に鈍化している」という共通パターンに属することを示す観察です。長岡市はその中で額の順位(3位)が最も低いため、乖離ランク差(14ランク)が主要3市で最大となります。因果関係の断定ではなく、額と変化率の順位パターンの分布を観察したものです。


▼【グラフ:nagaoka_所得推移.png 長岡市の1人当たり課税対象所得の推移(H25→H30→R5)】


④ 所得種類別の内訳(給与所得者82.6%の構造)

所得割納税義務者の所得源泉の内訳を確認します。

所得区分納税義務者数比率
給与所得者104,115人82.6%
営業等所得者3,643人2.9%
農業所得者422人0.3%
その他17,874人14.2%
合計126,054人100%

給与所得者が82.6%を占めています。営業等所得者は2.9%、農業所得者は0.3%、その他(年金所得等を含む)は14.2%です。給与所得者比率82.6%は県内12位で、同じ比率を持つ市町村は県内に他にありません(長岡市の単独水準)。上位10位の中では新潟市(81.9%・16位)より高く、燕市(84.9%)より低い水準にあります。

数値の意味(データから読み取れる範囲):

給与所得者比率82.6%が県内で同率のない単独の値であるという観察は、長岡市の所得構成が「新潟市より給与所得者に傾斜し、燕市・三条市より非給与所得者の比重を残す」中間的な水準に位置していることを示すデータです。営業等所得者3,643人は県内2位の規模、農業所得者0.3%は上越市・妙高市と同率3市グループで、県内主要3市のうち2市(新潟市を除く)がこの同率に含まれます。

農業所得者比率0.3%は低い水準ですが、長岡市の農業産出額は172.1億円で県内4位の規模があります。就業形態と所得申告の関係で、農業由来の生活水準は課税対象所得に完全には反映されない可能性があります(⑨データの見方参照)。


▼【グラフ:nagaoka_所得種類別.png 長岡市の所得種類別 所得割納税義務者数(R5年度)】


⑤ 推計手取りと住民税・実効税率|実効税率3.3%(8市町村同率・分母3位で実額は県内3位)

住民税(所得割)の実額と、社会保険料・所得税を含む推計手取りの10年推移を確認します。

住民税(所得割)の推移

住民税(所得割)の実額は、総務省「市町村税課税状況等の調べ」第11表の所得割額を所得割納税義務者数で割って算出しました。

年度1人当たり住民税(所得割)実効税率(住民税÷課税対象所得)
H25年度(2013年度)約9.5万円(94,831円)3.5%
H30年度(2018年度)約9.9万円(98,870円)3.5%
R5年度(2023年度)約10.02万円(100,246円)3.3%
10年変化+0.5万円(+5.7%)-0.2ポイント

R5の実効税率3.3%は県内3位(新潟市4.5%・粟島浦村3.4%に次ぐ)ですが、3.3%は 8市町村同率(上越市・長岡市・燕市・三条市・柏崎市・刈羽村・糸魚川市・湯沢町)で並んでいます。同率8市町村のうち、分母(1人当たり課税対象所得)が県内3位に位置するのは長岡市のみで、1人当たり住民税の実額としても県内3位となっています。

この期間には令和2年の税制改正で住民税の基礎控除が33万円から43万円に引き上げられており、実効税率のH25/H30の3.5%からR5の3.3%への△0.2ポイントの変化幅が、改正時期と対応するタイミングで観察されます(改正が原因であるという断定はしません)。

推計手取りの推移

課税対象所得(給与所得)から給与所得控除の計算式で給与収入を逆算し、各年度の公式保険料率・税制を用いて手取りを試算しました。

項目H25(2013年度)H30(2018年度)R5(2023年度)10年変化
課税対象所得(給与所得)271.2万円285.0万円302.5万円+31.2万円
推定給与収入(※1)約406.6万円約423.7万円約433.1万円+26.5万円
ー 社会保険料(※2)57.8万円61.2万円63.9万円+6.1万円
ー 所得税(※3)5.1万円5.6万円5.9万円+0.8万円
ー 住民税(実額)9.5万円9.9万円10.02万円+0.5万円
推計手取り約334.2万円約347.0万円約353.3万円+19.1万円(+5.7%)

推計手取り353.3万円は県内 3位、推計手取り変化率+5.7%は県内 12位 で、額と変化率の順位に 9ランクの乖離 があります。1人当たり所得における14ランクの乖離と同型(額上位・変化率相対的下位)のパターンが、推計手取りでも観察されます。

推定給与収入(額面)の10年増加+26.5万円のうち、税・社会保険料の増加を差し引いた後に手取りとして残る割合は 72.1%(手取り転換率)です。残り約28%は社会保険料の増加(+6.1万円)・所得税増(+0.8万円)・住民税実額増(+0.5万円)に吸収されています。

※1 給与収入は課税対象所得(給与所得)から各年度の給与所得控除(所得税法の計算式)で逆算した推定値です。
※2 社会保険料は厚生年金(公式保険料率)・健康保険(協会けんぽ新潟県の概算率)・雇用保険(公式料率)を使用。保険料率はH25:厚生年金8.737%・健保4.985%・雇保0.5%、H30:厚生年金9.15%・健保5.0%・雇保0.3%、R5:厚生年金9.15%・健保5.0%・雇保0.6%で試算。
※3 所得税は「給与所得 − 基礎控除(H25・H30: 38万、R5: 48万)− 社会保険料控除 − 配偶者控除 − 扶養控除1人」を課税標準として試算。実際の控除状況・家族構成によって大きく異なります。


⑥ 製造業21.3%+卸売業16.5%+医療福祉13.1%の複合中枢——単一業種依存が低い3業種10%以上構造

長岡市の産業構造の特徴は、単一業種に依存せず、主要3業種いずれも就業者の10%以上を占める複合中枢型である点にあります。この「単一業種依存が低い3業種10%以上構造」を軸に、産業構造と所得水準の対応関係を複数データで観察します。

産業タイプと就業構造

長岡市は産業構造マスター(総務省 国勢調査 令和2年)で 製造業集積型 に分類されています。

産業別就業者比率(2020年)は第1次産業3.4%・第2次産業30.3%・第3次産業64.6%です。総就業者数は128,543人で県内2位、10年変化率は△7.7%です。主要業種は1位が製造業(21.3%・27,370人)、2位が卸売業・小売業(16.5%・21,166人)、3位が医療・福祉(13.1%・16,837人)で、3業種いずれも就業者の10%以上を占めます。

「単一業種依存が低い3業種10%以上構造」の観察

長岡市の主要業種構成の最大の特徴は、製造業21.3%・卸売業16.5%・医療福祉13.1%と、上位3業種いずれも就業者の10%以上を占める点にあります。3業種合計で就業者の 51.0% を占め、単一業種に集中せず3業種で複合的に構成される構造が観察できます。

この構造を上位10位内の 製造業集積型6市町村(長岡市・三条市・燕市・柏崎市・糸魚川市・刈羽村)と対比すると、主要業種1位(=製造業)比率は燕市35.2% > 三条市28.8% > 柏崎市22.5% > 刈羽村22.4% > 長岡市21.3% > 糸魚川市21.2%で、長岡市は下位2番目に位置します。単一業種集中度が6市町村の中で低い側にあることが確認できます。

三条市(製造業28.8%+卸売業19.0%+医療福祉11.3%)や燕市(製造業35.2%+卸売業17.8%)と対比すると、長岡市は2位卸売業16.5%・3位医療福祉13.1%と2位・3位業種にも10%以上の比重を持ち、3業種10%以上構造という点で、上位10位内の製造業集積型6市町村の中でも特徴が異なる構成です。25万人規模の中核市として商業機能(卸売業)と医療福祉機能が製造業と並列して集約されている構造の観察となります。

規模指標と効率指標の順位乖離

製造業関連の指標(経済産業省 工業統計調査 令和4年)は次の通りです。

指標数値県内順位
製造業従業者数25,045人上位圏
現金給与総額約982.9億円上位圏
製造品出荷額約6,571.2億円2位
付加価値額約2,563.5億円3位
1人あたり付加価値額1,024万円15位

規模指標(出荷額2位・付加価値額3位)と効率指標(1人あたり付加価値額15位)で 12〜13ランクの順位差 があります。規模の大きさと1人あたり効率が同一順位帯に並ばないという構造の観察です。

なお1人あたり付加価値額の1,024万円は 製造業事業所ベースの分母 で算出された指標で、住民所得の1人当たり課税対象所得302.5万円(所得割納税義務者ベース)とは分母が異なる別の指標です。

数値の意味(データから読み取れる範囲):

長岡市の産業構造は「単一業種依存が低い3業種10%以上構造」と「規模上位・1人あたり効率中位」の2つの特徴を持ちます。25万人規模の中核市として商業機能(卸売業)と医療福祉機能が集約されている構造の観察です。ただしこれらは所得水準との相関の観察であり、産業構造が住民所得を決定しているという因果関係を意味するものではありません。


⑦ 中越圏12市町村の内部分化と長岡の中核性——首位性の構造分析|圏内格差45.8万円は県格差62.8万円の約73%

中越12市町村の県内順位は3位から30位まで、県30市町村中の順位分布の全域に広がり、圏内内部で大きな分化が観察できます。この分化構造の中で、長岡市がどのように中核市として首位性を占めているかを、複数指標で構造的に分析します。

長岡市の首位性——中越圏12市町村の1人当たり所得ランキング

圏内順位市町村1人当たり所得県内順位
1位長岡市302.5万円3位
2位三条市297.9万円5位
3位柏崎市292.8万円6位
4位刈羽村292.5万円7位
5位湯沢町282.6万円11位
6位小千谷市281.3万円12位
7位南魚沼市274.8万円14位
8位見附市271.3万円17位
9位出雲崎町267.4万円18位
10位十日町市266.6万円19位
11位魚沼市266.2万円20位
12位津南町256.7万円30位

長岡市は中越圏12市町村中1位(302.5万円・県内3位)で、中越圏で1人当たり所得が長岡市を上回る市町村はなく、圏内首位は単独の位置です。「中越圏内1位」を保有するのは長岡市のみで、その位置は中越圏内が県内3位〜30位に分布する広い範囲の最上位に相当します。

中越圏内の内部分化——県内順位3〜30位の広い分布

中越12市町村の県内順位は 3位(長岡市)から30位(津南町)まで、県30市町村中の順位分布の全域 に広がっています。圏内の1人当たり所得幅は、長岡市302.5万円(圏内1位・県内3位)から津南町256.7万円(圏内12位・県内30位)まで差 45.8万円 で、県内格差幅(1位新潟市319.5万円と30位津南町256.7万円の差 62.8万円)の約 73% が中越圏内で発生している計算になります。県格差の大半が中越圏内で発生している構造の観察です。

3地域の分布幅を比較すると、中越の広さが際立ちます:

  • 下越(13市町村):新潟市が県内1位・地域内で県内順位1〜29位に分布
  • 中越(12市町村):長岡市が県内3位・地域内で県内順位3〜30位に分布(分布幅が広い)
  • 上越(3市町村):上越市が県内2位・地域内で県内順位2〜9位に分布(分布幅が狭い)

規模指標でみる中核性——納税義務者2.9倍差・総就業者県内2位

長岡市の所得割納税義務者数は126,054人で、中越圏2位の三条市(約4.4万人規模)と約 2.9倍 の規模差があります。総就業者数128,543人は県内2位で、中越圏内では最大です。1人当たり所得の首位性に加えて、規模指標でも圏内他11市町村と広い規模差を持って位置しています。

数値の意味(データから読み取れる範囲):

長岡市の中核性は「1人当たり所得の圏内1位」と「規模指標で圏内他市町村と2.9倍以上の差」の2軸で構成されています。中越圏内が県内順位3〜30位に広く分化する分布の中で、長岡市はその最上位に位置し、25万人規模の労働力・商業機能を圏内から集約している構造の観察です。他29市町村では成立しない、25万人規模の中越圏中核市固有の位置づけです。


⑧ 移住検討者・事業者への読み方

本章は「長岡市 移住」「長岡市 平均年収」「長岡市 製造業 平均年収」等の検索意図に対する、データから読み取れる判断材料の整理です。個別の意思決定を代替するものではありません。

移住検討者への読み取り材料

読み取り材料データ根拠
中越圏で1位の1人当たり所得水準302.5万円・中越12市町村中1位・県内3位
県平均+25.4万円・県中央値+29.2万円県平均277.1万円・県中央値273.3万円との差
給与所得者中心の街給与所得者比率82.6%(県内単独水準)・給与所得者104,115人
製造業関連の就業機会総就業者128,543人(県内2位)のうち製造業27,370人(21.3%)、工業統計 製造業従業者数25,045人
推計手取りは県内3位水準推計手取り353.3万円・R5想定料率による試算値
生活コストとの照合が必要1人当たり所得順位は所得側面のみ・家賃/物価/通勤環境は別データを要参照

事業者への読み取り材料

読み取り材料データ根拠
製造業BtoB市場:出荷額 約6,571.2億円(県内2位)工業統計 製造品出荷額_2022
中越圏の商圏中核(総就業者数県内2位)総就業者128,543人・納税義務者126,054人
3業種10%以上構造(製造業21.3%+卸売業16.5%+医療福祉13.1%)主要業種1〜3位比率・合計51.0%
中越圏内の規模差約2.9倍長岡市126,054人 vs 中越圏2位三条市44,302人
規模指標と効率指標の順位差出荷額2位/付加価値額3位/1人あたり付加価値額15位

研究者・地域理解への読み取り材料

読み取り材料データ根拠
額と変化率の順位乖離14ランク(3位 vs 17位)1人当たり所得ランキング3位・変化率ランキング17位
推計手取りでも同型の乖離9ランク(3位 vs 12位)推計手取り3位・推計手取り変化率12位
県内主要3市共通の「高水準・低成長」パターン変化率順位20位(新潟市)・17位(上越市)・17位(長岡市)
単一業種集中度の低さ(3業種10%以上構造)製造業21.3%+卸売業16.5%+医療福祉13.1%=51.0%
中越圏格差45.8万円は県格差幅の約73%圏内格差45.8万円/県格差62.8万円

⚠️ 上記は「データから読み取れる範囲での判断材料」であり、投資助言・移住助言・個別の意思決定を代替するものではありません。


⑨ データの見方・注意点

順位=豊かさではありません

1人当たり課税対象所得の順位は、後述する複数の解釈上の制約を含んだ指標に基づいています。順位が高いことをもって「豊かな地域」「移住すべき地域」等の価値判断を行うことはできません。順位はあくまで所得割の課税ベース上の数値の相対比較です。

課税対象所得は手取り収入ではありません

課税対象所得(合計所得金額)は、給与・事業・農業などの各所得から給与所得控除等の所得種別の控除を差し引いた所得の合計です。ここからさらに基礎控除・社会保険料控除・配偶者控除・扶養控除等を差し引いた額が住民税・所得税の課税標準となります。課税対象所得と実際の手取り収入は異なります。

推計手取りの計算モデル

⑤の推計手取りは、給与所得控除の計算式で給与収入を逆算し、公式保険料率と概算率を用いた試算値です。想定料率(協会けんぽ新潟県の概算率)と控除モデル(基礎控除・配偶者控除・扶養控除1人)は記事末の「出典」欄に明示しています。実際の手取りは家族構成・扶養控除・iDeCo/生命保険料控除等の個別事情で大きく変動します。

農業地域では過小表示になる場合があります

農業所得は申告による実額ですが、自家消費・現物収入は含まれない場合があります。農業主体の市町村では、1人当たり課税対象所得が実態の生活水準より低く見える可能性があります。長岡市の農業所得者比率は0.3%と低いですが、農業産出額は172.1億円(県内4位)と規模があり、就業形態と所得申告の関係で農業由来の生活水準が課税対象所得に完全には反映されない可能性があります。

所得割納税義務者は全住民ではありません

課税対象所得が控除額を下回る場合(所得が低い・年金受給のみ等)は所得割の納税義務者に含まれません。R5年度の長岡市の所得割納税義務者数は126,054人で、これは全人口とは異なります。高齢化が進んだ市町村では分母が小さくなり、1人当たり所得が見かけ上高くなる場合があります。

1人あたり付加価値額と1人当たり所得の混同注意

⑥で提示した1人あたり付加価値額 1,024万円は 製造業事業所ベース の指標で、住民所得の1人当たり課税対象所得302.5万円(所得割納税義務者ベース)とは分母が異なる別の指標です。両者を同一の「1人あたり所得」として扱うことはできません。


まとめ

長岡市の住民所得の特徴(データから読み取れる範囲)

  • 1人当たり課税対象所得は 302.5万円 で県内 3位/30市町村中(R5年度)。県平均+25.4万円・県中央値+29.2万円
  • H25→R5の10年で +11.5%(+31.2万円)。前半(H25→H30: +5.06%)・後半(H30→R5: +6.15%)で後半のほうが変化幅が大きい
  • 所得割納税義務者126,054人(県内シェア12.31%・県内2位)のうち 82.6%が給与所得者(県内で同率のない単独水準)、農業所得者は0.3%
  • 1人当たり住民税(実額)はH25の9.5万円からR5の10.02万円へ+0.5万円。実効税率3.3%(8市町村同率・分母3位のため実額は県内3位)
  • 推計手取りは10年で 約19.1万円増加(+5.7%)。給与収入増+26.5万円のうち 72.1% が手取りに転換
  • 産業タイプは 製造業集積型、主要3業種(製造業21.3%+卸売業16.5%+医療福祉13.1%)でいずれも10%以上の3業種10%以上構造

移住検討者・事業者への読み方(判断材料)

  • 移住検討者: 中越圏で最上位の所得水準・給与所得者中心・製造業関連の就業機会が県内2位規模・生活コストは別データで要照合
  • 事業者: 製造業BtoB市場(出荷額県内2位)・中越圏の商圏中核・単一業種依存が低い産業構造
  • 研究者・地域理解: 額と変化率の14ランク乖離・県内主要3市共通の「高水準・低成長」パターン・中越圏格差45.8万円

派生指標で見える意外な観察

  • 1人当たり所得3位 ですが 10年変化率は17位(上越市と同率)で 14ランクの乖離。上位10位で長岡市より変化率が低いのは新潟市・柏崎市・刈羽村の3市町村のみ
  • 推計手取り3位 ですが 推計手取り変化率は12位9ランクの乖離。1人当たり所得と同型のパターン
  • 給与所得者比率82.6%は県内で同率のない単独水準(12位)。同じ製造業集積型の燕市(84.9%)より低く、新潟市(81.9%・16位)より高い
  • 実効税率3.3%は8市町村同率グループ(上越・長岡・燕・三条・柏崎・刈羽・糸魚川・湯沢)。同率グループ内で分母が県内3位のため1人当たり住民税実額としては上位
  • 中越圏格差45.8万円は県格差幅62.8万円の約73% で、下越・上越と比べて中越圏内の所得分布が広い

この記事の執筆・データについて

執筆: 新潟データ(新潟県在住の個人運営)
データ基準日: 令和5年度(2023年度)市町村税課税状況等の調べ/国勢調査 令和2年/工業統計調査 令和4年/市町村別農業産出額(推計)令和4年
更新日: 2026-09-05
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本記事は公的統計を整理・解釈したデータ記事です。専門的な投資助言・移住助言・税務相談ではありません。移住・就職・事業判断等の重要な意思決定にあたっては、原典データおよび該当分野の専門家にご確認ください。


出典

  • 1人当たり課税対象所得・所得割納税義務者数・住民税(所得割)実額・所得種類別納税義務者数:
    総務省(市町村税課税状況等の調べ 令和5年・平成30年・平成25年)
  • 産業別就業者数・産業タイプ・主要業種1〜3位・総就業者数:
    総務省(国勢調査 令和2年)
  • 製造業従業者数・現金給与総額・製造品出荷額・付加価値額・1人あたり付加価値額:
    経済産業省(工業統計調査 令和4年)
  • 農業産出額:
    農林水産省(市町村別農業産出額(推計)令和4年)

推計値について:
本記事の「推計手取り」は総務省 課税対象所得から社会保険料・所得税・住民税を控除した試算値です。
想定料率:

  • H25:厚生年金 8.737%/健保 4.985%/雇保 0.5%
  • H30:厚生年金 9.15%/健保 5.0%/雇保 0.3%
  • R5:厚生年金 9.15%/健保 5.0%/雇保 0.6%
    (協会けんぽ新潟県の概算率を使用)
    控除モデル:基礎控除(H25・H30: 38万、R5: 48万)・配偶者控除・扶養控除1人・社会保険料控除
    データ基準日:令和5年度(2023年度)・平成30年度(2018年度)・平成25年度(2013年度)
    次回更新推奨:令和10年度(2028年度)データ公表後

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