農業で稼ぐ市町村ランキング|新潟県30市町村を申告所得と生産額の2軸で比較(R5年度・2022年)

ランキング

新潟県は米どころとして知られています。県内30市町村を「農業で稼ぐ町」で見るとき、集計方法によって上位が大きく変わります。

申告ベース(農家として住民税を納めている人の比率):1位・津南町3.0%
生産額ベース(実際の農業売上):1位・新潟市534.8億円

どちらも「農業で有名」を測る指標ですが、
申告ベースは 農業で稼いでいる人の多さ を、
生産額ベースは 農業の売上規模 を示します。

令和5年度と令和4年のデータで両者を突き合わせると、県内30市町村は次の4象限に整理できます。
両方上位(申告も生産額も高い):胎内市・阿賀野市・佐渡市の3市町村
申告優位(農家比率は高いが売上は中位以下):津南町・関川村の2市町村
生産額優位(売上は大きいが農家比率は下位):新潟市・新発田市・村上市・長岡市・上越市・南魚沼市・三条市の7市町村
両方下位:残り18市町村

30市町村の農業産出額合計は2,323.2億円で、うち新潟市1市で県全体の23.0%を占めます。上位10市町村で県全体の76.7%が集中する分布です。

この記事では、総務省「市町村税課税状況等の調べ」と農林水産省「市町村別農業産出額」をもとに、30市町村の農業を2軸で並べ、集計基準の違いから見える町ごとの農業の姿を整理します。


  1. この記事でわかること
  2. ① 農業所得者比率ランキング(申告ベース・上位10)
  3. ② 農業産出額ランキング(生産額ベース・上位10)
  4. ③ 2軸の乖離マップ(4象限分類・全30市町村)
  5. ④ 各象限の詳細解説
    1. 両方上位(3市町村):胎内市・阿賀野市・佐渡市
    2. 申告優位(2市町村):津南町・関川村
    3. 生産額優位(7市町村):新潟市・新発田市・村上市・長岡市・上越市・南魚沼市・三条市
    4. 両方下位(18市町村):燕市・柏崎市・刈羽村・糸魚川市・妙高市・湯沢町・小千谷市・聖籠町・弥彦村・見附市・出雲崎町・十日町市・魚沼市・粟島浦村・田上町・五泉市・加茂市・阿賀町
  6. ⑤ 1人あたり産出額(規模感の指標)
  7. ⑥ 象限別1人当たり所得平均
  8. ⑦ 意外な観察
    1. 新潟市:産出1位534.8億円だが農業所得者比率21位0.4%
    2. 村上市:産出3位208.6億円だが農業所得者比率16位0.7%(1人あたり1億1,465万円)
    3. 阿賀町:農業所得者数18人で産出22.2億円→1人あたり1億2,333万円(県内1位)
    4. 粟島浦村:産業タイプ「農業型」なのに農業所得者0人・産出0.0億円(両ゼロ)
    5. 胎内市:産業タイプ「高付加価値製造業型」だが農業「両方上位」
    6. 阿賀野市:産業タイプ「製造業集積型」だが農業「両方上位」
    7. 佐渡市:産業タイプ「農業型」で唯一の産出上位(申告2位・産出7位のダブル上位)
    8. 津南町:申告1位3.0%×産出14位59.9億円(申告優位型・県内唯一の3.0%)
  9. ⑧ データの見方・注意点
  10. まとめ
    1. 新潟30市町村の農業ランキングの要点
  11. 出典

この記事でわかること

  • 30市町村の農業所得者比率ランキング(申告ベース・農家として届出している人の比率):1位・津南町3.0%〜30位・粟島浦村0.0%
  • 30市町村の農業産出額ランキング(生産額ベース・実際の農業売上):1位・新潟市534.8億円〜30位・粟島浦村0.0億円
  • 2軸の乖離を4象限で分類:両方上位3・申告優位2・生産額優位7・両方下位18の合計30市町村
  • 1人あたり産出額(農業産出額÷農業所得者数)で見る規模感:1位・阿賀町1億2,333万円〜村上市1億1,465万円等
  • 各象限の1人当たり所得平均:生産額優位292.1万円・両方下位271.4万円・両方上位265.6万円・申告優位261.3万円(県平均277.1万円)

① 農業所得者比率ランキング(申告ベース・上位10)

農業所得者比率(農家として住民税を納めている人が納税義務者に占める割合)が県内で高い上位10市町村です。同率8位も含めて11市町村を並べています。

順位市町村農業所得者比率農業所得者数農業産出額産出額順位1人当たり所得地域産業タイプ
1津南町3.0%114人59.9億円14位256.7万円中越農業型
2関川村1.6%31人16.9億円24位265.9万円下越農業型
2佐渡市1.6%326人93.1億円7位257.9万円佐渡農業型
4胎内市1.2%146人107.3億円6位273.9万円下越高付加価値製造業型
4阿賀野市1.2%222人85.9億円8位265.1万円下越製造業集積型
6加茂市1.1%124人24.4億円19位260.8万円下越製造業集積型
7五泉市1.0%210人70.2億円11位261.3万円下越製造業集積型
8聖籠町0.9%57人19.9億円22位275.7万円下越製造業集積型
8南魚沼市0.9%226人75.8億円9位274.8万円中越複合型
8魚沼市0.9%144人50.7億円15位266.2万円中越製造業集積型
8田上町0.9%46人10.8億円26位261.7万円下越製造業集積型

同率グループ:

  • 3.0%(1位・単独):津南町
  • 1.6%(同率2位・2市町村):関川村・佐渡市
  • 1.2%(同率4位・2市町村):胎内市・阿賀野市
  • 0.9%(同率8位・4市町村):聖籠町・南魚沼市・魚沼市・田上町

申告ベース上位10の要点:

  • 1位の津南町3.0% は県平均0.8%の3.75倍で、県内2位の関川村・佐渡市1.6%と比べても+1.4ポイントの差があります
  • 上位11市町村(同率含む)の1人当たり所得は256.7万円〜275.7万円 の範囲で、全ての市町村が県平均277.1万円を下回っています
  • 地域分布:下越7(関川・胎内・阿賀野・加茂・五泉・聖籠・田上)・中越3(津南・南魚沼・魚沼)・佐渡1(佐渡)で、上越・岩船離島に該当する市町村はありません
  • 産業タイプ内訳:農業型3(津南・関川・佐渡)+製造業集積型6(阿賀野・加茂・五泉・聖籠・魚沼・田上)+高付加価値製造業型1(胎内)+複合型1(南魚沼)で、農業型以外の産業タイプが上位11市町村中8市町村を占めます

※出典:総務省(市町村税課税状況等の調べ 令和5年)


▼【グラフ:ranking_agriculture_scatter.png 新潟県30市町村・農業所得者比率×農業産出額の4象限分布】


② 農業産出額ランキング(生産額ベース・上位10)

農業産出額(農業でいくら稼いだかを生産段階の金額で示す指標)が県内で高い上位10市町村です。産出額は農林水産省が算定する市町村別農業産出額(令和4年)で、耕種(米・野菜・果樹等)と畜産の生産段階の金額の合計です。

順位市町村農業産出額農業所得者比率比率順位農業所得者数1人当たり所得地域産業タイプ
1新潟市534.8億円0.4%21位1,638人319.5万円下越複合型
2新発田市235.5億円0.8%12位360人283.9万円下越複合型
3村上市208.6億円0.7%16位182人261.1万円下越製造業集積型
4長岡市172.1億円0.3%24位422人302.5万円中越製造業集積型
5上越市160.3億円0.3%24位272人305.4万円上越高付加価値製造業型
6胎内市107.3億円1.2%4位146人273.9万円下越高付加価値製造業型
7佐渡市93.1億円1.6%2位326人257.9万円佐渡農業型
8阿賀野市85.9億円1.2%4位222人265.1万円下越製造業集積型
9南魚沼市75.8億円0.9%8位226人274.8万円中越複合型
10三条市71.0億円0.5%18位213人297.9万円中越製造業集積型

生産額ベース上位10の要点:

  • 1位の新潟市534.8億円 は県内2位新発田市235.5億円の2.27倍で、県全体の農業産出額2,323.2億円の23.0% を1市で占めます
  • 上位5市町村(新潟・新発田・村上・長岡・上越)の合計は1,311.3億円で県全体の51.5%、上位10市町村の合計は1,954.3億円で県全体の75.1% を占める分布です
  • 地域分布:下越5(新潟・新発田・村上・胎内・阿賀野)・中越3(長岡・南魚沼・三条)・上越1(上越)・佐渡1(佐渡)で、岩船離島に該当する市町村はありません
  • 産業タイプ内訳:複合型3(新潟・新発田・南魚沼)+製造業集積型4(村上・長岡・阿賀野・三条)+高付加価値製造業型2(上越・胎内)+農業型1(佐渡のみ) で、産業タイプ「農業型」で上位10に入るのは佐渡市のみです
  • 産出額上位10のうち9市町村が農業所得者比率では11位以下(新潟21位・新発田12位・村上16位・長岡24位・上越24位・胎内4位・佐渡2位・阿賀野4位・南魚沼8位・三条18位)で、生産額と申告比率が一致するのは胎内・佐渡・阿賀野・南魚沼の4市町村に限られます

農業産出額の同率グループ:

農業産出額ランキングは1〜30位まですべてユニーク(同率なし)です。

※出典:農林水産省(市町村別農業産出額 令和4年)


③ 2軸の乖離マップ(4象限分類・全30市町村)

申告ベース(農業所得者比率)と生産額ベース(農業産出額)の順位を組み合わせ、30市町村を次の4象限に整理しました。

分類基準(analyst 判断による編集上の呼称):

  • 両方上位:農業所得者比率ランキング5位以内(同率含む) かつ 農業産出額ランキング10位以内
  • 申告優位:農業所得者比率ランキング5位以内 かつ 農業産出額ランキング11位以下
  • 生産額優位:農業所得者比率ランキング6位以下 かつ 農業産出額ランキング10位以内
  • 両方下位:農業所得者比率ランキング6位以下 かつ 農業産出額ランキング11位以下

4象限の内訳(30市町村):

象限市町村数市町村名
両方上位3胎内市・阿賀野市・佐渡市
申告優位2津南町・関川村
生産額優位7新潟市・新発田市・村上市・長岡市・上越市・南魚沼市・三条市
両方下位18燕市・柏崎市・刈羽村・糸魚川市・妙高市・湯沢町・小千谷市・聖籠町・弥彦村・見附市・出雲崎町・十日町市・魚沼市・粟島浦村・田上町・五泉市・加茂市・阿賀町
合計30

全30市町村の農業指標+4象限タグ(並び順:農業産出額順):

産出順位市町村農業産出額農業所得者比率比率順位農業所得者数1人あたり産出額4象限タグ産業タイプ
1新潟市534.8億円0.4%21位1,638人3,265万円生産額優位複合型
2新発田市235.5億円0.8%12位360人6,540万円生産額優位複合型
3村上市208.6億円0.7%16位182人11,465万円生産額優位製造業集積型
4長岡市172.1億円0.3%24位422人4,076万円生産額優位製造業集積型
5上越市160.3億円0.3%24位272人5,893万円生産額優位高付加価値製造業型
6胎内市107.3億円1.2%4位146人7,349万円両方上位高付加価値製造業型
7佐渡市93.1億円1.6%2位326人2,856万円両方上位農業型
8阿賀野市85.9億円1.2%4位222人3,869万円両方上位製造業集積型
9南魚沼市75.8億円0.9%8位226人3,354万円生産額優位複合型
10三条市71.0億円0.5%18位213人3,333万円生産額優位製造業集積型
11五泉市70.2億円1.0%7位210人3,343万円両方下位製造業集積型
12十日町市65.9億円0.8%12位177人3,723万円両方下位複合型
13燕市65.0億円0.5%18位191人3,403万円両方下位製造業集積型
14津南町59.9億円3.0%1位114人5,254万円申告優位農業型
15魚沼市50.7億円0.9%8位144人3,521万円両方下位製造業集積型
16柏崎市46.7億円0.1%27位52人8,981万円両方下位製造業集積型
17小千谷市31.0億円0.8%12位129人2,403万円両方下位製造業集積型
18見附市25.4億円0.4%21位81人3,136万円両方下位製造業集積型
19加茂市24.4億円1.1%6位124人1,968万円両方下位製造業集積型
20妙高市24.1億円0.3%24位41人5,878万円両方下位高付加価値製造業型
21阿賀町22.2億円0.5%18位18人12,333万円両方下位製造業集積型
22聖籠町19.9億円0.9%8位57人3,491万円両方下位製造業集積型
23糸魚川市18.4億円0.1%27位21人8,762万円両方下位製造業集積型
24関川村16.9億円1.6%2位31人5,452万円申告優位農業型
25弥彦村14.3億円0.8%12位31人4,613万円両方下位製造業集積型
26田上町10.8億円0.9%8位46人2,348万円両方下位製造業集積型
27刈羽村6.0億円0.4%21位9人6,667万円両方下位製造業集積型
28出雲崎町4.6億円0.6%17位10人4,600万円両方下位製造業集積型
29湯沢町2.4億円0.1%27位4人6,000万円両方下位複合型
30粟島浦村0.0億円0.0%30位0人算出不能両方下位※両ゼロ農業型

表の読み方:

  • 「1人あたり産出額」は農業産出額÷農業所得者数で算出(万円単位)で、粟島浦村は農業所得者数0人のため算出不能です
  • 「4象限タグ」は本記事で採用した編集上の呼称で、行政区分や公式分類ではありません
  • 粟島浦村は農業所得者0人・農業産出額0.0億円で「両ゼロ」となり、両方下位象限に含めています

▼【グラフ:ranking_agriculture_top10.png 農業所得者比率Top10と農業産出額Top10の対比】


④ 各象限の詳細解説

両方上位(3市町村):胎内市・阿賀野市・佐渡市

農業所得者比率が県内上位5に入り、農業産出額でも県内上位10に入る市町村です。

項目
市町村数3
農業所得者比率範囲1.2%〜1.6%
農業産出額範囲85.9〜107.3億円
1人当たり所得平均265.6万円
県平均差-11.5万円
産業タイプ内訳農業型1(佐渡)・高付加価値製造業型1(胎内)・製造業集積型1(阿賀野)

要点:

  • 農家として届出している人の比率も高く、実際の売上規模も上位級で、両者が揃って上位に位置する市町村です
  • 佐渡市(比率2位・産出7位)は産業タイプ「農業型」・農業所得者数326人(県内2位)・農業産出額93.1億円で、農業型4市町村のなかで唯一産出額上位10に入っています
  • 胎内市(比率4位・産出6位)は産業タイプ「高付加価値製造業型」ですが、農業所得者比率でも県内4位・産出額でも県内6位に入る指標を持ちます
  • 阿賀野市(比率4位・産出8位)は産業タイプ「製造業集積型」ですが、農業所得者比率でも県内4位・産出額でも県内8位に入る指標を持ちます

申告優位(2市町村):津南町・関川村

農業所得者比率は県内上位5に入りますが、農業産出額は県内11位以下の市町村です。

項目
市町村数2
農業所得者比率範囲1.6%〜3.0%
農業産出額範囲16.9〜59.9億円
1人当たり所得平均261.3万円
県平均差-15.8万円
産業タイプ内訳農業型2(津南・関川)

要点:

  • 農家として届出している人の比率は県内上位に位置しますが、農業の売上規模は中位以下という組み合わせです
  • 津南町(比率1位3.0%・産出14位59.9億円)は農業所得者数114人・1人あたり産出額5,254万円
  • 関川村(比率2位1.6%・産出24位16.9億円)は農業所得者数31人・1人あたり産出額5,452万円
  • 2市町村とも産業タイプ「農業型」で、農業所得者数は津南114人・関川31人といずれも小規模自治体に該当します

生産額優位(7市町村):新潟市・新発田市・村上市・長岡市・上越市・南魚沼市・三条市

農業産出額は県内上位10に入りますが、農業所得者比率は県内6位以下の市町村です。

項目
市町村数7
農業所得者比率範囲0.3%〜0.9%
農業産出額範囲71.0〜534.8億円
1人当たり所得平均292.1万円
県平均差+15.0万円
産業タイプ内訳複合型3(新潟・新発田・南魚沼)・製造業集積型3(村上・長岡・三条)・高付加価値製造業型1(上越)

要点:

  • 農業の売上規模は上位ですが、農家として届出している人の比率は下位という組み合わせです
  • 1人当たり所得平均292.1万円は4象限のなかで最も高く、県平均+15.0万円の水準です
  • 農業所得者数は新潟市1,638人(県内1位)・長岡市422人・新発田市360人など多い市町村もありますが、総納税義務者数が大きいため比率としては下位になります
  • 1人あたり産出額が高い市町村が多く、村上市1億1,465万円・胎内・佐渡・阿賀野を除く7市町村中5市町村(新発田6,540万円・上越5,893万円・長岡4,076万円・南魚沼3,354万円・三条3,333万円)が県内平均以上の水準です
  • 産業タイプは複合型3・製造業集積型3・高付加価値製造業型1で、いずれも農業以外の産業基盤を持つ大規模自治体が並びます

両方下位(18市町村):燕市・柏崎市・刈羽村・糸魚川市・妙高市・湯沢町・小千谷市・聖籠町・弥彦村・見附市・出雲崎町・十日町市・魚沼市・粟島浦村・田上町・五泉市・加茂市・阿賀町

農業所得者比率も農業産出額もいずれも県内で下位に位置する市町村です。

項目
市町村数18
農業所得者比率範囲0.0%〜1.0%
農業産出額範囲0.0〜70.2億円
1人当たり所得平均271.4万円
県平均差-5.7万円
産業タイプ内訳製造業集積型14・複合型2(十日町・湯沢)・高付加価値製造業型1(妙高)・農業型1(粟島浦)

要点:

  • 18市町村の内訳は都市部・工業自治体・小規模自治体・離島が混在します
  • 粟島浦村は産業タイプ「農業型」ですが、農業所得者0人・農業産出額0.0億円の「両ゼロ」で、両方下位象限に含まれます(詳細は⑦で後述)
  • 農業所得者比率0.1%(同率27位)に該当する柏崎市・糸魚川市・湯沢町は農業所得者数52・21・4人と少ないですが、農業産出額は柏崎46.7億円・糸魚川18.4億円・湯沢2.4億円と幅があります
  • 阿賀町(比率18位0.5%・産出21位22.2億円)は農業所得者数18人で、1人あたり産出額は1億2,333万円と県内1位です(詳細は⑦で後述)

⑤ 1人あたり産出額(規模感の指標)

農業産出額を農業所得者数で割った「1人あたり産出額」は、1人(1戸)あたりの農業売上の規模感を示す参考指標です。上位10市町村を並べます。

順位市町村農業所得者数農業産出額1人あたり産出額4象限タグ産業タイプ
1阿賀町18人22.2億円1億2,333万円両方下位製造業集積型
2村上市182人208.6億円1億1,465万円生産額優位製造業集積型
3柏崎市52人46.7億円8,981万円両方下位製造業集積型
4糸魚川市21人18.4億円8,762万円両方下位製造業集積型
5胎内市146人107.3億円7,349万円両方上位高付加価値製造業型
6刈羽村9人6.0億円6,667万円両方下位製造業集積型
7新発田市360人235.5億円6,540万円生産額優位複合型
8湯沢町4人2.4億円6,000万円両方下位複合型
9上越市272人160.3億円5,893万円生産額優位高付加価値製造業型
10妙高市41人24.1億円5,878万円両方下位高付加価値製造業型

参考:主要市町村の1人あたり産出額:

市町村農業所得者数農業産出額1人あたり産出額
新潟市1,638人534.8億円3,265万円
津南町114人59.9億円5,254万円
佐渡市326人93.1億円2,856万円
関川村31人16.9億円5,452万円
阿賀野市222人85.9億円3,869万円
長岡市422人172.1億円4,076万円
加茂市124人24.4億円1,968万円
田上町46人10.8億円2,348万円
粟島浦村0人0.0億円算出不能

1人あたり産出額の要点:

  • 1位の阿賀町1億2,333万円 ・2位の村上市1億1,465万円 は県内で唯一の1億円超に該当します
  • 阿賀町(1位・農業所得者18人)・刈羽村(6位・9人)・湯沢町(8位・4人)は農業所得者数が少ないため、少数の大規模経営者で全体が分母が小さくなることで平均値・比率が変動する分母効果が生じる可能性があります
  • 村上市(2位・農業所得者182人・産出208.6億円)は大規模自治体で農業所得者数もそれなりに多く、1人あたり売上が県内上位の水準です
  • 上位10のうち、生産額優位象限に該当するのは村上・新発田・上越の3市町村で、両方上位象限は胎内1市町村、残り6市町村は両方下位象限に含まれます
  • 申告優位象限の津南町5,254万円・関川村5,452万円は上位10には入りませんが、中位の水準に位置します
  • 「1人あたり産出額」は農業産出額を農業所得者数で割った参考指標で、統計上の「1戸あたり産出額」とは異なる可能性があります(法人経営分の産出額も含まれるため、分母の農業所得者数と分子の産出額が完全に対応するわけではありません)

▼【グラフ:ranking_agriculture_per_farmer.png 1人あたり産出額(産出額÷農業所得者数)】


⑥ 象限別1人当たり所得平均

4象限ごとに、1人当たり所得(R5年度)の平均を比較しました。

象限市町村数1人当たり所得平均県平均差
生産額優位7292.1万円+15.0万円
両方下位18271.4万円-5.7万円
両方上位3265.6万円-11.5万円
申告優位2261.3万円-15.8万円
県全体30277.1万円

象限別所得水準の要点:

  • 生産額優位(292.1万円) は4象限のなかで最も高く、県平均+15.0万円の水準です。象限内には新潟市(319.5万円・県内1位)・上越市(305.4万円・県内2位)・長岡市(302.5万円・県内3位)等の所得上位市が含まれます
  • 申告優位(261.3万円) は4象限のなかで最も低く、県平均-15.8万円の水準です。象限内の津南町(256.7万円・県内30位)と関川村(265.9万円・県内21位)はいずれも所得下位に位置します
  • 両方上位(265.6万円) は県平均-11.5万円で、象限内の胎内市273.9万円(県内15位)・佐渡市257.9万円(県内28位)・阿賀野市265.1万円(県内23位)は所得中位から下位に分布します
  • 両方下位(271.4万円) は県平均-5.7万円で、象限内には所得上位の市町村(燕市300.8万円・4位、柏崎市292.8万円・6位、刈羽村292.5万円・7位、糸魚川市286.6万円・9位、妙高市284.3万円・11位)と所得下位の市町村(阿賀町257.3万円・29位、加茂市260.8万円・27位)が混在します

注意: 象限別所得平均の差は観察された分布で、「生産額が大きいから所得が高い」「申告比率が高いから所得が低い」等の因果関係を示すものではありません。象限内には所得上位・下位が混在するケースもあり、農業指標と所得順位は単純に対応するわけではないという分布が観察されます。


⑦ 意外な観察

新潟市:産出1位534.8億円だが農業所得者比率21位0.4%

  • 農業産出額は県内1位534.8億円(県全体の23.0%を1市で占める)
  • 農業所得者数は1,638人(県内1位)
  • しかし総納税義務者数が379,395人と大きいため、農業所得者比率は0.4%(県内21位) に留まります
  • 1人あたり産出額は3,265万円(中位)
  • 農家の絶対数と農家の比率は異なる指標で、新潟市は農業所得者数が県内1位でも比率としては下位という分布です

村上市:産出3位208.6億円だが農業所得者比率16位0.7%(1人あたり1億1,465万円)

  • 農業産出額は県内3位208.6億円(県全体の9.0%)
  • 農業所得者数は182人・農業所得者比率0.7%は県内16位
  • 1人あたり産出額は1億1,465万円で県内2位(1位は阿賀町だが農業所得者18人と少数)
  • 大規模自治体(納税義務者27,346人)のなかで農業所得者の絶対数は多くありませんが、1人あたりの売上規模が県内トップクラスに位置する分布です

阿賀町:農業所得者数18人で産出22.2億円→1人あたり1億2,333万円(県内1位)

  • 農業所得者数18人で農業産出額22.2億円
  • 1人あたり産出額1億2,333万円は県内1位
  • 4象限では「両方下位」(比率18位0.5%・産出21位22.2億円)に該当
  • 農業所得者数が18人と少ないため、少数の大規模経営者で全体が分母が小さくなることで平均値・比率が変動する分母効果に留意が必要な分布です

粟島浦村:産業タイプ「農業型」なのに農業所得者0人・産出0.0億円(両ゼロ)

  • 産業タイプは「農業型」(第1次産業比率31.2%・県内1位)
  • しかし農業所得者数は0人 ・農業産出額は0.0億円
  • 主要業種1位は漁業20.2%(53人)・2位が宿泊・飲食業20.2%(53人)・3位が農業・林業11.0%(29人)
  • 産業タイプ「農業型」は就業者ベースの分類で、農業所得者比率・農業産出額とは集計基準が異なります。粟島浦は漁業+宿泊業+農林業が主で、農業単独の申告所得・産出額はゼロという分布です

胎内市:産業タイプ「高付加価値製造業型」だが農業「両方上位」

  • 産業タイプは「高付加価値製造業型」・主要業種1位は製造業25.5%
  • しかし農業所得者比率4位(1.2%) ・農業産出額6位(107.3億円) で両方上位に該当
  • 1人あたり産出額7,349万円(県内5位)
  • 製造業系の市町村でも農業産出額・所得者比率で上位に入る例です

阿賀野市:産業タイプ「製造業集積型」だが農業「両方上位」

  • 産業タイプは「製造業集積型」・主要業種1位は製造業20.0%
  • しかし農業所得者比率4位(1.2%) ・農業産出額8位(85.9億円) で両方上位に該当
  • 胎内市と同様、産業タイプ「農業型」以外に農業指標が上位となる市町村です

佐渡市:産業タイプ「農業型」で唯一の産出上位(申告2位・産出7位のダブル上位)

  • 農業所得者比率2位(1.6%)
  • 農業産出額7位(93.1億円)
  • 農業所得者数326人は県内2位(新潟市1,638人に次ぐ)
  • 主要業種1位は医療・福祉16.2%・2位が農業・林業16.1%
  • 産業タイプ「農業型」4市町村(津南・関川・佐渡・粟島浦)のなかで、農業産出額が上位10に入るのは佐渡市のみです

津南町:申告1位3.0%×産出14位59.9億円(申告優位型・県内唯一の3.0%)

  • 農業所得者比率3.0%は県内1位 で県平均0.8%の3.75倍
  • 農業産出額は14位59.9億円(中位)
  • 1人あたり産出額5,254万円(中位)
  • 産業タイプ「農業型」・主要業種1位は農業・林業24.5%
  • 農家として届出している人の比率が県平均0.8%の3.75倍で県内単独1位でありながら、産出額は中位という分布です

⑧ データの見方・注意点

順位=豊かさではありません

農業所得者比率ランキング・農業産出額ランキング・4象限分類は、農業の指標を並べたものであり、「豊かな町」「所得が高い町」を示す指標ではありません。順位はあくまで農業に関する統計値の相対比較で、「農家比率が高いから所得が低い」「産出額が大きいから所得が高い」等の因果関係を示すものではありません。

申告ベースと生産額ベースの集計基準の違い

  • 申告ベース(農業所得者比率):総務省「市町村税課税状況等の調べ」による所得税・住民税の申告時に主たる所得が農業だった人の比率(人数÷所得割納税義務者総数)。個人の申告に基づく人数比率です
  • 生産額ベース(農業産出額):農林水産省「市町村別農業産出額」による耕種(米・野菜・果樹等)と畜産の生産段階の金額の推計値。個人事業だけでなく法人経営分も含みます

両者の乖離は集計基準の違いを反映しており、経営規模・法人化率・兼業比率・自家消費・現物収入の扱い等が影響する可能性があります。

農業地域では過小表示になる場合があります(申告ベース)

農業所得は申告による実額ですが、自家消費・現物収入は含まれない場合があります。申告優位象限の津南町・関川村では、農業所得者の実額申告と実態の生産量に差が生じる可能性があります。

法人経営が多いと個人の農業所得者に計上されません

農業法人の従業員は給与所得者として申告されるため、個人の農業所得者比率には計上されません。生産額優位象限の新潟市・新発田市・村上市等では、法人経営分の産出額が申告ベースの農家人数に対応しない可能性があります。

兼業農家の扱い

主たる所得が農業以外(給与・営業等)の兼業農家は、農業所得者ではなく他の所得種類の所得者として計上されます。農業所得者比率は「専業寄りの農家」に近い指標で、農業に何らかの形で従事する全ての人数を示すものではありません。

「産業タイプ」と「農業所得者比率」は集計基準が異なります

  • 産業タイプ:総務省・国勢調査ベース(就業者の産業別比率から分類)
  • 農業所得者比率:総務省・市町村税課税状況等の調べベース(所得申告時の所得種類から集計)

両者は集計基準が異なるため、必ずしも一致しません。粟島浦村は産業タイプ「農業型」(第1次産業比率31.2%)ですが、農業所得者比率は0.0%です。主要業種1位が漁業のため、1次産業就業者比率は高くても農業単独の申告所得はゼロという分布です。

「1人あたり産出額」は参考指標です

農業産出額÷農業所得者数で算出した参考指標で、統計上の「1戸あたり産出額」とは異なる可能性があります。分子の産出額には法人経営分も含まれ、分母の農業所得者数(個人申告ベース)とは完全に対応しません。特に農業所得者数が少ない小規模自治体(阿賀町18人・刈羽村9人・湯沢町4人等)では、分母効果に強く留意する必要があります。

小規模自治体は変動が大きくなります

粟島浦村(納税義務者125人・農業所得者0人)・湯沢町(農業所得者4人)・刈羽村(9人)・出雲崎町(10人)・阿賀町(18人)等の小規模自治体では、少数の農家構成で比率・1人あたり指標が大きく振れる可能性があります。

「両方上位」等の4象限は編集上の呼称です

  • 「両方上位」=農業所得者比率ランキング5位以内 かつ 農業産出額ランキング10位以内
  • 「申告優位」=農業所得者比率ランキング5位以内 かつ 農業産出額ランキング11位以下
  • 「生産額優位」=農業所得者比率ランキング6位以下 かつ 農業産出額ランキング10位以内
  • 「両方下位」=農業所得者比率ランキング6位以下 かつ 農業産出額ランキング11位以下

これらは本記事で採用した編集上の呼称で、行政区分や公式分類ではありません。

所得割納税義務者は全住民ではありません

課税対象所得が控除額を下回る場合(所得が低い・年金受給のみ等)は所得割の納税義務者に含まれません。高齢化が進んだ市町村では納税義務者の分母が小さくなり、比率が見かけ上変動する可能性があります。

課税対象所得は手取り収入ではありません

課税対象所得(合計所得金額)は、給与・事業・農業などの各所得から所得種別の控除を差し引いた所得の合計です。ここからさらに基礎控除・社会保険料控除等を差し引いた額が住民税・所得税の課税標準となります。課税対象所得と実際の手取り収入は異なります。


まとめ

新潟30市町村の農業ランキングの要点

  • 申告ベース(農業所得者比率)は1位・津南町3.0%〜30位・粟島浦村0.0% で3.0ポイントの分布、生産額ベース(農業産出額)は1位・新潟市534.8億円〜30位・粟島浦村0.0億円 で534.8億円の分布幅があります。新潟市1市で県全体の23.0%、上位10市町村で県全体の76.7%を占める分布です
  • 30市町村を2軸で分類すると両方上位3・申告優位2・生産額優位7・両方下位18 で、農業所得者比率と農業産出額がともに上位に一致する市町村は胎内・阿賀野・佐渡の3市町村です
  • 各象限の1人当たり所得平均は生産額優位292.1万円・両方下位271.4万円・両方上位265.6万円・申告優位261.3万円 の順で、生産額優位と申告優位で30.8万円の差があります(ただし象限内には所得上位・下位が混在するケースもあり、単純な対応関係にはなりません)
  • 1人あたり産出額(産出額÷農業所得者数)で見ると、阿賀町1億2,333万円・村上市1億1,465万円 の2市町村が県内で1億円超に該当し、生産額優位の村上市は農業所得者182人という規模のなかで1人あたり売上が県内2位に位置します
  • 産業タイプ「農業型」4市町村(津南・関川・佐渡・粟島浦)のうち、農業所得者比率上位5に入るのは3市町村(津南・関川・佐渡)、農業産出額上位10に入るのは佐渡1市町村のみで、粟島浦村は農業型でありながら農業所得者0人・産出0.0億円(両ゼロ) という分布です(主要業種1位は漁業)

出典

  • 農業所得者比率・農業所得者数・所得割納税義務者数・1人当たり課税対象所得:
    総務省(市町村税課税状況等の調べ 令和5年)
  • 農業産出額:
    農林水産省(市町村別農業産出額 令和4年)
  • 産業タイプ・地域区分・主要業種・第1次産業比率:
    総務省(国勢調査 令和2年)をもとに分類

データ基準日:令和5年度(2023年度・申告ベース)・令和4年(2022年・生産額ベース)
次回更新推奨:令和6年度データ・令和5年産出額データ公表後

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