新潟市(新潟県下越地域・政令指定都市8区)の1人当たり課税対象所得(R5年度)は 319.5万円 で、新潟県30市町村中 1位 です。
10年で +11.3%(+32.4万円) 変化しましたが、変化率の順位は県内 20位 で、額の順位(1位)と変化率の順位(20位)に 19ランクの乖離 が観察できます。推計手取りは 366.3万円(県内1位)で、10年で+16.7万円(+4.8%)変化しています。
主要業種1位は 卸売業・小売業(就業者比率17.6%・県内上位10位で唯一の非製造業型)で、実効税率 4.5% は県内で単独同率(30市町村中で新潟市のみ4%台)、下越13市町村中 1位 の県庁所在地・政令市です。この記事は、総務省「市町村税課税状況等の調べ」ほかの公的統計をもとに、新潟市の所得水準・10年変化・政令市8区の集約規模・産業構造との対応・下越圏内での位置づけ・移住検討者/事業者への読み方までを、記事単体で判断材料が読み取れる構造で整理したものです。
この記事でわかること
- R5年度の1人当たり課税対象所得は 319.5万円(県内 1位/30市町村中)・県平均+42.5万円・県中央値+46.2万円
- H25→R5の10年変化は +11.3%(+32.4万円) で、変化率順位は県内 20位(同率なしの単独水準)
- 所得割納税義務者 374,869人(県内シェア36.62%・県内1位)のうち 81.9%が給与所得者(同率なしの単独水準)、農業所得者は0.4%
- 課税対象所得総額 約11,978.4億円(県内シェア39.15%・県内1位)・納税義務者シェア(36.62%)との差 2.53ポイント
- 1人当たり住民税(所得割)は約 14.5万円・実効税率 4.5%(県内唯一の4%台・単独同率・10年+0.9ポイント上昇)
- 推計手取りはR5の 366.3万円(県内1位)・10年で +16.7万円(+4.8%)・変化率順位は県内 21位
- 主要業種は卸売業・小売業17.6%・医療福祉14.5%・製造業12.1%の3業種構造、上位10位で唯一の非製造業1位
- 下越圏13市町村では 1位、下越圏内の県内順位範囲は 県内1〜29位 に広く分布
① 新潟市の1人当たり所得(R5年度サマリー)
新潟市の住民所得の全体像を数値で確認します。
| 指標 | 数値 | 県内順位(30市町村中) |
|---|---|---|
| 1人当たり課税対象所得 | 319.5万円 | 1位 |
| 所得割納税義務者数 | 374,869人 | 1位 |
| 課税対象所得(総額) | 約11,978.4億円 | 1位 |
| 推計手取り | 366.3万円 | 1位 |
| 1人当たり住民税(実額) | 約14.5万円 | 1位 |
| 実効税率 | 4.5% | 1位 |
※出典:総務省(市町村税課税状況等の調べ 令和5年)
1人当たり所得は県内1位です。所得割納税義務者数・課税対象所得総額・推計手取り・1人当たり住民税・実効税率のいずれも県内1位で、住民所得関連の主要6指標すべてが県内トップとなっています。県平均(277.0万円)を +42.5万円、県中央値(273.3万円)を +46.2万円 上回っており、この+42.5万円の県平均差は県内で最大の乖離です。
所得割納税義務者の県内シェアは 36.62%、課税対象所得総額のシェアは 39.15% で、いずれも県内で最大規模です。シェア差 2.53ポイント(39.15% – 36.62%)は、新潟市の課税対象所得の集約度が納税義務者数の集約度を上回っていることを示す観察です。
数値の意味(データから読み取れる範囲):
住民所得関連の全6指標が同一自治体で県内1位になる構造は、新潟市が県内で唯一の県庁所在地・政令指定都市(8区の一括集計)としての集約規模を持つことを示す観察です。県内で1人当たり所得が県平均を+40万円以上上回る市町村は新潟市のみで、次点の上越市との差は+14.1万円(新潟市319.5万円 vs 上越市305.4万円)となっています。
▼【グラフ:niigata_県内ランキング.png 新潟県30市町村 1人当たり課税対象所得ランキング(R5年度・新潟市を強調)】

② 県内順位と下越圏内での位置づけ
R5年度の1人当たり課税対象所得の県内上位10市町村を確認します。
| 順位 | 市町村 | 1人当たり所得 | 10年変化率 | 変化率順位 | 地域 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1位 | 新潟市 | 319.5万円 | +11.3% | 20位(単独) | 下越 |
| 2位 | 上越市 | 305.4万円 | +11.5% | 17位(同率) | 上越 |
| 3位 | 長岡市 | 302.5万円 | +11.5% | 17位(同率) | 中越 |
| 4位 | 燕市 | 300.8万円 | +15.6% | 4位 | 下越 |
| 5位 | 三条市 | 297.9万円 | +13.9% | 9位 | 中越 |
| 6位 | 柏崎市 | 292.8万円 | +8.8% | 26位 | 中越 |
| 7位 | 刈羽村 | 292.5万円 | +7.2% | 29位 | 中越 |
| 8位 | 糸魚川市 | 286.6万円 | +15.0% | 6位 | 上越 |
| 9位 | 妙高市 | 284.3万円 | +11.7% | 15位 | 上越 |
| 10位 | 新発田市 | 283.9万円 | +11.7% | 15位(同率) | 下越 |
- 県平均:277.0万円(新潟市 +42.5万円)
- 県中央値:273.3万円(新潟市 +46.2万円)
- 県30位(津南町)との差:+62.8万円
新潟市の1人当たり所得は県内で最上位です。2位上越市(305.4万円)との差は+14.1万円で、上位10位内で相対的に大きな差となっています。一方で10年変化率+11.3%は上位10市町村の中で下から2番目の水準(下位は柏崎市+8.8%・刈羽村+7.2%)で、額の順位と変化率の順位が乖離しています。
下越圏13市町村内での位置づけ
新潟市は下越13市町村(燕市・新発田市・聖籠町・胎内市・弥彦村・関川村・阿賀野市・田上町・五泉市・村上市・加茂市・阿賀町・新潟市)で1人当たり所得 1位 です。下越の他12市町村の県内順位は4位(燕市)から29位(阿賀町)まで分布し、圏内は県内順位で 1〜29位の全域 に広がる分布です。
下越圏内2位は燕市(300.8万円・県内4位)で、新潟市との差は+18.7万円です。納税義務者数で見ると、新潟市374,869人 vs 燕市32,547人で 約11.5倍 の規模差があります。
数値の意味(データから読み取れる範囲):
同じ「地域内1位」でも、上越(上越市が1位・地域内3市町村・県内順位2〜9位)や中越(長岡市が1位・地域内12市町村・県内順位3〜30位)と比較して、下越は地域内で県内1位(新潟市)から29位(阿賀町)まで広く分布する観察となります。新潟市は下越圏の県庁所在地として周辺12市町村の労働力・商業機能・行政機能を集約している構造で、他29市町村では成立しない、政令市8区の集約規模で圏内に位置づけられています。
③ 10年間の推移と「額1位・変化率20位」の乖離
過去10年間(H25→H30→R5)の住民所得の変化を確認します。
| 指標 | H25→R5の10年変化 |
|---|---|
| 1人当たり課税対象所得 | +32.4万円(+11.3%) |
| 実効税率 | +0.9ポイント(3.6% → 4.5%) |
| 1人当たり住民税(実額) | +4.0万円(+38.7%) |
| 推計手取り | +16.7万円(+4.8%) |
| 推定給与収入 | +27.9万円 |
前半(H25→H30)の1人当たり所得の変化率は +5.91%、後半(H30→R5)は +5.06% で、前半5年の変化幅のほうが後半より0.85ポイント大きくなっています。多くの市町村で後半5年に変化幅が加速する構造とは異なり、新潟市は前半優位の推移です。
「額1位・変化率20位」の乖離19ランクの観察
R5の1人当たり所得ランキングは県内1位、10年変化率ランキングは県内20位(単独同率)で、その差は 19ランク です。変化率順位20位は上位10位の中で最も低く、次に低い柏崎市(26位)・刈羽村(29位)を除くと、上位10位内で新潟市の変化率順位20位は下位に位置します。
上位10位に含まれる10市町村を「額と変化率の乖離」で分類すると:
- 乖離が大きい上位グループ(額上位・変化率下位):新潟市(1位 vs 20位・差19ランク)・上越市(2位 vs 17位・差15ランク)・長岡市(3位 vs 17位・差14ランク)・柏崎市(6位 vs 26位・差20ランク)・刈羽村(7位 vs 29位・差22ランク)
- 乖離が小さい上位グループ(額上位・変化率も上位):燕市(4位 vs 4位)・三条市(5位 vs 9位)・糸魚川市(8位 vs 6位)・妙高市(9位 vs 15位)・新発田市(10位 vs 15位)
新潟市は前者に属し、上位10位のうち額1位で変化率20位は新潟市 単独 の位置です(変化率同率グループ:新潟市のみ)。
数値の意味(データから読み取れる範囲):
10年変化率20位(単独同率)という順位は、県内主要3市(新潟・上越・長岡)が「高い所得水準を保有する一方、10年の伸び幅は上位グループの中で相対的に鈍化している」共通パターンに属することを示す観察です。新潟市はその中で額の順位(1位)が最も高いため、乖離ランク差(19ランク)が主要3市で最大となります。前半5年(+5.91%)が後半5年(+5.06%)を上回るという推移は、上位10位の他市町村では観察されにくいパターンです。因果関係の断定ではなく、額と変化率の順位パターンの分布を観察したものです。
▼【グラフ:niigata_所得推移.png 新潟市の1人当たり課税対象所得の推移(H25→H30→R5)】

④ 所得種類別の内訳(給与所得者81.9%の単独水準)
所得割納税義務者の所得源泉の内訳を確認します。
| 所得区分 | 納税義務者数 | 比率 |
|---|---|---|
| 給与所得者 | 307,121人 | 81.9% |
| 営業等所得者 | 11,481人 | 3.1% |
| 農業所得者 | 1,638人 | 0.4% |
| その他 | 54,629人 | 14.6% |
| 合計 | 374,869人 | 100% |
給与所得者が81.9%を占めています。営業等所得者は3.1%、農業所得者は0.4%、その他(年金所得等を含む)は14.6%です。給与所得者比率81.9%は県内16位で、同じ比率を持つ市町村は県内に他にありません(新潟市の単独水準)。上位10位の中では長岡市(82.6%)より低く、村上市(80.8%)より高い水準にあります。
農業所得者比率0.4%は、新潟市・刈羽村・見附市の 3市町村同率グループ に属します。新潟市の農業所得者数1,638人は絶対数としては県内でも規模がありますが、納税義務者数全体(374,869人)に対する比率としては県内で低位のグループです。
数値の意味(データから読み取れる範囲):
給与所得者比率81.9%が県内で同率のない単独の値であるという観察は、新潟市の所得構成が「給与所得者中心・非給与所得者(自営・農業)の比重が県内でも低位」の構造にあることを示すデータです。営業等所得者11,481人は絶対数で県内最大規模、農業所得者1,638人は絶対数では県内上位ですが、374,869人という納税義務者数の分母が大きいため比率としては低位に位置しています。
農業所得者比率0.4%は低い水準ですが、新潟市の農業産出額は 534.8億円(県内1位) と規模があり、就業形態と所得申告の関係で農業由来の生活水準は課税対象所得に完全には反映されない可能性があります(⑨データの見方参照)。
▼【グラフ:niigata_所得種類別.png 新潟市の所得種類別 所得割納税義務者数(R5年度)】

⑤ 推計手取りと住民税・実効税率(実効税率4.5%は県内唯一)
住民税(所得割)の実額と、社会保険料・所得税を含む推計手取りの構造を確認します。
住民税(所得割)と実効税率
| 指標 | H25年度 | R5年度 | 10年変化 |
|---|---|---|---|
| 1人当たり住民税(所得割) | 約10.4万円 | 約14.5万円(144,924円) | +4.0万円(+38.7%) |
| 実効税率(住民税÷課税対象所得) | 3.6% | 4.5% | +0.9ポイント |
R5の実効税率4.5%は県内 1位・単独同率(実効税率同率グループ:新潟市のみ)で、県内30市町村中で 唯一の4%台 です。他29市町村の実効税率は3.0〜3.4%の範囲に集中しており、新潟市のみ+1.1〜1.5ポイント上振れした水準となっています。県平均差は +1.3ポイント です。
10年間の実効税率の変化 +0.9ポイント(H25:3.6% → R5:4.5%)は県内で唯一の大幅上昇で、他29市町村は横ばい〜-0.2ポイントの範囲にあります。1人当たり住民税(実額)はH25の約10.4万円からR5の約14.5万円へ +4.0万円(+38.7%)増加しています。1人当たり住民税実額の10年変化率+38.7%も、10年変化率+11.3%の1人当たり所得を大きく上回っています。
推計手取りの構造
課税対象所得(給与所得)から給与所得控除の計算式で給与収入を逆算し、各年度の公式保険料率・税制を用いて手取りを試算しました。
| 項目 | R5年度 | 10年変化(H25→R5) |
|---|---|---|
| 推定給与収入(※1) | 約454.4万円 | +27.9万円 |
| 1人当たり住民税(実額) | 約14.5万円 | +4.0万円 |
| 推計手取り | 約366.3万円 | +16.7万円(+4.8%) |
推計手取り366.3万円は県内 1位、推計手取り変化率+4.8%は県内 21位 で、額と変化率の順位に 20ランクの乖離 があります。1人当たり所得における19ランクの乖離と同型(額1位・変化率下位)のパターンが、推計手取りでもより大きな幅で観察されます。
手取り転換率59.9%の観察
推定給与収入(額面)の10年増加+27.9万円のうち、税・社会保険料の増加を差し引いた後に手取りとして残る割合は 59.9%(手取り転換率)で、県内最低クラスの水準です。給与収入増+27.9万円のうち 約40%(+11.2万円分) は社会保険料・所得税・住民税実額の増加に吸収されており、手取りとして残るのは +16.7万円となっています。
参考までに、他の上位市町村の手取り転換率は概ね70%前後の水準にあり、新潟市の59.9%はこの中で下振れした値です。この手取り転換率の低さは、①10年で実効税率が+0.9ポイント上昇していること、②1人当たり住民税実額の変化率+38.7%が1人当たり所得の変化率+11.3%を上回っていること、の2点と対応した観察となります(因果関係の断定ではなく、複数指標間の対応関係の観察です)。
※1 給与収入は課税対象所得(給与所得)から各年度の給与所得控除(所得税法の計算式)で逆算した推定値です。
※2 推計手取りの計算モデル・想定料率・控除条件は記事末の「出典」欄に明示しています。
⑥ 新潟市の主力産業と所得構造の対応(卸売業主導・上位10位で唯一の非製造業1位)
新潟市の産業構造と所得水準の対応関係を、複数データで観察します。
産業タイプと就業構造
新潟市は産業構造マスター(総務省 国勢調査 令和2年)で 複合型 に分類されています。同じ複合型は新発田市・湯沢町・南魚沼市・十日町市の県内5市町村(新潟市を含む)です。
産業別就業者比率(2020年)は第3次産業 73.2%(県内 2位)で、総就業者数は 376,334人(県内1位)です。県内2位の長岡市(128,543人)と比較して、新潟市の総就業者数は約2.9倍の規模となります。
主要業種は次の通りです。
| 順位 | 業種 | 就業者比率 | 就業者数 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 卸売業・小売業 | 17.6% | 66,328人 |
| 2位 | 医療・福祉 | 14.5% | 54,566人 |
| 3位 | 製造業 | 12.1% | 45,628人 |
3業種合計で就業者の 44.2% を占めます。
「上位10位で唯一の非製造業1位」の観察
県内1人当たり所得上位10位のうち、主要業種1位が製造業でない市町村は 新潟市のみ です。他9市町村(上越市・長岡市・燕市・三条市・柏崎市・刈羽村・糸魚川市・妙高市・新発田市)はいずれも製造業が主要業種1位です。
複合型に属する県内5市町村(新潟市・新発田市・湯沢町・南魚沼市・十日町市)の中でも、卸売業を主要業種1位とするのは新潟市のみで、他4市町村の主要業種1位は湯沢町が宿泊・飲食業27.9%、新発田市・南魚沼市・十日町市がいずれも製造業となっています。
規模指標と効率指標の順位乖離
製造業関連の指標(経済産業省 工業統計調査 令和4年)と農業産出額(農林水産省 令和4年)は次の通りです。
| 指標 | 数値 | 県内順位 |
|---|---|---|
| 製造業従業者数 | 35,970人 | 上位圏 |
| 製造品出荷額 | 約11,850.8億円 | 1位 |
| 付加価値額 | 約4,553.3億円 | 1位 |
| 1人あたり付加価値額 | 1,266万円 | 10位 |
| 農業産出額 | 534.8億円 | 1位 |
規模指標(製造品出荷額1位・付加価値額1位・農業産出額1位)と1人あたり付加価値額(10位)で 9ランクの順位差 があります。規模の大きさと1人あたり効率が同一順位帯に並ばないという構造の観察です。
なお1人あたり付加価値額の1,266万円は 製造業事業所ベースの分母 で算出された指標で、住民所得の1人当たり課税対象所得319.5万円(所得割納税義務者ベース)とは分母が異なる別の指標です。
数値の意味(データから読み取れる範囲):
新潟市の産業構造は「卸売業主導の第3次産業型(73.2%県内2位)」と「規模指標県内1位・効率指標中位」の2つの特徴を持ちます。県庁所在地・政令市の商業機能・行政機能・医療福祉機能が県内で集約されている構造の観察です。3業種で就業者の44.2%を占める分散度は、県内の他の複合型自治体と比べても新潟市に固有の構成です。ただしこれらは所得水準との相関の観察であり、産業構造が住民所得を決定しているという因果関係を意味するものではありません。
⑦ 政令市8区の集約規模と県内シェア39.15%
新潟市は新潟県で唯一の政令指定都市で、市内は8区(北・東・中央・江南・秋葉・南・西・西蒲)に分かれています。本記事で扱う住民所得データはすべて8区一括の新潟市集計値です(区別データは⑨データの見方参照)。
規模指標での県内1位・シェア構造
| 指標 | 数値 | 県内シェア | 県内順位 |
|---|---|---|---|
| 所得割納税義務者数 | 374,869人 | 36.62% | 1位 |
| 課税対象所得(総額) | 約11,978.4億円 | 39.15% | 1位 |
| 総就業者数 | 376,334人 | ー | 1位 |
| 製造品出荷額 | 約11,850.8億円 | ー | 1位 |
| 付加価値額 | 約4,553.3億円 | ー | 1位 |
| 農業産出額 | 534.8億円 | ー | 1位 |
住民所得関連の規模指標・産業関連の規模指標のいずれも、新潟市が県内1位となっています。県内30市町村の合計に対する新潟市のシェアは、納税義務者数で 36.62%、課税対象所得総額で 39.15% です。
シェア差2.53ポイントの観察
課税対象所得シェア(39.15%) − 納税義務者数シェア(36.62%) = +2.53ポイント です。この差は、新潟市に集約されている課税対象所得の総量が、納税義務者数(人数)の集約度を上回っていることを示す観察となります。
このシェア差は、新潟市の1人当たり所得が県内で最も高い(319.5万円・1位)ことと対応した構造です。県内の課税対象所得のおよそ4割を新潟市の納税義務者(県内3.7割弱)が保有しているという分布として読み取れます。
下越圏内2位との規模差
下越圏内2位の燕市の納税義務者数は38,269人で、新潟市374,869人との規模差は 約9.8倍 です。県内2位の長岡市(納税義務者126,054人)と比較しても、新潟市は約3.0倍の規模となります。総就業者数でも県内2位長岡市128,543人に対して約2.9倍の規模差があります。
数値の意味(データから読み取れる範囲):
住民所得・産業関連の主要規模指標のすべてで県内1位となる自治体は、県内で新潟市のみです。県庁所在地・政令指定都市(8区)としての集約規模は、他29市町村(人口5万人〜25万人規模)では成立しない構造となっています。ただし規模指標の県内1位は「住民の1人当たり生活水準」を意味するものではなく、8区の一括集計値であるため区別・世帯別の分散状況は本記事の範囲外です。
⑧ 移住検討者・事業者への読み方
本章は「新潟市 移住」「新潟市 平均年収」「新潟市 政令市 所得」「新潟市 手取り」等の検索意図に対する、データから読み取れる判断材料の整理です。個別の意思決定を代替するものではありません。
移住検討者への読み取り材料
| 読み取り材料 | データ根拠 |
|---|---|
| 県内1位の1人当たり所得水準 | 319.5万円・県内1位・県平均+42.5万円 |
| 給与所得者中心の街 | 給与所得者比率81.9%(県内単独水準)・給与所得者307,121人 |
| 就業機会の総量が県内で最大 | 総就業者376,334人(県内1位・第3次産業比率73.2%県内2位) |
| 実効税率4.5%は県内で唯一の水準・税・社保負担が相対的に高い | 実効税率県内1位単独同率・県平均+1.3ポイント・手取り転換率59.9% |
| 推計手取りは県内1位水準 | 推計手取り366.3万円・R5想定料率による試算値 |
| 政令市8区の一括集計値 | 区別データは本記事の範囲外・区ごとの生活環境は別データを要参照 |
事業者への読み取り材料
| 読み取り材料 | データ根拠 |
|---|---|
| 県内最大の商圏(納税義務者374,869人・県内シェア36.62%) | 納税義務者数県内1位 |
| 卸売業・小売業の集約規模(就業者66,328人) | 主要業種1位・卸売業17.6% |
| 医療・福祉の集約規模(就業者54,566人) | 主要業種2位・医療福祉14.5% |
| 製造業BtoB市場も県内1位(出荷額 約11,850.8億円) | 工業統計 製造品出荷額_2022・付加価値額4,553.3億円県内1位 |
| 3業種で就業者の44.2%(産業分散度が県内平均以上) | 卸売17.6+医療14.5+製造12.1 |
| 農業関連の産出規模も県内1位(534.8億円) | 農業産出額県内1位 |
研究者・地域理解への読み取り材料
| 読み取り材料 | データ根拠 |
|---|---|
| 額と変化率の順位乖離19ランク(1位 vs 20位) | 1人当たり所得ランキング1位・変化率ランキング20位 |
| 推計手取りでも同型の乖離20ランク(1位 vs 21位) | 推計手取り1位・推計手取り変化率21位 |
| 課税対象所得シェア(39.15%)が納税義務者シェア(36.62%)を上回る2.5ポイント差 | 県内シェア構造の観察 |
| 手取り転換率59.9%は県内最低クラス | 給与収入+27.9万円 vs 手取り+16.7万円 |
| 実効税率10年+0.9ポイントは県内唯一の大幅上昇 | H25:3.6% → R5:4.5% |
| 上位10位で唯一の非製造業1位(卸売業17.6%) | 主要業種構成の観察 |
| 前半5年(+5.91%)が後半5年(+5.06%)を上回る推移 | 上位10位で新潟市固有のパターン |
⚠️ 上記は「データから読み取れる範囲での判断材料」であり、投資助言・移住助言・個別の意思決定を代替するものではありません。
⑨ データの見方・注意点
順位=豊かさではありません
1人当たり課税対象所得の順位は、後述する複数の解釈上の制約を含んだ指標に基づいています。順位が高いことをもって「豊かな地域」「移住すべき地域」等の価値判断を行うことはできません。順位はあくまで所得割の課税ベース上の数値の相対比較です。
政令市8区の一括集計値です
新潟市は政令指定都市で、市内は8区(北・東・中央・江南・秋葉・南・西・西蒲)に分かれています。本記事で扱う住民所得マスターデータはすべて「新潟市」で一括集計されており、区別データは含まれていません。区ごとの所得水準・産業構造の議論は本記事の範囲外です。
課税対象所得は手取り収入ではありません
課税対象所得(合計所得金額)は、給与・事業・農業などの各所得から給与所得控除等の所得種別の控除を差し引いた所得の合計です。ここからさらに基礎控除・社会保険料控除・配偶者控除・扶養控除等を差し引いた額が住民税・所得税の課税標準となります。課税対象所得と実際の手取り収入は異なります。
推計手取りの計算モデル
⑤の推計手取りは、給与所得控除の計算式で給与収入を逆算し、公式保険料率と概算率を用いた試算値です。想定料率(協会けんぽ新潟県の概算率)と控除モデル(基礎控除・配偶者控除・扶養控除1人)は記事末の「出典」欄に明示しています。実際の手取りは家族構成・扶養控除・iDeCo/生命保険料控除等の個別事情で大きく変動します。
実効税率4.5%は「税率を上げた」結果ではありません
⑤で提示した実効税率4.5%は「1人当たり住民税実額 ÷ 1人当たり課税対象所得」で算出された結果値です。市町村が独自に税率を4.5%に設定したという意味ではありません。所得規模・控除後所得の構造・所得税との連動の結果として算出された実効的な数値であり、他29市町村(3.0〜3.4%の範囲)との差を「税率設定の違い」として解釈することはできません。
農業地域では過小表示になる場合があります
農業所得は申告による実額ですが、自家消費・現物収入は含まれない場合があります。新潟市の農業所得者比率は0.4%と低いですが、農業産出額は534.8億円(県内1位)と規模があり、就業形態と所得申告の関係で農業由来の生活水準が課税対象所得に完全には反映されない可能性があります。
所得割納税義務者は全住民ではありません
課税対象所得が控除額を下回る場合(所得が低い・年金受給のみ等)は所得割の納税義務者に含まれません。R5年度の新潟市の所得割納税義務者数は374,869人で、これは全人口とは異なります。高齢化が進んだ市町村では分母が小さくなり、1人当たり所得が見かけ上高くなる場合があります。
1人あたり付加価値額と1人当たり所得の混同注意
⑥で提示した1人あたり付加価値額 1,266万円は 製造業事業所ベース の指標で、住民所得の1人当たり課税対象所得319.5万円(所得割納税義務者ベース)とは分母が異なる別の指標です。両者を同一の「1人あたり所得」として扱うことはできません。
まとめ
新潟市の住民所得の特徴(データから読み取れる範囲)
- 1人当たり課税対象所得は 319.5万円 で県内 1位/30市町村中(R5年度)。県平均+42.5万円・県中央値+46.2万円(県内で最大の平均差)
- H25→R5の10年で +11.3%(+32.4万円)。前半(H25→H30: +5.91%)が後半(H30→R5: +5.06%)を上回る推移
- 所得割納税義務者374,869人(県内シェア36.62%・県内1位)のうち 81.9%が給与所得者(同率なしの単独水準)、農業所得者は0.4%(3市町村同率)
- 実効税率 4.5%は県内唯一の4%台(単独同率・県平均+1.3ポイント・10年+0.9ポイント上昇)。1人当たり住民税実額は約14.5万円で県内1位
- 推計手取りは10年で 約16.7万円増加(+4.8%)。給与収入増+27.9万円のうち 59.9% が手取りに転換(県内最低クラス)
- 産業タイプは 複合型、主要業種1位は 卸売業・小売業17.6% で県内上位10位中で唯一の非製造業1位
- 政令市8区の集約規模:課税対象所得シェア39.15%・納税義務者シェア36.62%・製造品出荷額1位・付加価値額1位・農業産出額1位
移住検討者・事業者への読み方(判断材料)
- 移住検討者: 県内最上位の所得水準・給与所得者中心・県内最大の就業機会総量・実効税率と手取り転換率は県内で相対的に負担が高い側の水準・区ごとの生活環境は本記事の範囲外
- 事業者: 県内最大の商圏(納税義務者県内シェア36.62%)・卸売業/医療福祉の集約規模・製造業BtoB市場も出荷額県内1位・3業種で就業者44.2%の分散度
- 研究者・地域理解: 額と変化率の19ランク乖離・シェア差2.53ポイント・手取り転換率59.9%・実効税率10年+0.9ポイントは県内唯一・上位10位で唯一の非製造業1位
派生指標で見える意外な観察
- 1人当たり所得1位 ですが 10年変化率は20位(単独同率) で 19ランクの乖離。上位10位で新潟市より変化率が低いのは柏崎市(26位)と刈羽村(29位)のみ
- 推計手取り1位 ですが 推計手取り変化率は21位 で 20ランクの乖離。1人当たり所得と同型のパターンがより大きな幅で観察される
- 実効税率4.5%は県内で唯一の4%台(単独同率)。他29市町村は3.0〜3.4%の範囲に集中し、新潟市のみ+1.1〜1.5ポイント上振れ
- 10年間の実効税率変化+0.9ポイントは県内で唯一の大幅上昇(他29市町村は横ばい〜-0.2ポイント)
- 手取り転換率59.9%は県内最低クラス。給与収入+27.9万円のうち約40%(+11.2万円)が税・社保の増加に吸収
- 給与所得者比率81.9%は県内で同率なしの単独水準(16位)。上位10位で長岡市82.6%より低く、村上市80.8%より高い
- 課税対象所得シェア(39.15%) − 納税義務者シェア(36.62%) = +2.5ポイント差は、住民数以上に所得が集約されている構造の観察
- 上位10位で唯一の非製造業1位(卸売業・小売業17.6%)。県庁所在地・政令市8区の商業集約の構造
この記事の執筆・データについて
執筆: 新潟データ(新潟県在住の個人運営)
データ基準日: 令和5年度(2023年度)市町村税課税状況等の調べ/国勢調査 令和2年/工業統計調査 令和4年/市町村別農業産出額(推計)令和4年
更新日: 2026-08-25
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本記事は公的統計を整理・解釈したデータ記事です。専門的な投資助言・移住助言・税務相談ではありません。移住・就職・事業判断等の重要な意思決定にあたっては、原典データおよび該当分野の専門家にご確認ください。
新潟市の8区(北・東・中央・江南・秋葉・南・西・西蒲)ごとの所得水準・産業構造・生活環境は、本記事の使用データ(新潟市一括集計)では扱えません。区別の議論を要する場合は、新潟市が公表する区別統計等の別データをご参照ください。
出典
- 1人当たり課税対象所得・所得割納税義務者数・住民税(所得割)実額・所得種類別納税義務者数:
総務省(市町村税課税状況等の調べ 令和5年・平成30年・平成25年) - 産業別就業者数・産業タイプ・主要業種1〜3位・総就業者数・第3次産業比率:
総務省(国勢調査 令和2年) - 製造業従業者数・製造品出荷額・付加価値額・1人あたり付加価値額:
経済産業省(工業統計調査 令和4年) - 農業産出額:
農林水産省(市町村別農業産出額(推計)令和4年)
推計値について:
本記事の「推計手取り」は総務省 課税対象所得から社会保険料・所得税・住民税を控除した試算値です。
想定料率:
- H25:厚生年金 8.737%/健保 4.985%/雇保 0.5%
- H30:厚生年金 9.15%/健保 5.0%/雇保 0.3%
- R5:厚生年金 9.15%/健保 5.0%/雇保 0.6%
(協会けんぽ新潟県の概算率を使用)
控除モデル:基礎控除(H25・H30: 38万、R5: 48万)・配偶者控除・扶養控除1人・社会保険料控除
データ基準日:令和5年度(2023年度)・平成30年度(2018年度)・平成25年度(2013年度)
次回更新推奨:令和10年度(2028年度)データ公表後

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