糸魚川市は年間 173.2 万人の観光客が訪れる県内 12 位の観光地です。県全体(約 6,336 万人)の 2.73% を占めます。
糸魚川市の観光構造で数値上目立つのは、コロナ前の 5 年間(H26→R1)に +24.1%(県内 6 位) と増加していた点です。県内 30 市町村の多くがコロナ前から減少傾向にあった中で、糸魚川市は 2014 年(169.5 万人)から 2019 年(210.4 万人)へ 40.9 万人の増加を記録しました。この増加の起点は 2015 年(H27)の +43.7%(169.5 万人 → 243.5 万人)で、北陸新幹線の開業(2015 年 3 月)と時期が重なります。
現在の観光構造を支えるのが 道の駅 2 施設(マリンドリーム能生 45.5 万人・親不知ピアパーク 19.9 万人、合計 65.3 万人・県内 5 位)で、都市型観光 46.9% の中核です。加えて糸魚川ジオステーションジオパル(26.9 万人)・ヒスイ王国館(15.8 万人)・フォッサマグナミュージアム(8.8 万人)といったジオパーク関連施設が続き、夏は海水浴(6 か所・7.9 万人・県内 4 位)が加わる構成です。
この記事では、糸魚川市の観光客数を 13 年間の推移・観光分類の内訳・月別の集客カレンダー・主要観光施設 5 か所の集中度から整理します。市全体が前年比 −0.4% の横ばいだった 2024 年に、施設と海水浴でそれぞれ何が起きていたのかを数値で確認します。訪問時期を選ぶとき・移住や出店を検討するときの判断材料になる部分もあわせて示します。
▼【グラフ:糸魚川市_県内ランキング.png 新潟県内 30 市町村の観光客入込数ランキング(2024 年・糸魚川市を強調表示)】

糸魚川市の観光を支える 3 つの構造
糸魚川市の観光構造は「道の駅 2 施設の通年集客 + ジオパーク関連施設 + 夏の海水浴」の 3 要素で成立していると観察できます。
1. 道の駅 2 施設 + ヒスイ王国館:都市型 46.9% の内訳
糸魚川市の道の駅利用者数は 653,340 人(2 施設)で、新潟県内 15 市町村中 5 位です。1 市で道の駅を 2 施設持つのは県内でも少数派です。
| 施設 | 分類 | 2024 年入込数 | 2023 年入込数 | 前年比 | 市全体シェア |
|---|---|---|---|---|---|
| 道の駅マリンドリーム能生 | 都市型 | 45.5 万人 | 44.3 万人 | +2.6% | 26.2% |
| 道の駅親不知ピアパーク | 都市型 | 19.9 万人 | 20.9 万人 | −4.9% | 11.5% |
| ヒスイ王国館 | 都市型 | 15.8 万人 | 14.7 万人 | +8.0% | 9.1% |
| 都市型 3 施設合計 | ─ | 81.2 万人 | 79.9 万人 | +1.6% | 46.9% |
観光分類「都市型観光」は 46.9%(県内 12 位) で、上記 3 施設がその全体を構成します。マリンドリーム能生はカニ直売所を備えた日本海沿いの道の駅で、市内最大の集客施設(市全体の 26.2%・県内 17 位の集中度)です。親不知ピアパークは北陸自動車道・親不知 IC 付近、ヒスイ王国館は糸魚川駅前に位置し、いずれも通年で来訪がある施設です。
2. ジオパーク関連施設:ジオパル・フォッサマグナミュージアム
糸魚川市には糸魚川ユネスコ世界ジオパークに関連する展示・交流施設が複数あります。
| 施設 | 分類 | 2024 年入込数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 糸魚川ジオステーションジオパル | スポレク | 26.9 万人 | −4.7% |
| フォッサマグナミュージアム | 歴史文化 | 8.8 万人 | +0.5% |
糸魚川ジオステーションジオパルは糸魚川駅に併設された交流施設で、市内 2 位の集客(26.9 万人・市全体の 15.5%)です。フォッサマグナミュージアムはヒスイや糸魚川静岡構造線に関する展示施設で、観光分類「歴史・文化」8.0%(県内 11 位)の中核を担います。
観光分類「スポーツ・レクリエーション」は 23.4%(県内 11 位) で、ジオパルがこの分類に計上されています。
3. 夏の海水浴:6 か所・7.9 万人(県内 4 位)
糸魚川市の海水浴場は 6 か所で、2024 年の海水浴客数は 78,864 人(県内 12 市町村中 4 位)です。
| 県内順位 | 市町村 | 海水浴客数 | 海水浴場数 |
|---|---|---|---|
| 1 位 | 柏崎市 | 27.3 万人 | 14 か所 |
| 2 位 | 新潟市 | 16.7 万人 | 10 か所 |
| 3 位 | 上越市 | 8.2 万人 | 4 か所 |
| 4 位 | 糸魚川市 | 7.9 万人 | 6 か所 |
| 5 位 | 村上市 | 5.0 万人 | 9 か所 |
| 6 位 | 新発田市 | 3.3 万人 | 1 か所 |
| 7 位 | 長岡市 | 2.9 万人 | 5 か所 |
| 8 位 | 佐渡市 | 2.8 万人 | 7 か所 |
海水浴客数は県内 4 位、海水浴場数 6 か所は県内 5 位(柏崎 14・新潟 10・村上 9・佐渡 7 に次ぐ)です。
ただし場所の数は 6 か所に分かれる一方、客数は 1 か所に集中しています。
| 海水浴場 | 2024 年 | 2023 年 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 能生 | 60,860 | 70,970 | −14.2% |
| 親不知 | 10,313 | 12,238 | −15.7% |
| 糸魚川 | 2,800 | 5,973 | −53.1% |
| 藤崎 | 2,549 | 5,024 | −49.3% |
| 大和川 | 1,358 | 2,171 | −37.4% |
| 百川 | 984 | 2,426 | −59.4% |
| 合計 | 78,864 | 98,802 | −20.2% |
能生 1 か所で市内海水浴客の 77.2% を占めます。この能生は市内最大施設「道の駅マリンドリーム能生」(45.5 万人)と同じ地区にあり、2 つを合わせると 51.5 万人(市全体の 29.8%)が能生地区に集まる計算です。
また 2024 年は 6 か所すべてが減少し、合計で 2.0 万人(−20.2%)減りました。主要観光地点 5 施設がいずれも前年比 ±10% 以内だった中で、海水浴は市内で唯一 2 桁の減少です。海水浴客 7.9 万人のうち 6.7 万人(85.2%)が県外客です。この海水浴と道の駅の夏季需要が重なり、8 月がピーク月(33.7 万人・年間の 19.5%)、夏集中度(7〜8 月)は 31.2% となります。
月別パターン:振幅倍率 4.6 倍
糸魚川市の 振幅倍率(8 月 33.7 万人 ÷ 1 月 7.4 万人)は 4.6 倍 です。夏(31.2%)に集客が寄る一方、道の駅 2 施設の通年集客が冬季(13.3%)の水準を支える構造として観察できます。市内にスキー場もありますが(利用客 39,212 人・県内 9 位)、市全体入込に対する比率は 2.3% です。
13 年推移(2012〜2024 年):H27 243.5 万人ピーク・コロナ前は増加基調
| 年(和暦) | 観光客入込数 | 前年比 |
|---|---|---|
| 2012 年(H24) | 182.4 万人 | ─ |
| 2013 年(H25) | 184.1 万人 | +0.9% |
| 2014 年(H26) | 169.5 万人 | −7.9% |
| 2015 年(H27) | 243.5 万人(13 年間のピーク) | +43.7% |
| 2016 年(H28) | 212.2 万人 | −12.8% |
| 2017 年(H29) | 208.1 万人 | −1.9% |
| 2018 年(H30) | 208.9 万人 | +0.4% |
| 2019 年(R1) | 210.4 万人 | +0.7% |
| 2020 年(R2) | 122.6 万人 | −41.7% |
| 2021 年(R3) | 120.7 万人 | −1.5% |
| 2022 年(R4) | 152.4 万人 | +26.3% |
| 2023 年(R5) | 173.8 万人 | +14.1% |
| 2024 年(R6) | 173.2 万人 | −0.4% |
2015 年(H27)の +43.7%
2015 年(H27)は前年(H26 169.5 万人)から +43.7% 増加し、243.5 万人となりました。この年は 北陸新幹線が開業(2015 年 3 月 14 日) し、糸魚川駅に停車駅が設けられた年で、増加の時期と重なります。翌 2016 年(H28)は −12.8% と減少しましたが、その後 2017〜2019 年は 208〜210 万人台で推移し、H26 以前の水準(169〜184 万人台)を上回る水準が続きました。
コロナ前 5 年間は +24.1%(県内 6 位)
コロナ前の 5 年間(H26 169.5 万人 → R1 210.4 万人)は +24.1%(県内 6 位) の増加です。県内 30 市町村の多くがコロナ前から減少傾向にあった中で(参考:上越市 −1.3%・南魚沼市 −3.3%・村上市 −5.2%・佐渡市 −19.5%)、糸魚川市は増加を記録した自治体の 1 つです。
コロナ前比 82.3%(県内 16 位)
コロナ前(2019 年:210.4 万人)と 2024 年(173.2 万人)を比較すると 82.3%(県内 16 位) で、県内では中位の回復水準です。
3 つの時期区分
| 期間 | 変化率 | 順位 |
|---|---|---|
| 2014→2019 年(コロナ前 5 年) | +24.1% | 6 位 |
| 2019→2024 年(コロナ後 5 年) | −17.7% | 16 位 |
| H25→R6(12 会計年度) | −5.9% | 13 位 |
長期(H25→R6)では −5.9%(県内 13 位)で、県内では減少幅の小さいグループに属します。コロナ前 5 年間の +24.1% に対しコロナ後 5 年間は −17.7% で、H25→R6 では −5.9% にとどまっています。
2024 年:前年比 −0.4%
前年比は 2022 年(+26.3%)→ 2023 年(+14.1%)→ 2024 年(−0.4%)と、コロナ後の回復から横ばいに転じました。−0.4% は県内 19 位です。
▼【グラフ:糸魚川市_入込数推移.png 糸魚川市の観光客入込数の推移(2012〜2024 年)】

観光の種類(分類別内訳):都市型 46.9% + スポレク 23.4%
| 観光分類 | 比率 | 県内順位 |
|---|---|---|
| 都市型観光 | 46.9% | 12 位 |
| スポーツ・レクリエーション | 23.4% | 11 位 |
| 行祭事・イベント | 10.8% | 17 位 |
| 歴史・文化 | 8.0% | 11 位 |
| 温泉・健康 | 5.8% | 22 位 |
| その他 | 2.9% | 5 位 |
| 自然 | 2.3% | 18 位 |
都市型 46.9%(道の駅 2 施設 + ヒスイ王国館)+ スポレク 23.4%(ジオパル等)で 70.3% を占めます。
日本海沿岸市町村との分類比較
| 市町村 | 都市型 | スポレク | 歴史文化 | 主要施設 |
|---|---|---|---|---|
| 村上市 | 51.1% | 6.8% | 4.9% | 穂波の里 |
| 糸魚川市 | 46.9% | 23.4% | 8.0% | 道の駅マリンドリーム能生 |
| 長岡市 | 54.1% | 9.2% | 10.5% | 寺泊魚の市場通り |
| 上越市 | 14.5% | 20.4% | 31.0% | 高田城址公園観桜会 |
| 柏崎市 | 1.0% | 32.7% | 15.1% | えんま市 |
同じ日本海沿岸でも、糸魚川市・村上市・長岡市は「道の駅・魚市場型」の都市型比率が高く、上越市は歴史文化型、柏崎市は行祭事・海水浴型と、構造が分かれています。
▼【グラフ:糸魚川市_分類別.png 糸魚川市の観光分類別内訳(2024 年)】

月別カレンダー:8 月ピーク 19.5%・振幅 4.6 倍
| 月 | 観光客数 | 年間シェア |
|---|---|---|
| 1 月(最少) | 7.4 万人 | 4.3% |
| 2 月 | 7.5 万人 | 4.3% |
| 3 月 | 11.2 万人 | 6.4% |
| 4 月 | 13.0 万人 | 7.5% |
| 5 月 | 15.8 万人 | 9.1% |
| 6 月 | 12.2 万人 | 7.0% |
| 7 月 | 20.3 万人 | 11.7% |
| 8 月(ピーク) | 33.7 万人 | 19.5% |
| 9 月 | 15.1 万人 | 8.7% |
| 10 月 | 16.1 万人 | 9.3% |
| 11 月 | 12.8 万人 | 7.4% |
| 12 月 | 8.1 万人 | 4.7% |
季節集中度
| 季節 | 集中度 | 主な集客源 |
|---|---|---|
| 春(3〜5 月) | 23.1% | GW(5 月 15.8 万人) |
| 夏(7〜8 月) | 31.2% | 海水浴・道の駅の夏季需要 |
| 秋(9〜11 月) | 25.4% | 秋の観光シーズン |
| 冬(12〜2 月) | 13.3% | 道の駅の通年集客が支える |
振幅倍率:8 月 33.7 万人 ÷ 1 月 7.4 万人 = 4.6 倍
8 月 33.7 万人(ピーク・19.5%)
8 月ピーク 19.5% は長岡市(19.6%)とほぼ同水準です。海水浴(6 か所・7.9 万人)と道の駅の夏季需要が重なる時期で、7 月(20.3 万人)と合わせた夏集中度は 31.2% となります。
冬集中度 13.3% の水準
冬集中度 13.3% は県内で中位の水準です(参考:新潟市 17.3%・妙高市 21.3%・長岡市 14.4%・柏崎市 7.9%・上越市 8.2%)。市内のスキー場利用客は 39,212 人(県内 9 位)で、市全体入込の 2.3% にとどまりますが、道の駅 2 施設が冬季も通年で集客を維持する構造として観察できます。
▼【グラフ:糸魚川市_月別推移.png 糸魚川市の月別観光客数(2024 年・R4〜R6 の 3 年比較)】

主要観光施設:5 施設・施設把握率 67.5%
糸魚川市で主要観光地点として計上されている施設は 5 か所です(2024 年)。施設入込数合計は 116.9 万人で、市全体入込 173.2 万人の 67.5% を把握しています。
| 施設名 | 分類 | 2024 年入込数 | 2023 年入込数 | 前年比 | 市全体シェア |
|---|---|---|---|---|---|
| 道の駅マリンドリーム能生 | 都市型 | 45.5 万人 | 44.3 万人 | +2.6% | 26.2% |
| 糸魚川ジオステーションジオパル | スポレク | 26.9 万人 | 28.3 万人 | −4.7% | 15.5% |
| 道の駅親不知ピアパーク | 都市型 | 19.9 万人 | 20.9 万人 | −4.9% | 11.5% |
| ヒスイ王国館 | 都市型 | 15.8 万人 | 14.7 万人 | +8.0% | 9.1% |
| フォッサマグナミュージアム | 歴史文化 | 8.8 万人 | 8.7 万人 | +0.5% | 5.1% |
集中度の県内順位
- 最大施設集中度(道の駅マリンドリーム能生 26.2%):県内 17 位/30 市町村中
- 上位 3 施設集中度(53.3%):県内 14 位/30 市町村中
上位 3 施設(マリンドリーム能生・ジオパル・親不知ピアパーク)で市全体の 53.3% を占めます。県内の集中度としては中位水準です。
前年比大変動施設
- 前年比増加:ヒスイ王国館(+8.0%・14.7 万人 → 15.8 万人)・道の駅マリンドリーム能生(+2.6%)・フォッサマグナミュージアム(+0.5%)
- 前年比減少:道の駅親不知ピアパーク(−4.9%)・糸魚川ジオステーションジオパル(−4.7%)
- 前年比増減が ±30% を超える施設:該当なし
2024 年は主要観光地点 5 施設すべてが前年比 ±10% 以内の変動にとどまり、市全体も −0.4% の横ばいでした。ただし別集計の海水浴は −20.2%(−2.0 万人) と市内で唯一 2 桁の減少をしています(詳細は「3. 夏の海水浴」の表)。主要観光地点 5 施設の合計が微増した一方、海水浴は −2.0 万人でした。市全体の −0.4% は、この 2 つを合わせた結果です。
補助データ:道の駅 5 位・海水浴 4 位・スキー 9 位
糸魚川市の観光を性格づける補助的なデータを整理します。
| データ種別 | 2024 年実績 | 県内順位 |
|---|---|---|
| 道の駅利用者数(2 施設) | 653,340 人 | 5 位/15 市町村中 |
| 海水浴客数(6 か所) | 78,864 人 | 4 位/12 市町村中 |
| 海水浴場数 | 6 か所 | ─ |
| スキー場利用客数(R5-6 シーズン) | 39,212 人 | 9 位/16 市町村中 |
糸魚川市は道の駅(県内 5 位)・海水浴(県内 4 位)・スキー(県内 9 位)のいずれも保有する複合型の観光資源構成です。県内で海水浴場とスキー場を併せ持つのは糸魚川市・上越市・新発田市・長岡市・胎内市の 5 市です。
糸魚川市の観光を選ぶときの判断材料
8 月だけが 30 万人を超えます。夏の 2 か月と、残りの 10 か月を分けて数えます。
8 月だけが 30 万人を超える
糸魚川市の月別入込は 8 月(33.7 万人・19.5%)が最も多く、2 番目の 7 月(20.3 万人)を 13.4 万人上回ります。
| 時期 | 月別入込 | 年間シェア |
|---|---|---|
| 8 月 | 33.7 万人 | 19.5% |
| 7 月 | 20.3 万人 | 11.7% |
| 10 月・5 月・9 月 | 15.1〜16.1 万人 | 8.7〜9.3% |
| 4 月・11 月・6 月・3 月 | 11.2〜13.0 万人 | 6.4〜7.5% |
| 12 月・2 月・1 月 | 7.4〜8.1 万人 | 4.3〜4.7% |
最多の 8 月と最少の 1 月で 4.6 倍の開きです。夏集中度(7〜8 月)31.2% に対して冬集中度は 13.3% で、夏に寄った構成です。8 月が最多月なのは 2022・2023・2024 年の 3 年とも変わりません。
海水浴は 6 か所あるが、能生 1 か所で 77.2%
糸魚川市の海水浴場は 6 か所・海水浴客 78,864 人(県内 4 位)です。ただし内訳は 能生 1 か所で 77.2% を占め、6 か所に分かれてはいません。
県外からの来訪は 85.2%(県内 2 位)で、上越市(87.3%)に次ぐ高さです。長野・北陸方面からの来訪が中心という構成が数字に表れています。
2024 年の海水浴は前年比 −20.2%(−2.0 万人) でした。一方で主要観光地点 5 施設はいずれも前年比 ±10% 以内で、市全体は −0.4% の横ばいです。「市全体が動かなかった」のではなく、施設の微増と海水浴の減少を合わせた結果がこの数字にあたります。
道の駅 2 施設で市全体の 37.7%
主要観光地点 5 か所のうち、最大は道の駅マリンドリーム能生(市全体の 26.2%・県内 17 位)です。上位 3 施設(道の駅マリンドリーム能生・糸魚川ジオステーションジオパル・道の駅親不知ピアパーク)で 53.3% を占めます。
道の駅は 2 施設・利用者数 65.3 万人で県内 5 位です。観光分類でも都市型 46.9% が最大で、その中核が道の駅にあたります。次いでスポーツ・レクリエーション 23.4% で、スキー場(3.9 万人・県内 9 位)と海水浴がここに含まれます。
移住検討者向け:夏だけ人出が 3 倍になる
| 月 | 入込 | 住民 1 人あたり |
|---|---|---|
| 8 月(最多) | 33.7 万人 | 8.87 人(県内 8 位) |
| 1 月(最少) | 7.4 万人 | 1.94 人 |
人口 38,041 人に対して、最も混む 8 月は住民 1 人あたり 8.87 人で県内 8 位です。最少の 1 月でも住民の 1.94 倍が訪れており、観光客が住民数を下回る月はありません。年間の観光客/人口比は 45.52 倍(県内 9 位)で上位に入ります。
ただし面積 746.41 km² に対して観光客/km² は 2,320.0 人(県内 23 位)で、人出は広い市域に分かれます。夏に集中するのは海沿い(能生の海水浴場・道の駅マリンドリーム能生・親不知ピアパーク)で、混雑する場所と時期が比較的はっきりしています。
7〜8 月は、海沿いの施設・宿泊・飲食が最も動く時期にあたります。
事業出店検討者向け:夏の 2 か月に 31.2%
月別需要は 7.4〜33.7 万人で、振幅 4.6 倍です。7〜8 月の 2 か月に年間の 31.2% が入り、この時期の需要が他の月の 2〜4 倍になります。
通年型の集客源としては道の駅 2 施設(65.3 万人・県内 5 位)があり、上位 3 施設で市全体の 53.3% を占めます。一方で海水浴(7.9 万人)は市全体の 4.6% にとどまり、夏の集客規模に対して海水浴客そのものの比率は高くありません。夏の人出は海水浴以外の要素も含めて見る必要があります。
糸魚川市のデータを見るときの注意点
糸魚川市の観光構造を他自治体と比較する際、以下 4 点に留意が必要です。
1. 2015 年(H27)の +43.7% の解釈
2015 年(H27)の +43.7%(169.5 万人 → 243.5 万人)は、北陸新幹線の開業(2015 年 3 月 14 日)と時期が重なります。当時の公表データは市町村単位の合計値で、施設別の内訳は含まれていません。翌 2016 年は −12.8% と減少しており、単年の変動幅が大きい点に留意が必要です。
2. 道の駅 2 施設の集計
道の駅利用者数 653,340 人(県内 5 位)は 2 施設の合計です。1 施設あたりでは マリンドリーム能生 45.5 万人・親不知ピアパーク 19.9 万人で、妙高市(道の駅あらい 1 施設で 285.6 万人・県内 1 位)とは規模が異なります。道の駅の県内順位は市町村単位の合計で算出されているため、施設数の違いを考慮した比較が必要です。
3. 施設把握率 67.5% の構造
主要観光地点 5 施設の合計(116.9 万人)は市全体入込(173.2 万人)の 67.5% です。残り 32.5%(56.3 万人)は施設別データには表れず、海水浴(7.9 万人)・スキー場(3.9 万人)・その他の観光行動に分散しています。
4. 推計値・宿泊内訳の非公表
観光客入込数は各観光施設の利用者数を市町村が集計・推計した値で、実測値ではありません。市町村ごとに集計対象施設・カウント方法が異なるため、市町村間の比較は「概ねの規模感」として扱う必要があります。宿泊者数・日帰り客数の内訳、消費額の市区町村別データは新潟県の調査で非公表です。
まとめ
2024 年の糸魚川市(数値一覧)
| 項目 | 2024 年 | 県内順位 |
|---|---|---|
| 観光客入込数 | 173.2 万人(県全体の 2.73%) | 12 位 |
| 前年比 | −0.4% | 19 位 |
| コロナ前(2019 年)比 | 82.3% | 16 位 |
| 長期変化(2013 年→2024 年) | −5.9% | 13 位 |
| 最多月 | 8 月 33.7 万人(19.5%) | ─ |
| 最少月 | 1 月 7.4 万人(4.3%)・振幅 4.6 倍 | ─ |
| 夏集中度(7〜8 月) | 31.2% | ─ |
| ピーク月入込/人口比 | 8.87 人 | 8 位 |
| 最大の観光分類 | 都市型 46.9% | ─ |
| 最大施設 | 道の駅マリンドリーム能生(26.2%) | 施設集中度 17 位 |
| 上位 3 施設集中度 | 53.3% | 14 位 |
| 道の駅利用者数(2 施設) | 65.3 万人 | 5 位 |
| 海水浴客数 / 海水浴場数 | 78,864 人 / 6 か所 | 4 位 |
| 海水浴の県外比率 | 85.2% | 2 位 |
| 観光客/人口比 | 45.52 倍 | 9 位 |
この数値が示していること
糸魚川市は、人口に対する観光客の多さ(人口比 9 位・ピーク月人口比 8 位)と海水浴の県外比率(2 位)で県内上位に入る一方、入込の絶対数は 12 位、変化の指標は前年比 19 位・コロナ前比 16 位・13 年変化 13 位といずれも中位です。人口 38,041 人の市に年間 173.2 万人が訪れる構造ですが、その水準は大きく動いていません。
13 年の推移では、2015 年の 243.5 万人が最も多い年です。以降 212.2 万人・208.1 万人・208.9 万人・210.4 万人と 200 万人台で推移し、コロナ禍で 120.7 万人(2021 年)まで下がりました。その後 152.4 万人・173.8 万人と戻し、2024 年は 173.2 万人(前年比 −0.4%)で止まっています。2019 年との差は 37.2 万人で、コロナ前比 82.3% はこの差を指しています。
2024 年の横ばいの中身は、分野によって分かれます。主要観光地点 5 施設はいずれも前年比 ±10% 以内でしたが、別集計の海水浴は −20.2%(−2.0 万人) と市内で唯一 2 桁の減少でした。海水浴 6 か所のうち能生 1 か所が 77.2% を占め、県外からの来訪が 85.2%(県内 2 位)という構成です。施設の側は動かず、海水浴の側が減った年、というのが 2024 年の糸魚川市の数値の形になります。
出典
- 観光客入込数:新潟県観光政策課(令和 6 年観光客入込数・消費額調査)
- 主要観光地点入込数:新潟県観光政策課(同調査 表 7)
- 道の駅利用者数:新潟県観光政策課(令和 6 年観光客入込数・消費額調査)
- 海水浴場入込客数:新潟県観光政策課(令和 6 年度海水浴客入込状況)
- スキー場利用客数:新潟県観光政策課(令和 5-6 シーズン スキー場利用客数)
- 北陸新幹線開業:JR 東日本・JR 西日本公表資料(2015 年 3 月 14 日)
- 人口・面積:総務省(住民基本台帳 R7 年 1 月 1 日)・国土地理院
データ基準日:2024 年(令和 6 年)
次回更新推奨:2025 年(令和 7 年)観光客入込数調査公表後

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