貸家ゼロの町・分譲ゼロの町|新潟県30市町村・新しい住まいの選択肢がない自治体(R5年度)

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新潟県30市町村のうち、R5年度に新築の賃貸物件(貸家)が1戸も建たなかった自治体は12市町村(岩船郡合算で11エントリ)
新築の分譲マンション・分譲住宅が1戸も建たなかった自治体は8市町村(岩船郡合算で7エントリ)にのぼります。

このうち貸家も分譲も両方0の「マイホームしか建たない町」は7エントリ(刈羽・弥彦・出雲崎・田上・阿賀・津南+岩船郡合算)で、
6町村では持家比率が100.0%、岩船郡だけは給与住宅(社宅・寮)が半分近くを占めています。

貸家0の中で唯一「合計100戸超」に位置するのが見附市(103戸)
H25では貸家38戸・H30では68戸あった貸家が、R5でゼロに落ちました。

一方で、湯沢町は貸家0ながら給与住宅比率53.3%(県内最高)
岩船郡(関川村+粟島浦村)も給与住宅比率47.1%と、
「借り家という商品は建たないが、雇用主が用意する住まいだけは供給されている」構造が見えます。

この記事では、国土交通省「建築着工統計調査」をもとに、
R5年度に「新しい住まいの選択肢」がなかった自治体を整理します。

※岩船郡(関川村+粟島浦村)は原データが分離できないため、両村を1行に統合しています。


この記事でわかること

  • R5年度の新設住宅着工で貸家(賃貸アパート・マンション)が0戸だったのは12市町村(岩船郡合算で11エントリ)分譲(分譲マンション・分譲住宅)が0戸だったのは8市町村(岩船郡合算で7エントリ)にのぼります
  • 貸家0かつ分譲0の「マイホーム型自治体」は7エントリで、うち6エントリ(刈羽・弥彦・出雲崎・田上・阿賀・津南)は持家比率100.0%、岩船郡だけは給与住宅8戸を含む構成です
  • 貸家0の12市町村のなかで唯一「合計100戸超」なのが見附市(103戸)で、H25の貸家38戸・H30の貸家68戸から10年でゼロに落ちた急激な変化が見えます
  • 湯沢町(給与比率53.3%)・岩船郡合算(同47.1%)は貸家0でありながら、給与住宅(雇用主が用意する社宅・寮)が着工の半分前後を占める県内で特殊な構成です
  • 貸家0の12市町村は湯沢町と岩船郡合算以外はすべて10年で着工総数が減少しており、「新築の借り家が建たない」自治体は住宅市場そのものが縮小している自治体でもあります

① 貸家0の12市町村(岩船郡合算で11エントリ)

R5年度に「新築の賃貸アパート・マンション(貸家)」の着工がゼロだった12市町村です。岩船郡(関川村+粟島浦村)は1エントリに統合するため、実質11エントリになります。

市町村合計持家貸家給与分譲持家比率
見附市103戸93戸0戸0戸10戸90.3%
十日町市64戸62戸0戸1戸1戸96.9%
妙高市62戸56戸0戸1戸5戸90.3%
田上町17戸17戸0戸0戸0戸100.0%
岩船郡(関川村+粟島浦村)17戸9戸0戸8戸0戸52.9%
湯沢町15戸6戸0戸8戸1戸40.0%
刈羽村10戸10戸0戸0戸0戸100.0%
阿賀町8戸8戸0戸0戸0戸100.0%
弥彦村6戸6戸0戸0戸0戸100.0%
出雲崎町5戸5戸0戸0戸0戸100.0%
津南町5戸5戸0戸0戸0戸100.0%
  • 11エントリのうち6エントリ(田上・刈羽・阿賀・弥彦・出雲崎・津南)が持家比率100.0%で、R5に建った住宅はすべて注文住宅(マイホーム)です
  • 見附市(103戸)だけが合計100戸を超え、他10エントリは最大でも十日町市の64戸にとどまります
  • 岩船郡・湯沢町は貸家0でありながら、給与住宅(社宅・寮)が8戸ずつあり、合計に占める割合が大きい構成です
  • 貸家0=賃貸市場が完全に止まったという意味ではなく、R5単年度で新築の貸家の着工がなかったという観察になります

▼【グラフ:h6_zero_rental.png 貸家0の12市町村(岩船郡合算11エントリ)】

※出典:国土交通省(建築着工統計調査 令和5年度)


② 分譲0の8市町村(岩船郡合算で7エントリ)

R5年度に「新築の分譲マンション・分譲住宅」の着工がゼロだった8市町村です。岩船郡合算で7エントリになります。

市町村合計持家貸家給与分譲
田上町17戸17戸0戸0戸0戸
岩船郡(関川村+粟島浦村)17戸9戸0戸8戸0戸
刈羽村10戸10戸0戸0戸0戸
阿賀町8戸8戸0戸0戸0戸
弥彦村6戸6戸0戸0戸0戸
出雲崎町5戸5戸0戸0戸0戸
津南町5戸5戸0戸0戸0戸
  • 分譲0の7エントリはすべて合計17戸以下の小規模町村です
  • 7エントリ全てで貸家も0戸で、「新築の借り家も、新築の建売・分譲マンションも建たない」自治体になります
  • 岩船郡以外の6エントリは持家100%で、給与住宅も0です

▼【グラフ:h6_zero_condo.png 分譲0の8市町村】

※出典:国土交通省(建築着工統計調査 令和5年度)


③ 両方0のマイホーム型自治体(貸家0かつ分譲0=7エントリ)

貸家0と分譲0を同時に満たす、いわゆる「マイホームしか建たない自治体」の7エントリです。②の表と完全に一致します。

市町村合計持家給与内訳の意味
田上町17戸17戸0戸全17戸が注文住宅(持家100%)
岩船郡(関川村+粟島浦村)17戸9戸8戸持家9戸+給与住宅8戸のみ
刈羽村10戸10戸0戸全10戸が注文住宅(持家100%)
阿賀町8戸8戸0戸全8戸が注文住宅(持家100%)
弥彦村6戸6戸0戸全6戸が注文住宅(持家100%)
出雲崎町5戸5戸0戸全5戸が注文住宅(持家100%)
津南町5戸5戸0戸全5戸が注文住宅(持家100%)
  • 7エントリのうち6エントリは持家100%で、R5に新築で選べる住まいの型は「注文住宅(マイホーム)」のみでした
  • 岩船郡だけは給与住宅(社宅・寮)が合計の47.1%(8戸/17戸)を占め、給与住宅を除けば残りは持家9戸のみという構造です
  • これらの自治体では、R5単年度に限れば、若い世帯・移住者が「新築の借り家に住む」「新築の建売を買う」という選択肢が事実上存在しなかったことになります
  • ただし着工は「供給側の数字」で、既存の中古物件(築年数の経った貸家・分譲)を含む住宅市場全体を示すものではありません

▼【グラフ:h6_both_zero.png 貸家も分譲も0の町(マイホーム型自治体)】

※出典:国土交通省(建築着工統計調査 令和5年度)


④ 見附市の例外|合計103戸で貸家0の唯一の中規模市

貸家0の11エントリのうち、合計が100戸を超えるのは見附市(103戸)だけです。他10エントリはすべて64戸以下、10戸未満の小規模町村が多数を占めるなかで、見附市の103戸は明らかに水準が違います。

見附市の内訳H25H30R5
着工合計205戸213戸103戸
持家150戸138戸93戸
貸家38戸68戸0戸
分譲16戸6戸10戸
持家比率73.2%64.8%90.3%
  • H25→R5の10年間で合計は-49.8%(205戸→103戸)、H30→R5の5年間で-51.6%(213戸→103戸)と半減しました
  • 特に貸家はH25で38戸・H30で68戸あった着工がR5でゼロに落ちており、貸家変化率H25→R5は-100%です
  • 持家比率はH25の73.2%からR5の90.3%へ上昇し、10年前は県平均並みだった「用途構成のバランス」が「持家+わずかな分譲」に絞られる方向へ動きました
  • 分譲は10戸残るため厳密には「持家100%型」ではないものの、「新築で選べる借り家がゼロ」という点では③のマイホーム型自治体と同じ性質です
  • 貸家0の他10エントリはいずれも人口が少ない町村ですが、見附市は人口38,061人の中規模市で同じ現象が起きている点が特徴です

※出典:国土交通省(建築着工統計調査 平成25年度・平成30年度・令和5年度)


⑤ 意外な観察4選

観察1:貸家0の12市町村は10年で全体もほぼ半減している

貸家0の12市町村の着工総数10年変化率(H25→R5)を並べると、湯沢町(+66.7%・H25は9戸→R5は15戸)と岩船郡合算(+142.9%・H25は7戸→R5は17戸)以外はすべてマイナスです。

  • 津南町:-83.9%
  • 弥彦村:-70.0%
  • 出雲崎町:-64.3%
  • 阿賀町:-60.0%
  • 田上町:-51.4%
  • 刈羽村:-50.0%
  • 見附市:-49.8%
  • 十日町市:-49.2%
  • 妙高市:-29.5%

新築の借り家が建たない自治体は、そもそも新築全体が10年で半減している自治体でもあります。住まいの選択肢の乏しさは、住宅市場そのものの縮小と同時に起きている姿として観察できます。

観察2:湯沢町は貸家0だが給与住宅比率53.3%(県内最高)

湯沢町(人口8,268人)はR5着工15戸のうち給与住宅8戸で給与比率53.3%、単独自治体では県内で唯一「給与比率40%超」を記録しています。

  • 「新築の借り家(民間の家主が事業として建てる貸家)」は0戸
  • 一方で「雇用主が用意する住まい(給与住宅)」は8戸

「借り家が建たない町」というより、「借り家という商品はないが、雇用主が用意する住まいだけは供給されている町」という構造です。他28市町村(岩船郡合算除く)の給与比率はほぼ0〜2%台で、この水準は突出しています。

観察3:岩船郡(関川村+粟島浦村)も給与住宅比率47.1%

岩船郡合算はR5着工17戸のうち給与住宅8戸で給与比率47.1%、湯沢町と同じく給与住宅が住まい供給の主要ルートになっています。

  • 持家9戸+給与住宅8戸で、合計の全てが「注文住宅」か「社宅・寮」のいずれか
  • 貸家0・分譲0で、民間の賃貸市場・分譲市場は新規供給がありません

湯沢町と岩船郡は「貸家0・給与住宅比率40%超」の唯一の2エントリで、他の貸家0の9エントリ(持家100%型が主)とは異なる供給構造として並びます。

観察4:貸家0の11エントリは「持家100%型6」と「混合型5」に分かれる

貸家0の11エントリを内訳で分けると、以下の2種類になります。

  • 持家100%型(6エントリ):刈羽・弥彦・出雲崎・田上・阿賀町・津南
    • R5に建った住宅は「持家(注文住宅)」のみ
  • 混合型(5エントリ):見附・十日町・妙高・湯沢・岩船郡合算
    • 貸家0だが、分譲か給与住宅を含む

持家100%型は町村部の少数着工パターン、混合型は中規模市(見附・十日町・妙高)と観光地・給与住宅型(湯沢・岩船郡)に分かれます。「貸家が0だから戸建て一辺倒の町」と決めつけられるわけではなく、内訳を見ると町の性格は多様です。


⑥ データの見方・注意点

着工数≠住宅需要ではありません

建築着工統計の着工戸数は「建設が始まった住宅の数(供給側の数字)」であり、その市町村の住宅需要の強弱を直接示すものではありません。「貸家0=賃貸需要がない」ではなく、「R5に新築の貸家の着工がなかった」までを言える範囲です。既存の中古アパート・空き家等を含む住宅市場全体は、着工データからはわかりません。

小規模市町村の単年度データは大きく振れます

年間の着工数が5〜20戸前後の小規模市町村(貸家0の11エントリのうち多数)では、集合住宅1棟の完成タイミングだけで用途構成が大きく変わります。翌年に貸家1棟(4戸)が着工されれば、比率は大きく動きうる水準です。「常にゼロ」ではなく「R5にゼロだった」と正確に読むのが自然です。見附市もH25で38戸・H30で68戸の貸家が存在していました。

順位≠豊かさではありません

「貸家0」「分譲0」「マイホーム型」といった分類は、R5に建った住宅の用途構成の観察であり、住みやすさや豊かさを直接示す指標ではありません。人口規模・世帯構成・持家率・地価水準・産業構造など複数の要素が反映された結果としてお読みください。

岩船郡(関川村・粟島浦村)は合算表記です

国土交通省の原データでは、関川村と粟島浦村の着工数が郡単位で公表されており、村単位に分離できません。この記事のランキング・4分類には岩船郡を1エントリとして統合しています。R5の着工17戸のうち給与住宅8戸で、給与比率47.1%となる構成です。


まとめ

貸家ゼロの町・分譲ゼロの町|R5年度の要点

  • R5年度の新設住宅着工で貸家0が12市町村(岩船郡合算で11エントリ)分譲0が8市町村(岩船郡合算で7エントリ)にのぼり、両方0の「マイホーム型自治体」は7エントリ(うち6エントリが持家100%)です
  • 貸家0のなかで唯一「合計100戸超」の見附市(103戸)は、H25の貸家38戸・H30の68戸から10年でゼロに落ちる急激な変化を経験しています
  • 湯沢町(給与比率53.3%)・岩船郡合算(同47.1%)は貸家0でありながら給与住宅が着工の半分前後を占め、他28市町村(0〜2%台)とは桁違いに高い水準です
  • 貸家0の12市町村のうち湯沢町以外すべてが10年で着工総数を減らしており、「新築の借り家が建たない」自治体は住宅市場そのものが縮小している自治体でもあります
  • 貸家0の内訳は「持家100%型6エントリ」と「混合型5エントリ」に分かれ、単純に「戸建て一辺倒の町」ではまとめきれない多様さがあります

出典

  • 新設住宅着工戸数(市町村別・用途別):
    国土交通省(建築着工統計調査 平成25年度・平成30年度・令和5年度)
  • 人口(規模比較用):
    総務省(住民基本台帳に基づく人口 令和7年)

データ基準日:令和5年度(2023年度)
次回更新推奨:令和6年度データ公表後

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