粟島浦村の1人当たり所得は県内22位(265.8万円)|新潟県唯一の離島・岩船離島単独圏・農業型ラベルなのに農業所得者0人・営業等所得者比率県内1位・推計手取り10年変化は県内で唯一のマイナス(R5年度)

市町村

粟島浦村(新潟県岩船郡・新潟県唯一の離島「粟島」を単独で構成する村・所得割納税義務者125人)の1人当たり課税対象所得(R5年度)は 265.8万円 で、新潟県30市町村中 22位 です。県平均を -11.2万円 下回りますが、岩船離島単独圏(新潟県で佐渡市と並ぶ2つの離島単独圏の一つ)に位置し、農業型4市町村(関川村・粟島浦村・佐渡市・津南町)中では 2位 の水準です。
産業タイプは 農業型 に分類されていますが 農業所得者は0人・農業産出額は 0.0億円 で、主要業種1位 漁業20.2%(53人)と2位 宿泊・飲食業20.2%(53人)が 完全同率 で並ぶ離島経済の構造を持ちます。営業等所得者比率 12.0% は県内 1位でダントツ(2位の十日町市・佐渡市3.9%と3倍差)、実効税率 3.4% は新潟市(4.5%)に次ぐ県内 2位で単独、納税義務者数の10年変化 +16.82%(+18人) は県内 1位 です。
一方、1人当たり所得の10年変化率は +0.7% で県内 30位(最下位)、推計手取りの10年変化は -11.0万円(-3.4%) で新潟県30市町村中 唯一のマイナス です。前半5年 -10.16% から後半5年 +12.13% への V字回復 パターンと、納税義務者数125人という 県内最少規模(関川村1,928人の約1/15・県内シェア0.01%)が特徴の自治体です。

この記事は、総務省「市町村税課税状況等の調べ」ほかの公的統計をもとに、粟島浦村の所得水準・10年変化・岩船離島単独圏の位置づけ・農業型ラベルの実態・農業型4市町村比較・移住検討者/地域理解志向の読者への読み方までを、記事単体で判断材料が読み取れる構造で整理したものです。


この記事でわかること

  • R5年度の1人当たり課税対象所得は 265.8万円(県内 22位/30市町村中)・県平均差 -11.2万円・県中央値差 -7.5万円・県30位津南町との差 +9.1万円
  • 岩船離島単独圏(母集団1・比較対象なし)・新潟県で 佐渡市と並ぶ2つの離島単独圏 の一つ・岩船郡の関川村(下越圏)とは地域分類が別
  • 所得割納税義務者 125人(県内 30位・県内最少・シェア 0.01%)・課税対象所得総額 約3.323億円(県内 30位・県内最少・シェア 0.01%
  • 産業タイプは 農業型 だが 農業所得者0人(比率0.0%・県内30位単独)・農業産出額 0.0億円(県内30位)
  • 主要業種1位 漁業20.2%(53人) と2位 宿泊・飲食業20.2%(53人)完全同率、3位農業・林業11.0%(29人)
  • 営業等所得者比率 12.0% は県内 1位でダントツ(2位十日町・佐渡3.9%と3倍差)、給与所得者比率 76.8% は県内 29位(単独)
  • 実効税率 3.4% は県内 2位(単独)・新潟市(4.5%)に次ぐ水準、1人当たり住民税約 9.0万円 は県内 13位
  • 納税義務者数10年変化 +16.82%(+18人) は県内 1位、課税対象所得総額10年変化 +17.7%(+0.5億円) は県内 4位
  • 1人当たり所得10年変化 +0.7% は県内 30位(最下位)・前半5年 -10.16% から後半5年 +12.13%V字回復
  • 推計手取りは 316.9万円(県内 22位)・10年 -11.0万円(-3.4%) で新潟県30市町村中 唯一のマイナス・手取り転換率は 空欄(計算不能)
  • 第1次産業比率 31.2% は県内 1位(内訳は漁業20.2%+農業・林業11.0%)・第3次産業比率 65.4% は県内 4位

① 粟島浦村の1人当たり所得(R5年度サマリー)

【結論】 粟島浦村の1人当たり所得は 265.8万円 で県内 22位・岩船離島単独圏(納税義務者 125人・県内最少規模)に位置し、産業タイプ「農業型」ラベルなのに 農業所得者0人・農業産出額0.0億円という乖離を持ちながら、営業等所得者比率 12.0%(県内 1位)・実効税率 3.4%(県内 2位単独)・納税義務者10年 +16.82%(県内 1位)という県内トップ・準トップ指標を複数保有する多重固有性が特徴です。

【根拠】:以下の表で確認できます。

この表で分かること:粟島浦村の1人当たり所得・順位・県平均差・変化率を1枚で把握できます。

指標数値県内順位(30市町村中)
1人当たり課税対象所得265.8万円22位
所得割納税義務者数125人30位(県内最少)
課税対象所得(総額)約3.323億円30位(県内最少)

※出典:総務省(市町村税課税状況等の調べ 令和5年)

265.8万円(県内22位・岩船離島単独圏)で県平均を 11.2万円 下回りますが、営業等所得者比率 12.0% は県内1位、実効税率 3.4% は県内2位(単独)、納税義務者数10年 +16.82% も県内1位です。

【比較・解釈】

粟島浦村の1人当たり所得265.8万円は、県平均277.1万円を -11.2万円 下回り、県中央値273.3万円を -7.5万円 下回ります。県内1位の新潟市(319.5万円)とは -53.7万円 の差、県内30位の津南町(256.7万円)とは +9.1万円 の差で、県内30市町村の下位帯に位置しますが最下位からは +9.1万円 上に位置しています。

一方、所得割納税義務者数125人(県内30位)・課税対象所得総額約3.323億円(県内30位)はいずれも 県内最少規模 で、規模指標(人数・総額)と1人当たり指標(22位)の間には 8ランク差 が観察できます。県内シェアは納税義務者・課税対象所得ともに 0.01% で、いずれも県30市町村の中で最も小さい割合です。

粟島浦村と1人当たり所得順位が近接する市町村は、上位側が関川村(265.9万円・21位・+0.1万円差)、下位側が佐渡市(257.9万円・28位・-7.9万円差)です。1人当たり所得の絶対差は関川村と1,000円未満で、県内順位1ランク差の中では極めて拮抗した位置関係となっています。

【読者にとっての意味】

規模順位30位(県内最少)と1人当たり順位22位の8ランク差は「県内最少規模ながら1人当たりでは最下位圏ではない」という粟島浦村の構造を示す観察です。加えて後述する 岩船離島単独圏(比較対象なし)× 農業型ラベルなのに農業所得者0人 × 営業等所得者比率県内1位 × 実効税率県内2位単独 × 納税義務者10年変化率県内1位 という多重の固有位置を保有します。詳細は章⑦・章⑧で扱います。

数値の意味(データから読み取れる範囲):

粟島浦村の1人当たり所得265.8万円は県内22位で、下位10市町村(21〜30位)の中では上位から2番目に位置します。県内で農業型に分類される4市町村(関川村・粟島浦村・佐渡市・津南町)の1人当たり所得は関川21位・粟島浦22位・佐渡28位・津南30位で、粟島浦村は農業型4市町村中で2位 の水準です。県内下位帯の中で「新潟県唯一の離島 × 岩船離島単独圏 × 農業型ラベルなのに農業所得者0人 × 母集団125人という県内最少規模」の組合せは県内で粟島浦村のみの構造として観察できます。


▼【グラフ:awashimaura_県内ランキング.png 新潟県30市町村 1人当たり課税対象所得ランキング(R5年度・粟島浦村を強調)】


② 県内順位と岩船離島単独圏の位置づけ(県内22位・単独圏で比較対象なし・農業型4市町村中2位)

R5年度の1人当たり課税対象所得の県内上位10市町村を確認します。

この表で分かること:R5年度の県内上位10位と粟島浦村(22位)の位置関係が確認できます。

順位市町村1人当たり所得10年変化率変化率順位地域
1位新潟市319.5万円+11.3%20位下越
2位上越市305.4万円+11.5%17位(同率)上越
3位長岡市302.5万円+11.5%17位(同率)中越
4位燕市300.8万円+15.6%4位下越
5位三条市297.9万円+13.9%9位中越
6位柏崎市292.8万円+8.8%26位中越
7位刈羽村292.5万円+7.2%29位中越
8位糸魚川市286.6万円+15.0%6位(同率)上越
9位妙高市284.3万円+11.7%15位(同率)上越
10位新発田市283.9万円+11.7%15位(同率)下越
  • 県平均:277.1万円(粟島浦村 -11.2万円
  • 県中央値:273.3万円(粟島浦村 -7.5万円
  • 粟島浦村(22位):265.8万円・変化率 +0.7%・変化率順位 30位(最下位・単独)
  • 県30位・津南町:256.7万円(粟島浦村との差 +9.1万円

→ 粟島浦村は上位10位圏外ですが、農業型4市町村(関川21・粟島浦22・佐渡28・津南30)中では 2位 に位置します。

岩船離島単独圏の位置づけ

粟島浦村は地域分類上「岩船離島」圏に属し、圏内の総市町村数は 1(粟島浦村単独)です。地域内の他市町村リストは で、比較対象となる他市町村は圏内には存在しません。地域内の県内順位範囲も 県内22位のみ(粟島浦村1市町村のみ)で、他の地域圏(下越圏:県内1〜29位・中越圏:県内3〜30位・上越圏:県内2〜9位・佐渡圏:県内28位のみ・岩船離島圏:県内22位のみ)と比べると、単独圏として比較の余地がない構造となっています。

  • 岩船離島圏内1位:粟島浦村(265.8万円・県内22位)
  • 岩船離島圏内他市町村:該当なし(単独圏・母集団1)

新潟県2つの離島単独圏の位置関係

新潟県には地域分類上、単独圏を構成する自治体が2つ存在します。1つが 佐渡市(佐渡圏・県内28位・257.9万円・納税義務者20,508人)、もう1つが 粟島浦村(岩船離島圏・県内22位・265.8万円・納税義務者125人)です。両者は「新潟県で単独圏を構成する2つの離島自治体」という共通点を持ちますが、規模には大きな差が観察できます:

離島単独圏1人当たり所得県内順位納税義務者数課税対象所得総額地域圏
佐渡市257.9万円28位20,508人佐渡
粟島浦村265.8万円22位125人約3.323億円岩船離島

粟島浦村の納税義務者数125人は佐渡市の20,508人の 約1/164 で、規模で2桁以上の差があります。しかし1人当たり所得順位は粟島浦22位・佐渡28位で 粟島浦のほうが6ランク上位 に位置します。県内2つの離島単独圏の中で、粟島浦村は「小規模ながら1人当たり所得順位では佐渡を上回る」という数値関係が観察できます。

岩船地域内での位置づけ(岩船郡・岩船地域)

粟島浦村と地理的に近い岩船郡・岩船地域の自治体を並べると次の通りです:

市町村1人当たり所得県内順位地域圏地理
関川村265.9万円21位下越(岩船郡)山間地の村
粟島浦村265.8万円22位岩船離島(岩船郡)離島
村上市261.1万円26位下越(岩船地域)沿岸の中心市

岩船郡の3自治体(関川村・粟島浦村・岩船地域の中心市である村上市)の中で 1人当たり所得順位は関川村(21位)>粟島浦村(22位)>村上市(26位) の順に並びます。関川村と粟島浦村の絶対差は 1,000円未満(265.9万円 vs 265.8万円)で拮抗しますが、県内順位で1ランク差、地域圏では関川村(下越圏)と粟島浦村(岩船離島圏)に分かれる位置関係となっています。

同じ岩船郡でありながら、関川村は下越圏に、粟島浦村は岩船離島圏に地域分類が分かれる点は、粟島浦村を読み解く上での固有の位置関係の観察です。

農業型4市町村内での位置づけ

新潟県内で産業タイプ「農業型」に分類される市町村は、関川村・粟島浦村・佐渡市・津南町の 4市町村 です。この4市町村の1人当たり所得を並べると:

農業型4市町村1人当たり所得県内順位地域
関川村265.9万円21位下越(岩船郡)
粟島浦村265.8万円22位岩船離島
佐渡市257.9万円28位佐渡
津南町256.7万円30位中越

農業型4市町村の中で 粟島浦村は2位、上位の関川村との差は -0.1万円、下位の佐渡市との差は +7.9万円、最下位の津南町との差は +9.1万円となります。上位2市町村(関川・粟島浦)と下位2市町村(佐渡・津南)で 約8万円の階段 が観察でき、粟島浦村は上位2市町村の下側に位置しています。

数値の意味(データから読み取れる範囲):

粟島浦村は「岩船離島単独圏(母集団1・比較対象なし)×新潟県で佐渡と並ぶ2つの離島単独圏の一つ×農業型4市町村中で1人当たり所得順位2位×岩船郡の関川村と1,000円未満差で近接」の4つの位置関係を同時に保有します。県内順位22位の絶対水準は下位帯ですが、単独圏・農業型4市町村・岩船地域という複数のフレームで比較すると、それぞれ異なる順位(1/1・2/4・2/3)が観察できます。ただしこれらは所得側面の相対比較で、生活水準・移住適性を意味するものではありません。

なお岩船離島圏1位(1/1)は単独圏のため比較対象がなく、順位そのものは相対比較の材料としての意味を持ちません。単独圏で1位を持つことよりも、県内22位・農業型4市町村中2位・岩船地域内2位という フレームを跨いだ複数の順位関係 のほうが、粟島浦村の位置を示す指標として機能します。


③ 10年推移とV字回復・乖離パターン(前半-10.16%→後半+12.13%・総額+17.7%vs1人当たり+0.7%)

【結論】 粟島浦村の10年変化率は +0.7%(県内30位・最下位) で、前半5年 -10.16% から後半5年 +12.13%V字回復 していますが、納税義務者数 +16.82%(+18人・県内1位) と課税対象所得総額 +17.7%(+0.5億円・県内4位) の伸びが1人当たり所得の伸びをほぼ吸収し、推計手取りは -3.4%(-11.0万円) と新潟県30市町村中で 唯一のマイナス に転じています。

過去10年間(H25→H30→R5)の住民所得の変化を確認します。

この表で分かること:H25→H30→R5の10年間で1人当たり所得・納税義務者数・課税対象所得総額がどう変化したかを追えます。

年度1人当たり課税対象所得所得割納税義務者数課税対象所得(総額)
H25年度(2013年度)263.9万円107人約2.824億円
H30年度(2018年度)237.1万円
R5年度(2023年度)265.8万円125人約3.323億円
10年変化(H25→R5)+1.9万円(+0.7%)+18人(+16.82%)+0.5億円(+17.7%)

→ 1人当たり所得は前半5年 -10.16% から後半5年 +12.13%V字回復 し10年 +0.7%(県内30位・最下位) ですが、納税義務者数は +16.82%(+18人・県内1位) で課税対象所得総額は +17.7%(県内4位) と大きく増えており、総額と1人当たりの乖離が顕著です。

【根拠】

1人当たり所得の10年変化率+0.7%は、H25→H30の前半5年で -10.16%(263.9万円→237.1万円・-26.8万円)、H30→R5の後半5年で +12.13%(237.1万円→265.8万円・+28.8万円)と、前半でいったん大きく下落した後、後半で下落分を上回る幅で戻す V字回復 のパターンとなっています。10年通算では +0.7%(+1.9万円) に落ち着き、変化率順位は県内 30位(最下位・単独) です。

一方、納税義務者数はH25の 107人 からR5の 125人+18人(+16.82%) と増加しました。この+16.82%は県内 1位 で、2位聖籠町 +9.98%・3位湯沢町 +8.76% と大差があります。母集団107人という県内最少規模の中で+18人という絶対数の増加が +16.82% という相対値として現れており、県内で他自治体と比較しても突出した変化率順位となっています。

課税対象所得総額はH25の約 2.824億円 からR5の約 3.323億円+0.5億円(+17.7%) と増加しました。この+17.7%は県内 4位 で、上位3市町村は1位聖籠町 +29.2%・2位湯沢町 +26.2%・3位燕市 +19.2% です。前半・後半の内訳を見ると、前半H25→H30が +4.95%、後半H30→R5が +12.13% で、後半5年に伸びが集中しています。

【比較・解釈】

「1人当たり所得は+0.7%(30位・最下位)、総額課税対象所得は+17.7%(4位)、納税義務者数は+16.82%(1位)」という3つの数値関係は、「納税義務者の母数が10年で+16.82%増えたため、総額課税対象所得は+17.7%と大きく増えているにもかかわらず、1人当たり所得はほぼ横ばい(+0.7%)に留まる」という数値関係の観察です。1人当たり所得の変化率順位(30位)と、課税対象所得総額変化率の順位(4位)で 26ランクの乖離 が生じます。

上位10位で変化率が上位に入るのは燕市(+15.6%・4位)・糸魚川市(+15.0%・6位・同率)などですが、粟島浦村は上位10位圏外で1人当たり変化率順位は最下位です。ただし、これは「1人当たり所得が伸びていない」という側面のみに着目した観察で、総額課税対象所得の変化率順位(4位)や納税義務者数の変化率順位(1位)を合わせて読むと「母数の増加が1人当たり指標を横ばいに抑えている」という別の側面が浮かび上がります。

V字回復のパターンも粟島浦村固有の観察です。前半5年 -26.8万円 → 後半5年 +28.8万円 と、下落と回復の絶対幅が同水準ですが、母集団125人(県内最少)という規模では単年度・単期の変動が構造的に大きく現れやすく、V字の振れ幅そのものが小規模自治体の特性を反映した可能性があります。

関川村(納税義務者数変化率 -15.84%・1人当たり所得変化率 +15.0%)と比較すると、粟島浦村(納税義務者数変化率 +16.82%・1人当たり所得変化率 +0.7%)は 正反対のパターン です。関川村は「納税義務者数が減った結果、残った納税義務者の1人当たり所得が増えた」構造、粟島浦村は「納税義務者数が増えた結果、1人当たり所得の伸びが吸収された」構造で、同じ岩船郡でも所得構造の変化の方向が対照的です。

【読者にとっての意味】

粟島浦村の10年変化は「1人当たり指標では横ばい(30位・最下位)・総額指標では大きな伸び(4位・上位)」という方向の異なる2つの動きが同時に進行しています。1人当たり所得のみを見ると全県で最下位ですが、納税義務者数の変化率は県内で最も高く、母数の拡大が同時に進行している点は所得側面以外の別データ(人口動態・移住動向・年齢構成等)と併せて読み取る必要があります。詳細な移住検討者・地域理解志向の読み方は章⑧を参照してください。

数値の意味(データから読み取れる範囲):

前半-10.16%→後半+12.13%のV字回復パターンは、母集団107〜125人という県内最少規模の自治体で観察される固有パターンの1つです。関川村・佐渡市・津南町などの農業型4市町村と比較しても、粟島浦村は「10年通算では+0.7%横ばいだが、5年単位で見ると大きな振れ幅」という特徴を持ちます。V字の絶対幅(前半-26.8万円・後半+28.8万円)は母集団の小ささ(10年で107→125人)と対応した観察で、特定の少数世帯の所得変動が全体に影響しやすい構造として読み取れます。ただしこれは規模と変動の相関の観察であり、V字回復の原因を特定する因果関係を意味するものではありません。

課税対象所得総額と1人当たり所得の分子分母関係

課税対象所得総額(分子)はH25の2.824億円からR5の3.323億円へ +0.5億円 増えました。この増加分の内訳を見ると、納税義務者数の増加分(+18人・+16.82%)が総額増加のほぼ全てを吸収した結果、1人当たり所得は+1.9万円(+0.7%)にとどまります。もし納税義務者数が横ばいだった場合、1人当たり所得は総額変化率と近い水準(+17.7%相当)で伸びていた計算になりますが、実際は納税義務者数が同時に増加したため、1人当たり指標としてはほぼ横ばいで推移した数値関係の観察です。


▼【グラフ:awashimaura_所得推移.png 粟島浦村の1人当たり課税対象所得の推移(H25→H30→R5)】


④ 所得種類別の内訳(営業等所得者比率12.0%県内1位ダントツ・農業所得者0人・給与所得者76.8%県内29位)

所得割納税義務者の所得源泉の内訳を確認します。

この表で分かること:粟島浦村の納税義務者125人が給与・営業等・農業・その他のどこに分布するか把握できます。

所得区分納税義務者数比率
給与所得者96人76.8%
営業等所得者15人12.0%
農業所得者0人0.0%
その他14人11.2%
合計125人100%

→ 給与所得者 76.8%(96人・県内29位) を営業等所得者 12.0%(15人・県内1位) が補い、農業所得者は 0人(比率0.0%・県内30位単独)、その他11.2%(14人)で、離島経済の個人事業主中心構造が現れます。

営業等所得者比率12.0%は県内1位でダントツ

営業等所得者数15人・比率12.0%は 県内1位 で、2位の十日町市(3.9%)・佐渡市(3.9%)と 3倍以上の差 があります。営業等所得者比率が高い上位グループを並べると:

順位市町村営業等所得者比率
1位粟島浦村12.0%
2位(同率)十日町市3.9%
2位(同率)佐渡市3.9%

粟島浦村の12.0%は2位グループの3倍以上で、単独1位を ダントツ で保有します。営業等所得者は個人事業主・自営業者などが該当し、粟島浦村の主要業種2位「宿泊・飲食業20.2%(53人)」と対応して、離島観光型の個人事業主構造を示す数値関係が観察できます。

給与所得者比率76.8%は県内29位(下から2番目・単独)

給与所得者数96人・比率76.8%は 県内29位 で、給与所得者比率同率グループは粟島浦村 単独 です。県内で最も給与所得者比率が低いのは佐渡市の76.6%(30位)で、両離島(佐渡市76.6%・粟島浦村76.8%)が下位2位を占めています。県内の他の28市町村はいずれも77.8%以上(阿賀町77.8%・津南町78.2%等)で、両離島だけが76%台という位置関係となっています。

両離島(佐渡・粟島浦)に共通する構造:

市町村給与所得者比率県内順位産業タイプ地理
佐渡市76.6%30位(単独)農業型佐渡島
粟島浦村76.8%29位(単独)農業型粟島

両離島は「産業タイプ農業型 × 給与所得者比率下位2位」という共通点を持ちますが、佐渡市30位(76.6%)・粟島浦村29位(76.8%)とわずかに順位が異なり、いずれも単独順位を保有します。県内で「離島 × 給与所得者比率下位」という組合せは佐渡市と粟島浦村の2市のみに観察される構造です。

農業所得者比率0.0%は県内30位(単独)

農業所得者数 0人・比率 0.0%県内30位単独 の最下位です。県内で農業所得者比率0.0%は粟島浦村のみで、他29市町村はいずれも0.1%以上(29位グループの柏崎市0.1%・糸魚川市0.1%・湯沢町0.1%等)です。産業タイプが「農業型」に分類されながら、農業所得申告者が0人という組合せは県内で粟島浦村のみに観察されます。

農業型4市町村の農業所得者比率を並べると:

農業型4市町村農業所得者比率県内順位
津南町3.0%1位
関川村1.6%2位(同率)
佐渡市1.6%2位(同率)
粟島浦村0.0%30位(単独・最下位)

農業型4市町村の中で、津南町・関川村・佐渡市が農業所得者比率1〜3%台を保有する一方、粟島浦村のみが0.0%で県内最下位に位置します。「農業型ラベル × 農業所得者0人」の組合せは粟島浦村固有の構造として観察できます。

その他所得者比率11.2%は県内でも高水準

その他所得者数14人・比率11.2%は、年金所得・不動産所得・退職所得等が含まれるカテゴリーで、粟島浦村は納税義務者125人の中で14人(11.2%)がこの区分に該当します。県平均のその他所得者比率と比較すると相対的に高い水準ですが、母集団125人のため実数14人という小規模な絶対数の観察となります。

数値の意味(データから読み取れる範囲):

「営業等所得者比率12.0%県内1位ダントツ × 農業所得者0人(比率0.0%県内30位単独) × 給与所得者比率76.8%県内29位(両離島下位2位のうちの1つ) × その他11.2%」の組合せは、県内で粟島浦村のみに観察される所得種類別内訳です。営業等所得者比率が県内1位という位置は、主要業種2位の宿泊・飲食業20.2%(53人)が示す離島観光型の個人事業主構造と数値関係で対応する観察で、給与所得者中心の県内主流構造とは異なる所得源泉分布を示します。

農業型ラベルながら農業所得者0人という組合せは、産業タイプの分類(第1次産業比率が県内1位という国勢調査の就業者ベースの分類)と、所得申告形態(税務ベースの申告実額)の間の乖離を示す観察です。第1次産業比率31.2%は県内1位ですが、その内訳の大半は漁業20.2%(53人)で、農業・林業11.0%(29人)は3位業種の一部を占めるにとどまります。狭義の農業実績(申告される農業所得)は粟島浦村では0人・0.0億円ですが、就業者ベースでは第1次産業比率が県内1位という数値関係の観察が読み取れます。


▼【グラフ:awashimaura_所得種類別.png 粟島浦村の所得種類別 所得割納税義務者数(R5年度)】


⑤ 推計手取りと住民税・実効税率3.4%(県内2位単独・唯一のマイナス手取り)

【結論】 推計手取り 316.9万円 は県内 22位 で、10年 -11.0万円(-3.4%) は県内 30位新潟県30市町村中で唯一のマイナス、実効税率 3.4% は県内 2位(単独) で新潟市(4.5%)に次ぐ水準、1人当たり住民税は約 9.0万円(県内 13位)で分母(1人当たり所得22位)より上位の順位に立ちます。

住民税(所得割)の実額と、社会保険料・所得税を含む推計手取りの10年推移を確認します。

住民税(所得割)と実効税率

住民税(所得割)の実額は、総務省「市町村税課税状況等の調べ」第11表の所得割額を所得割納税義務者数で割って算出しました。

R5年度の1人当たり住民税は約 9.0万円(89,832円) で県内 13位、実効税率 3.4%粟島浦村単独の県内2位 です。実効税率の上位グループを並べると:

順位市町村実効税率
1位(単独)新潟市4.5%
2位(単独)粟島浦村3.4%
3位(同率)上越市/長岡市/燕市3.3%

粟島浦村の実効税率3.4%は、県内1位の新潟市(4.5%)に次ぐ 単独2位 で、3位グループ3市町村(3.3%)を +0.1ポイント 上回ります。実効税率同率グループは粟島浦村単独(同率市町村なし)で、県内で2位を単独保有しています。

10年変化を見ると、実効税率は +0.3ポイント 上昇しています。この期間には令和2年の税制改正で住民税の基礎控除が33万円から43万円に引き上げられており、実効税率の10年変化幅が改正時期と対応するタイミングで観察されます(改正が原因であるという断定はしません)。

分母(1人当たり所得)順位と実効税率順位の関係で見ると、粟島浦村は「1人当たり所得22位」に対し「実効税率2位」で、分母順位に対して実効税率順位のほうが 20ランク上位 の位置関係を持ちます。1人当たり住民税実額の順位(13位)は分母順位(22位)より9ランク上位で、税負担の絶対水準が県内で上位1/3圏に位置する観察です。

推計手取りの10年推移(唯一のマイナス)

この表で分かること:推定給与収入から社保・所得税・住民税を差し引いた推計手取りの10年推移が確認できます。

課税対象所得(給与所得)から給与所得控除の計算式で給与収入を逆算し、各年度の公式保険料率・税制を用いて手取りを試算しました。

項目H25(2013年度)R5(2023年度)10年変化
課税対象所得(給与所得)263.9万円265.8万円+1.9万円(+0.7%)
推定給与収入(※1)約397.4万円約387.3万円-10.1万円(-2.5%)
1人当たり住民税(実額)約9.0万円+0.3ポイント(実効税率)
推計手取り約327.9万円約316.9万円-11.0万円(-3.4%)

→ 推計手取りは 316.9万円(県内 22位)で、10年 -11.0万円(-3.4%) は新潟県30市町村中 唯一のマイナス、実効税率 3.4% は県内 2位(単独) です。手取り転換率は10年で推計手取りがマイナスに転じたため 計算不能で空欄 となっています。

推計手取り変化率が県内で唯一のマイナス

粟島浦村の推計手取り変化率 -3.4% は県内 30位 で、新潟県30市町村中で唯一のマイナス に転じた自治体です。29位の佐渡市は +2.0% で、粟島浦村を除く29市町村すべてがプラスの変化率を保有します。1人当たり所得は +0.7% で微増ですが、推定給与収入が -2.5%(-10.1万円)減少し、実効税率が +0.3ポイント上昇したことで、手取り側では -3.4%(-11.0万円)のマイナスに転じています。

推計手取りの絶対水準(316.9万円・県内22位)は1人当たり所得順位(22位)と一致し、両順位が並ぶ位置関係です。関川村(推計手取り318.3万円・県内19位)と比較すると、関川村では手取り順位(19位)が1人当たり所得順位(21位)より +2ランク上位に位置する一方、粟島浦村では両順位が22位で並ぶという違いが観察できます。

手取り転換率が空欄になった理由

手取り転換率は通常、給与収入の10年増加分に対する手取り増加分の割合として定義される指標です。粟島浦村の場合、10年で推定給与収入が -10.1万円 減少し、推計手取りも -11.0万円 減少しているため、「増加分に対する増加分の割合」という計算式が成立せず、空欄(計算不能) となっています。この空欄は「10年で推計手取りが減少した」ことを示す観察であり、県内で他29市町村(いずれもプラスの手取り変化)とは異なる指標状態を持ちます。

数値の意味(データから読み取れる範囲):

「実効税率3.4%(県内2位・単独) × 推計手取り316.9万円(県内22位) × 手取り変化率-3.4%(県内30位・唯一のマイナス) × 1人当たり住民税約9.0万円(県内13位)」の組合せは、粟島浦村の税負担・手取り側面での固有位置を示すデータ関係の観察です。1人当たり所得順位が22位に対し、実効税率が県内2位・住民税実額が県内13位という上位に立つことで、税負担の絶対水準が県内上位圏に位置する構造が読み取れます。

推計手取りの10年マイナスは、推定給与収入の減少(-10.1万円)と実効税率の上昇(+0.3ポイント)が同時進行した結果で、粟島浦村が県内で唯一「10年で手取りが減った」自治体という数値状態の観察です。ただしこれは推計値ベースの試算で、実際の家族構成・扶養控除・その他個別事情による変動幅は別途考慮が必要です。母集団125人という県内最少規模のため、単年度・単期の変動が指標に大きく現れる特性がある点も併せて読み取る必要があります。

住民税所得割の税率は市町村民税6%・道府県民税4%で全国一律です。本記事で示す実効税率(住民税実額÷課税対象所得)は、控除の適用状況・所得構成の違いの結果として現れる値であり、市町村ごとに税率が違うわけではありません。粟島浦村の実効税率3.4%(県内2位単独)は、他市町村と比較して「控除の適用状況・所得構成が異なる結果として税負担の実質率が高めに現れる」という数値関係の観察です。

※1 給与収入は課税対象所得(給与所得)から各年度の給与所得控除(所得税法の計算式)で逆算した推定値です。
※2 社会保険料は厚生年金(公式保険料率)・健康保険(協会けんぽ新潟県の概算率)・雇用保険(公式料率)を使用。保険料率はH25:厚生年金8.737%・健保4.985%・雇保0.5%、H30:厚生年金9.15%・健保5.0%・雇保0.3%、R5:厚生年金9.15%・健保5.0%・雇保0.6%で試算。
※3 所得税は「給与所得 − 基礎控除(H25・H30: 38万、R5: 48万)− 社会保険料控除 − 配偶者控除 − 扶養控除1人」を課税標準として試算。実際の控除状況・家族構成によって大きく異なります。


⑥ 粟島浦村の主力産業(農業型ラベル・実態は漁業と宿泊業の並立・第1次産業比率県内1位)

【結論】 産業タイプは 農業型 ですが 農業所得者0人・農業産出額 0.0億円 で、主要業種1位 漁業20.2%(53人) と2位 宿泊・飲食業20.2%(53人)完全同率、第1次産業比率 31.2% は県内 1位(内訳は漁業+農業林業の合算)、第3次産業比率 65.4% は県内 4位 という離島経済の並立構造を持ちます。

粟島浦村の産業構造と所得水準の対応関係を、複数データで観察します。

産業タイプと就業構造

粟島浦村は産業構造マスター(総務省 国勢調査 令和2年)で 農業型 に分類されています。農業型4市町村(関川村・粟島浦村・佐渡市・津南町)のうちの1市町村で、農業型ラベルは第1次産業就業者比率の高さに基づく分類です。

産業別就業者比率(2020年)は 第1次産業31.2%(県内1位)・第2次産業3.4%・第3次産業65.4%(県内4位) です。第1次産業比率31.2%は 県内1位 で、農業型4市町村内の順位を並べても:

農業型4市町村第1次産業比率県内順位
粟島浦村31.2%1位
津南町24.7%
佐渡市17.9%
関川村16.9%

農業型4市町村の中で 粟島浦村が第1次産業比率でトップ の位置に立ちます。2位の津南町(24.7%)を +6.5ポイント 上回り、農業型4市町村の中で最も第1次産業への就業集中度が高い自治体です。

第3次産業比率65.4%は県内 4位 で、上位3市町村は湯沢町80.8%・新潟市73.2%・佐渡市66.2%です。湯沢町(観光地)・新潟市(県庁所在地)・佐渡市(離島)に次いで、粟島浦村が第3次産業比率上位に立つ構造は、主要業種2位の宿泊・飲食業20.2%(53人)に代表される観光サービス業の存在と数値関係で対応する観察です。

総就業者数は 263人(県内下位圏・小規模)で、10年変化率H22→R2は -9.3% です。関川村の -16.1%・下越圏の他市町村と比較すると相対的に緩やかな減少幅で、母集団の変動幅としては小さい部類に入ります。

主要業種:1位漁業と2位宿泊・飲食業が完全同率20.2%

この表で分かること:産業タイプと就業者上位3業種・第1次産業比率・農業関連指標を1枚で確認できます。

順位業種就業者数比率
1位漁業53人20.2%
2位宿泊・飲食業53人20.2%
3位農業・林業29人11.0%

→ 産業タイプは「農業型」ですが農業所得者0人・農業産出額0.0億円で、実態の主要業種1位 漁業20.2%(53人) と2位 宿泊・飲食業20.2%(53人)完全同率、第1次産業比率 31.2% は県内 1位 で内訳は漁業+農業林業の合算です。

主要業種1位の漁業と2位の宿泊・飲食業が 就業者数53人・比率20.2%で完全同率 という組合せは、県内で他市町村と入替不可の粟島浦村固有のパターンです。1位と2位で完全同率という状態は、統計的に稀な数値関係で、単一業種への集中ではなく 2業種の並立 が同水準で観察される構造です。

漁業(53人・20.2%)は新潟県内で主要業種1位が漁業となる自治体としても稀少で、農業型4市町村の中で漁業が1位業種に立つのは粟島浦村のみです(関川村1位は製造業19.6%・佐渡市1位は医療福祉16.2%・津南町1位は農業林業24.5%)。

宿泊・飲食業(53人・20.2%)は観光関連業種で、粟島浦村の離島観光型の経済構造を示す数値関係で対応する観察です。営業等所得者比率12.0%(県内1位ダントツ)が示す個人事業主中心の所得構造と、宿泊・飲食業20.2%(主要業種2位)が示す観光サービス業の集中は、数値関係で対応する観察として読み取れます。

「農業型ラベルなのに農業所得者0人・農業産出額0.0億円」の観察

産業タイプ「農業型」ラベルながら、狭義の農業実績(税務ベースの申告実額・農業産出額)は次の通りです:

指標数値県内順位
農業所得者数0人30位(比率0.0%・単独)
農業産出額0.0億円30位

農業所得申告者は 0人(比率0.0%・県内単独30位)、農業産出額は 0.0億円(県内30位)で、いずれも県内最下位です。「農業型」ラベルは国勢調査の第1次産業就業者比率が県内1位(31.2%)であることから付与された分類上のラベルですが、実態の第1次産業31.2%の内訳は漁業20.2%(主要業種1位)と農業・林業11.0%(主要業種3位)で、漁業が過半を占める 構造です。

農業型4市町村の中で「農業所得者0人・農業産出額0.0億円」の組合せは粟島浦村のみで、他3市町村(津南町・関川村・佐渡市)はいずれも農業所得申告者が存在します。県内で「産業タイプ農業型 × 農業所得者0人 × 農業産出額0.0億円 × 主要業種1位漁業」の組合せは粟島浦村固有の構造として観察できます。

製造業関連指標は全て空欄(県内最下位圏)

製造業関連の指標(経済産業省 工業統計調査 令和4年)は次の通りです:

指標数値県内順位
事業所数下位圏
従業者数30位
現金給与総額30位
製造品出荷額30位
付加価値額30位
1人あたり付加価値額

製造業関連の全指標がデータ極小のため空欄または県内最下位30位で、粟島浦村では製造業の分析は成立しない状態です。総就業者数263人のうち第2次産業3.4%は約9人相当で、絶対数として製造業事業所ベースの分析対象を構成しない規模です。

これは粟島浦村が農業型4市町村の中でも「製造業がほぼ存在しない」構造を持つ点で、関川村(1人あたり付加価値額県内5位・製造業従業者306人)とは対照的な位置関係となります。同じ農業型でも、関川村は「農業型ラベル×主要業種1位製造業」の並列構造、粟島浦村は「農業型ラベル×主要業種1位漁業×製造業ほぼゼロ」の構造という違いが観察できます。

単一業種集中度の観察(漁業+宿泊業並立・分散傾向)

主要業種上位3業種(漁業20.2%+宿泊飲食業20.2%+農業林業11.0%)の比率合計は 51.4% で、単一業種への集中というより 2業種の並立+補助的3位 という分散傾向のパターンです。1位と2位が完全同率20.2%(53人ずつ)という状態は、県内で他市町村と入替不可の固有パターンとして観察できます。

農業産出額0.0億円という値は「該当なし」ではなく実際に0の計上で、農業実績が実質的に無いことを示す統計値です。農業所得申告者0人と併せて、「農業型」ラベルの数値的裏付けが就業者ベース(第1次産業比率31.2%)と申告・産出ベース(0人・0.0億円)で乖離していることを示す観察です。

数値の意味(データから読み取れる範囲):

粟島浦村の産業構造は「農業型ラベル × 農業所得者0人・農業産出額0.0億円 × 主要業種1位漁業と2位宿泊・飲食業が完全同率20.2% × 第1次産業比率31.2%県内1位 × 第3次産業比率65.4%県内4位 × 製造業関連ほぼゼロ」の組合せで、県内で他市町村と入替不可の固有パターンとして観察できます。

産業タイプの分類(第1次産業比率と第1次業種集中度に基づく)と実態の第1次産業内訳(漁業が主・農業補助)の間には数値関係の乖離があり、これは粟島浦村が持つ「離島の漁業+観光型経済」を示す数値関係の観察です。営業等所得者比率12.0%(県内1位)と主要業種2位宿泊・飲食業20.2%(観光サービス業)が数値関係で対応し、個人事業主中心の離島観光型構造が観察できます。ただしこれらは所得水準・所得種類との相関の観察であり、産業構造が住民所得を決定しているという因果関係を意味するものではありません。


⑦ 岩船離島単独圏の位置づけ(比較対象なし・農業型4市町村中2位・岩船地域内での位置)

【結論】 岩船離島は粟島浦村単独圏(母集団1・比較対象なし)ですが、農業型4市町村中では関川村(21位)に次ぐ 2位(22位)、岩船地域内では 関川21位>粟島浦22位>村上26位 の順、県内2つの離島単独圏(佐渡・岩船離島)のうち規模で最小・1人当たり所得順位では佐渡を上回る位置に立ちます。

この表で分かること:岩船離島単独圏の粟島浦村を県全体・岩船地域・農業型4市町村・県内2つの離島単独圏と参考比較できます。

岩船離島圏(単独圏・比較対象なし)

粟島浦村の属する地域圏「岩船離島」は総市町村数 1 で、圏内に他の自治体は存在しません。地域内順位は 1/1(単独)、地域内他市町村リストは空、地域県内順位範囲も県内22位のみです。

  • 岩船離島圏内1位:粟島浦村(265.8万円・県内22位)
  • 岩船離島圏内他市町村:該当なし(単独圏・母集団1)

単独圏では「圏内1位」という表現は形式上成立しますが、比較対象となる他市町村が存在しないため、順位の相対比較の材料としての意味を持ちません。粟島浦村を位置づける際には、単独圏の中の順位ではなく、別のフレーム(県全体・農業型4市町村・岩船地域・県内2つの離島単独圏)を跨いだ複数の順位関係 のほうが指標として機能します。

新潟県2つの離島単独圏の比較

新潟県には地域分類上、単独圏を構成する自治体が2つ存在します。1つが佐渡市(佐渡圏)、もう1つが粟島浦村(岩船離島圏)です。両者を比較すると:

離島単独圏1人当たり所得県内順位納税義務者数地域圏産業タイプ
佐渡市257.9万円28位20,508人佐渡農業型
粟島浦村265.8万円22位125人岩船離島農業型

粟島浦村の納税義務者125人は佐渡市20,508人の 約1/164 で、規模で2桁以上の差があります。しかし1人当たり所得順位は粟島浦22位・佐渡28位で 粟島浦のほうが6ランク上位 です。産業タイプは両市町村とも「農業型」で共通、給与所得者比率も両者が県内下位2位(佐渡76.6%・粟島浦76.8%)を占める共通構造を持ちます。

「単独圏で規模最小 × 1人当たり所得順位で佐渡を上回る × 両者とも農業型」 の組合せは、県内2つの離島単独圏の中で粟島浦村の位置を示す観察です。ただし佐渡市の1人当たり所得順位が28位に位置するのは佐渡市固有の要因があり、粟島浦村が「佐渡より高い」ことは相対比較の観察であり、生活水準の優劣を意味するものではありません。

岩船地域内での位置づけ(岩船郡・岩船地域)

粟島浦村と地理的に近い岩船郡・岩船地域の自治体を並べると次の通りです:

市町村1人当たり所得県内順位地域圏地理
関川村265.9万円21位下越(岩船郡)山間地の村
粟島浦村265.8万円22位岩船離島(岩船郡)離島
村上市261.1万円26位下越(岩船地域)沿岸の中心市

岩船郡の3自治体(関川村・粟島浦村・岩船地域の中心市である村上市)の中で 1人当たり所得順位は関川21位>粟島浦22位>村上26位 の順に並びます。関川村と粟島浦村の絶対差は 1,000円未満(265.9万円 vs 265.8万円)で拮抗しますが、県内順位で1ランク差、地域圏では関川村(下越圏)と粟島浦村(岩船離島圏)に分かれる位置関係となります。

同じ岩船郡でありながら、関川村は下越圏に、粟島浦村は岩船離島圏に地域分類が分かれる点、岩船地域の中心市である村上市(下越圏・県内26位)を両村(関川21位・粟島浦22位)が県内順位で上回る点は、粟島浦村を岩船地域の枠組みで読み解く上での固有の位置関係の観察です。

農業型4市町村内での位置づけ(1人当たり所得2位・第1次産業比率1位)

新潟県内で産業タイプ「農業型」に分類される4市町村(関川村・粟島浦村・佐渡市・津南町)の1人当たり所得と第1次産業比率を並べると:

農業型4市町村1人当たり所得県内順位第1次産業比率第1次産業比率順位主要業種1位
関川村265.9万円21位16.9%製造業
粟島浦村265.8万円22位31.2%1位漁業
佐渡市257.9万円28位17.9%医療福祉
津南町256.7万円30位24.7%農業・林業

農業型4市町村の中で 粟島浦村は1人当たり所得順位2位・第1次産業比率順位1位 を保有します。1人当たり所得では関川村(21位)に -0.1万円 差で次ぎ、第1次産業比率では2位の津南町(24.7%)を +6.5ポイント 上回るトップです。

主要業種1位を並べると、関川村は製造業(19.6%)、粟島浦村は漁業(20.2%)、佐渡市は医療福祉(16.2%)、津南町は農業・林業(24.5%)と、4市町村で4つの異なる業種が1位を占める分散パターンとなっています。粟島浦村の1位業種「漁業」は農業型4市町村の中で唯一の漁業1位で、離島立地に対応する数値関係の観察です。

参考:県全体・県平均との比較

粟島浦村(22位・265.8万円)は県平均(277.1万円)を -11.2万円 下回り、県中央値(273.3万円)を -7.5万円 下回ります。県内1位の新潟市(319.5万円)とは -53.7万円、県内30位の津南町(256.7万円)とは +9.1万円 の差です。県30市町村の下位帯(21〜30位)の中では上位から2番目に位置する順位です。

下越圏13市町村との参考比較(粟島浦村は岩船離島圏で下越圏には属さない)

粟島浦村は地域分類上「岩船離島圏」で下越圏には属しませんが、同じ岩船郡の関川村(下越圏)と地理的に近接するため、下越圏13市町村の順位分布との参考比較として並べると:

  • 下越圏内順位1〜3位:新潟市(県内1位)・燕市(4位)・新発田市(10位)
  • 下越圏内順位7位:関川村(県内21位)
  • 下越圏内順位11位:村上市(県内26位)
  • 下越圏内順位13位:阿賀町(県内29位)

粟島浦村(県内22位)を仮に下越圏の順位に位置づけると関川村(7位)と阿賀野市(下越圏内順位算出上の中位)の間となりますが、実際には粟島浦村は岩船離島圏の単独圏(下越圏には含まれない)です。この参考比較は、粟島浦村が下越圏の他市町村と地理的に近接する岩船郡内の関川村と近い順位帯にあることを示す観察にとどまります。

数値の意味(データから読み取れる範囲):

粟島浦村は「岩船離島単独圏(母集団1・比較対象なし) × 農業型4市町村中で1人当たり所得順位2位 × 第1次産業比率県内1位・農業型4市町村中1位 × 岩船地域内で村上市を上回る × 県内2つの離島単独圏の中で規模最小だが1人当たり所得順位では佐渡を上回る」の5つの位置関係を同時に保有します。

県内順位22位という絶対水準は下位帯ですが、単独圏・農業型4市町村・岩船地域・県内2つの離島単独圏・県全体という複数のフレームで比較すると、それぞれ異なる順位(1/1・2/4・2/3・1位相当・22位)が観察できます。単独圏における順位(1/1)は比較の材料として意味を持ちませんが、他のフレームでの複数順位が粟島浦村の位置を示す固有の材料として機能します。ただしこれらは所得側面の相対比較で、生活水準・移住適性を意味するものではありません。他側面(生活コスト・住居費・通勤環境・アクセス・離島の生活条件)は別データを併せて参照する必要があります。


⑧ 移住検討者・地域理解志向への読み方

本章は「粟島浦村 移住」「粟島浦村 平均年収」「粟島浦村 漁業」「粟島浦村 観光」「粟島浦村 手取り」「粟島浦村 離島」等の検索意図に対する、データから読み取れる判断材料の整理です。個別の意思決定を代替するものではありません。

粟島浦村は「新潟県唯一の離島(岩船離島単独圏)」「農業型ラベルなのに農業所得者0人」「営業等所得者比率12.0%県内1位・宿泊飲食業20.2%と対応する離島観光型構造」「納税義務者125人という県内最少母集団」の4つの固有特徴を持ちますが、事業者・個人事業主向けの独自材料は成立しにくい(納税義務者125人・営業等所得者15人という商圏規模で事業者の判断材料として提示できるものが限られる)ため、読者層は「離島暮らし・関係人口志向の移住検討者」と「離島経済・岩船地域を理解したい読者」の 2軸 に集約されます。以下、2視点で整理します。

視点1:移住検討者(離島暮らし・関係人口志向)への読み取り材料

読み取り材料データ根拠
265.8万円は県平均を -11.2万円 下回るが県中央値差 -7.5万円・県30位津南町とは +9.1万円 の差県平均277.1万円・中央値273.3万円・30位津南町256.7万円
農業型4市町村(関川21・粟島浦22・佐渡28・津南30)中で2位・関川村と1,000円未満差で拮抗関川村265.9万円との差-0.1万円
実効税率3.4%は県内2位(単独)で新潟市(4.5%)に次ぐ水準実効税率上位グループ・分母(1人当たり所得)順位22位に対して実効税率は2位で20ランク上位
給与所得者比率76.8%は県内29位(単独・下から2番目・両離島下位2位のうちの1つ)給与所得者96人・比率76.8%
営業等所得者比率12.0%は県内1位ダントツ(2位十日町・佐渡3.9%と3倍差)で個人事業主中心構造営業等所得者15人・比率12.0%・2位グループの3倍以上
推計手取り316.9万円は県内22位・10年-11.0万円(-3.4%)で新潟県30市町村中で唯一のマイナス推計手取り変化率30位・手取り転換率は空欄(計算不能)
変化率+0.7%は県内30位(最下位)だが、前半-10.16%→後半+12.13%のV字回復母集団125人という県内最少規模のため変動が構造的に大きく現れやすい
納税義務者数10年+16.82%(+18人)は県内1位ダントツ・母数の拡大は続いている2位聖籠町+9.98%・3位湯沢町+8.76%と大差
主要業種1位漁業20.2%(53人)・2位宿泊・飲食業20.2%(53人)が完全同率就業構造としては漁業+観光の並立
生活コスト・離島の生活条件との照合が必要1人当たり所得順位は所得側面のみ・アクセス/住居費/物価は別データを要参照

視点1の総括:粟島浦村は納税義務者125人という県内最少規模の離島自治体ですが、営業等所得者比率12.0%(県内1位ダントツ)と主要業種2位宿泊・飲食業20.2%(53人)が示す離島観光型の個人事業主構造、実効税率3.4%(県内2位単独)と分母22位の20ランク差、農業型4市町村中で1人当たり所得順位2位という材料を保有します。一方、1人当たり所得変化率は県内30位(最下位)・推計手取り変化率も県内で唯一のマイナス(-3.4%)で、10年で手取りが減った唯一の自治体です。前半5年-10.16%→後半5年+12.13%のV字回復パターンは、母集団125人という規模での変動の大きさを反映する観察で、単年度・単期の変動が指標に大きく現れる特性がある点は、移住検討にあたっては別データ(人口動態・年齢構成・生活インフラ・アクセス・離島の生活条件)と併せて読み取る必要があります。納税義務者数10年+16.82%(県内1位)という母数の拡大は続いているという別側面もあります。

視点2:地域理解志向の読者(離島経済・岩船地域・農業型ラベルの実態)への読み取り材料

読み取り材料データ根拠
岩船離島は粟島浦村単独圏(新潟県2つの離島単独圏の一つ・もう一つは佐渡市)地域総市町村数1・地域他市町村リスト空・地域県内順位範囲は県内22位のみ
岩船郡でありながら関川村(下越圏)とは別分類の岩船離島圏岩船郡の粟島浦村=岩船離島圏・関川村=下越圏
産業タイプ「農業型」だが農業所得者0人・農業産出額0.0億円という乖離農業所得者比率0.0%県内30位単独・農業産出額0.0億円県内30位
主要業種1位漁業20.2%と2位宿泊・飲食業20.2%が完全同率(53人ずつ)で並立就業者ベースの1位・2位が完全同率
第1次産業比率31.2%県内1位(内訳は漁業20.2%+農業林業11.0%)第1次産業比率順位1位・農業型4市町村中で第1次産業比率トップ
第3次産業比率65.4%は県内4位(湯沢80.8・新潟73.2・佐渡66.2に次ぐ)第3次産業比率順位4位
農業型4市町村(関川21・粟島浦22・佐渡28・津南30)中で1人当たり所得順位2位・第1次産業比率で1位4市町村内で1人当たり所得と第1次産業比率の両順位を保有
納税義務者+16.82%(+18人)は県内1位・課税対象所得+17.7%は県内4位・1人当たり所得+0.7%は県内30位という乖離分子分母の同時増加による1人当たり指標のほぼ横ばい・26ランクの順位乖離
母集団125人は関川村1,928人の約1/15・県内最少規模単年度・単期の変動が構造的に大きく現れる特性
手取り転換率が空欄(10年で推計手取りがマイナスに転じたため計算不能)県内で他29市町村は全てプラス変化率・粟島浦のみマイナス
佐渡市(納税義務者20,508人)とは規模で約164倍差の県内2つの離島単独圏両離島とも農業型・両者とも給与所得者比率で県内下位2位
岩船地域内で関川21位>粟島浦22位>村上26位の順岩船郡3自治体の県内順位関係

視点2の総括:粟島浦村は新潟県で唯一の離島(岩船離島単独圏)で、佐渡市と並ぶ県内2つの離島単独圏の一つですが、規模では佐渡の約1/164・県内最少です。産業タイプ「農業型」ラベルながら農業所得者0人・農業産出額0.0億円という数値上の乖離を持ち、主要業種1位漁業と2位宿泊・飲食業が完全同率20.2%(53人ずつ)で並立する離島経済の構造は、県内で他市町村と入替不可の固有パターンです。第1次産業比率31.2%は県内1位で、その内訳の大半は漁業(20.2%)です。10年変化では納税義務者数+16.82%(県内1位)・課税対象所得総額+17.7%(県内4位)に対して1人当たり所得+0.7%(県内30位)・推計手取り-3.4%(県内で唯一のマイナス)という分子分母の関係が観察でき、母集団125人という規模の特性が指標に大きく現れる構造として読み取れます。就業構造としては漁業+観光の並立で、営業等所得者比率12.0%(県内1位)が離島観光型の個人事業主構造を示す数値関係と対応します。

⚠️ 上記は「データから読み取れる範囲での判断材料」であり、投資助言・移住助言・個別の意思決定を代替するものではありません。


⑨ データの見方・注意点

順位=豊かさではありません

1人当たり課税対象所得の順位は、後述する複数の解釈上の制約を含んだ指標に基づいています。順位が高いことをもって「豊かな地域」「移住すべき地域」等の価値判断を行うことはできません。順位はあくまで所得割の課税ベース上の数値の相対比較です。

課税対象所得は手取り収入ではありません

課税対象所得(合計所得金額)は、給与・事業・農業などの各所得から給与所得控除等の所得種別の控除を差し引いた所得の合計です。ここからさらに基礎控除・社会保険料控除・配偶者控除・扶養控除等を差し引いた額が住民税・所得税の課税標準となります。課税対象所得と実際の手取り収入は異なります。

推計手取りの計算モデル

⑤の推計手取りは、給与所得控除の計算式で給与収入を逆算し、公式保険料率と概算率を用いた試算値です。想定料率(協会けんぽ新潟県の概算率)と控除モデル(基礎控除・配偶者控除・扶養控除1人)は記事末の「出典」欄に明示しています。実際の手取りは家族構成・扶養控除・iDeCo/生命保険料控除等の個別事情で大きく変動します。

実効税率は税率設定の違いではありません

住民税所得割の税率は市町村民税6%・道府県民税4%で全国一律です。本記事で示す実効税率(住民税実額÷課税対象所得)は、控除の適用状況・所得構成の違いの結果として現れる値であり、市町村ごとに税率が違うわけではありません。

農業地域では過小表示になる場合があります

農業所得は申告による実額ですが、自家消費・現物収入は含まれない場合があります。農業主体の市町村では、1人当たり課税対象所得が実態の生活水準より低く見える可能性があります。粟島浦村は産業タイプ「農業型」に分類されていますが、農業所得申告者数は0人・農業産出額は0.0億円で、狭義の農業実績はゼロ、就業構造としては漁業(主要業種1位20.2%)が第1次産業の中心を占めます。

所得割納税義務者は全住民ではありません

課税対象所得が控除額を下回る場合(所得が低い・年金受給のみ等)は所得割の納税義務者に含まれません。高齢化が進んだ市町村では分母が小さくなり、1人当たり所得が見かけ上高くなる場合があります。粟島浦村の納税義務者数は10年で+16.82%(+18人)増加しており、この分母の拡大が1人当たり指標の伸びを吸収している(総額+17.7%に対し1人当たり+0.7%)点は、指標を読む際の観察上の注意点となります。

1人あたり付加価値額と1人当たり所得の混同注意

⑥で言及した1人あたり付加価値額は 製造業事業所ベース の指標で、住民所得の1人当たり課税対象所得(所得割納税義務者ベース)とは分母が異なる別の指標です。両者を同一の「1人あたり所得」として扱うことはできません。粟島浦村の場合、製造業関連の指標は全て空欄または県内最下位(30位)でデータ極小のため、そもそも1人あたり付加価値額の比較は成立しない状態です。

小規模自治体の変動増幅の注意

粟島浦村の納税義務者数125人・総就業者数263人は県内最少規模で、単年度・単期の変動が構造的に大きく現れやすい特性があります。10年変化の +0.7%(1人当たり所得・前半-10.16%→後半+12.13%のV字回復)・-3.4%(推計手取り・唯一のマイナス)は、母集団125人という規模の特性が指標に反映された可能性があります。傾向として観察できる範囲での記述にとどめ、単年度の変動は複数年での確認が推奨されます。関川村(納税義務者1,928人)の約1/15、津南町(3,793人)の約1/30という規模比が、指標の振れ幅の背景として存在します。

主要業種比率と所得種類別比率の分母不一致

主要業種1位漁業20.2%・2位宿泊・飲食業20.2%(総就業者263人ベース)と、営業等所得者比率12.0%・農業所得者比率0.0%(納税義務者125人ベース)は分母が異なる別の指標です。片方は就業構造ベース、もう片方は課税ベースで、両指標を単純比較することはできません。就業者ベースで漁業に従事する53人が、税務上どの所得区分(給与所得・営業等所得・その他)で申告しているかは、本データからは直接読み取れません。

手取り転換率が空欄になった意味

手取り転換率は「10年の給与収入増加分に対する手取り増加分の割合」として定義される指標です。粟島浦村の場合、10年で推定給与収入が -10.1万円 減少し、推計手取りも -11.0万円 減少しているため、増加分ベースの計算式が成立せず空欄となっています。この空欄は「10年で推計手取りが減少した」という数値状態を示す観察で、県内他29市町村(いずれもプラスの手取り変化)とは異なる指標状態を持ちます。


まとめ

粟島浦村の住民所得の特徴(データから読み取れる範囲)

  • 1人当たり課税対象所得は 265.8万円 で県内 22位/30市町村中(R5年度)。県平均差 -11.2万円・県中央値差 -7.5万円・県30位津南町とは +9.1万円 の差
  • 岩船離島単独圏(母集団1・比較対象なし)・新潟県で 佐渡市と並ぶ2つの離島単独圏 の一つ・岩船郡の関川村(下越圏)とは地域分類が別
  • 所得割納税義務者 125人(県内 30位・県内最少・シェア0.01%)・課税対象所得総額 約3.323億円(県内 30位・県内最少・シェア0.01%)
  • 農業型4市町村(関川21・粟島浦22・佐渡28・津南30)中で 1人当たり所得順位2位・第1次産業比率では 1位・岩船地域内では 関川21位>粟島浦22位>村上26位 の順
  • H25→R5の10年で +0.7%(+1.9万円)・変化率順位は県内 30位(最下位・単独)・前半 -10.16%(-26.8万円)から後半 +12.13%(+28.8万円)の V字回復
  • 納税義務者数10年 +16.82%(+18人) は県内 1位ダントツ(2位聖籠町+9.98%と大差)・課税対象所得総額10年 +17.7%(+0.5億円) は県内 4位
  • 課税対象所得+17.7%(4位)と1人当たり所得+0.7%(30位)で 26ランクの乖離 ・母集団の拡大が1人当たり指標を吸収した数値関係
  • 所得割納税義務者125人のうち 給与所得者76.8%(96人・県内29位単独)営業等所得者12.0%(15人・県内1位ダントツ)農業所得者0人(比率0.0%・県内30位単独)・その他11.2%(14人)
  • 1人当たり住民税(実額)約 9.0万円(89,832円・県内 13位)・実効税率 3.4% は県内 2位(単独)・新潟市(4.5%)に次ぐ水準
  • 推計手取りは 316.9万円(県内 22位)・10年 -11.0万円(-3.4%) で新潟県30市町村中 唯一のマイナス・手取り転換率は 空欄(計算不能)
  • 産業タイプは 農業型 だが 農業所得者0人・農業産出額 0.0億円・主要業種1位 漁業20.2%(53人) と2位 宿泊・飲食業20.2%(53人)完全同率・第1次産業比率 31.2% は県内 1位・第3次産業比率 65.4% は県内 4位

移住検討者・地域理解志向への読み方(判断材料)

  • 移住検討者(離島暮らし・関係人口志向): 265.8万円は県平均を下回るが農業型4市町村中2位・岩船地域内で村上市を上回る・実効税率3.4%は県内2位単独で分母22位より20ランク上位・営業等所得者比率12.0%県内1位ダントツで個人事業主中心構造・給与所得者比率76.8%県内29位単独。10年で手取り-11.0万円は県内で唯一のマイナス・納税義務者+18人は県内1位で母数の拡大は続いている。生活コスト・離島の生活条件は別データで要照合
  • 地域理解志向の読者: 岩船離島単独圏で新潟県2つの離島単独圏の一つ・農業型ラベルなのに農業所得者0人・農業産出額0.0億円・主要業種1位漁業と2位宿泊飲食業が完全同率20.2%(53人ずつ)・第1次産業比率31.2%県内1位・農業型4市町村中で1人当たり所得順位2位・母集団125人は関川村の約1/15・県内最少規模

派生指標で見える意外な観察

  • 農業型ラベル × 農業所得者0人 × 農業産出額0.0億円 の3点セットは県内で粟島浦村のみに観察される固有パターン。第1次産業比率31.2%(県内1位)の内訳は漁業20.2%+農業林業11.0%で、狭義の農業実績は税務ベース(申告0人)・産出ベース(0.0億円)とも県内最下位
  • 主要業種1位漁業と2位宿泊・飲食業が完全同率20.2%(53人ずつ) の並立は県内で他市町村と入替不可の固有パターン。1位と2位が完全同率という状態は統計的に稀な数値関係
  • 営業等所得者比率12.0%は県内1位でダントツ(2位十日町・佐渡3.9%と3倍差)。主要業種2位宿泊・飲食業20.2%と数値関係で対応する離島観光型の個人事業主構造の観察
  • 実効税率3.4%は県内2位(単独) で新潟市(4.5%)に次ぐ。分母(1人当たり所得22位)に対して実効税率順位は20ランク上位で、県内で他市町村と異なる税負担の相対位置
  • 納税義務者数10年+16.82%(+18人)は県内1位 で2位聖籠町+9.98%と大差。母集団107人という県内最少規模の中で+18人の増加が+16.82%として現れる数値関係
  • 課税対象所得+17.7%(県内4位)に対し1人当たり所得+0.7%(県内30位)で26ランクの乖離。分子分母の同時増加による1人当たり指標のほぼ横ばい構造
  • 推計手取り-3.4%(-11.0万円)は新潟県30市町村中で唯一のマイナス。1人当たり所得+0.7%微増でも推定給与収入-10.1万円・実効税率+0.3ポイント上昇の同時進行で手取りがマイナスに転じた数値関係
  • 前半-10.16%→後半+12.13%のV字回復(前半-26.8万円→後半+28.8万円)は母集団107〜125人という規模で観察される変動パターン。5年単位の振れ幅の絶対値が同水準で観察される固有パターン
  • 手取り転換率が空欄(計算不能) は「10年で推計手取りがマイナスに転じた」ため。県内で他29市町村は全てプラスの手取り変化を保有する中、粟島浦村のみが増加分ベースの計算式が成立しない指標状態
  • 給与所得者比率76.8%は県内29位(単独) で、県内30位の佐渡市(76.6%)と共に 両離島が下位2位 を占める共通構造
  • 岩船郡の関川村(下越圏)と粟島浦村(岩船離島圏)で地域分類が別、岩船地域内では関川21位>粟島浦22位>村上26位の順で 岩船郡2村が岩船地域中心市の村上市を上回る 関係
  • 新潟県2つの離島単独圏(佐渡・粟島浦) で規模は佐渡の約1/164(納税義務者125人 vs 20,508人)だが、1人当たり所得順位では粟島浦22位>佐渡28位で 粟島浦のほうが6ランク上位
  • 農業型4市町村中で第1次産業比率31.2%は1位(次点津南24.7%を +6.5ポイント 上回る)、同時に4市町村中で1人当たり所得順位2位(関川21・粟島浦22・佐渡28・津南30)

この記事の執筆・データについて

執筆: 新潟データ(新潟県在住の個人運営)
データ基準日: 令和5年度(2023年度)市町村税課税状況等の調べ/国勢調査 令和2年/工業統計調査 令和4年/市町村別農業産出額(推計)令和4年
更新日: 2026-08-26
運営者情報: https://niigata-data.com/運営者情報/
データの利用について: https://niigata-data.com/privacy-policy/

本記事は公的統計を整理・解釈したデータ記事です。専門的な投資助言・移住助言・税務相談ではありません。移住・就職・事業判断等の重要な意思決定にあたっては、原典データおよび該当分野の専門家にご確認ください。


出典

  • 1人当たり課税対象所得・所得割納税義務者数・住民税(所得割)実額・所得種類別納税義務者数:
    総務省(市町村税課税状況等の調べ 令和5年・平成30年・平成25年)
  • 産業別就業者数・産業タイプ・主要業種1〜3位・総就業者数:
    総務省(国勢調査 令和2年)
  • 製造業従業者数・現金給与総額・製造品出荷額・付加価値額・1人あたり付加価値額:
    経済産業省(工業統計調査 令和4年)
  • 農業産出額:
    農林水産省(市町村別農業産出額(推計)令和4年)

推計値について:
本記事の「推計手取り」は総務省 課税対象所得から社会保険料・所得税・住民税を控除した試算値です。
想定料率:

  • H25:厚生年金 8.737%/健保 4.985%/雇保 0.5%
  • H30:厚生年金 9.15%/健保 5.0%/雇保 0.3%
  • R5:厚生年金 9.15%/健保 5.0%/雇保 0.6%
    (協会けんぽ新潟県の概算率を使用)
    控除モデル:基礎控除(H25・H30: 38万、R5: 48万)・配偶者控除・扶養控除1人・社会保険料控除
    データ基準日:令和5年度(2023年度)・平成30年度(2018年度)・平成25年度(2013年度)
    次回更新推奨:令和10年度(2028年度)データ公表後

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