上越市(新潟県上越地域・上越圏3市町村の中核)の1人当たり課税対象所得(R5年度)は 305.4万円 で、新潟県30市町村中 2位 です。
10年で +11.5%(+31.4万円) 変化しましたが、変化率の順位は県内 17位 で、額の順位(2位)と変化率の順位(17位)に 15ランクの乖離 が観察できます。推計手取りは 356.1万円(県内2位)で、10年で+19.2万円(+5.7%)変化しています。
主要業種1位は製造業(就業者比率18.8%)で、産業タイプは 高付加価値製造業型(県内で上越市・妙高市・胎内市の3市のみ)、付加価値額 約2,878.1億円は県内2位、1人あたり付加価値額 1,798万円は県内3位 の高付加価値・大規模構造です。
この記事は、総務省「市町村税課税状況等の調べ」ほかの公的統計をもとに、上越市の所得水準・10年変化・長岡市との変化率同率・上越圏3市町村内での位置づけ・高付加価値製造業型の構造・移住検討者/事業者への読み方までを、記事単体で判断材料が読み取れる構造で整理したものです。
- この記事でわかること
- ① 上越市の1人当たり所得(R5年度サマリー)
- ② 県内順位と上越圏内での位置づけ|県内2位・上越圏3市町村中1位(圏内2〜9位に集中)
- ③ 10年間の推移と長岡市との変化率2市完全同率(+11.5%・15ランク乖離)
- ④ 所得種類別の内訳(給与所得者82.7%・南魚沼市と同率)
- ⑤ 推計手取りと住民税・実効税率|実効税率3.3%(8市町村同率・10年-0.2ポイント)
- ⑥ 上越市の主力産業と所得構造の対応|高付加価値製造業型(県内3市のみ)・付加価値額県内2位
- ⑦ 上越圏3市町村比較でみる上越市の位置|圏内1位・県内順位範囲2〜9位(3圏域で最狭・幅7ランク)
- ⑧ 移住検討者・事業者への読み方
- ⑨ データの見方・注意点
- まとめ
- この記事の執筆・データについて
- 出典
この記事でわかること
- R5年度の1人当たり課税対象所得は 305.4万円(県内 2位/30市町村中)・県平均+28.3万円・県中央値+32.0万円
- H25→R5の10年変化は +11.5%(+31.4万円) で、変化率順位は県内 17位(長岡市と2市同率)
- 所得割納税義務者 88,877人(県内シェア8.68%・県内3位)のうち 82.7%が給与所得者(南魚沼市と2市同率)、農業所得者は0.3%(3市同率)
- 課税対象所得総額 約2,713.9億円(県内シェア8.87%・県内3位)・シェア差+0.19ポイント
- 1人当たり住民税(所得割)は約 10.2万円・実効税率 3.3%(8市町村同率)
- 推計手取りはR5の 356.1万円(県内2位)・10年で +19.2万円(+5.7%)・変化率順位は県内 12位
- 産業タイプは 高付加価値製造業型(県内3市のみ)、付加価値額 2位・1人あたり付加価値額 3位・製造品出荷額 3位
- 上越圏3市町村では 1位、上越圏内の県内順位範囲は 県内2〜9位(3圏域で最も狭い分布)
① 上越市の1人当たり所得(R5年度サマリー)
305.4万円・県内2位(30市町村中)・県平均+28.3万円・上越圏1位
上越市の住民所得の全体像を数値で確認します。
| 指標 | 数値 | 県内順位(30市町村中) |
|---|---|---|
| 1人当たり課税対象所得 | 305.4万円 | 2位 |
| 所得割納税義務者数 | 88,877人 | 3位 |
| 課税対象所得(総額) | 約2,713.9億円 | 3位 |
| 推計手取り | 356.1万円 | 2位 |
| 1人当たり住民税(実額) | 約10.2万円 | 2位 |
| 実効税率 | 3.3% | 3位(8市町村同率) |
※出典:総務省(市町村税課税状況等の調べ 令和5年)
1人当たり所得は県内2位です。所得割納税義務者数・課税対象所得総額は県内3位で、規模指標(3位)と1人当たり指標(2位)で順位に1ランクの差があります。県平均(277.1万円)を +28.3万円、県中央値(273.3万円)を +32.0万円 上回っています。県内1位の新潟市(319.5万円)との差は -14.1万円、県内30位(津南町 256.7万円)との差は +48.7万円 です。
所得割納税義務者の県内シェアは 8.68%、課税対象所得総額のシェアは 8.87% で、いずれも新潟市・長岡市に次ぐ県内3位規模です。シェア差 +0.19ポイント(8.87% – 8.68%)は、上越市の課税対象所得の集約度が納税義務者数の集約度をわずかに上回っていることを示す観察です。
数値の意味(データから読み取れる範囲):
規模指標(3位)と1人当たり指標(2位)で順位が逆転する構造は、上越市が「県内主要3市(新潟市・上越市・長岡市)の中で、規模2位グループ(上越・長岡)のうち1人当たり水準が高い側」に位置していることを示す観察です。県内で1人当たり所得が上越市を上回るのは新潟市(+14.1万円)のみで、以下は長岡市(-2.9万円)・燕市(-4.6万円)と続きます。県内2位という位置は、上位10位の中で新潟市に次ぐ水準となっています。
▼【グラフ:joetsu_県内ランキング.png 新潟県30市町村 1人当たり課税対象所得ランキング(R5年度・上越市を強調)】

② 県内順位と上越圏内での位置づけ|県内2位・上越圏3市町村中1位(圏内2〜9位に集中)
県内2位(新潟市に次ぐ)・上越圏1位・圏内は県内2〜9位に集中する狭い分布
R5年度の1人当たり課税対象所得の県内上位10市町村を確認します。
| 順位 | 市町村 | 1人当たり所得 | 10年変化率 | 変化率順位 | 地域 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1位 | 新潟市 | 319.5万円 | +11.3% | 20位 | 下越 |
| 2位 | 上越市 | 305.4万円 | +11.5% | 17位(同率) | 上越 |
| 3位 | 長岡市 | 302.5万円 | +11.5% | 17位(同率) | 中越 |
| 4位 | 燕市 | 300.8万円 | +15.6% | 4位 | 下越 |
| 5位 | 三条市 | 297.9万円 | +13.9% | 9位 | 中越 |
| 6位 | 柏崎市 | 292.8万円 | +8.8% | 26位 | 中越 |
| 7位 | 刈羽村 | 292.5万円 | +7.2% | 29位 | 中越 |
| 8位 | 糸魚川市 | 286.6万円 | +15.0% | 6位 | 上越 |
| 9位 | 妙高市 | 284.3万円 | +11.7% | 15位 | 上越 |
| 10位 | 新発田市 | 283.9万円 | +11.7% | 15位(同率) | 下越 |
- 県平均:277.1万円(上越市 +28.3万円)
- 県中央値:273.3万円(上越市 +32.0万円)
- 県30位・津南町との差:+48.7万円
上越市の1人当たり所得は上位10位中で2番目に高い水準にあります。県内1位の新潟市との差-14.1万円は上位10位内で相対的に大きな差ですが、県内3位の長岡市との差は-2.9万円と近接しており、県内2位・3位の主要2市は数万円圏内の狭い差で並んでいる構造です。
上越圏3市町村内での位置づけ
上越市は上越3市町村(糸魚川市・妙高市)で1人当たり所得 1位、県内順位でも上位2位に位置します。上越の他2市町村の県内順位は8位(糸魚川市)・9位(妙高市)で、圏内は県内順位で 2〜9位 に分布します。圏内格差(上越市305.4万円 – 妙高市284.3万円)は 21.1万円 で、県格差62.8万円(1位-30位)の約33%にとどまります。
上越圏内2位は糸魚川市(286.6万円・県内8位)で、上越市との差は+18.8万円です。納税義務者数で見ると、上越市88,877人と圏内他2市町村の合計値を大幅に上回ります。
数値の意味(データから読み取れる範囲):
同じ「地域内1位」でも、下越(新潟市が1位・地域内13市町村・県内順位1〜29位)や中越(長岡市が1位・地域内12市町村・県内順位3〜30位)と比較して、上越圏は3市町村すべてが県内2〜9位の上位10位以内に集中する構造の観察です。3圏域(下越・中越・上越)の中で、上越圏の県内順位範囲(2〜9位)は最も狭い分布となっています。上越圏3市町村は上越市が「圏内1位・県内2位」の中核で、圏内格差が県格差の3割強に抑えられている狭い分布として観察できます。
③ 10年間の推移と長岡市との変化率2市完全同率(+11.5%・15ランク乖離)
額2位・変化率17位で15ランク乖離・長岡市と変化率+11.5%で2市完全同率
過去10年間(H25→H30→R5)の住民所得の変化を確認します。
| 指標 | H25→R5の10年変化 |
|---|---|
| 1人当たり課税対象所得 | +31.4万円(+11.5%) |
| 実効税率 | -0.2ポイント |
| 1人当たり住民税(実額) | +7.0%(実額ベース) |
| 推計手取り | +19.2万円(+5.7%) |
| 推定給与収入 | +26.7万円 |
前半(H25→H30)の1人当たり所得の変化率は +4.35%、後半(H30→R5)は +6.80% で、後半5年の変化幅のほうが前半より2.45ポイント大きくなっています。後半変化率+6.80%は前半変化率の約1.56倍で、10年の中で後半に加速しているパターンとなります。
変化率+11.5%は長岡市と2市同率
R5の1人当たり所得ランキングは県内2位、10年変化率ランキングは県内17位で、その差は 15ランク です。変化率+11.5%は上越市と長岡市の 2市完全同率(1人当たり所得_変化率_H25_R5_同率グループ市町村 = 上越市・長岡市/同率グループ数 = 2)で、県内主要3市(新潟市・上越市・長岡市)の10年変化率は新潟市+11.3%(20位)・上越市+11.5%(17位)・長岡市+11.5%(17位)と、いずれも+11%台にそろっています。
上位10位に含まれる10市町村を「額と変化率の乖離」で分類すると:
- 乖離が大きい上位グループ(額上位・変化率下位):新潟市(1位 vs 20位・差19ランク)・上越市(2位 vs 17位・差15ランク)・長岡市(3位 vs 17位・差14ランク)・柏崎市(6位 vs 26位・差20ランク)・刈羽村(7位 vs 29位・差22ランク)
- 乖離が小さい上位グループ(額上位・変化率も上位):燕市(4位 vs 4位)・三条市(5位 vs 9位)・糸魚川市(8位 vs 6位)・妙高市(9位 vs 15位)・新発田市(10位 vs 15位)
上越市は前者に属し、長岡市と変化率で完全同率という位置にあります。
数値の意味(データから読み取れる範囲):
変化率+11.5%が長岡市と2市完全同率という順位は、県内主要3市(新潟・上越・長岡)が「高い所得水準を保有する一方、10年の伸び幅は上位グループの中で相対的に鈍化している」共通パターンに属することを示す観察です。上越市はその中で額の順位(2位)が長岡市(3位)より1ランク上ですが、変化率は同一値であり、H25→R5の10年間で上越市と長岡市が並行して所得水準を伸ばしてきた分布として読み取れます。前半5年(+4.35%)を後半5年(+6.80%)が上回る加速パターンは、上位10位の中で観察される特徴です。因果関係の断定ではなく、額と変化率の順位パターンの分布を観察したものです。
▼【グラフ:joetsu_所得推移.png 上越市の1人当たり課税対象所得の推移(H25→H30→R5)】

④ 所得種類別の内訳(給与所得者82.7%・南魚沼市と同率)
所得割納税義務者の所得源泉の内訳を確認します。
| 所得区分 | 納税義務者数 | 比率 |
|---|---|---|
| 給与所得者 | 73,463人 | 82.7% |
| 営業等所得者 | 2,601人 | 2.9% |
| 農業所得者 | 272人 | 0.3% |
| その他 | 12,541人 | 14.1% |
| 合計 | 88,877人 | 100% |
給与所得者が82.7%を占めています。営業等所得者は2.9%、農業所得者は0.3%、その他(年金所得等を含む)は14.1%です。給与所得者比率82.7%は県内10位で、上越市と南魚沼市の 2市同率グループ(給与所得者比率_R5_同率グループ市町村 = 上越市・南魚沼市)に属します。上位10位の中では長岡市82.6%より高く、上越市と南魚沼市が同一値で並んでいます。
農業所得者比率0.3%は、上越市・長岡市・妙高市の 3市同率グループ(農業所得者比率_R5_同率グループ市町村 = 上越市・長岡市・妙高市)に属します。上越市の農業所得者数272人は絶対数として県内3位規模ですが、納税義務者数88,877人という分母が大きいため比率は0.3%(県平均0.8%を-0.5ポイント下回る水準)にとどまります。県平均農業所得者比率0.8%と比較すると、上越市は県平均を下回る水準に位置しています。
数値の意味(データから読み取れる範囲):
給与所得者比率82.7%が南魚沼市と2市同率の値であるという観察は、上越市の所得構成が「給与所得者中心・非給与所得者(自営・農業)の比重が県内で中位」の構造にあることを示すデータです。営業等所得者2,601人は絶対数で県内上位、農業所得者272人は絶対数では県内3位規模(新潟市・長岡市に次ぐ)ですが、88,877人という納税義務者数の分母により比率としては県内でも低位のグループに位置します。
農業産出額は 160.3億円(県内5位) と規模がある一方、農業所得者比率は0.3%と低い水準です。就業形態と所得申告の関係で、農業由来の生活水準は課税対象所得に完全には反映されない可能性があります(⑨データの見方参照)。
▼【グラフ:joetsu_所得種類別.png 上越市の所得種類別 所得割納税義務者数(R5年度)】

⑤ 推計手取りと住民税・実効税率|実効税率3.3%(8市町村同率・10年-0.2ポイント)
実効税率3.3%(8市町村同率・県平均+0.1ポイント)・10年-0.2ポイントは県内主要3市で長岡市と同水準の低下
住民税(所得割)の実額と、社会保険料・所得税を含む推計手取りの構造を確認します。
住民税(所得割)と実効税率
| 指標 | H25年度 | R5年度 | 10年変化 |
|---|---|---|---|
| 1人当たり住民税(所得割) | 約9.5万円 | 約10.2万円(102,165円) | +7.0%(実額ベース) |
| 実効税率(住民税÷課税対象所得) | 3.5% | 3.3% | -0.2ポイント |
R5の実効税率3.3%は県内 3位、上越市・長岡市・燕市・三条市・柏崎市・刈羽村・糸魚川市・湯沢町の 8市町村同率 に属します。県平均差は +0.1ポイント で県平均とほぼ同水準です。上位10位の中では、新潟市の実効税率4.5%(県内1位・単独)に対して、他9市町村は3.2〜3.3%の範囲に集中しています。
10年間の実効税率の変化 -0.2ポイント(H25:3.5% → R5:3.3%)はマイナス方向で、上越市の1人当たり住民税実額は10年で+7.0%増加したものの、1人当たり所得の10年変化率+11.5%を下回るため、実効税率は結果として低下しています。県内主要3市の中では長岡市も同じく-0.2ポイント低下しています(新潟市は+0.9ポイント上昇)。
推計手取りの構造
課税対象所得(給与所得)から給与所得控除の計算式で給与収入を逆算し、各年度の公式保険料率・税制を用いて手取りを試算しました。
| 項目 | R5年度 | 10年変化(H25→R5) |
|---|---|---|
| 推定給与収入(※1) | 約436.7万円 | +26.7万円 |
| 1人当たり住民税(実額) | 約10.2万円 | +0.7万円(概算) |
| 推計手取り | 約356.1万円 | +19.2万円(+5.7%) |
推計手取り356.1万円は県内 2位、推計手取り変化率+5.7%は県内 12位 で、額と変化率の順位に 10ランクの乖離 があります。1人当たり所得における15ランクの乖離(2位 vs 17位)と同型(額上位・変化率中位)のパターンが、推計手取りでも観察されます。
手取り転換率71.9%の観察
推定給与収入(額面)の10年増加+26.7万円のうち、税・社会保険料の増加を差し引いた後に手取りとして残る割合は 71.9%(手取り転換率)です。給与収入増+26.7万円のうち約28%(+7.5万円分)は社会保険料・所得税・住民税実額の増加に吸収され、手取りとして残るのは +19.2万円となっています。
参考までに、県内上位10位の他市町村と比較すると、上越市の手取り転換率71.9%は概ね70%前後の水準にあり、上位10位内では中程度に位置します。実効税率が10年で-0.2ポイントとやや低下していること、1人当たり住民税実額の10年変化率+7.0%が1人当たり所得の10年変化率+11.5%を下回っていること、の2点と対応した観察となります(因果関係の断定ではなく、複数指標間の対応関係の観察です)。
※1 給与収入は課税対象所得(給与所得)から各年度の給与所得控除(所得税法の計算式)で逆算した推定値です。
※2 推計手取りの計算モデル・想定料率・控除条件は記事末の「出典」欄に明示しています。
⑥ 上越市の主力産業と所得構造の対応|高付加価値製造業型(県内3市のみ)・付加価値額県内2位
高付加価値製造業型(県内で上越・妙高・胎内の3市のみ)・付加価値額県内2位・3市中で最大規模
上越市の産業構造と所得水準の対応関係を、複数データで観察します。
産業タイプと就業構造
上越市は産業構造マスター(総務省 国勢調査 令和2年)で 高付加価値製造業型 に分類されています。同じ高付加価値製造業型は妙高市・胎内市の県内3市(上越市を含む)のみで、県内で希少な産業タイプに属します。
産業別就業者比率(2020年)は第3次産業 63.9%、第2次産業29.4%、第1次産業4.3%で、総就業者数は 94,235人(県内3位) です。新潟市376,334人・長岡市128,543人に次ぐ規模となります。
主要業種は次の通りです。
| 順位 | 業種 | 就業者比率 | 就業者数 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 製造業 | 18.8% | 17,758人 |
| 2位 | 医療・福祉 | 14.7% | 13,823人 |
| 3位 | 卸売業・小売業 | 14.4% | 13,583人 |
3業種合計で就業者の 47.9% を占めます。
「高付加価値製造業型3市中で最大規模」の観察
高付加価値製造業型に属する県内3市(上越市・妙高市・胎内市)の中で、上越市は次の規模指標で最大となっています。
- 総就業者数:上越市94,235人 > 妙高市14,978人・胎内市13,953人(いずれも1万人台)
- 製造業従業者数:上越市16,008人 > 他2市の合計
- 付加価値額:上越市 約2,878.1億円(県内2位)
1人あたり付加価値額では、妙高市が 2,146万円(県内1位・3市中1位)、胎内市が 1,959万円(県内2位・3市中2位)、上越市が 1,798万円(県内3位・3市中3位) で、効率指標では上越市は3市中で最下位に位置します。ただし絶対規模は上越市が3市中で最大です。
規模指標と効率指標
製造業関連の指標(経済産業省 工業統計調査 令和4年)と農業産出額(農林水産省 令和4年)は次の通りです。
| 指標 | 数値 | 県内順位 |
|---|---|---|
| 製造業従業者数 | 16,008人 | 上位圏 |
| 製造業現金給与総額 | 約709.4億円 | 3位 |
| 製造品出荷額 | 約5,901.0億円 | 3位 |
| 付加価値額 | 約2,878.1億円 | 2位 |
| 1人あたり付加価値額 | 1,798万円 | 3位 |
| 農業産出額 | 160.3億円 | 5位 |
規模指標(製造品出荷額3位・付加価値額2位)と効率指標(1人あたり付加価値額3位)がいずれも県内上位3位内にそろっています。付加価値額 2位 は、県内1位の新潟市(4,553.3億円)に次ぐ規模で、長岡市(3位)を上回っています。
なお1人あたり付加価値額1,798万円は 製造業事業所ベースの分母 で算出された指標で、住民所得の1人当たり課税対象所得305.4万円(所得割納税義務者ベース)とは分母が異なる別の指標です。
数値の意味(データから読み取れる範囲):
上越市の産業構造は「製造業主導(就業者18.8%)・第3次産業中位(63.9%)」と「規模指標県内2〜3位・効率指標県内3位」の両立という特徴を持ちます。県内で希少な「高付加価値製造業型」3市の中で、絶対規模(総就業者数・製造業従業者数・付加価値額)が最大の中核として、上越圏の産業構造の一角を占める構造の観察です。3業種で就業者の47.9%を占める分散度は、県内の他の製造業集積型自治体と比べても中程度の分散を示します。ただしこれらは所得水準との相関の観察であり、産業構造が住民所得を決定しているという因果関係を意味するものではありません。
⑦ 上越圏3市町村比較でみる上越市の位置|圏内1位・県内順位範囲2〜9位(3圏域で最狭・幅7ランク)
上越圏内1位(県内2位)・上越圏3市町村すべてが県内2〜9位に集中(幅7ランク・3圏域で最狭)
上越市が中核となる上越圏は、県内3圏域(下越・中越・上越)の中で市町村数が最も少ない3市町村構成です。上越市・糸魚川市・妙高市の住民所得・産業タイプを比較します。
上越圏3市町村の1人当たり所得比較
| 市町村 | 1人当たり所得 | 県内順位 | 変化率 | 産業タイプ |
|---|---|---|---|---|
| 上越市 | 305.4万円 | 2位 | +11.5% | 高付加価値製造業型 |
| 糸魚川市 | 286.6万円 | 8位 | +15.0% | 製造業集積型 |
| 妙高市 | 284.3万円 | 9位 | +11.7% | 高付加価値製造業型 |
- 上越圏3市町村の1人当たり所得平均:約292.1万円
- 圏内格差(上越市 – 妙高市):21.1万円
- 上越圏の県内順位範囲:県内2〜9位
上越圏3市町村のうち2市(上越市・妙高市)は 高付加価値製造業型、1市(糸魚川市)は 製造業集積型 に属します。3市町村すべてが製造業関連の産業タイプに集約されている構造の観察です。
上越圏内の県内順位範囲2〜9位という狭さ
上越圏3市町村の県内順位範囲は 県内2〜9位 で、下越圏(1〜29位・幅28ランク)・中越圏(3〜30位・幅27ランク)と比較して分布幅が最も狭い(幅7ランク)構造となります。3市町村すべてが上位10位以内に収まる圏域は上越圏のみです。
圏内格差21.1万円は、県格差62.8万円(1位-30位)の約33%にとどまり、圏域単位で見ると上越圏の1人当たり所得は狭い帯に集中しています。
上越圏3市町村の産業指標比較
| 指標 | 上越市 | 糸魚川市 | 妙高市 |
|---|---|---|---|
| 総就業者数 | 94,235人 | 約2万人 | 14,978人 |
| 主要業種1位 | 製造業18.8% | 製造業 | 製造業 |
| 産業タイプ | 高付加価値製造業型 | 製造業集積型 | 高付加価値製造業型 |
| 1人あたり付加価値額 | 1,798万円(県内3位) | 1,281万円(県内9位) | 2,146万円(県内1位) |
1人あたり付加価値額では、上越圏内に 県内1位(妙高市 2,146万円) と 県内3位(上越市 1,798万円) の2市町村が含まれています。効率指標では妙高市が上越市を上回りますが、絶対規模(製造業従業者数・付加価値額の絶対量)では上越市が圏内で最大です。
数値の意味(データから読み取れる範囲):
上越圏3市町村は、他29市町村と比較して県内2〜9位という上位帯に3市町村すべてが集中し、圏内格差も21.1万円と狭い分布に位置します。産業タイプが3市町村すべて製造業関連(高付加価値製造業型2・製造業集積型1)で共通する点と、県内順位範囲が3圏域で最も狭い点は、上越圏3市町村の1人当たり所得帯が県内上位帯に集約されている構造として読み取れます。上越市はこの中で圏内1位・県内2位の位置にあり、上越圏の中核として住民所得と規模指標(納税義務者数・課税対象所得総額)の両面で圏内最大となっています。
⑧ 移住検討者・事業者への読み方
本章は「上越市 移住」「上越市 平均年収」「上越市 製造業」「上越市 手取り」等の検索意図に対する、データから読み取れる判断材料の整理です。個別の意思決定を代替するものではありません。
移住検討者への読み取り材料
| 読み取り材料 | データ根拠 |
|---|---|
| 県内2位・上越圏1位の所得水準 | 305.4万円・県内2位・県平均+28.3万円 |
| 給与所得者中心の街 | 給与所得者比率82.7%(南魚沼市と2市同率)・給与所得者73,463人 |
| 就業機会は県内3位規模 | 総就業者94,235人(県内3位)・製造業就業者17,758人 |
| 実効税率3.3%は8市町村同率・県平均+0.1ポイント | 実効税率同率グループ8市町村・県平均とほぼ同水準 |
| 推計手取りは県内2位水準 | 推計手取り356.1万円・R5想定料率による試算値 |
| 上越圏内は所得帯が県内上位2〜9位に集中 | 圏内格差21.1万円・県格差62.8万円の33% |
事業者への読み取り材料
| 読み取り材料 | データ根拠 |
|---|---|
| 上越圏最大の商圏(納税義務者88,877人・県内シェア8.68%) | 納税義務者数県内3位 |
| 製造業関連BtoB:製造品出荷額県内3位・付加価値額県内2位 | 出荷額5,901.0億円・付加価値額2,878.1億円 |
| 1人あたり付加価値額1,798万円(県内3位)は労働生産性の観察 | 製造業事業所ベースの指標 |
| 3業種で就業者の47.9%(産業分散度が中程度) | 製造18.8+医療14.7+卸売14.4 |
| 高付加価値製造業型3市中で最大規模 | 総就業者・製造業従業者・付加価値額いずれも3市中最大 |
| 農業産出額160.3億円県内5位・農業所得者比率0.3%(3市同率) | 産出額規模と申告比率の乖離 |
研究者・地域理解への読み取り材料
| 読み取り材料 | データ根拠 |
|---|---|
| 額と変化率の順位乖離15ランク(2位 vs 17位) | 1人当たり所得ランキング2位・変化率ランキング17位 |
| 変化率+11.5%は長岡市と2市完全同率 | 同率グループ = 上越市・長岡市 |
| 推計手取りでも同型の乖離10ランク(2位 vs 12位) | 推計手取り2位・推計手取り変化率12位 |
| 前半4.35% vs 後半6.80%(後半が前半の1.56倍) | 前半・後半変化率の逆転パターン |
| 手取り転換率71.9%は上位10位で中程度水準 | 給与収入+26.7万円 vs 手取り+19.2万円 |
| 実効税率10年-0.2ポイントは県内主要3市中で長岡市と同水準の低下 | 上越市-0.2・長岡市-0.2(新潟市は+0.9) |
| 上越圏3市町村すべてが製造業関連の産業タイプ | 高付加価値製造業型2・製造業集積型1 |
| 上越圏内の県内順位範囲は3圏域中最も狭い(2〜9位) | 下越1〜29位・中越3〜30位に対し |
⚠️ 上記は「データから読み取れる範囲での判断材料」であり、投資助言・移住助言・個別の意思決定を代替するものではありません。
⑨ データの見方・注意点
順位=豊かさではありません
1人当たり課税対象所得の順位は、後述する複数の解釈上の制約を含んだ指標に基づいています。順位が高いことをもって「豊かな地域」「移住すべき地域」等の価値判断を行うことはできません。順位はあくまで所得割の課税ベース上の数値の相対比較です。
課税対象所得は手取り収入ではありません
課税対象所得(合計所得金額)は、給与・事業・農業などの各所得から給与所得控除等の所得種別の控除を差し引いた所得の合計です。ここからさらに基礎控除・社会保険料控除・配偶者控除・扶養控除等を差し引いた額が住民税・所得税の課税標準となります。課税対象所得と実際の手取り収入は異なります。
推計手取りの計算モデル
⑤の推計手取りは、給与所得控除の計算式で給与収入を逆算し、公式保険料率と概算率を用いた試算値です。想定料率(協会けんぽ新潟県の概算率)と控除モデル(基礎控除・配偶者控除・扶養控除1人)は記事末の「出典」欄に明示しています。実際の手取りは家族構成・扶養控除・iDeCo/生命保険料控除等の個別事情で大きく変動します。
実効税率3.3%(8市町村同率)は「税率設定の違い」ではありません
⑤で提示した実効税率3.3%は「1人当たり住民税実額 ÷ 1人当たり課税対象所得」で算出された結果値です。市町村が独自に税率を3.3%に設定したという意味ではありません。所得規模・控除後所得の構造・所得税との連動の結果として算出された実効的な数値であり、他市町村との差を「税率設定の違い」として解釈することはできません。
農業地域では過小表示になる場合があります
農業所得は申告による実額ですが、自家消費・現物収入は含まれない場合があります。上越市の農業所得者比率は0.3%(3市同率)と低いですが、農業産出額は160.3億円(県内5位)と規模があり、就業形態と所得申告の関係で農業由来の生活水準が課税対象所得に完全には反映されない可能性があります。
所得割納税義務者は全住民ではありません
課税対象所得が控除額を下回る場合(所得が低い・年金受給のみ等)は所得割の納税義務者に含まれません。R5年度の上越市の所得割納税義務者数は88,877人で、これは全人口とは異なります。高齢化が進んだ市町村では分母が小さくなり、1人当たり所得が見かけ上高くなる場合があります。
1人あたり付加価値額と1人当たり所得の混同注意
⑥で提示した1人あたり付加価値額 1,798万円(県内3位)は 製造業事業所ベース の指標で、住民所得の1人当たり課税対象所得305.4万円(所得割納税義務者ベース)とは分母が異なる別の指標です。両者を同一の「1人あたり所得」として扱うことはできません。
産業タイプ「高付加価値製造業型」は県内3市のみ
産業構造マスターにおける「高付加価値製造業型」は、上越市・妙高市・胎内市の県内3市のみに該当します。他27市町村は別の産業タイプ(製造業集積型・複合型・農業型など)に分類されています。産業タイプ間の直接比較は本記事の範囲外です。
まとめ
上越市の住民所得の特徴(データから読み取れる範囲)
- 1人当たり課税対象所得は 305.4万円 で県内 2位/30市町村中(R5年度)。県平均+28.3万円・県中央値+32.0万円・県内1位の新潟市との差-14.1万円
- H25→R5の10年で +11.5%(+31.4万円)。前半(H25→H30: +4.35%)より後半(H30→R5: +6.80%)が2.45ポイント大きく、後半加速のパターン
- 所得割納税義務者88,877人(県内シェア8.68%・県内3位)のうち 82.7%が給与所得者(南魚沼市と2市同率)、農業所得者は0.3%(3市同率:上越・長岡・妙高)
- 実効税率 3.3%は8市町村同率(県平均+0.1ポイント・10年-0.2ポイント低下)。1人当たり住民税実額は約10.2万円で県内2位
- 推計手取りは10年で 約19.2万円増加(+5.7%)。給与収入増+26.7万円のうち 71.9% が手取りに転換(上位10位で中程度水準)
- 産業タイプは 高付加価値製造業型(県内3市のみ)、主要業種1位は 製造業18.8%、付加価値額県内2位・1人あたり付加価値額県内3位
- 上越圏3市町村中の中核:圏内1位・県内2位、上越圏の県内順位範囲は3圏域中で最も狭い(県内2〜9位)
移住検討者・事業者への読み方(判断材料)
- 移住検討者: 県内上位の所得水準・給与所得者中心・製造業就業機会が県内3位規模・実効税率と手取り転換率は県平均近辺の水準・上越圏内は所得帯が集中
- 事業者: 上越圏最大の商圏(納税義務者県内シェア8.68%)・製造業関連BtoBは付加価値額県内2位・出荷額県内3位・3業種で就業者47.9%の中程度の分散度
- 研究者・地域理解: 額と変化率の15ランク乖離・長岡市と変化率2市完全同率・上越圏3市町村すべて製造業関連の産業タイプ・県内順位範囲2〜9位の狭さ
派生指標で見える意外な観察
- 1人当たり所得2位 ですが 10年変化率は17位 で 15ランクの乖離。上位10位で上越市より変化率が低いのは新潟市(20位)・柏崎市(26位)・刈羽村(29位)の3市町村のみ
- 変化率+11.5%は長岡市と2市完全同率。県内主要3市(新潟・上越・長岡)の変化率は+11.3%・+11.5%・+11.5%と近接
- 推計手取り2位・推計手取り変化率12位 で 10ランクの乖離。1人当たり所得と同型のパターンが観察される
- 前半変化率+4.35% vs 後半変化率+6.80%(後半が前半の1.56倍)。10年の中で後半5年に加速している構造
- 給与所得者比率82.7%は南魚沼市と2市同率(県内10位)。上位10位の中で長岡市82.6%より高く、上越・南魚沼が同一値
- 農業所得者比率0.3%は3市同率(上越・長岡・妙高)。県平均0.8%を-0.5ポイント下回る水準
- 実効税率3.3%は8市町村同率(上越・長岡・燕・三条・柏崎・刈羽・糸魚川・湯沢)。10年で-0.2ポイント低下は県内主要3市の中で長岡市と同水準のマイナス方向(新潟市は+0.9)
- 産業タイプ「高付加価値製造業型」は県内3市のみ(上越・妙高・胎内)。上越圏3市町村は製造業関連の産業タイプ(高付加価値製造業型2・製造業集積型1)で共通
- 1人あたり付加価値額1,798万円(県内3位)・付加価値額2,878.1億円(県内2位) で、規模と効率の両方が県内上位
この記事の執筆・データについて
執筆: 新潟データ(新潟県在住の個人運営)
データ基準日: 令和5年度(2023年度)市町村税課税状況等の調べ/国勢調査 令和2年/工業統計調査 令和4年/市町村別農業産出額(推計)令和4年
更新日: 2026-09-05
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本記事は公的統計を整理・解釈したデータ記事です。専門的な投資助言・移住助言・税務相談ではありません。移住・就職・事業判断等の重要な意思決定にあたっては、原典データおよび該当分野の専門家にご確認ください。
上越市は3区(北・南・中央のような行政区分ではなく)を持たない単一自治体として集計されており、市内地区別(旧上越市・旧14町村地域等)ごとの所得水準・産業構造は本記事の使用データ(上越市一括集計)では扱えません。地区別の議論を要する場合は、上越市が公表する地区別統計等の別データをご参照ください。
出典
- 1人当たり課税対象所得・所得割納税義務者数・住民税(所得割)実額・所得種類別納税義務者数:
総務省(市町村税課税状況等の調べ 令和5年・平成30年・平成25年) - 産業別就業者数・産業タイプ・主要業種1〜3位・総就業者数・第3次産業比率:
総務省(国勢調査 令和2年) - 製造業従業者数・製造業現金給与総額・製造品出荷額・付加価値額・1人あたり付加価値額:
経済産業省(工業統計調査 令和4年) - 農業産出額:
農林水産省(市町村別農業産出額(推計)令和4年)
推計値について:
本記事の「推計手取り」は総務省 課税対象所得から社会保険料・所得税・住民税を控除した試算値です。
想定料率:
- H25:厚生年金 8.737%/健保 4.985%/雇保 0.5%
- H30:厚生年金 9.15%/健保 5.0%/雇保 0.3%
- R5:厚生年金 9.15%/健保 5.0%/雇保 0.6%
(協会けんぽ新潟県の概算率を使用)
控除モデル:基礎控除(H25・H30: 38万、R5: 48万)・配偶者控除・扶養控除1人・社会保険料控除
データ基準日:令和5年度(2023年度)・平成30年度(2018年度)・平成25年度(2013年度)
次回更新推奨:令和10年度(2028年度)データ公表後

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