人口が多い町=お金持ちではない|新潟県30市町村・総額と1人当たり所得のズレランキング(R5年度)

ランキング

新潟県30市町村の課税対象所得を「総額の県内順位」と「1人当たり所得の県内順位」の
2つの軸で並べると、同じ市町村でも順位が大きく食い違うケースが確認できます。

順位の食い違いが県内で最も大きいのは刈羽村で、
総額順位は27位(納税義務者2,049人・県内で下から4番目に少ない)ですが、
1人当たり所得順位は7位(292.5万円) と、20ランクの乖離があります。

逆に、総額順位9位の村上市は、1人当たり所得順位が26位で、
17ランクの逆方向の乖離が生じています。

総額Top10と1人当たりTop10を掛け合わせた4分類では、
両方Top10入りは7市町村総額Top10だが1人当たり11位以下が3市町村
1人当たりTop10だが総額11位以下が3市町村
両方11位以下が17市町村という分布になっています。

この記事では、総務省「市町村税課税状況等の調べ」をもとに、
「規模の大きさ」と「1人当たりの水準」がどう食い違うかを一覧で確認します。


この記事でわかること

  • 順位乖離が最大なのは刈羽村(20ランク) で、総額27位・1人当たり7位という配置になっています
  • 総額Top10と1人当たりTop10の両方に入っている市町村は7つ(新潟・長岡・上越・三条・新発田・燕・柏崎)です
  • 総額Top10だが1人当たり11位以下の市町村は3つ(村上市・十日町市・南魚沼市)で、いずれも納税義務者数が県内10位圏内の中規模自治体です
  • 1人当たりTop10だが総額11位以下の市町村は3つ(刈羽村・糸魚川市・妙高市)で、3市町村とも産業タイプが「製造業集積型」または「高付加価値製造業型」に分類されます
  • 4分類の平均1人当たり所得は、A(規模大・所得高)300.4万円、B(規模大・所得中位)267.5万円、C(規模小・所得高)287.8万円、D(規模小・所得中低)267.3万円の順です

① 順位乖離ランキング Top10(R5年度)

R5年度(2023年度)の新潟県30市町村について、「課税対象所得の総額順位」と「1人当たり課税対象所得の順位」の差の絶対値が大きい順に並べたランキングです。乖離幅が大きいほど、「規模の大きさ」と「1人当たり水準」が食い違っていることを表します。

乖離順位市町村総額順位1人当たり順位乖離幅方向1人当たり所得地域産業タイプ
1刈羽村27720総額小・1人当たり大292.5万円中越製造業集積型
2村上市92617総額大・1人当たり小261.1万円下越製造業集積型
3佐渡市132815総額大・1人当たり小257.9万円佐渡農業型
4五泉市112514総額大・1人当たり小261.3万円下越製造業集積型
5湯沢町231112総額小・1人当たり大282.6万円中越複合型
6出雲崎町291811総額小・1人当たり大267.4万円中越製造業集積型
7妙高市1899総額小・1人当たり大284.3万円上越高付加価値製造業型
8十日町市10199総額大・1人当たり小266.6万円中越複合型
9聖籠町21138総額小・1人当たり大275.7万円下越製造業集積型
10弥彦村24168総額小・1人当たり大272.7万円下越製造業集積型

表の読み方:

  • 「総額順位」は課税対象所得の総額(1人当たりではなく合計値)の県内順位です
  • 「1人当たり順位」は1人当たり課税対象所得の県内順位です
  • 「乖離幅」は2つの順位の差の絶対値で、値が大きいほど「規模」と「1人当たり水準」が食い違っています
  • 「方向」は乖離の向きを表します

※出典:総務省(市町村税課税状況等の調べ 令和5年)


▼【グラフ:ranking_scale_scatter.png 総額順位×1人当たり所得順位の散布図(30市町村)】


② 4分類マップ(総額Top10 × 1人当たりTop10)

30市町村を「課税対象所得の総額Top10」と「1人当たり所得のTop10」の2軸で分類すると、次の4グループに分かれます。

分類定義市町村数
A:規模大・所得も高い総額Top10かつ1人当たりTop107
B:規模大・所得中位総額Top10だが1人当たり11位以下3
C:規模小・所得高い総額11位以下だが1人当たりTop103
D:規模小・所得中低総額11位以下かつ1人当たり11位以下17
合計30

分類A:規模大・所得も高い(7市町村)

市町村総額順位1人当たり順位1人当たり所得地域産業タイプ
新潟市11319.5万円下越複合型
長岡市23302.5万円中越製造業集積型
上越市32305.4万円上越高付加価値製造業型
三条市45297.9万円中越製造業集積型
新発田市510283.9万円下越複合型
燕市64300.8万円下越製造業集積型
柏崎市76292.8万円中越製造業集積型

分類B:規模大・所得中位(3市町村)

市町村総額順位1人当たり順位1人当たり所得地域産業タイプ
南魚沼市814274.8万円中越複合型
村上市926261.1万円下越製造業集積型
十日町市1019266.6万円中越複合型

分類C:規模小・所得高い(3市町村)

市町村総額順位1人当たり順位納税義務者数1人当たり所得地域産業タイプ
刈羽村2772,049人292.5万円中越製造業集積型
糸魚川市12818,698人286.6万円上越製造業集積型
妙高市18913,681人284.3万円上越高付加価値製造業型

分類D:規模小・所得中低(17市町村)

市町村総額順位1人当たり順位1人当たり所得地域産業タイプ
湯沢町2311282.6万円中越複合型
小千谷市1612281.3万円中越製造業集積型
聖籠町2113275.7万円下越製造業集積型
胎内市1915273.9万円下越高付加価値製造業型
弥彦村2416272.7万円下越製造業集積型
見附市1417271.3万円中越製造業集積型
出雲崎町2918267.4万円中越製造業集積型
魚沼市1720266.2万円中越製造業集積型
関川村2821265.9万円下越農業型
粟島浦村3022265.8万円岩船離島農業型
阿賀野市1523265.1万円下越製造業集積型
田上町2224261.7万円下越製造業集積型
五泉市1125261.3万円下越製造業集積型
加茂市2027260.8万円下越製造業集積型
佐渡市1328257.9万円佐渡農業型
阿賀町2529257.3万円下越製造業集積型
津南町2630256.7万円中越農業型

▼【グラフ:ranking_scale_gap_top10.png 順位乖離Top10(大規模だが所得は中位の町)】


③ 各分類の平均1人当たり所得

4分類ごとに1人当たり所得の平均値を比較すると、次のようになります。

分類市町村数平均1人当たり所得代表例
A:規模大・所得も高い7300.4万円新潟市・長岡市・上越市
B:規模大・所得中位3267.5万円村上市・十日町市・南魚沼市
C:規模小・所得高い3287.8万円刈羽村・糸魚川市・妙高市
D:規模小・所得中低17267.3万円湯沢町・小千谷市・聖籠町ほか

平均値の分布に見える特徴:

  • A(規模大・所得高) が平均300.4万円で最も高くなっています
  • C(規模小・所得高) は平均287.8万円で、A に次ぐ水準です。7市町村と3市町村という市町村数の差はありますが、いずれも1人当たり所得は上位に位置しています
  • B(規模大・所得中位) の平均は267.5万円で、D(規模小・所得中低) の267.3万円と0.2万円しか差がありません。総額順位がTop10でも、1人当たり水準では下位グループと近い数値になっています

④ 意外な観察

順位乖離ランキング上位に位置する市町村について、データから読み取れる観察を4つ取り上げます。

1. 刈羽村:乖離幅20ランク(県内最大)

  • 総額順位27位(納税義務者2,049人・県内で下から4番目に少ない)に対し、1人当たり所得順位は7位(292.5万円)
  • 産業タイプは製造業集積型・給与所得者比率83.0%
  • 納税義務者数の絶対規模と1人当たり水準が正反対の順位に振れています

2. 村上市:乖離幅17ランク(県内2番目)

  • 総額順位9位(納税義務者24,374人・県内9位規模)に対し、1人当たり所得順位は26位(261.1万円)
  • 下越・製造業集積型
  • 総就業者数28,555人・製造業従業者数4,571人(県内12位)ですが、1人当たり所得は下位10のうちに位置しています

3. 佐渡市:乖離幅15ランク(県内3番目)

  • 総額順位13位(納税義務者20,508人)に対し、1人当たり所得順位は28位(257.9万円・県下から3番目)
  • 佐渡・農業型・農業所得者比率1.6%(県内2位タイ)
  • 主要業種1位は医療・福祉16.2%・農業所得者数326人(県内では多い部類)
  • 課税対象所得の県平均差はマイナス61.6万円

4. 湯沢町:乖離幅12ランク(県内5番目)

  • 総額順位23位(納税義務者3,714人)に対し、1人当たり所得順位は11位(282.6万円)
  • 中越・複合型・主要業種1位は宿泊・飲食業27.9%(県内で唯一の宿泊・飲食業トップ)
  • 給与所得者比率78.3%(県下から3番目)ですが、1人当たり水準は上位に位置しています

⑤ データの見方・注意点

順位=豊かさではありません

課税対象所得の総額順位・1人当たり所得順位は、いずれも所得割の課税ベース上の数値の相対比較にすぎません。順位が高い(低い)ことをもって「豊かな地域」「そうでない地域」等の価値判断を行うことはできません。順位はあくまでデータ上の相対位置を示すものです。

「規模」と「1人当たり」は別の軸です

課税対象所得の総額は、その市町村の納税義務者数の多さに大きく左右されます。一方、1人当たり所得は1人あたりの水準を表します。総額順位が高くても納税義務者数が多いだけで1人当たりは中位、という並びが生じ得ます。本記事の4分類は、この「規模」と「水準」を別軸として扱ったうえで市町村を分けたものです。

課税対象所得は手取り収入ではありません

課税対象所得(合計所得金額)は、給与・事業・農業などの各所得から給与所得控除等の所得種別の控除を差し引いた所得の合計です。実際の手取り収入とは異なります。

農業地域では過小表示になる場合があります

農業所得は申告による実額ですが、自家消費・現物収入は含まれない場合があります。農業主体の市町村では、1人当たり課税対象所得が実態の生活水準より低く見える可能性があります。

小規模自治体は年次変動が大きい可能性があります

納税義務者数が3,000人を下回る自治体(刈羽村・弥彦村・湯沢町・関川村・粟島浦村・出雲崎町・阿賀町・津南町)は、少数の高所得者・低所得者の増減で1人当たり所得が動きやすい規模です。粟島浦村(125人)・刈羽村(2,049人)は分母が非常に小さいため、統計的解釈に注意が必要です。


▼【グラフ:ranking_scale_category.png 4分類別の平均所得比較】


まとめ

新潟県30市町村・総額と1人当たり所得のズレランキング(R5年度)の要点

  • 順位乖離が最も大きいのは刈羽村(20ランク) で、総額27位・1人当たり7位という配置になっています
  • 総額Top10と1人当たりTop10の両方に入る市町村は7つ(新潟・長岡・上越・三条・新発田・燕・柏崎)で、いずれも産業タイプは製造業系または複合型です
  • 総額Top10だが1人当たり11位以下の市町村は3つ(村上・十日町・南魚沼)、1人当たりTop10だが総額11位以下の市町村も3つ(刈羽・糸魚川・妙高)です
  • 4分類の平均1人当たり所得は、A(規模大・所得高)300.4万円、C(規模小・所得高)287.8万円、B(規模大・所得中位)267.5万円、D(規模小・所得中低)267.3万円で、B と D は0.2万円差にとどまります
  • 「規模の大きさ」と「1人当たり水準」は別の軸として扱う必要があり、総額順位が高いことがそのまま1人当たり水準の高さを意味するわけではありません

出典

  • 課税対象所得(総額)・1人当たり課税対象所得・所得割納税義務者数:
    総務省(市町村税課税状況等の調べ 令和5年)
  • 産業タイプ・地域区分:
    総務省(国勢調査 令和2年)をもとに分類

データ基準日:令和5年度(2023年度)
次回更新推奨:令和6年度データ公表後

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