新発田市の1人当たり所得は県内10位(283.9万円)|10年変化率15位・農業産出額県内2位・下越県北の中核・複合型データ(R5年度)

市町村

新発田市(新潟県下越地域・城下町・月岡温泉と新発田城を擁する県北の中核市)の1人当たり課税対象所得(R5年度)は 283.9万円 で、新潟県30市町村中 10位 です。
10年で +11.7%(+29.7万円) 変化し、変化率の順位は県内 15位(妙高市と同率)で、額の順位(10位)と変化率の順位(15位)に 5ランクの乖離 が観察できます。推計手取りは 335.2万円(県内10位)で、10年で+17.7万円(+5.6%)変化しています。
主要業種1位は製造業(就業者比率18.9%)で産業タイプは複合型に分類されますが、農業産出額は235.5億円で県内2位(1位は新潟市)と、農業側面で県内トップクラスの水準です。給与所得者比率 82.2%(胎内市と同率14位)・実効税率 3.2%(4市同率・県内11位)・下越圏13市町村中 3位 の県北中核市です。

この記事は、総務省「市町村税課税状況等の調べ」ほかの公的統計をもとに、新発田市の所得水準・10年変化・産業構造との対応・下越圏内での位置づけ・移住検討者/事業者への読み方までを、記事単体で判断材料が読み取れる構造で整理したものです。


この記事でわかること

  • R5年度の1人当たり課税対象所得は 283.9万円(県内 10位/30市町村中)・県平均+6.8万円・県中央値+10.6万円
  • H25→R5の10年変化は +11.7%(+29.7万円) で、変化率順位は県内 15位(妙高市と同率)
  • 所得割納税義務者 43,996人(県内シェア4.30%・県内5位)のうち 82.2%が給与所得者、農業所得者は0.8%
  • 1人当たり住民税(所得割)は約 9.14万円・実効税率 3.2%(4市同率・分母が10位のため実額は県内10位圏)
  • 推計手取りはH25の317.5万円からR5の 335.2万円+17.7万円(+5.6%)・変化率順位は県内14位
  • 主要業種は製造業18.9%・卸売業14.6%・医療福祉13.3%の 3業種10%以上構造、産業タイプは複合型
  • 農業産出額は235.5億円で県内2位、下越圏13市町村では3位、下越県北の中核市に位置する

① 新発田市の1人当たり所得サマリー(283.9万円・県内10位・下越県北中核)

新発田市の住民所得の全体像を数値で確認します。

指標数値県内順位(30市町村中)
1人当たり課税対象所得283.9万円10位
所得割納税義務者数43,996人5位
課税対象所得(総額)約1,249.1億円5位

※出典:総務省(市町村税課税状況等の調べ 令和5年)

1人当たり所得は県内10位です。一方で所得割納税義務者数・課税対象所得総額はいずれも県内5位で、規模指標(人数・総額)と1人当たり指標で順位に差があります。県平均(277.1万円)を+6.8万円、県中央値(273.3万円)を+10.6万円上回っています。所得割納税義務者数の県内シェアは4.30%、課税対象所得総額のシェアは4.08%で、新潟市・長岡市・上越市・三条市・燕市に次ぐ規模帯に位置します。

数値の意味(データから読み取れる範囲):

規模指標(納税義務者・課税対象所得総額いずれも県内5位)と1人当たり指標(10位)で5ランクの順位差があるという構造は、新発田市が「県内5万人規模の中核市として一定の課税ベースを保持する一方、1人当たり水準では上位10位に留まる」位置に置かれていることを示す観察です。県内で1人当たり所得が新発田市を上回るのは9市町村で、そのうち長岡市・柏崎市・刈羽村・糸魚川市・三条市・燕市など製造業集積型、上越市・妙高市など高付加価値製造業型の地域が多く含まれます。


▼【グラフ:shibata_県内ランキング.png 新潟県30市町村 1人当たり課税対象所得ランキング(R5年度・新発田市を強調)】


② 県内順位と下越県北エリアでの位置づけ(農業産出額県内2位)

R5年度の1人当たり課税対象所得の県内上位10市町村を確認します。

順位市町村1人当たり所得10年変化率変化率順位地域
1位新潟市319.5万円+11.3%20位下越
2位上越市305.4万円+11.5%17位(同率)上越
3位長岡市302.5万円+11.5%17位(同率)中越
4位燕市300.8万円+15.6%4位下越
5位三条市297.9万円+13.9%9位中越
6位柏崎市292.8万円+8.8%26位中越
7位刈羽村292.5万円+7.2%29位中越
8位糸魚川市286.6万円+15.0%6位上越
9位妙高市284.3万円+11.7%15位(同率)上越
10位新発田市283.9万円+11.7%15位(同率)下越
  • 県平均:277.1万円(新発田市 +6.8万円)
  • 県中央値:273.3万円(新発田市 +10.6万円)
  • 県1位・新潟市との差:-35.6万円
  • 県30位・津南町(256.7万円)との差:+27.2万円

新発田市の1人当たり所得は上位10位の最下位に位置します。10年変化率+11.7%は妙高市と完全同率15位で、額の順位(10位)と変化率の順位(15位)が5ランク乖離しています。上位10位のうち、変化率が新発田市より下位なのは新潟市(20位)・柏崎市(26位)・刈羽村(29位)の3市町村のみです。

下越圏13市町村内での位置づけ

新発田市は下越13市町村(新潟市・燕市・聖籠町・胎内市・弥彦村・関川村・阿賀野市・田上町・五泉市・村上市・加茂市・阿賀町ほか)で1人当たり所得 3位、県内順位でも10位に位置します。下越の他12市町村の県内順位は1位(新潟市)から29位まで分布し、圏内は県内順位で 1〜29位のほぼ全域 に広がる分布です。下越で新発田市より上位に位置するのは新潟市(県内1位)・燕市(県内4位)の2市のみです。

数値の意味(データから読み取れる範囲):

新発田市は下越圏の中でも新潟市・燕市に次ぐ位置にあり、下越県北エリア(新発田・胎内・村上・関川・阿賀町など)では最上位に位置します。下越圏内の分布幅が県内順位1〜29位と広いなかで、新発田市は上位帯に属する県北の中核市として位置づけられます。


③ 10年推移と「額10位×変化率15位・5ランク乖離」の後半加速型(+7.41%)

過去10年間(H25→H30→R5)の住民所得の変化を確認します。

年度1人当たり課税対象所得所得割納税義務者数課税対象所得(総額)
H25年度(2013年度)254.2万円43,479人約1,105.4億円
H30年度(2018年度)264.3万円44,351人約1,172.2億円
R5年度(2023年度)283.9万円43,996人約1,249.1億円
10年変化(H25→R5)+29.7万円(+11.7%)+517人(+1.19%)+143.7億円(+13.0%)

前半(H25→H30)の1人当たり所得の変化率は+3.96%、後半(H30→R5)は+7.41%で、後半5年の変化幅が前半の約 1.9倍 に拡大しています。所得割納税義務者数は10年で+517人(+1.19%)と微増、課税対象所得総額は+143.7億円(+13.0%)増加しています。

「所得は10位・変化率は15位」の乖離5ランクの観察

R5の1人当たり所得ランキングは県内10位、10年変化率ランキングは県内15位で、その差は 5ランク です。長岡市(3位 vs 17位・14ランク乖離)や新潟市(1位 vs 20位・19ランク乖離)のような主要3市パターンよりは乖離が小さく、上位10位の中では「額と変化率がある程度整合している中間層」に属する構成です。

上位10位に含まれる10市町村を「額と変化率の乖離」で分類すると:

  • 乖離が大きい上位グループ(額上位・変化率下位):新潟市・上越市・長岡市・柏崎市・刈羽村
  • 乖離が小さい上位グループ(額上位・変化率も上位):燕市・三条市・糸魚川市・妙高市・新発田市

新発田市は後者(乖離小グループ)に属し、妙高市と変化率+11.7%で完全同率(2市同率グループ)です。

数値の意味(データから読み取れる範囲):

新発田市の額(10位)と変化率(15位)の5ランク乖離は、上位10位の中では上越市・長岡市・新潟市などの主要3市より小さく、燕市・三条市などの成長率上位グループにより近いパターンです。前半(+3.96%)より後半(+7.41%)の変化幅が大きいという「後半加速型」の推移は、R5データで観察される所得水準(283.9万円)が10年の中で緩やかに上昇してきた結果であるという観察を提示するものです。


▼【グラフ:shibata_所得推移.png 新発田市の1人当たり課税対象所得の推移(H25→H30→R5)】


④ 所得種類別の内訳(給与所得者82.2%・農業所得者0.8%の構造)

所得割納税義務者の所得源泉の内訳を確認します。

所得区分納税義務者数比率
給与所得者36,143人82.2%
営業等所得者1,477人3.4%
農業所得者360人0.8%
その他6,016人13.7%
合計43,996人100%

給与所得者が82.2%を占めています。給与所得者比率82.2%は県内14位で、胎内市と同率です。県平均(81.8%)との差は+0.4ポイントです。営業等所得者は3.4%、農業所得者は0.8%(小千谷市・弥彦村・十日町市と同率12位)、その他(年金所得等を含む)は13.7%です。

数値の意味(データから読み取れる範囲):

給与所得者比率82.2%が県平均+0.4ポイント・胎内市と同率という観察は、新発田市の所得構成が「県平均近傍の給与所得者中心構造」に位置していることを示すデータです。上位10位内で比較すると、長岡市(82.6%・単独水準)よりわずかに低く、新潟市(81.9%)より高い中間帯です。

一方で農業所得者比率0.8%は低い水準ですが、新発田市の農業産出額は 235.5億円で県内2位(1位は新潟市)と、県内でトップクラスの農業生産規模を持ちます。就業形態と所得申告の関係で、農業由来の生活水準は課税対象所得に完全には反映されない可能性があります(⑨データの見方参照)。課税対象所得ベースでの見方だけでは、新発田市の農業経済圏の実態を過小評価する可能性がある点は、この記事で特に注意が必要な観察です。


▼【グラフ:shibata_所得種類別.png 新発田市の所得種類別 所得割納税義務者数(R5年度)】


⑤ 推計手取り335.2万円(下越圏3位・県北最上位)と住民税実額の推移

住民税(所得割)の実額と、社会保険料・所得税を含む推計手取りの10年推移を確認します。

住民税(所得割)の推移

住民税(所得割)の実額は、総務省「市町村税課税状況等の調べ」第11表の所得割額を所得割納税義務者数で割って算出しました。

年度1人当たり住民税(所得割)実効税率(住民税÷課税対象所得)
H25年度(2013年度)約8.6万円(86,255円)3.4%
H30年度(2018年度)約8.9万円(88,731円)3.4%
R5年度(2023年度)約9.1万円(91,380円)3.2%
10年変化+0.5万円(+5.9%)-0.2ポイント

R5の実効税率3.2%は妙高市・新発田市・小千谷市・南魚沼市の 4市同率で県内11位 です。同率4市のうち、分母(1人当たり課税対象所得)が県内10位に位置するのは新発田市のみで、1人当たり住民税の実額としても同率グループ内で上位に位置します。

この期間には令和2年の税制改正で住民税の基礎控除が33万円から43万円に引き上げられており、実効税率のH25/H30の3.4%からR5の3.2%への△0.2ポイントの変化幅が、改正時期と対応するタイミングで観察されます(改正が原因であるという断定はしません)。

推計手取りの推移

課税対象所得(給与所得)から給与所得控除の計算式で給与収入を逆算し、各年度の公式保険料率・税制を用いて手取りを試算しました。

項目H25(2013年度)H30(2018年度)R5(2023年度)10年変化
課税対象所得(給与所得)254.2万円264.3万円283.9万円+29.7万円
推定給与収入(※1)約385.3万円約397.9万円約409.9万円+24.6万円
ー 社会保険料(※2)54.8万円57.5万円60.5万円+5.7万円
ー 所得税(※3)4.4万円4.7万円5.1万円+0.7万円
ー 住民税(実額)8.6万円8.9万円9.1万円+0.5万円
推計手取り約317.5万円約326.8万円約335.2万円+17.7万円(+5.6%)

推計手取り335.2万円は県内 10位、推計手取り変化率+5.6%は県内 14位 で、額と変化率の順位に 4ランクの乖離 があります。1人当たり所得における5ランクの乖離と同型(額上位・変化率相対的下位)のパターンが、推計手取りでも観察されます。

推定給与収入(額面)の10年増加+24.6万円のうち、税・社会保険料の増加を差し引いた後に手取りとして残る割合は 72.0%(手取り転換率)です。残り約28%は社会保険料の増加(+5.7万円)・所得税増(+0.7万円)・住民税実額増(+0.5万円)に吸収されています。

※1 給与収入は課税対象所得(給与所得)から各年度の給与所得控除(所得税法の計算式)で逆算した推定値です。
※2 社会保険料は厚生年金(公式保険料率)・健康保険(協会けんぽ新潟県の概算率)・雇用保険(公式料率)を使用。保険料率はH25:厚生年金8.737%・健保4.985%・雇保0.5%、H30:厚生年金9.15%・健保5.0%・雇保0.3%、R5:厚生年金9.15%・健保5.0%・雇保0.6%で試算。
※3 所得税は「給与所得 − 基礎控除(H25・H30: 38万、R5: 48万)− 社会保険料控除 − 配偶者控除 − 扶養控除1人」を課税標準として試算。実際の控除状況・家族構成によって大きく異なります。


⑥ 農業産出額県内2位×農業所得者比率0.8%の構造対応(複合型×城下町×月岡温泉)

新発田市の産業構造と所得水準の対応関係を、複数データで観察します。

産業タイプと就業構造

新発田市は産業構造マスター(総務省 国勢調査 令和2年)で 複合型 に分類されています。

産業別就業者比率(2020年)は第1次産業5.9%・第2次産業28.8%・第3次産業62.7%(県内7位) です。総就業者数は47,539人で、10年変化率は△1.8%です。主要業種は1位が製造業(18.9%・8,964人)、2位が卸売業・小売業(14.6%・6,952人)、3位が医療・福祉(13.3%・6,309人)で、3業種いずれも就業者の10%以上を占めます。

「3業種10%以上構造」の複合型としての観察

複合型として分類される新発田市の主要3業種(製造業18.9%+卸売業14.6%+医療福祉13.3%)の合計は就業者の 46.8% を占めます。長岡市(同51.0%・製造業集積型)や燕市(製造業単独で35.2%)と対比すると、新発田市は特定業種への集中度が相対的に低く、複数業種に就業が分散した構造の観察です。第3次産業就業者比率62.7%(県内7位)は上位10位の中でも高く、商業・医療・観光を含むサービス業の比重が大きい構成となっています。

製造業関連の指標と農業産出額の位置づけ

新発田市の産業関連指標(経済産業省 工業統計調査 令和4年・農林水産省 市町村別農業産出額 令和4年)は次の通りです。

指標数値県内順位
製造業従業者数6,724人7位相当
現金給与総額約23億9,838万円9位
製造品出荷額約1,642.1億円9位
付加価値額約740.4億円9位
1人あたり付加価値額1,101万円13位
農業産出額約235.5億円県内2位

製造業の各指標は県内9位帯に集中している一方で、農業産出額は新潟市(県内1位)に次ぐ県内2位 で、産業の中で農業側面が県内トップクラスの存在感を示します。長岡市の農業産出額(172.1億円・県内4位)と比較しても新発田市(235.5億円)が 63.4億円 上回っており、下越県北の穀倉地帯(新発田平野・阿賀北エリア)の中核として位置づけられます。県内2位の農業産出額235.5億円は、県平均を上回る水準です。

なお1人あたり付加価値額の1,101万円は 製造業事業所ベースの分母 で算出された指標で、住民所得の1人当たり課税対象所得283.9万円(所得割納税義務者ベース)とは分母が異なる別の指標です。

農業産出額県内2位×農業所得者比率0.8%の指標間乖離(新発田市固有の構造)

新発田市の「農業産出額県内2位(235.5億円)」と「農業所得者比率0.8%(納税義務者ベース・県内12位同率)」は、生産規模指標と課税所得申告ベース指標で分母・対象がまったく異なる別指標です。この2つの指標が同じ市町村内で県内2位と県内下位帯という乖離を示す構造は、新発田市(および下越県北の農業複合型市町村)で観察される固有のパターンです。

この乖離が示す構造上の観察点:

  1. 農業所得者比率は「所得割納税義務者に対する農業所得者の割合」 で、農業を副業とする給与所得者(兼業農家)や自家消費が主体の農業経営体は「農業所得者」として集計されない場合があります
  2. 農業産出額は「農産物の生産額」 で、農業法人・農業経営体・個人農家の生産活動をすべて集計した指標であり、就業形態や所得申告と一致しない
  3. 新発田市の農業経済圏は「農業所得者0.8%」の指標だけでは実態を捉えきれず、生産規模ベース(産出額県内2位)と就業構造ベース(第1次産業就業者比率5.9%)で複層的に読み解く必要がある

これは新発田市の記事で特に注意が必要な観察であり、⑨「データの見方」でさらに詳しく整理します。

城下町・月岡温泉・複合型産業構造の対応

新発田市は月岡温泉(県内主要温泉地)・新発田城(旧新発田藩城下町・国指定重要文化財の表門と旧二の丸隅櫓を有する)を擁する、下越県北の観光・歴史資源が集積した城下町です。産業別就業者比率で「宿泊業・飲食サービス業」を含む第3次産業比率が 62.7%(県内7位) と高いことは、農業・観光・商業・製造業が並列的に構成する複合型産業構造の中で、観光サービス業も一定の比重を占めていることを反映する観察の一つです。

「複合型×農業県内2位×城下町×月岡温泉」という産業タイプの組合せは、他29市町村では成立しない新発田市固有の構造です。県内で農業産出額2位以上を維持する市町村は新潟市(1位・政令市の絶対規模)と新発田市(2位)の2市のみで、そのうち複合型(3業種10%以上)で城下町・温泉観光地の要素を併せ持つのは新発田市のみです。

数値の意味(データから読み取れる範囲):

新発田市の産業構造は「複合型」に分類されるとおり、製造業(就業者比率18.9%・出荷額県内9位)と農業(産出額県内2位)と観光サービス業が並列的に構成する構造です。1人当たり所得10位という水準は、製造業集積型上位(燕市・三条市・柏崎市など)と比較すると相対的に低位ですが、これは複合型の分散構造と農業所得の課税対象所得への反映特性(⑨参照)を踏まえた解釈が必要な観察です。因果関係の断定ではなく、産業構造と所得水準の対応パターンを提示するものです。


⑦ 下越県北の中核市としての新発田市(農業と観光の複合圏)

新発田市を「下越県北エリアの中核市」として位置づけ、周辺市町村との役割分担・新潟市(下越圏の中心・政令市)との距離感を確認します。

下越圏13市町村の主な1人当たり所得

圏内順位市町村1人当たり所得県内順位
1位新潟市319.5万円1位
2位燕市300.8万円4位
3位新発田市283.9万円10位
…(以下、聖籠町・胎内市・弥彦村・関川村・阿賀野市・田上町・五泉市・村上市・加茂市・阿賀町の順)…29位まで分布

下越圏内の分布と新発田市の位置

下越13市町村は県内順位1位(新潟市)から29位(下位市町村)まで、県内順位の 1〜29位のほぼ全域 に分布します。圏内の分布幅の広さは中越圏(3〜30位)と同水準です。新発田市は下越圏内で3位、県北エリア(新発田・胎内・村上・関川村・阿賀町など)に絞ると圏内最上位に位置します。

下越県北エリアの区分と新発田市の中核性

下越圏13市町村は、地理的・機能的に大きく2つのサブエリアに分けられます:

サブエリア主な市町村中心市中心市の1人当たり所得
下越中央(新潟都市圏)新潟市・燕市・弥彦村・田上町・加茂市など新潟市319.5万円(県内1位)
下越県北新発田市・胎内市・村上市・阿賀野市・関川村・阿賀町・聖籠町など新発田市283.9万円(県内10位)

新発田市は下越県北エリアの最上位に位置し、周辺市町村(胎内市・村上市・阿賀野市・関川村・阿賀町)に対して労働力・商業機能・農業経済圏の集約点となる中核市の位置づけです。新潟市(下越中央・政令市)が下越圏全体の中心である一方、県北エリアでは新発田市が域内中核として機能する二層構造です。

下越県北エリア内での市町村対比(新発田市を中核とする役割分担)

市町村1人当たり所得県内順位主な特徴
新発田市283.9万円10位県北中核・複合型・農業産出額県内2位・城下町・月岡温泉
胎内市新発田市より下位給与所得者比率82.2%(新発田市と同率14位)
阿賀野市新発田市より下位下越県北南部
村上市新発田市より下位下越県北北端
関川村・阿賀町下位帯下越県北山間部・小規模自治体

県北エリアの他市町村(胎内・村上・阿賀野・関川・阿賀町)はいずれも1人当たり所得の県内順位で新発田市より下位に位置します。新発田市の1人当たり所得283.9万円は、県北エリアの他市町村と比較して所得水準の最上位に位置する観察です。

新潟市(下越中央)との距離感・役割分担

  • 新潟市:政令市・下越圏の絶対中心・1人当たり所得319.5万円(県内1位・県平均+42.4万円)
  • 新発田市:下越県北中核・新潟市との差-35.6万円・複合型産業構造

新潟市(下越中央)が下越圏の絶対中心である一方、新発田市は下越県北エリアの中核として、地理的距離・産業構造(新潟市:商業/サービス業/政令市機能/新発田市:農業/観光/城下町/複合型)の両面で役割分担が観察されます。新発田市は新潟市への通勤圏に一部含まれつつも、独立した県北の商圏・農業経済圏を保持する二重の位置づけです。

規模の圏内対比

新発田市の所得割納税義務者数43,996人は、下越圏内で新潟市(約31万人規模・約7倍)、燕市に次ぐ規模帯に位置します。総就業者数47,539人も同帯の規模を持ちます。県北エリアに絞れば、新発田市は圧倒的な規模の中核市として県北の労働市場・商業市場・農業市場を集約する位置にあります。

数値の意味(データから読み取れる範囲):

新発田市は下越圏内で「新潟市(政令市)・燕市(製造業集積型)に次ぐ第3位」の1人当たり所得を保有し、県北エリア(新発田・胎内・村上・関川・阿賀町など)の中核市として周辺市町村の労働力・商業機能・農業経済圏を集約している位置にあります。下越県北の中核市という位置づけは、「新潟市を頂点とする下越圏の階層構造」と「県北エリア内での中核性」の二重構造で捉えられる、他29市町村では成立しない新発田市固有の地域アイデンティティです。


⑧ 移住検討者・事業者への読み方

本章は「新発田市 移住」「新発田市 平均年収」「新発田市 農業」「月岡温泉 移住」等の検索意図に対する、データから読み取れる判断材料の整理です。個別の意思決定を代替するものではありません。

移住検討者への読み取り材料

読み取り材料データ根拠
下越圏3位・県北エリア最上位の1人当たり所得水準283.9万円・下越13市町村中3位・県内10位
県平均+6.8万円・県中央値+10.6万円県平均277.1万円・県中央値273.3万円との差
給与所得者中心の街給与所得者比率82.2%(胎内市と同率14位)・給与所得者36,143人
複合型産業の就業機会総就業者47,539人・主要業種3業種(製造業18.9%・卸売業14.6%・医療福祉13.3%)で就業46.8%
農業・観光を含む生活環境農業産出額県内2位(235.5億円)・月岡温泉・新発田城の観光資源
推計手取りは県内10位水準推計手取り335.2万円・R5想定料率による試算値
生活コストとの照合が必要1人当たり所得順位は所得側面のみ・家賃/物価/通勤環境は別データを要参照

事業者への読み取り材料

読み取り材料データ根拠
農業関連ビジネス市場:産出額 約235.5億円(県内2位)農林水産省 市町村別農業産出額 令和4年
製造業BtoB市場:出荷額 約1,642.1億円(県内9位)工業統計 製造品出荷額_2022
下越県北の商圏中核(納税義務者県内5位)納税義務者43,996人・課税対象所得総額1,249.1億円
複合型産業構造(3業種10%以上)製造業18.9%+卸売業14.6%+医療福祉13.3%=46.8%
観光業・温泉・城下町関連の市場月岡温泉・新発田城・第3次産業比率62.7%(県内7位)
規模指標と1人当たり指標の順位差納税義務者5位/課税対象所得5位/1人当たり所得10位

研究者・地域理解への読み取り材料

読み取り材料データ根拠
額と変化率の順位乖離5ランク(10位 vs 15位)1人当たり所得ランキング10位・変化率ランキング15位
推計手取りでも同型の乖離4ランク(10位 vs 14位)推計手取り10位・推計手取り変化率14位
主要3市(新潟・上越・長岡)と異なる「乖離小」パターン上位10位内で額と変化率の乖離が5ランク以下の中間帯
農業産出額県内2位×農業所得者比率0.8%の乖離産出額指標と所得申告ベース指標で分母・対象が異なる
複合型産業構造(3業種10%以上・単一業種依存低い)製造業18.9%+卸売業14.6%+医療福祉13.3%=46.8%
後半加速型の10年推移前半+3.96%・後半+7.41%(約1.9倍)の変化幅拡大

⚠️ 上記は「データから読み取れる範囲での判断材料」であり、投資助言・移住助言・個別の意思決定を代替するものではありません。


⑨ データの見方・注意点

順位=豊かさではありません

1人当たり課税対象所得の順位は、後述する複数の解釈上の制約を含んだ指標に基づいています。順位が高いことをもって「豊かな地域」「移住すべき地域」等の価値判断を行うことはできません。順位はあくまで所得割の課税ベース上の数値の相対比較です。

課税対象所得は手取り収入ではありません

課税対象所得(合計所得金額)は、給与・事業・農業などの各所得から給与所得控除等の所得種別の控除を差し引いた所得の合計です。ここからさらに基礎控除・社会保険料控除・配偶者控除・扶養控除等を差し引いた額が住民税・所得税の課税標準となります。課税対象所得と実際の手取り収入は異なります。

推計手取りの計算モデル

⑤の推計手取りは、給与所得控除の計算式で給与収入を逆算し、公式保険料率と概算率を用いた試算値です。想定料率(協会けんぽ新潟県の概算率)と控除モデル(基礎控除・配偶者控除・扶養控除1人)は記事末の「出典」欄に明示しています。実際の手取りは家族構成・扶養控除・iDeCo/生命保険料控除等の個別事情で大きく変動します。

⚠️ 農業地域では過小表示になる場合があります(新発田市で特に重要)

農業所得は申告による実額ですが、自家消費・現物収入は含まれない場合があります。農業主体の市町村では、1人当たり課税対象所得が実態の生活水準より低く見える可能性があります。

新発田市の場合、農業所得者比率は0.8%と低い(納税義務者ベース)ですが、農業産出額は235.5億円で県内2位(1位新潟市)という、下越県北の穀倉地帯を代表する農業生産規模を持ちます。就業形態と所得申告の関係で、農業由来の生活水準が課税対象所得に完全には反映されない可能性があります。この点は下越県北の農業型・複合型市町村(新発田市・胎内市・村上市・阿賀野市など)の1人当たり課税対象所得を解釈するうえで、記事内で特に注意すべき制約です。

所得割納税義務者は全住民ではありません

課税対象所得が控除額を下回る場合(所得が低い・年金受給のみ等)は所得割の納税義務者に含まれません。R5年度の新発田市の所得割納税義務者数は43,996人で、これは全人口とは異なります。高齢化が進んだ市町村では分母が小さくなり、1人当たり所得が見かけ上高くなる場合があります。

1人あたり付加価値額と1人当たり所得の混同注意

⑥で提示した1人あたり付加価値額 1,101万円は 製造業事業所ベース の指標で、住民所得の1人当たり課税対象所得283.9万円(所得割納税義務者ベース)とは分母が異なる別の指標です。両者を同一の「1人あたり所得」として扱うことはできません。

同様に農業産出額(235.5億円)と農業所得者の申告所得は、対象・分母・計算方法がすべて異なる別の指標です。


まとめ

新発田市の住民所得の特徴(データから読み取れる範囲)

  • 1人当たり課税対象所得は 283.9万円 で県内 10位/30市町村中(R5年度)。県平均+6.8万円・県中央値+10.6万円
  • H25→R5の10年で +11.7%(+29.7万円)。前半(H25→H30: +3.96%)・後半(H30→R5: +7.41%)で後半の変化幅が約1.9倍
  • 所得割納税義務者43,996人(県内シェア4.30%・県内5位)のうち 82.2%が給与所得者(胎内市と同率14位)、農業所得者は0.8%(4市町村同率)
  • 1人当たり住民税(実額)はH25の8.6万円からR5の9.1万円へ+0.5万円。実効税率3.2%(4市同率・分母10位のため実額は同率グループ内で上位)
  • 推計手取りは10年で 約17.7万円増加(+5.6%)。給与収入増+24.6万円のうち 72.0% が手取りに転換
  • 産業タイプは 複合型、主要3業種(製造業18.9%+卸売業14.6%+医療福祉13.3%)で就業46.8%を占める
  • 農業産出額は235.5億円で県内2位、下越県北の穀倉地帯の中核

移住検討者・事業者への読み方(判断材料)

  • 移住検討者: 下越圏3位・県北エリア最上位の所得水準・給与所得者中心・農業/観光/製造業/医療の複合就業機会・城下町/月岡温泉のある落ち着いた生活環境・生活コストは別データで要照合
  • 事業者: 農業関連市場(産出額県内2位)・製造業BtoB市場・下越県北の商圏中核・観光業(月岡温泉)・単一業種依存が低い複合型産業構造
  • 研究者・地域理解: 額と変化率の5ランク乖離(主要3市より小さい中間帯パターン)・農業産出額県内2位×農業所得者比率0.8%の乖離・複合型産業構造

派生指標で見える新発田市固有の観察

  • 1人当たり所得は県内10位、課税対象所得総額は県内5位、農業産出額は県内2位 と、3つの指標で県内順位が10位・5位・2位と三重の乖離があります(規模指標×農業指標の存在感)
  • 1人当たり所得順位10位と10年変化率順位15位で5ランクの差(妙高市と同率)。主要3市(新潟・上越・長岡)の乖離14〜19ランクと比較すると小さく、上位10位の中では「中間帯」パターン
  • 推計手取り水準は県内10位、手取り成長率は県内14位 で、額と成長率の順位に4ランクの乖離
  • 給与所得者比率82.2%は胎内市と同率14位、県平均81.8%+0.4ポイントの近傍
  • 農業産出額県内2位×農業所得者比率0.8%の指標間乖離 は、下越県北の農業経済圏を課税対象所得ベースだけで解釈することの限界を示す観察

この記事の執筆・データについて

執筆: 新潟データ(新潟県在住の個人運営)
データ基準日: 令和5年度(2023年度)市町村税課税状況等の調べ/国勢調査 令和2年/工業統計調査 令和4年/市町村別農業産出額(推計)令和4年
更新日: 2026-08-25
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本記事は公的統計を整理・解釈したデータ記事です。専門的な投資助言・移住助言・税務相談ではありません。移住・就職・事業判断等の重要な意思決定にあたっては、原典データおよび該当分野の専門家にご確認ください。


出典

  • 1人当たり課税対象所得・所得割納税義務者数・住民税(所得割)実額・所得種類別納税義務者数:
    総務省(市町村税課税状況等の調べ 令和5年・平成30年・平成25年)
  • 産業別就業者数・産業タイプ・主要業種1〜3位・総就業者数:
    総務省(国勢調査 令和2年)
  • 製造業従業者数・現金給与総額・製造品出荷額・付加価値額・1人あたり付加価値額:
    経済産業省(工業統計調査 令和4年)
  • 農業産出額:
    農林水産省(市町村別農業産出額(推計)令和4年)

推計値について:
本記事の「推計手取り」は総務省 課税対象所得から社会保険料・所得税・住民税を控除した試算値です。
想定料率:

  • H25:厚生年金 8.737%/健保 4.985%/雇保 0.5%
  • H30:厚生年金 9.15%/健保 5.0%/雇保 0.3%
  • R5:厚生年金 9.15%/健保 5.0%/雇保 0.6%
    (協会けんぽ新潟県の概算率を使用)
    控除モデル:基礎控除(H25・H30: 38万、R5: 48万)・配偶者控除・扶養控除1人・社会保険料控除
  • データ基準日:令和5年度(2023年度)・平成30年度(2018年度)・平成25年度(2013年度)
  • 次回更新推奨:令和10年度(2028年度)データ公表後

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