十日町市は年間 212.9 万人の観光客が訪れる県内 8 位の観光地です。
特徴的なのは、3 年に 1 度開催される大地の芸術祭 越後妻有 アートトリエンナーレに集客が連動する固有のサイクル構造です。2015 年(+54.1%)・2018 年(+44.9%)・2022 年(+87.5%)・2024 年(+22.6%)と 3 年ごとに前年比で増加し、非開催年に反落するパターンが 13 年推移で繰り返されています。
観光の中心は行祭事・イベント(31.5%)・都市型(26.9%)・自然(20.1%)の 3 本柱で、大地の芸術祭 2024(54.6 万人)・清津峡渓谷歩道トンネル(34.7 万人)・クロス 10(27.9 万人)の上位 3 施設が全体の 55.1% を占めます。他の観光地が「1 施設に集中する型」(弥彦村:彌彦神社 45.6%)や「単一類型集中型」(湯沢町:スポレク + 温泉 91.3%)であるのに対し、十日町市は複数施設・複数類型に分散する芸術祭型の観光構造を持ちます。
集客カレンダーは 8 月(37.6 万人・年間の 17.6%)がピークですが、大地の芸術祭 2024 の秋会期(7〜11 月)と重なる 10 月(32.9 万人)も高水準となり、7〜11 月の 5 か月で全体の 65.5% が集まる夏から秋にかけての長いハイシーズンが十日町市固有の月別パターンです。
この記事では、十日町市の「3 年サイクル芸術祭 + 通年集客の複合型」の観光構造を、入込数・季節性・施設集中の 3 側面から整理します。芸術祭の開催年と非開催年で入込がどれだけ変わるのか、非開催年に残る集客がどの施設から来ているのかもあわせて確認します。
なぜ十日町市は 3 年サイクルで急増し、非開催年も集客を維持できるのか
十日町市の観光客数の 13 年推移(2012〜2024 年)を見ると、他の市町村では見られない特徴的なパターンが観察されます。2015 年 +54.1%・2018 年 +44.9%・2022 年 +87.5%・2024 年 +22.6% と、3 年に 1 度、前年比 20〜90% の増加を記録する年が繰り返されています。非開催年の水準は、コロナ禍の 2020 年(126.0 万人)・2021 年(102.4 万人)を除くと 170〜225 万人規模です。
急増を生んでいるのが、3 年に 1 度開催される「大地の芸術祭 越後妻有 アートトリエンナーレ」です。2000 年に第 1 回が開催されて以降、3 年ごとに開催され、2024 年は第 9 回にあたります。一方で、非開催年の集客を維持しているのは清津峡渓谷トンネル(34.7 万人)と妻有広域文化圏の認知度による通年集客基盤です。
十日町市の観光構造は、3 年ごとの急増(開催年に前年比 +20〜90% の集客増)と 通年の集客維持(コロナ禍の 2020・2021 年を除く非開催年で 170〜225 万人規模)の 2 層で構成されています。この 2 層を支えているのが次の 3 要素です。
- 3 年ごとの急増を生む国際芸術祭(大地の芸術祭 越後妻有・2000 年開始・2024 年第 9 回・54.6 万人・市全体の 25.6%)
- 通年の集客維持を支える「清津峡渓谷トンネル」(2018 年 MAD Architects「Tunnel of Light」改修・34.7 万人集客・SNS 発信で年間集客)
- 急増と維持の両方を下支えする「妻有広域文化圏」(2005 年 5 市町村合併・松代・松之山・川西・中里・旧十日町の 5 エリアが芸術祭ロケーション兼地域ブランド)
急増を生む芸術祭 + 維持を支える清津峡 + 両方を下支えする妻有広域文化圏の認知 という 3 層構造が、十日町市の観光集中を成立させています。以下、それぞれ順に見ていきます。
1. 3 年に 1 度開催される国際芸術祭(市全体の 25.6%)
大地の芸術祭 越後妻有 アートトリエンナーレは 2000 年から 3 年ごとに開催されている国際芸術祭です。2024 年(第 9 回)の入込数は 54.6 万人で、十日町市観光の 25.6% を単独で占めます。作品は市内の広い範囲に分散配置されており、越後妻有里山現代美術館 MonET・まつだいふるさと会館・空き家等の常設・仮設会場を巡る形式です。開催期間は例年 7〜11 月(春会期・夏会期・秋会期)で、この期間の集客が十日町市の年間観光の増減を大きく左右します。
2. 清津峡渓谷トンネルの改修による SNS 発信力の獲得
清津峡渓谷歩道トンネルは 2018 年に MAD Architects の設計で「Tunnel of Light」としてリニューアルされました。トンネル終点のパノラマステーションが水鏡になっており、SNS 映えするビジュアルで国内外に発信されています。2024 年の入込数は 34.7 万人(十日町市観光の 16.3%)で、大地の芸術祭 2024 の作品会場にも指定されているため、芸術祭期間中にはさらに集客が上乗せされる構造です。
3. 妻有 5 市町村合併(2005 年)で成立した広域文化圏
現在の十日町市は 2005 年 4 月に旧十日町市 + 川西町 + 中里村 + 松代町 + 松之山町の 5 市町村が合併して成立しました。この合併により、大地の芸術祭の作品配置範囲(松代・松之山エリアと市街地)が同一自治体内に統合され、広域を舞台とした芸術祭運営の地理的基盤となっています。松代・松之山エリアには豪雪地帯の集落景観・棚田・古民家が残り、芸術祭作品のロケーションとして機能しています。
この 3 要因が同時に成立するのは新潟県内で十日町市のみであり、212.9 万人(2024 年)・3 年サイクルの観光集中は他自治体では再現できない構造です。
十日町市の観光客数(2024 年)
観光客数サマリー
| 指標 | 2024年 | 前年比 |
|---|---|---|
| 観光客入込数 | 212.9 万人 | +22.6% |
| 県内順位(入込数) | 8 位/30 市町村中 | — |
| 県全体に占める割合 | 約 3.36% | — |
| 観光客/人口比 | 約 45 倍(県内 10 位) | — |
※出典:新潟県観光政策課「令和 6 年観光客入込数・消費額調査」
十日町市は県内第 8 位の観光地で、上位 7 市町村(新潟市 1,602 万・長岡市 738 万・妙高市 518 万・上越市 318 万・湯沢町 312 万・南魚沼市 287 万・弥彦村 235 万)に次ぐ位置にあります。2024 年は大地の芸術祭の開催年にあたり、前年(173.6 万人)から +22.6% 増加した結果、9 位柏崎市(202.5 万人)を上回る 8 位に位置しています。
観光客/人口比 45 倍は県内 10 位で、湯沢町(378 倍)・弥彦村(312 倍)のような水準ではありませんが、人口約 47,000 人の市に対して年間 212 万人を集める中規模型の観光集中です。
▼【グラフ:十日町市_県内ランキング.png 新潟県内観光客入込数ランキング(2024 年)十日町市を強調表示】

13 年推移と芸術祭 3 年サイクル
| 年(和暦) | 観光客入込数 | 前年比 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2012年(H24) | 234.8 万人 | — | — |
| 2013年(H25) | 187.1 万人 | −20.3% | — |
| 2014年(H26) | 154.9 万人 | −17.2% | — |
| 2015年(H27) | 238.7 万人 | +54.1% | 大地の芸術祭 第 6 回開催 |
| 2016年(H28) | 177.2 万人 | −25.8% | — |
| 2017年(H29) | 177.9 万人 | +0.4% | — |
| 2018年(H30) | 257.9 万人 | +44.9% | 大地の芸術祭 第 7 回開催・清津峡トンネル改修完了 |
| 2019年(R1) | 225.7 万人 | −12.5% | — |
| 2020年(R2) | 126.0 万人 | −44.2% | コロナ禍 |
| 2021年(R3) | 102.4 万人 | −18.8% | コロナ禍 |
| 2022年(R4) | 191.9 万人 | +87.5% | 大地の芸術祭 第 8 回開催 |
| 2023年(R5) | 173.6 万人 | −9.5% | — |
| 2024年(R6) | 212.9 万人 | +22.6% | 大地の芸術祭 第 9 回開催 |
芸術祭開催年と非開催年の集客差
2015 年(+54.1%)・2018 年(+44.9%)・2022 年(+87.5%)・2024 年(+22.6%)はいずれも大地の芸術祭の開催年で、前年比で増加しています。開催年と直後の非開催年(2016・2019・2023 年)を比較すると、以下の集客差が観察できます:
- 2015 開催年 238.7 万 → 2016 非開催 177.2 万(-61.5 万・-25.8%)
- 2018 開催年 257.9 万 → 2019 非開催 225.7 万(-32.2 万・-12.5%)
- 2022 開催年 191.9 万 → 2023 非開催 173.6 万(-18.3 万・-9.5%)
芸術祭開催による上乗せ集客が年 30〜60 万人規模あり、十日町市の観光客数の年間変動の中核となっています。
コロナ前・コロナ後の回復状況
コロナ前の 2019 年(225.7 万人)と比べて 2024 年は 212.9 万人でコロナ前比 94.3%(県内 8 位の回復率)。2024 年は芸術祭開催年にもかかわらずコロナ前水準にはわずかに届いていません。コロナ禍(2020 年 126.0 万・2021 年 102.4 万)で 13 年間の最低水準を記録し、2022 年の芸術祭開催で +87.5% と急回復した経緯があります。
コロナ前の 5 年間(2014→2019 年)は +45.7% と 県内 1 位 の増加率を記録しました。清津峡トンネルの改修(2018 年)と芸術祭 2015・2018 の 2 回連続開催が重なった時期にあたります。長期的(2013→2024 年)には +13.8%(県内 7 位)で、県内 30 市町村の中では成長型のポジションを維持しています。
▼【グラフ:十日町市_入込数推移.png 十日町市の観光客入込数の推移(2012〜2024 年)】

観光の 3 本柱:行祭事 31.5% + 都市型 26.9% + 自然 20.1%
| 観光分類 | 比率 |
|---|---|
| 行祭事・イベント | 31.5% |
| 都市型観光 | 26.9% |
| 自然 | 20.1% |
| 温泉・健康 | 11.0% |
| 歴史・文化 | 7.5% |
| スポーツ・レクリエーション | 2.9% |
| その他 | 0.0% |
行祭事・都市型・自然の 3 分類の合計が 78.5% で、十日町市の観光の 4 分の 3 以上がこの 3 分野で構成されています。行祭事比率 31.5% が県内でも高い水準で、大地の芸術祭を主軸とする十日町市固有の構造です。
3 本柱の役割分担
- 行祭事・イベント(31.5%):大地の芸術祭 2024(54.6 万人)が中心。3 年サイクルの変動要因
- 都市型観光(26.9%):クロス 10(27.9 万人)・まつだいふるさと会館(10.3 万人)等の芸術祭関連施設が中心
- 自然(20.1%):清津峡渓谷歩道トンネル(34.7 万人)・美人林(8.2 万人)が中心。年間を通じた集客基盤
行祭事は芸術祭開催年に大きく膨らみ、都市型は芸術祭施設への集客で連動して増減し、自然は清津峡・美人林が年間を通じた定常集客を担う 3 層構造です。芸術祭を除いても清津峡単体で 34.7 万人(芸術祭 54.6 万人の 64%)を集める規模があり、非開催年でも一定の集客基盤があるのが十日町市の観光の強みです。
▼【グラフ:十日町市_分類別.png 十日町市の観光分類別内訳(2024 年)】

夏から秋にかけての長いハイシーズン(月別動向)
| 月 | 観光客数 |
|---|---|
| 1月 | 7.3 万人 |
| 2月 | 15.0 万人 |
| 3月 | 9.9 万人 |
| 4月 | 10.5 万人 |
| 5月 | 13.7 万人 |
| 6月 | 11.2 万人 |
| 7月 | 20.1 万人 |
| 8月 | 37.6 万人(ピーク) |
| 9月 | 27.6 万人 |
| 10月 | 32.9 万人(芸術祭秋会期) |
| 11月 | 21.2 万人 |
| 12月 | 6.0 万人(最少) |
8 月ピーク + 10 月芸術祭秋会期の二峰型
十日町市の観光客の 17.6% が 8 月に集中し、次いで 10 月(15.5%)が高くなっています。8 月ピークは夏休みの旅行需要が中心で、10 月の高水準は大地の芸術祭 2024 の秋会期(7 月〜11 月)の集客が中心です。9 月(27.6 万人)・11 月(21.2 万人)と合わせて、7 月〜11 月の 5 か月間で全体の 65.5% が集まる長いハイシーズンが十日町市固有の月別パターンです。
冬季は最も閑散・冬集中 13.3%
1 月(7.3 万人)・12 月(6.0 万人)と厳冬期は月別で最少水準で、冬集中度(12〜2 月合計)は 13.3% です。冬季では 2 月(15.0 万人)が 1 月(7.3 万人)・12 月(6.0 万人)を上回ります。十日町市のスキー場利用客は 44,339 人(県内 7 位/16 市町村中)です。
湯沢町(冬集中 48.3%)・弥彦村(11 月ピーク 22.5%)と比べて、十日町市は季節振幅が中程度で、夏から秋の長いハイシーズンで年間集客を稼ぐ構造です。
▼【グラフ:十日町市_月別推移.png 十日町市の月別観光客数(2024 年)】

主要観光施設 7 か所:芸術祭 + 清津峡 + クロス 10 の分散型集客
| 施設名 | 分類 | 2024年入込数 | 2023年入込数 | 前年比 |
|---|---|---|---|---|
| 大地の芸術祭 越後妻有 アートトリエンナーレ 2024 | 行祭事・イベント | 54.6 万人 | — | — |
| 清津峡渓谷歩道トンネル | 自然 | 34.7 万人 | 32.3 万人 | +7.6% |
| クロス 10 | 都市型観光 | 27.9 万人 | 20.5 万人 | +36.5% |
| まつだいふるさと会館 | 都市型観光 | 10.3 万人 | 11.8 万人 | −12.7% |
| 美人林 | 自然 | 8.2 万人 | 6.5 万人 | +25.4% |
| まつだい芝峠温泉雲海 | 温泉・健康 | 6.1 万人 | 6.2 万人 | −1.7% |
| 越後妻有里山現代美術館 MonET | 歴史・文化 | 5.1 万人 | 2.1 万人 | +140.1% |
(※大地の芸術祭 2024 は 2024 年のみの開催イベントで、前年比データは対象外)
上位 3 施設で 55.1%・分散型集客構造
十日町市の上位 3 施設(大地の芸術祭・清津峡・クロス 10)の合計は市全体の 55.1%(県内 13 位の集中度)です。最大施設集中度(芸術祭 25.6%)は県内 18 位と中位で、他の観光地(弥彦村:彌彦神社 45.6%・湯沢町:越後湯沢温泉 17.4%)と比べて分散型の集客構造にあります。
大地の芸術祭が最大施設ですが、非開催年でも清津峡(34.7 万人)・クロス 10(27.9 万人)という複数の施設が集客を支えるため、単一施設に依存しない安定性が十日町市の観光構造の特徴です。
芸術祭開催年の連動増加:+140.1% の MonET
2024 年に増加した施設は、越後妻有里山現代美術館 MonET(+140.1%・2.1 万人→ 5.1 万人)・クロス 10(+36.5%・20.5 万人→ 27.9 万人)・美人林(+25.4%・6.5 万人→ 8.2 万人)です。
MonET は大地の芸術祭の常設作品会場を兼ねており、芸術祭開催年に入込数が大きく膨らむ構造です。クロス 10・美人林も芸術祭作品の会場・巡回ルート上にあり、芸術祭連動で集客が伸びる関係性があります。
一方、まつだいふるさと会館(−12.7%)・まつだい芝峠温泉雲海(−1.7%)は前年から小幅な変動にとどまっており、芸術祭連動が施設ごとに強弱があることが観察できます。
スキー場補完: スキー場利用客数は 44,339 人(R5-6 シーズン・県内 7 位/16 市町村)です。主要観光地点とは別集計で、上記の 7 施設集計には含まれません。松之山温泉スキー場・当間高原リゾート等が該当します。
十日町市の観光を選ぶときの判断材料
3 年ごとに来訪が増える市では、どの年に訪ねるかが判断材料になります。訪問・移住・出店の順に数値を当てます。
ベストシーズン
大地の芸術祭を体験したいなら 芸術祭開催年の 7〜11 月(春・夏・秋会期)が最適です。次回開催は 2027 年頃(3 年サイクル)と想定されます。清津峡渓谷トンネルは年間を通じて営業していますが、SNS 映えする水鏡状態は水量の多い時期が良好で、5〜10 月が推奨時期です。美人林の紅葉は 10 月下旬〜11 月上旬、新緑は 5〜6 月がピークです。混雑を避けたいなら 12〜3 月の閑散期(月別 6〜15 万人)が空いています。
アクセス手段別所要時間
- JR 上越線・ほくほく線:東京 → 越後湯沢駅 1 時間 15 分 → 十日町駅 40 分(乗換込 約 2 時間半)
- JR 飯山線:長岡駅 → 十日町駅 1 時間 30 分
- 車:関越自動車道六日町 IC → 十日町 約 40 分
- 上越新幹線 + シャトルバス:芸術祭期間中は越後湯沢駅・十日町駅から会場周遊シャトルバス運行
大地の芸術祭は作品が市内の広範囲に分散配置されており、レンタカーまたは芸術祭期間中の周遊バスが実質必須です。
移住検討者向けの視点
十日町市に住む場合、観光客の人出がどの程度の規模になるかを人口と比べると次の水準です。
| 月 | 入込 | 住民 1 人あたり |
|---|---|---|
| 8 月(最多) | 37.6 万人 | 7.97 人(県内 11 位) |
| 10 月(芸術祭秋会期) | 32.9 万人 | 6.99 人 |
| 12 月(最少) | 6.0 万人 | 1.27 人 |
人口 47,124 人に対して、最も多い 8 月でも住民 1 人あたり 7.97 人で、県内 11 位です。湯沢町(82.58 人)・弥彦村(70.19 人)とは 1 桁違い、最少の 12 月は住民の 1.27 倍まで下がります。
面積 591.33 km² に対する観光客/km² は 3,601 人(県内 18 位)で、人出が市内の広い範囲に分かれます。上位 3 施設(大地の芸術祭・清津峡渓谷歩道トンネル・クロス 10)で 55.1% を占めますが、芸術祭の作品は市内各所に分散して設置される形式のため、混雑も 1 か所に固定されません。
年単位でも人出が変わります。芸術祭開催年の 2024 年は 212.9 万人、直前の非開催年 2023 年は 173.6 万人で、39.3 万人(+22.6%)の差があります。3 年ごとに市内の人出がこの幅で動くことが、十日町市で暮らす場合の年単位の変化にあたります。
芸術祭の会期(2024 年は 7〜11 月)は、市内の施設・宿泊・飲食が最も動く時期にあたります。
事業出店検討者向けの視点
十日町市の観光需要は、芸術祭 3 年サイクルによる年間変動と、夏〜秋(7〜11 月)ハイシーズンによる季節変動の 2 層構造を持ちます。事業設計時は次の 2 モードへの対応が必要です:
- 開催年モード(3 年に 1 度・4〜11 月に集中):宿泊・飲食・レンタカー・レンタサイクルの需要増、繁忙期対応スタッフの確保
- 非開催年モード(3 年のうち 2 年):清津峡・美人林・松之山温泉の年間集客が需要基盤、通年営業を前提とした事業設計
清津峡渓谷トンネル前・大地の芸術祭作品エリア・十日町駅前・松之山温泉エリアで需要特性が違い、出店エリアの選定が事業成否を分けます。清津峡渓谷トンネルの SNS 発信効果はインバウンド観光客の集客に寄与する可能性があり、外国語対応・キャッシュレス決済等の需要を新規事業に組み込む価値があります。
十日町市の観光データを見るときの注意点
観光客入込数は実測値ではなく推計値
新潟県の観光客入込数・消費額調査は、各市町村から報告された観光施設の利用者数・入場者数などをもとに集計・推計しています。統計手法や報告施設の範囲が市町村によって異なるため、市町村間の数値を厳密に比較することは適切ではありません。
大地の芸術祭の入込数はイベント固有の集計
大地の芸術祭 越後妻有 アートトリエンナーレ 2024 の 54.6 万人は、芸術祭事務局が発表する会期中の全体入込数の集計値と想定されます。個別作品会場(MonET・まつだいふるさと会館 等)への入込数と一部重複する可能性があり、単純合計はできません。
芸術祭 3 年サイクルによる年間比較の難しさ
十日町市の観光客数を単年で他自治体と比較する際は、芸術祭開催年か非開催年かで前提が大きく違うため、複数年の平均で比較する方が実態を反映します。参考:2020〜2024 年の 5 年平均は 161.4 万人(芸術祭開催 2 回含む)で、2024 年単年(212.9 万人)は 5 年平均を +32% 上回る水準です。
宿泊者・日帰り客の内訳はデータなし
新潟県の市区町村別調査では宿泊者数・日帰り客数の内訳は公表されていません。十日町市の観光の特徴(宿泊型か日帰り型か)は、観光分類別データや芸術祭の周遊性(会場が広範囲に分散し、1 日では回りきれない構造)から間接的に読み取ります。
まとめ:十日町市の観光の 4 つの特徴
2024 年の数値一覧
| 項目 | 2024 年 | 県内順位 |
|---|---|---|
| 観光客入込数 | 212.9 万人(県全体の 3.36%) | 8 位 |
| 前年比 | +22.6% | 2 位 |
| コロナ前(2019 年)比 | 94.3% | 8 位 |
| 長期変化(2013 年→2024 年) | +13.8% | 7 位(県内で数少ない増加) |
| 最多月 | 8 月 37.6 万人(17.6%) | ─ |
| 最少月 | 12 月 6.0 万人(2.8%) | ─ |
| 冬集中度(12〜2 月) | 13.3% | ─ |
| 最大の観光分類 | 行祭事・イベント 31.5% | ─ |
| 最大施設 | 大地の芸術祭 2024(25.6%) | 施設集中度 18 位 |
| 上位 3 施設集中度 | 55.1% | 13 位 |
| 観光客/人口比 | 45.19 倍 | 10 位 |
1. 3 年サイクルで変動する芸術祭型観光地
大地の芸術祭 越後妻有 アートトリエンナーレ(2000 年開始・2024 年で第 9 回)に集客が連動し、開催年(2015・2018・2022・2024)に前年比 +22〜88% の増加、非開催年に -10〜26% の反落を繰り返す 3 年サイクル。上乗せ集客は年 30〜60 万人規模で、他自治体では見られない固有の変動構造です。
2. 行祭事 31.5% + 都市型 26.9% + 自然 20.1% の 3 本柱型
観光分類の 78.5% が行祭事・都市型・自然の 3 分野で構成されており、芸術祭・清津峡・クロス 10 が集客を分担する分散型構造。他自治体(弥彦村:彌彦神社一極集中 45.6%・湯沢町:スキー温泉 91.3% 集中)とは違い、複数施設・複数類型に集客が分散するのが十日町市固有の観光類型です。
3. 夏から秋にかけての長いハイシーズン(7〜11 月で 65.5%)
8 月ピーク(37.6 万人・17.6%)+ 芸術祭秋会期の 10 月(32.9 万人・15.5%)を頂点として、7〜11 月の 5 か月間で全体の 65.5% が集まる長いハイシーズン。冬集中度 13.3% と季節振幅は中程度で、湯沢町(冬集中 48.3%)とは対照的です。
4. コロナ前比 94.3%(県内 8 位)・コロナ前 5 年間は県内 1 位の +45.7% 成長
コロナ前(2019 年 225.7 万人)から −13 万人・回復率 94.3%。2024 年は芸術祭開催年ですが、コロナ前水準にはわずかに届いていません。ただしコロナ前の 5 年間(2014→2019)は +45.7% と県内 1 位の増加率を記録しており、清津峡トンネル改修 + 芸術祭 2 回連続開催で急成長した実績があります。
出典
- 観光客入込数:新潟県観光政策課(令和 6 年観光客入込数・消費額調査)
- 主要観光地点入込数:新潟県観光政策課(同調査 表 7)
- スキー場利用客数:新潟県観光政策課(令和 5-6 シーズン スキー場利用客数)
- 大地の芸術祭 越後妻有 アートトリエンナーレ:大地の芸術祭実行委員会・NPO 法人越後妻有里山協働機構
- 清津峡渓谷トンネル改修:MAD Architects 公表資料・十日町市公表資料
- 妻有 5 市町村合併:十日町市公表資料(2005 年 4 月 1 日合併)
- アクセス情報:JR 東日本公表値・NEXCO 東日本公表値
データ基準日:2024 年(令和 6 年)
次回更新推奨:2025 年(令和 7 年)観光客入込数調査公表後

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