この記事の要点:
- 新潟市は総人口761,503人(県内1位・次位長岡市の約3倍)を分母とする県内唯一の政令指定都市で、高齢化率28.3%は県内29位(若い側から2番目)の位置
- 相対的な若さは「子どもが多い」ではなく「生産年齢が厚い」構造——年少人口率11.1%は県内27位(下位側)の一方、生産年齢人口率60.6%は県内2位
- 率で29位でも、65歳以上人口215,224人・75歳以上人口113,314人はいずれも県内最大の絶対規模
- 過去10年は+1.5ptの上昇だが、5年区切りでは2020→2025が▲1.4ptの反転低下(V字パターン)
- 2050年推計は高齢化率40.0%(+11.7pt)・現役高齢比1.22人(▲43%)で、現在の相対的な若さは25年後に大きく縮む見込み
① 761,503人という分母規模——政令市新潟市の高齢化率28.3%が示す位置
新潟市は新潟県で唯一の政令指定都市です。総人口761,503人は県内2位の長岡市(255,261人)の約3.0倍で、この分母規模が新潟市の高齢化を読むうえでの前提になります。
- 総人口:761,503人(県内1位)
- 65歳以上人口:215,224人(高齢化率28.3%)
- 前期高齢者(65〜74歳):101,910人(総人口の13.4%)
- 後期高齢者(75歳以上):113,314人(総人口の14.9%)
- 85歳以上人口:25,052人(総人口の3.3%)
- 高齢化率:28.3%(県内29位・1位が最も高齢化)
▼【グラフ:niigata_65_75_85割合.png|新潟市を強調色にし、県内主要4市(長岡・上越・三条・新発田)と65・75・85歳以上割合を並べたもの】

出典:総務省(住民基本台帳、2025年1月1日現在)
一般に「高齢者」「高齢化率」で使われる65歳以上は、前期高齢者(65〜74歳)と後期高齢者(75歳以上)を合わせた数字です。65歳以上75歳未満だけを指すわけではありません。新潟市では前期高齢者101,910人より後期高齢者113,314人がわずかに多く、高齢者全体の52.6%が75歳以上を占めています。後期高齢者は前期と比べて医療・介護サービスへのニーズが高い年齢層です。
以下の章では、この位置を構成する要素——若さの内訳(②)・県内での絶対規模(③)——を先に示し、そのうえで変化の推移(④)、原因(⑤)、将来推計(⑥⑦)へと進みます。
② 相対的な若さの内訳——年少人口率27位と生産年齢人口率2位の乖離
新潟市の年齢構成を3区分で見ると、「県内29位(若い側)」という水準がどこから来ているかが分解できます。
- 0〜14歳(年少人口):84,462人(11.1%・県内27位)
- 15〜64歳(生産年齢人口):461,817人(60.6%・県内2位)
- 65歳以上(高齢者人口):215,224人(28.3%・県内29位)
▼【グラフ:niigata_年齢3区分_2025.png|新潟市を強調色にし、県内主要4市(長岡・上越・三条・新発田)と年齢3区分を積み上げ横棒で比較したもの】

出典:総務省(住民基本台帳、2025年1月1日現在)
年少人口率で見ると11.1%は県内27位(下位側4番目)です。子どもの相対比率は県内で低い部類にあり、「若い=子どもが多い」構造ではありません。
一方、生産年齢人口率60.6%は県内2位(1位は聖籠町)です。新潟市の相対的な若さは、15〜64歳の層が県内で厚いことが担っています。生産年齢人口は絶対数でも461,817人で、県内最大の規模です。
年少人口率と生産年齢人口率の順位が正反対(27位 vs 2位)に分かれる構造は、県内で類例が限られます。「県内で相対的に若い市」という一言だけでは見落とされる要素で、若さの中身を分解して捉える必要があります。
③ 率で29位・絶対数では県内最大——215,224人の高齢者を担う位置
高齢化率の順位と絶対数の順位を並べると、政令市新潟市の位置がさらに浮かびます。
- 高齢化率:28.3% → 県内29位(1位が最も高齢化)
- 75歳以上割合:14.9% → 県内29位
- 85歳以上割合:3.3% → 県内28位
高齢化率・75歳以上割合ともに県内29位で、率で見ると新潟市は県内で最も高齢化が進んでいない市の一つです。85歳以上割合は28位で、超高齢者(85歳以上)の比率では75歳以上割合よりわずかに高い位置になります。
出典:総務省(住民基本台帳、2025年1月1日現在)
一方、絶対数で見ると位置が入れ替わります。
| 指標 | 新潟市の数値 | 県内での位置 |
|---|---|---|
| 65歳以上人口 | 215,224人 | 県内最大 |
| 75歳以上人口 | 113,314人 | 県内最大 |
| 85歳以上人口 | 25,052人 | 県内最大 |
| 総人口 | 761,503人 | 県内最大(1位) |
率で29位でも、絶対数では新潟市が県内最大の高齢者数を抱えています。総人口が県内1位で分母が大きいため、率が低くても高齢者総数は他の市町村を大きく上回ります。
率順位(29位)と絶対数順位(1位)の差が並走する構造は、県内で新潟市固有の位置です。県内全体の医療・介護・年金サービスの総量を担う位置は、率順位ではなく絶対数順位から読み取る必要があります。
④ 10年で+1.5ptと2020→2025の反転低下——非直線的な推移
高齢化率は、直近10年でどう変化したのでしょうか。
- 2015年(国勢調査):26.8%
- 2020年(国勢調査ベースの社人研値):29.7%
- 2025年(住民基本台帳):28.3%
10年間で+1.5ポイント上昇しています。ただし単純な直線的上昇ではなく、5年区切りで見ると内訳が分かれます。
- 2015→2020:+2.9pt 急上昇
- 2020→2025:▲1.4pt 反転低下
▼【グラフ:niigata_高齢化推移.png|新潟市の2015年・2020年・2025年の実績と2030〜2050年の推計を折れ線で示す。実績と推計の境界を明示】
出典:実績値は総務省(住民基本台帳・国勢調査)、推計値は国立社会保障・人口問題研究所(社人研、令和5年推計)
過去10年の変化幅は+1.5ptにとどまりますが、その内訳は2020年まで急上昇したのち、直近5年で▲1.4pt低下するV字パターンです。直線的な上昇として読むのではなく、方向が反転している点を分けて捉える必要があります。
もう一点、社人研が2025年と推計していた高齢化率(31.2%)に対し、2025年実績(住民基本台帳)は28.3%で▲2.9ポイント下回っています。社人研の推計は2020年国勢調査を起点としたコーホート要因法(過去の出生・死亡・移動のパターンから将来値を計算する数理モデル)で算出されており、推計公表後の実際の人口移動は反映されません。
この▲2.9ptの乖離は、2020→2025で上昇継続を前提としていた推計が、実際は▲1.4ptの反転低下となったことに符合します。V字パターンとの整合性が数字で確認できます。
なお2025年時点の低下は一時的な現象で、2030年以降の推計では再び上昇に転じ、2050年には40.0%に達する見込みです(章⑥)。将来推計は現時点の前提が続いた場合の試算として参照するのが適切です。
⑤ 大規模自然減と県内唯一級の社会増——2024年の二重構造
新潟市の人口変化を、自然動態(出生・死亡)と社会動態(転入・転出)の2軸で確認します。
自然動態(2024年)
- 出生:4,111人
- 死亡:10,614人
- 自然増減:▲6,503人(県内で絶対値最大の自然減)
社会動態(2024年)
- 転入:28,069人
- 転出:27,541人
- 社会増減:+441人(社会増)
出典:総務省(住民基本台帳、2024年)
自然減▲6,503人は県内30市町村の中で絶対値が最大の自然減です。死亡数10,614人に対して出生数は4,111人と約2.6倍で、政令市規模の分母(総人口761,503人)に対応する数のスケールで自然減が起きています。
社会動態を県内で見ると、別の側面が浮かびます。2024年に社会増(プラス)となっている県内市町村は5つのみです。
| 市町村 | 社会増減(2024年) |
|---|---|
| 新潟市 | +441人 |
| 湯沢町 | +265人 |
| 妙高市 | +54人 |
| 弥彦村 | +24人 |
| 聖籠町 | +12人 |
残る25市町村はすべて社会減で、新潟市の+441人は絶対値で最大の社会増です。他の4町村の社会増(+12〜+265人)と比べても、新潟市の+441人は桁の異なるボリュームとなります。
「県内で最大の自然減」と「県内で最大の社会増」が同一自治体で同時に起きているのは、県内30市町村で新潟市のみです。同じ2024年の1年間で発生している二重構造となります。
なお、この社会増(+441人)が生じている2020〜2025年は、章④で示した高齢化率の反転低下(▲1.4pt)が起きた期間と重なります。
注: 社会増減は住民基本台帳の公式値(職権記載・職権消除等の行政調整を含む)です。転入届数と転出届数の単純差(28,069−27,541=528)とは一致しない場合があります。
⑥ 2050年推計——率40.0%と75歳以上絶対数+36%増の乖離
国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の令和5年推計をもとに、新潟市の25年後を見てみます。
総人口の推移(推計)
- 2025年:763,812人
- 2030年:738,295人
- 2040年:680,256人
- 2050年:616,385人
2025年から2050年にかけて、総人口は約19%減少する見込みです。
高齢者人口の推移(推計)
- 2025年 65歳以上:238,567人(社人研推計値・実績215,224人)
- 2040年 65歳以上:250,420人(ピーク)
- 2050年 65歳以上:246,555人(高齢化率40.0%)
▼【グラフ:niigata_将来人口.png|新潟市の2020〜2050年の総人口・65歳以上人口・15-64歳人口の推移を折れ線で示す。2025年までを実績として区別】

出典:国立社会保障・人口問題研究所(社人研、令和5年推計)
総人口は▲19%減少しますが、65歳以上絶対数は2040年にかけて増加し、その後も高水準を維持します。分母(総人口)が7割規模に縮む一方、分子(65歳以上)は横ばい前後で推移するため、高齢化率は上昇し続けます。
75歳以上絶対数に絞ると、上昇はさらに顕著です。
| 指標 | 2025年 | 2050年 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 総人口(推計) | 763,812人 | 616,385人 | ▲19% |
| 65歳以上(推計) | 238,567人 | 246,555人 | +3.3% |
| 75歳以上 | 113,314人(2025年実績) | 154,420人(推計) | +36% |
| 高齢化率 | 28.3%(実績) | 40.0%(推計) | +11.7pt |
総人口が▲19%減る一方で75歳以上人口は+36%増える構造で、後期高齢者化が絶対数で進みます。分子(65歳以上)の増加以上に、分母(総人口)の減少が高齢化率上昇に寄与する形です。
現在の28.3%(県内29位)という相対的な若さは、25年間で40.0%に達する見込みで、率の優位は縮む方向に動きます。
⑦ 現役高齢比の位置と2050年——2.15人から1.22人へ
現在(2025年)、新潟市では65歳以上1人に対して現役世代(15〜64歳)が2.15人います。県内では2位の水準です。
▼【グラフ:niigata_現役高齢比.png|新潟市を強調色にし、県内主要4市(長岡・上越・三条・新発田)と現役高齢比(2025年実績・2050年推計)を横棒で比較】

出典:実績値は総務省(住民基本台帳)、推計値は国立社会保障・人口問題研究所(社人研、令和5年推計)
現在の県内順位を主要市町村と並べると次のとおりです。
| 順位 | 市町村 | 現役高齢比(2025年) |
|---|---|---|
| 1位 | 聖籠町 | 2.48 |
| 2位 | 新潟市 | 2.15 |
| 3位 | 燕市 | 2.03 |
| 4位 | 長岡市 | 2.00 |
| 5位 | 上越市 | 1.89 |
政令市3都市(新潟・長岡・上越)の中では新潟市が1位の水準です。生産年齢人口率60.6%が県内2位(章②)である位置とも符合します。
一方、2050年推計に目を移すと位置は下落します。
- 2025年 2.15人 → 2050年推計 1.22人(▲0.93・▲43%)
25年間で43%の減少で、現在の「高齢者1人を2人強で支える」構造から、2050年には「1.2人で支える」ほぼ1対1に近い水準に近づきます。
この比率が下がるほど、現役世代1人あたりが担う社会的な負担は増える方向に動きます。年金・医療・介護の社会保障制度の財源は現役世代が納める保険料や税が主な柱であるため、1人の高齢者を支える現役世代の数が減ると現役1人あたりの負担は増します。比率の低下は、一般的に懸念される方向への変化という位置づけです。
現在の県内2位という優位は、25年後にも1.0を上回る水準として一定程度は維持される推計ですが、絶対水準では大幅に下がることが数字に表れています。
注: この比率は人口構造の変化を示す参考指標で、「現役世代が高齢者を直接1人ずつ世話をする」という意味ではありません。2050年推計は社人研令和5年推計(国勢調査2020ベース)で、実際の人口移動次第で変化する可能性があります。
⑧ 政令市新潟市を読むときに——分母規模を意識した数字の見方
新潟市の高齢化構造は、政令市固有の「分母規模」を意識して読む必要があります。以下の観点を組み合わせて捉えることで、率だけでは見えない構造がつかめます。
率と絶対数を分けて見る:高齢化率28.3%(県内29位)だけを見ると新潟市は若い側に位置します。しかし65歳以上絶対数215,224人・75歳以上絶対数113,314人は県内最大です。県内全体の医療・介護・年金サービスの総量を担う位置は、率順位ではなく絶対数順位から読み取ります。
若さの内訳を分ける:若さの中身は「子どもが多い」ではなく「生産年齢が厚い」構造です。年少人口率11.1%は県内27位(下位側)である一方、生産年齢人口率60.6%は県内2位(上位側)で、順位が正反対に分かれます。
時期を分けて推移を見る:過去10年トータルは+1.5ptの上昇ですが、5年区切りでは2015→2020が+2.9pt急上昇・2020→2025が▲1.4pt反転低下のV字パターンです。直線的な上昇として読むと構造を見誤ります。
社会動態の位置を確認:県内で社会増となっている5市町村(新潟・湯沢・妙高・弥彦・聖籠)の中で、新潟市の+441人は絶対値で最大です。同時に自然減▲6,503人も県内最大で、二重構造で人口が動いています。
将来推計は絶対数の内訳を見る:2050年高齢化率40.0%(+11.7pt)だけでなく、総人口▲19%と75歳以上+36%の乖離を分けて捉える必要があります。分子(65歳以上)の増加より分母(総人口)の減少が寄与する部分が大きい構造です。
現役高齢比の時間限定性:現在2.15人(県内2位)の優位は、2050年推計1.22人(▲43%)まで下がる見込みです。相対的な若さは25年後には縮む方向に動く前提で読みます。
まとめ
新潟市の高齢化・人口構造は、政令市固有の「分母規模」を前提として、現在の相対的な位置と2050年に向けた構造変化の対比で捉える必要があります。以下の3点で整理します。
① 相対的な若さは「生産年齢の厚み」で成立している:総人口761,503人(県内1位・次位長岡市の約3倍)を分母として、高齢化率28.3%は県内29位(若い側)に位置します。ただしこの若さは年少人口の多さではなく、生産年齢人口率60.6%(県内2位)が支える構造です。年少人口率11.1%(県内27位・下位側)と生産年齢人口率2位の順位が正反対に分かれる構造は、県内で類例が限られます。率で29位でも、65歳以上絶対数215,224人・75歳以上絶対数113,314人はいずれも県内最大で、率と絶対数の順位差が並走する政令市固有の位置となります(出典:総務省 住民基本台帳)。
② 2020→2025の反転低下と社会増の同時期発生:過去10年の高齢化率上昇は+1.5ptにとどまりますが、5年区切りでは2015→2020が+2.9pt急上昇、2020→2025が▲1.4pt反転低下のV字パターンです。この反転期間は、県内で社会増(+441人)が絶対値で最大となる時期と重なります。県内で社会増となっているのは5市町村のみで、新潟市の+441人は他4町村(+12〜+265人)と桁の異なるボリュームです。同時に自然減▲6,503人も県内最大で、大規模自然減と大規模社会増の二重構造で人口が動いています(出典:総務省 住民基本台帳)。
③ 2050年に相対的優位は縮む見込み:社人研の推計では2050年の高齢化率は40.0%(+11.7pt)で、現役高齢比は2025年の2.15人(県内2位)から2050年の1.22人へ▲43%下がります。総人口が▲19%減少する一方、65歳以上絶対数は2040年ピーク(250,420人)を経て2050年に246,555人(+3.3%)とほぼ横ばい、75歳以上絶対数は113,314人から154,420人へ+36%増となり、率だけでなく絶対数の内訳でも後期高齢者化が進みます。現在の相対的な若さは25年間で大きく縮む見込みです(出典:国立社会保障・人口問題研究所 令和5年推計)。
出典・情報基準日
- 高齢化率・年齢別人口(2025年):総務省(住民基本台帳、2025年1月1日現在)
- 高齢化率(2015年):総務省(国勢調査2015)
- 将来推計人口(2020〜2050年):国立社会保障・人口問題研究所(令和5年推計)
- 出生・死亡・転入・転出(2024年):総務省(住民基本台帳)
次回更新推奨:毎年3月(前年1月1日現在の住民基本台帳データ確定後)

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