新潟県で産業構造が大きく変わった市町村はどこ?|就業者数変化ランキング(2010〜2020年)

ランキング

阿賀町の就業者数は10年間で18.2%減少し、県内で最も大きな就業者の流出・減少が起きました。
一方、聖籠町は唯一7.4%増加し、工業団地への企業立地が就業者増加につながりました。

新潟県の市町村では、人口減少・高齢化と産業転換が同時に進んでおり、産業構造のシフトの方向と速度も市町村によって異なります。

この記事では、国勢調査2010年→2020年のデータをもとに、新潟県30市町村の就業者数変化と産業比率のシフトを比較します。


この記事でわかること

  • 就業者数が最も減少した市町村は阿賀町(-18.2%)と佐渡市(-18.0%)で、10年間で就業者が5人に1人弱のペースで失われた
  • 唯一増加したのは聖籠町(+7.4%)のみで、29市町村は就業者減少
  • 第3次産業(サービス業・医療・商業)比率はほぼすべての市町村で上昇しており、新潟県全体で「サービス経済化」が進んでいる
  • 第1次産業(農業・漁業)比率は多くの市町村で低下傾向にあり、農業就業者の高齢化・離農が背景とみられる
  • 第2次産業(製造業・建設業)比率は市町村によって大きく異なり、聖籠町(+1.4pt)・妙高市(+0.3pt)・村上市(+0.3pt)では微増している

就業者数変化ランキング(2010〜2020年・全30市町村)

順位(減少大→小)市町村名就業者数(2010年)就業者数(2020年)変化率(%)変化人数産業タイプ
1阿賀町5,462人4,469人-18.2%-993人製造業集積型
2佐渡市31,746人26,029人-18.0%-5,717人農業型
3関川村3,157人2,649人-16.1%-508人農業型
4糸魚川市23,133人19,998人-13.6%-3,135人製造業集積型
5津南町5,651人4,914人-13.0%-737人農業型
5十日町市29,992人26,103人-13.0%-3,889人複合型
7妙高市17,141人14,978人-12.6%-2,163人高付加価値製造業型
8加茂市14,556人12,736人-12.5%-1,820人製造業集積型
9出雲崎町2,278人1,998人-12.3%-280人製造業集積型
10小千谷市19,474人17,202人-11.7%-2,272人製造業集積型
11刈羽村2,503人2,224人-11.1%-279人製造業集積型
12柏崎市43,787人38,970人-11.0%-4,817人製造業集積型
13魚沼市20,072人17,946人-10.6%-2,126人製造業集積型
14田上町6,027人5,462人-9.4%-565人製造業集積型
15粟島浦村290人263人-9.3%-27人農業型
16五泉市26,499人24,053人-9.2%-2,446人製造業集積型
17阿賀野市22,602人20,647人-8.6%-1,955人製造業集積型
17湯沢町4,181人3,822人-8.6%-359人複合型
19村上市31,214人28,555人-8.5%-2,659人製造業集積型
20胎内市15,184人13,953人-8.1%-1,231人高付加価値製造業型
21長岡市139,208人128,543人-7.7%-10,665人製造業集積型
22弥彦村4,454人4,154人-6.7%-300人製造業集積型
23南魚沼市30,686人28,656人-6.6%-2,030人複合型
24上越市99,617人94,235人-5.4%-5,382人高付加価値製造業型
25三条市51,257人49,378人-3.7%-1,879人製造業集積型
26燕市42,592人41,335人-3.0%-1,257人製造業集積型
27新潟市387,416人376,334人-2.9%-11,082人複合型
28見附市20,469人20,045人-2.1%-424人製造業集積型
29新発田市48,425人47,539人-1.8%-886人複合型
30聖籠町6,722人7,220人+7.4%+498人製造業集積型

※出典:総務省(国勢調査 令和2年・平成22年)


▼【グラフ:R7_産業構造変化ランキング.png 新潟県30市町村 就業者数変化率ランキング(2010〜2020年)】


大幅減少グループの分析(1〜5位・減少率が大きい順)

1位の阿賀町(-18.2%)は、10年間で993人の就業者が失われました。農業従事者の高齢化・離農と製造業事業所の縮小が重なっているとみられます。就業者4,469人のうち農林業356人(8.0%)・製造業などの第2次産業が31.7%を占めており、農業・製造業の両面での就業者減少が響いているとみられます。

2位の佐渡市(-18.0%)は、離島という地理的制約から若年層の島外流出が続いているとみられます。農業産出額は約93億円(県内7位)と農業規模があるものの農業就業者の高齢化は深刻で、10年間で第1次産業比率が-4.0ポイント低下しています。

3位の関川村(-16.1%)は人口2,500人規模の小規模農山村で、出生数の減少と転出超過が続いているとみられます。

4位の糸魚川市(-13.6%)は、フォッサマグナで有名な日本海側の市です。セメント・金属加工などの製造業が立地していますが、就業者数の減少が続いており、工場の生産効率化・従業員の縮小などの影響とみられます。

5位(同率)の津南町と十日町市(-13.0%)は、ともに中山間地の農業・観光業が主産業の市町村です。


産業比率シフトの特徴

就業者数の変化とともに、産業比率のシフトも市町村によって異なります。

第3次産業比率が大きく上昇した市町村

最も大きく第3次産業比率が上昇したのは佐渡市(+7.7ポイント)で、次いで刈羽村(+4.4pt)・十日町市(+3.9pt)が続きます。これらの市町村では農業・製造業就業者の減少に対して、医療・福祉・観光サービスなどの第3次産業就業者が相対的に維持・拡大していることが背景とみられます。

第2次産業比率が上昇または維持した市町村

聖籠町(+1.4pt)・胎内市(+0.3pt)・妙高市(+0.3pt)・村上市(+0.3pt)では第2次産業比率がわずかに上昇しており、製造業の新規立地・工場拡張などが就業者数を支えているとみられます。

第1次産業比率の変化が小さい市町村

南魚沼市(0.0pt変化)・燕市(-0.2pt)・三条市(-0.2pt)は第1次産業比率の変化が0〜0.2ポイントにとどまっており、農業就業者構造が安定していることがうかがえます。


唯一増加した聖籠町

聖籠町(+7.4%・+498人)は、新潟県内で唯一就業者が増加した市町村です。北港臨海工業団地へのメーカーの立地・生産拡大が雇用を生み出しており、第2次産業就業者が2010年比で増加しています。製造品出荷額も約1,930億円(県内7位)と高水準で、産業誘致政策が実を結んでいるとみられます。


減少率が小さい市町村グループ

新発田市(-1.8%)・見附市(-2.1%)・新潟市(-2.9%)は減少率が2%台以下と比較的小さい水準にとどまっています。

  • 新発田市は農業・製造業・自衛隊駐屯地があり多様な産業基盤が雇用を下支えしているとみられます。
  • 見附市は製造業(繊維・ニット・機械)が集積し雇用が一定程度維持されているとみられます。
  • 新潟市は政令指定都市の都市機能が就業の吸収力として機能しているとみられます。

データの見方・注意点

2010年比較データが一部市町村で取得できていません

関川村・阿賀野市・田上町・刈羽村については2010年の産業別比率の一部データが取得できていません。就業者数総数のデータは全市町村で取得しています。

就業者数は2020年国勢調査のデータです

2020年はコロナ禍の影響があった年であり、特に観光業・飲食業が盛んな市町村(湯沢町など)では実態が通常年と異なる可能性があります。

変化率は5年ごとの調査間の変化です

国勢調査は5年おきに実施されるため、10年変化は2010年→2020年の比較です。この間に経済ショックや大規模事業所の開閉があった場合は単純比較が困難な場合があります。


まとめ

  • 就業者数が最も減少した市町村は阿賀町(-18.2%)・佐渡市(-18.0%)で、中山間地・離島の人口流出と高齢化の影響が大きい
  • 30市町村中29市町村で就業者が減少し、増加は聖籠町(+7.4%)のみという状況から、新潟県全体での人口・労働力減少が産業にも影響していることがわかる
  • 第3次産業比率はほぼすべての市町村で上昇しており、農業・製造業就業者の相対的な減少が「サービス経済化」の数値として表れている
  • 減少率が小さい市町村(新発田市・見附市・新潟市)は産業の多様性・都市機能が雇用の下支えになっているとみられる
  • 製造業比率が維持・微増している市町村(聖籠町・胎内市・妙高市)は、付加価値の高い製造業が立地している傾向がある

出典

  • 産業別就業者数:総務省(国勢調査 令和2年・平成22年)

データ基準日:2020年(令和2年)・2010年(平成22年)国勢調査
次回更新推奨:2025年(令和7年)国勢調査データ公表後(2026年頃)

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