新潟県で農業経営の効率が高い市町村はどこ?|農家1戸あたり農業産出額ランキング(2022年)

ランキング

新発田市の農家1戸あたり農業産出額は1,266万円/戸で、最下位の湯沢町(185万円/戸)の約6.8倍にのぼります。

農業産出額(総量)では新潟市が県内1位(約534億8千万円)ですが、農家1戸あたりの生産規模で見ると
新発田市(1,266万円・1位)・村上市(1,262万円・2位)・胎内市(1,039万円・3位)が上位に入ります。

農家1戸あたり産出額は農業経営の規模・効率化の度合いを示す指標で、農業法人化・大規模農業への転換が
進んでいるかどうかを判断する材料の一つです。

この記事では、農林水産省のデータをもとに、新潟県28市町村(データ取得可能な市町村)の農業経営の「質」を比較します。


この記事でわかること

  • 農家1戸あたり産出額1位は新発田市(1,266万円/戸)で、大規模農業経営が進んでいる
  • 上位5市町村(新発田市・村上市・胎内市・弥彦村・新潟市)では1,000万円超/戸を実現している
  • 農業産出額の総量(R-3)と農家1戸あたり産出額の順位は大きく異なり、「量と質」の両視点が必要
  • 農地1haあたり産出額が最も高い市町村は阿賀町(360万円/ha)で、面積に対して高単価作物が生産されているとみられる
  • 粟島浦村・刈羽村はデータが非公表のためランキング外(28市町村が対象)

農家1戸あたり産出額ランキング(2022年・28市町村)

順位市町村名農業産出額(推計)農業経営体数農家1戸あたり産出額農地1haあたり産出額産出額総量順位
1新発田市約235億5千万円1,860戸1,266万円261万円2位
2村上市約208億6千万円1,653戸1,262万円331万円3位
3胎内市約107億3千万円1,033戸1,039万円289万円6位
4弥彦村約14億3千万円166戸861万円171万円25位
5新潟市約534億8千万円7,032戸761万円188万円1位
6津南町約59億9千万円866戸692万円278万円14位
7聖籠町約19億9千万円303戸657万円164万円22位
8阿賀町約22億2千万円353戸629万円360万円21位
9田上町約10億8千万円186戸581万円138万円26位
10燕市約65億円1,159戸561万円128万円13位
11上越市約160億3千万円3,111戸515万円121万円5位
12阿賀野市約85億9千万円1,731戸496万円132万円8位
13五泉市約70億2千万円1,530戸459万円140万円11位
14長岡市約172億1千万円3,795戸453万円122万円4位
15柏崎市約46億7千万円1,040戸449万円134万円16位
16関川村約16億9千万円408戸414万円151万円24位
17加茂市約24億4千万円596戸409万円165万円19位
18見附市約25億4千万円700戸363万円120万円18位
19三条市約71億円2,014戸353万円134万円10位
20魚沼市約50億7千万円1,590戸319万円169万円15位
21妙高市約24億1千万円862戸280万円119万円20位
22出雲崎町約4億6千万円167戸275万円137万円28位
23佐渡市約93億1千万円3,404戸274万円131万円7位
24小千谷市約31億円1,152戸269万円122万円17位
25南魚沼市約75億8千万円2,959戸256万円132万円9位
26十日町市約65億9千万円2,705戸244万円141万円12位
27糸魚川市約18億4千万円881戸209万円128万円23位
28湯沢町約2億4千万円130戸185万円117万円29位
刈羽村約6億円データなし27位
粟島浦村ほぼゼロデータなし30位

※出典:農林水産省(市町村別農業産出額(推計)令和4年)・農林水産省(農林業センサス 令和2年)
※農家1戸あたり産出額 = 農業産出額÷農業経営体数(調査年が異なるため参考値)


▼【グラフ:R9_農業質ランキング.png 新潟県28市町村 農家1戸あたり農業産出額ランキング(2022年)】


上位グループの分析(1〜5位)

1位の新発田市(1,266万円/戸)は、農業産出額約235億5千万円(2位)を農業経営体数1,860戸で割ると1戸あたり1,266万円という水準です。北蒲原平野の広大な農地で大規模水田農業が展開されており、農業法人化・担い手農家への集積が進んでいるとみられます。農地1haあたり産出額も261万円(5位)と高く、面積あたりの生産性も優れた水準にあります。

2位の村上市(1,262万円/戸)は岩船産コシヒカリのブランド米産地として知られます。農業経営体数1,653戸で約208億6千万円の産出を実現しており、1戸あたりの規模が大きい農業経営が展開されているとみられます。農地1haあたり産出額は331万円と県内でも高い水準で、農地の集積と高品質米の生産が組み合わさっているとみられます。

3位の胎内市(1,039万円/戸)は農業産出額約107億3千万円(6位)・農業経営体数1,033戸というバランスで、1,039万円/戸を実現しています。農地1haあたり産出額も289万円(4位)と高く、効率的な農業経営が行われているとみられます。

4位の弥彦村(861万円/戸)は農業産出額総量では25位(約14億3千万円)と小規模ですが、農業経営体数が166戸と非常に少なく、1戸あたり産出額は861万円という高い水準です。弥彦山麓の恵まれた土地条件での農業生産と、農業経営の集約化が背景にあるとみられます。


「量と質の逆転」が顕著な市町村

農業産出額ランキング(R-3)との比較で順位が大きく変わる市町村があります。

市町村産出額総量順位農家1戸あたり産出額順位順位差
佐渡市7位23位-16
南魚沼市9位25位-16
十日町市12位26位-14
弥彦村25位4位+21
聖籠町22位7位+15
田上町26位9位+17

佐渡市・南魚沼市・十日町市は農業産出額の総量は上位ながら、農業経営体数が多いため1戸あたり産出額は下位に沈んでいます。小規模・兼業農家が多数存在し、農業の大規模化・集約化が遅れているとみられます。

一方、弥彦村・聖籠町・田上町は産出額総量は小さいものの1戸あたり産出額では上位に入っており、少ない農家数で効率的な農業生産を行っている構造が読み取れます。


農地1haあたり産出額の注目市町村

農地面積あたりの産出効率を示す「農地1haあたり産出額」では、阿賀町(360万円/ha)が県内1位です。経営耕地面積616haと県内でも小さい農地規模ですが、単位面積あたりの産出が高く、水稲以外の高単価野菜・特産品の生産が含まれているとみられます。

村上市(331万円/ha)胎内市(289万円/ha)津南町(278万円/ha)も農地1haあたり産出が高く、ブランド農産物・高品質野菜の生産が産出単価を高めているとみられます。


下位グループの特徴

最下位の湯沢町(185万円/戸)は、農業に適した平地が少ない山間部に位置しており、農業経営体数130戸・経営耕地面積205haと県内最小規模です。スキーリゾートとしての産業特性上、農業は副次的な位置づけにとどまっているとみられます。

糸魚川市(209万円/戸・27位)は農業経営体数881戸に対して産出額約18億4千万円と、1戸あたり産出額が低い水準にとどまっています。山間地形が多く大規模農業に適した農地が少ないことが背景にあるとみられます。

南魚沼市(256万円/戸・25位)は、魚沼コシヒカリの産地として農業産出額は約75億8千万円(9位)と一定の規模がありますが、農業経営体数が2,959戸と多いため1戸あたり産出額は低い水準にとどまっています。


データの見方・注意点

農業産出額と農業経営体数の調査年が異なります

農業産出額は2022年(令和4年)の推計値、農業経営体数は2020年(令和2年)農林業センサスのデータです。調査年が異なるため「農家1戸あたり産出額」は参考値として解釈してください。

農業経営体数は「販売農家」と「自給的農家」が混在しています

農林業センサスの農業経営体数には、販売を目的とする農家だけでなく自給的・家庭菜園的な農家も含まれます。実際の「農業所得」とは異なる指標です。

粟島浦村・刈羽村はデータが非公表

農業規模が非常に小さい市町村は推計値が公表されていません。


まとめ

  • 農家1戸あたり産出額は新発田市(1,266万円/戸)が1位で、大規模農業経営・農業法人化が進んでいる
  • 上位5市町村(新発田市・村上市・胎内市・弥彦村・新潟市)が1,000万円超/戸を実現しており、北蒲原平野・越後平野の大規模水田農業地帯が上位を占める
  • 農業産出額の総量(量)と農家1戸あたり産出額(質)の順位は大きく異なり、佐渡市・南魚沼市・十日町市は量で上位・質で下位という構造
  • 農地1haあたり産出額では阿賀町(360万円/ha)が1位で、面積に対して高単価作物・ブランド農産物が生産されているとみられる
  • 農業の「質(1戸あたり産出額)」の高い市町村は大規模経営・農業法人化が進んでいる傾向があり、農業政策・移住検討の際の参考指標として活用できる

出典

  • 農業産出額:農林水産省(市町村別農業産出額(推計)令和4年)
  • 農業経営体数・耕地面積:農林水産省(農林業センサス 令和2年)

データ基準日:農業産出額2022年(令和4年)・農業経営体数2020年(令和2年)
次回更新推奨:農業産出額データ更新後(毎年公表)・農林業センサス2025年データ公表後

コメント