新潟県30市町村 財政力ランキング【令和5年度】自力で稼げる市はどこか

データ

この記事でわかること:

  • 新潟県内30市町村の財政力指数ランキングと、上位・下位の背景
  • 一人当たり税収が最大7.3倍開く「格差」の正体
  • 住民の稼ぎ力(個人市民税÷人口)で見る、所得水準の市町村差
  • 刈羽村・聖籠町・湯沢町が突出して高い理由

① 要点まとめ

  • 財政力指数1位は刈羽村(1.39)。原子力発電所(柏崎刈羽原発)の固定資産税が税収の91%を占め、国から地方交付税を受け取らない「不交付団体」
  • 一人当たり税収の格差は7.3倍。刈羽村75.7万円に対し、田上町10.4万円。特定施設への依存度と人口規模の差が格差を生む
  • 住民の稼ぎ力(個人市民税÷人口)は新潟市が断トツの1位(7.4万円)。製造業・金融・サービス業が集積する政令市の強みが数字に表れている
  • 30市町村中、財政力指数1.0超え(不交付団体)はわずか2市町(刈羽村・聖籠町)。残り28市町村は交付税に依存して行政サービスを維持している

② 財政力指数とは何か

財政力指数は「自分でどれだけ行政コストをまかなえるか」を示す指標で、3年間の平均値で計算される。

  • 1.0超え:国から地方交付税を受け取らない「不交付団体」。財政的に自立している
  • 1.0未満:不足分を国の地方交付税で補う「交付団体」
  • 全国平均:約0.52(令和5年度)

財政力指数が高い自治体は、新しい政策・施設整備に使える独自財源が多い。低い自治体は交付税への依存度が高く、財政運営の自由度が制約される。

ただし、財政力指数が低い=行政が悪い、ということではない。農村型・過疎型の自治体は地域の特性上、製造業や大型施設がなく税収が小さくなる一方、国の手厚い財政支援を受けることで住民サービスを維持している。


③ 財政力指数ランキング(全30市町村)

順位市区町村財政力指数一人当たり税収主な税収の特徴
1位刈羽村1.39757,155円原発固定資産税が税収の91%
2位聖籠町1.07314,600円工業団地・東北電力設備の固定資産税
3位湯沢町0.90448,737円リゾートマンション・スキー施設の固定資産税
4位新潟市0.65178,070円政令市。個人市民税が強い
4位柏崎市0.65197,109円原発周辺。固定資産税が大きい
6位燕市0.60147,535円製造業集積。法人市民税も一定規模
7位長岡市0.59149,847円県内2位の都市。税収源が分散
8位上越市0.57177,083円県内3位の都市。人口・産業規模で稼ぐ
9位三条市0.54145,424円製造業・金物産地
10位見附市0.53127,923円繊維・製造業が集積
11位小千谷市0.52151,912円発電施設・製造業
12位新発田市0.48128,298円農業・自衛隊駐屯地
13位糸魚川市0.47200,515円鉱業・採石業の固定資産税
14位胎内市0.44142,249円農業・製造業
15位五泉市0.43114,260円ニット・繊維産業
16位妙高市0.42168,182円温泉・スキー観光。固定資産税
16位阿賀野市0.42126,570円農業・中小製造業
18位南魚沼市0.41141,425円高級米(コシヒカリ)産地
19位加茂市0.40110,746円製造業(繊維・機械)
20位弥彦村0.38123,209円弥彦神社・観光
21位田上町0.36103,963円農業・住宅地
22位村上市0.34121,876円農業・林業・水産業
23位十日町市0.33128,446円農業・ちぢみ織り・豪雪地帯
24位魚沼市0.28129,189円農業(魚沼産コシヒカリ)・過疎
25位津南町0.25132,665円農業(野菜・米)・豪雪
26位佐渡市0.24104,581円離島。農業・観光・水産業
27位出雲崎町0.22111,107円小規模漁業・農業
28位関川村0.21137,967円山間農業・温泉
29位阿賀町0.20154,224円山間農業・ダム建設の歴史
30位粟島浦村0.09132,926円離島・人口312人・漁業

※ 財政力指数は令和3〜5年度の3ヵ年平均。一人当たり税収は令和5年度市町村税収÷住民基本台帳人口(2025年1月1日)。


④ 財政力上位3市町に共通する構造:「施設の固定資産税」

財政力指数ランキングで突出する1〜3位には明確な共通点がある。いずれも大型施設の固定資産税が税収を押し上げている。

1位・刈羽村(財政力1.39)

令和5年度の市町村税収は約31.97億円(3,197百万円)で、うち固定資産税が約28.87億円(90.3%)を占める。東京電力柏崎刈羽原子力発電所は世界最大級の出力を持ち、その建屋・設備・土地が村の固定資産税収の大半を構成する。人口4,222人の小さな村が一人当たり75.7万円という突出した税収を得られるのはこのためだ。

経常収支比率は71.2%で30市町村中最も低く(余裕が最大)、一人当たり公債費は711円(30位)。借金がほぼゼロの状態で潤沢な財源を持つ。

2位・聖籠町(財政力1.07)

新潟東港に隣接し、聖籠工業団地が立地する。IHI原動機・レゾナック(旧昭和電工)・東北電力の設備・工業用地の固定資産税が安定した税収基盤となっている。農業(花き・野菜)も盛んで、農業産出額200千万円(県内22位)を確保しながら工業地の税収も確保する両立型の財政構造。

3位・湯沢町(財政力0.90)

首都圏近郊のスキーリゾートとして大量のリゾートマンション・コンドミニアムが立地し、これらの固定資産税が税収の大部分を占める。令和5年度の固定資産税は28.3億円で税収全体の約76%。観光客向け飲食・宿泊の法人市民税も加わる。人口は8,268人(30市町村中25位)と少ないが、一人当たり税収は44.9万円と全国的にも高水準。


⑤ 住民の稼ぎ力:個人市民税÷人口ランキング

固定資産税は「施設があれば入る」受動的な税収だが、個人市民税は「住民が稼いだ収入の一部」が税になる。一人当たり個人市民税は、住民の所得水準を直接映す指標として読める。

順位市区町村個人市民税/人主な産業・所得源
1位新潟市73,522円政令市。金融・卸小売・サービス集積
2位上越市52,667円県内3位。製造業・医療が集積
3位燕市52,341円金属製品製造業。製造業の給与が高い
4位長岡市51,900円県内2位。IT・製造・流通
5位柏崎市50,480円原発関連・製造業の給与水準が高い
6位三条市50,332円製造業(金物・工具)の職人給与
7位刈羽村49,243円原発関連の技術者・管理職
8位糸魚川市48,994円鉱業・採石業の高給与
30位関川村33,314円農業・林業・過疎の高齢化

新潟市と最下位・関川村の差は2.2倍。財政力指数のような施設依存型格差(7.3倍)ほど大きくないが、産業構造と人口構成の差が所得格差に結びついている。

製造業が集積する燕市・三条市・長岡市が上位に入り、農業・林業が中心の山間農村や離島が下位に並ぶ傾向が見られる。


⑥ 財政力と住民所得は連動しない

財政力指数の上位に刈羽村(1位)・聖籠町(2位)・湯沢町(3位)が並ぶ一方、個人市民税/人では刈羽村が7位・聖籠町が17位・湯沢町が9位にとどまる。

この乖離は「固定資産税型の財政力は、住民の所得水準を反映しない」ことを示す。原発・工業団地・リゾートマンションは「施設が置かれている自治体」に税収をもたらすが、そこで働く人が必ずしも住民とは限らない

一方、新潟市は財政力指数4位(0.65)ながら個人市民税/人は断トツの1位(73,522円)。76万人という大都市人口の中に、高収入のビジネスパーソン・医師・弁護士・金融従事者が多く含まれることが数字に反映されている。

「財政が豊か=住民が豊か」ではないことを、このランキングは示している。


まとめ

指標1位30位(最低)
財政力指数刈羽村 1.39粟島浦村 0.09
一人当たり税収刈羽村 757,155円田上町 103,963円
個人市民税/人(住民の稼ぎ力)新潟市 73,522円関川村 33,314円
  • 財政力の格差(最大7.3倍)は「大型施設の有無」がほぼ決定する
  • 住民の稼ぎ力格差(最大2.2倍)は「産業集積と人口構成」が決定する
  • 不交付団体(1.0超え)はわずか刈羽村・聖籠町の2市町。28市町村は国の地方交付税で行政を支えている

出典・情報基準日

データ出典基準日
財政力指数・経常収支比率総務省「令和5年度 市町村別決算状況調」令和5年度(2023年度)決算
市町村税収内訳(個人市民税・固定資産税等)総務省「令和5年度 市町村別決算状況調」同上
人口総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」2025年1月1日現在

次回更新推奨:2026年(令和8年)の決算公表後(2026年11月頃)

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