マイホームの町・賃貸の町・分譲の町|新潟県30市町村・住宅着工の用途別ランキング(R5年度)

ランキング

新潟県30市町村で令和5年度に着工された住宅を「用途別」で見ると、
町ごとにまったく違う住宅の入り方をしていることが分かります。

持家(マイホーム・戸建て)が100%の「マイホームの町」が6市町村、
貸家(賃貸アパート・マンション)比率が20%以上の「賃貸の町」が11市町村、
分譲(分譲マンション・分譲住宅)比率が10%以上の「分譲の町」が8市町村。

そして持家・貸家・分譲の3種すべてが10%以上ある「バランス型」の町は7市だけで、
全て新潟市・長岡市・上越市・新発田市・三条市・柏崎市・加茂市の県内主要都市です。

なかでも胎内市(貸家比率45.5%)は県内トップの「賃貸の町」、
新発田市(分譲比率25.0%)は県内唯一の「分譲25%超の町」、
燕市は10年で貸家着工が+125.4%(2倍超)に増えた県内で唯一の市町村です。

この記事では、国土交通省「建築着工統計調査」をもとに、
30市町村の用途別内訳をランキング形式で並べ、
「マイホームの町」「賃貸の町」「分譲の町」「バランス型」の4つの姿を整理します。

※岩船郡(関川村+粟島浦村)は原データが分離できないため、両村を1行に統合しています。


この記事でわかること

  • R5年度の新設住宅着工を用途別比率で並べると、持家100%の「マイホームの町」が6市町村貸家比率20%以上の「賃貸の町」が11市町村分譲比率10%以上の「分譲の町」が8市町村と、町ごとに住宅の入り方がまったく違うことが確認できます
  • 賃貸の町の1位は胎内市(45.5%)、2位は糸魚川市(38.7%)、3位は燕市(38.0%)で、県内トップ3はいずれも人口10万人未満の中規模市になります
  • 分譲の町の1位は新発田市(25.0%)で、県内で唯一「分譲比率25%超」を記録しています。長岡市(19.0%)・新潟市(18.6%)を上回る比率です
  • 持家・貸家・分譲の3種すべてが10%以上ある「バランス型」の町は7市だけで、県内主要都市(新潟・長岡・上越・新発田・三条・柏崎・加茂)に集中しています
  • 燕市は10年で貸家着工が+125.4%(71戸→160戸)に増加し、県内で唯一「10年で貸家が2倍超」に増えた市町村です

① マイホーム比率ランキング(持家=戸建て中心の町)

R5年度の新設住宅着工に占める「マイホーム・戸建て(持家)」の比率で並べたランキングです。上位10市町村を示します。

順位市町村持家比率R5着工合計持家戸数
1刈羽村100.0%10戸10戸
1弥彦村100.0%6戸6戸
1出雲崎町100.0%5戸5戸
1田上町100.0%17戸17戸
1阿賀町100.0%8戸8戸
1津南町100.0%5戸5戸
7十日町市96.9%64戸62戸
8妙高市90.3%62戸56戸
8見附市90.3%103戸93戸
10南魚沼市89.8%118戸106戸

表の読み方:

  • 1位の6市町村(刈羽村・弥彦村・出雲崎町・田上町・阿賀町・津南町)は「R5に建った住宅が100%持家(戸建て)」で、貸家・分譲がゼロの町です
  • いずれも年間着工が5〜17戸の極小規模で、貸家・分譲事業者が新規参入する市場規模に達していない構造が数字に表れています
  • 中規模の見附市(着工103戸・持家90.3%)は例外的で、着工が100戸を超えながらほぼ全て戸建てです

※出典:国土交通省(建築着工統計調査 令和5年度)

▼【グラフ:h4_use_ratio_top.png 用途別比率トップ10(マイホーム/賃貸/分譲)】


② 賃貸比率ランキング(賃貸アパート・マンション中心の町)

R5年度の新設住宅着工に占める「賃貸アパート・マンション(貸家)」の比率で並べたランキングです。上位10市町村を示します。

順位市町村貸家比率R5着工合計貸家戸数
1胎内市45.5%66戸30戸
2糸魚川市38.7%93戸36戸
3燕市38.0%421戸160戸
4加茂市35.7%84戸30戸
5新潟市32.8%4,049戸1,328戸
6小千谷市29.9%87戸26戸
7魚沼市25.4%63戸16戸
8柏崎市23.0%191戸44戸
9村上市21.9%114戸25戸
10佐渡市21.6%74戸16戸

表の読み方:

  • 1位の胎内市(45.5%)は、R5に建った住宅66戸のうち30戸が賃貸で、着工の半分近くが貸家という珍しい構成です
  • 上位3位(胎内・糸魚川・燕)はいずれも人口10万人未満の中規模市。人口約76万人の新潟市は32.8%で県内5位と、県都でも比率で見れば上位に入ります
  • 貸家絶対数で見ると新潟市1,328戸・燕市160戸で、他市町村と桁が違います。県内で貸家が年間100戸を超えて着工されるのは新潟市・長岡市・燕市・上越市の4市です

※出典:国土交通省(建築着工統計調査 令和5年度)


③ 分譲比率ランキング(分譲マンション・分譲住宅中心の町)

R5年度の新設住宅着工に占める「分譲マンション・分譲住宅」の比率で並べたランキングです。上位10市町村を示します。

順位市町村分譲比率R5着工合計分譲戸数
1新発田市25.0%328戸82戸
2長岡市19.0%1,094戸208戸
3新潟市18.6%4,049戸752戸
4聖籠町18.3%71戸13戸
5上越市15.2%643戸98戸
6三条市11.4%308戸35戸
7加茂市10.7%84戸9戸
8柏崎市10.5%191戸20戸
9見附市9.7%103戸10戸
10五泉市9.4%128戸12戸

表の読み方:

  • 1位の新発田市(25.0%)は、R5に建った住宅328戸のうち82戸が分譲で、県内で唯一「分譲比率25%超」を記録しています
  • 長岡市(19.0%)・新潟市(18.6%)といった県内主要都市を上回る比率で、新発田市はH25の分譲比率8.9%(52戸)から10年で分譲シェアが約3倍に拡大した市になります
  • 分譲比率10%以上の「分譲の町」は8市町村(新発田・長岡・新潟・聖籠・上越・三条・加茂・柏崎)で、いずれも人口規模の大きい市または都市近郊の町です

※出典:国土交通省(建築着工統計調査 令和5年度)

▼【グラフ:h4_use_stacked.png 全30市町村の用途別内訳(積み上げ棒)】


④ 4分類:マイホーム主体・賃貸多め・分譲多め・バランス型

用途別比率をもとに、30市町村を4つのパターンに整理します。

④-1 マイホーム主体(持家比率90%以上)

R5に建った住宅のほぼ全てが戸建て(持家)の町です。

市町村持家比率R5着工合計
刈羽村100.0%10戸
弥彦村100.0%6戸
出雲崎町100.0%5戸
田上町100.0%17戸
阿賀町100.0%8戸
津南町100.0%5戸
十日町市96.9%64戸
妙高市90.3%62戸
見附市90.3%103戸
  • 持家100%は6市町村、90%以上は9市町村。全て人口3万人未満または町村レベルです
  • 着工の絶対数が5〜17戸と極小規模の市町村が多く、貸家・分譲事業者が新規参入する市場規模に達していない構造がうかがえます
  • 見附市(103戸・持家90.3%)は例外的で、着工が100戸を超えながらほぼ全て戸建ての中規模市になります

④-2 賃貸多め(貸家比率20%以上)

R5に建った住宅の2割以上が賃貸アパート・マンションの町です。

市町村貸家比率R5着工合計
胎内市45.5%66戸
糸魚川市38.7%93戸
燕市38.0%421戸
加茂市35.7%84戸
新潟市32.8%4,049戸
小千谷市29.9%87戸
魚沼市25.4%63戸
柏崎市23.0%191戸
村上市21.9%114戸
佐渡市21.6%74戸
三条市21.4%308戸
  • 貸家比率20%以上は11市町村。人口76万人の新潟市から人口2万人台の胎内市まで規模はさまざまです
  • 「マイホーム主体」の町とは対照的に、賃貸物件の供給が住宅市場の一定シェアを占めています

④-3 分譲多め(分譲比率10%以上)

R5に建った住宅の1割以上が分譲マンション・分譲住宅の町です。

市町村分譲比率R5着工合計
新発田市25.0%328戸
長岡市19.0%1,094戸
新潟市18.6%4,049戸
聖籠町18.3%71戸
上越市15.2%643戸
三条市11.4%308戸
加茂市10.7%84戸
柏崎市10.5%191戸
  • 分譲比率10%以上は8市町村。県内主要都市と都市近郊の町(聖籠町)に集中しています
  • 新発田市(25.0%)が県内唯一の「分譲25%超」で、長岡市・新潟市を上回る比率です

④-4 バランス型(持家・貸家・分譲の3種すべて10%以上)

持家・貸家・分譲の3種類すべてが10%以上ある町です。

市町村持家比率貸家比率分譲比率
新潟市48.5%32.8%18.6%
長岡市61.2%19.7%19.0%
上越市67.3%16.6%15.2%
新発田市57.6%17.1%25.0%
三条市66.6%21.4%11.4%
柏崎市66.0%23.0%10.5%
加茂市53.6%35.7%10.7%
  • バランス型に該当するのは7市だけで、全て県内主要都市(新潟・長岡・上越・新発田・三条・柏崎・加茂)です
  • 3種類の住宅がすべて一定量ある町=住宅市場に「複数の入口」がある町で、県内では人口規模の大きい市に集約されています

▼【グラフ:h4_use_pattern.png 4分類の市町村数と代表例】


⑤ 意外な観察4選

観察1:燕市は10年で貸家着工が+125.4%(2倍超)に増加

  • 燕市はR5貸家比率38.0%で県内3位、貸家絶対数160戸で県内2位です
  • 10年前のH25は貸家比率17.4%(71戸)だったのが、R5は38.0%(160戸)と貸家絶対数が2倍以上に増加しています(+125.4%
  • 県内で10年間に貸家着工が2倍超に増加したのは燕市の1市のみです(次に大きい加茂市の貸家変化率は+66.7%)

観察2:新発田市は分譲比率25.0%で県内唯一の「分譲25%超の町」

  • 新発田市はR5に建った住宅328戸のうち82戸が分譲で、分譲比率25.0%は県内トップです
  • 長岡市(19.0%)・新潟市(18.6%)を上回る比率で、H25の分譲比率8.9%(52戸)から10年で分譲シェアが約3倍に拡大しています
  • 分譲絶対数の10年変化率は+57.7%です

観察3:新潟市は「バランス型」ながら貸家絶対数で県内圧倒的1位

  • 人口約76万人の県都・新潟市は持家48.5%・貸家32.8%・分譲18.6%と3種バランス型ですが、貸家絶対数は1,328戸で県内2位の長岡市(215戸)・3位の燕市(160戸)と桁違いです
  • 県内で年間1,000戸を超える貸家が着工されるのは新潟市だけで、比率で見れば「賃貸の町」5位ながら、実数では貸家着工の圧倒的な集積地になります
  • 分譲も752戸で県内1位(2位の長岡市208戸の約3.6倍)で、貸家と分譲の両方で県内最大の供給地です

観察4:胎内市の貸家比率45.5%はH30の突発値を経た数字

  • 胎内市はR5貸家比率45.5%で県内トップですが、10年前のH25は貸家比率21.2%(29戸)でした
  • 途中のH30に貸家比率63.0%(131戸)まで急増し、R5は30戸(45.5%)に戻っています
  • 10年前と比べると貸家絶対数は29戸→30戸とほぼ横ばいで、H30の131戸は単年度の建物ロット単位で比率が大きく振れた突発値の可能性があります
  • 中規模市町村では単年度の集合住宅の完成タイミングだけで比率が大きく動くため、率だけを見て「トレンド」を語るのは避けたほうが自然です

⑥ データの見方・注意点

着工数=住宅需要ではありません

建築着工統計の着工戸数は「建設が始まった住宅の数(供給側の数字)」であり、その市町村の住宅需要の強弱を直接示すものではありません。着工を決めるのは建て主(持家)や建築事業者(貸家・分譲)で、貸家比率が高い=賃貸需要が旺盛とは限りません。この記事では「〜市町村で貸家が〇戸建てられた」の範囲で情報を提示し、「〜市町村は賃貸需要が強い」という書き方はしていません。

小規模市町村では単年度の比率が大きく振れます

年間の着工数が5〜20戸前後の小規模市町村(湯沢町・関川村・粟島浦村・津南町・出雲崎町・弥彦村・阿賀町・刈羽村など)では、集合住宅1棟の完成タイミングだけで比率が100%動くことがあります。持家100%の6市町村はいずれも年間5〜17戸の規模で、翌年に貸家1棟が完成すれば比率が大きく変わる水準です。単年度の比率で「マイホームの町」「賃貸の町」を固定化して読むのは避け、複数年の傾向とあわせて確認するのが自然です。

順位=豊かさではありません

用途別比率の順位は「R5に建った住宅がどの用途に偏っていたか」の相対比較であり、住みやすさや豊かさを直接示す指標ではありません。人口規模・世帯構成・持家率・地価水準など複数の要素が反映された結果としてお読みください。

岩船郡(関川村・粟島浦村)は合算表記です

国土交通省の原データでは、関川村と粟島浦村の着工数が郡単位で公表されており、村単位に分離できません。この記事の順位表・4分類には岩船郡は含めていません。参考までに岩船郡は持家52.9%・給与住宅47.1%と、社宅・寮などの給与住宅比率が高い特殊な構成です。


まとめ

マイホームの町・賃貸の町・分譲の町|用途別ランキング(R5年度)の要点

  • 持家100%の「マイホームの町」は6市町村(刈羽村・弥彦村・出雲崎町・田上町・阿賀町・津南町)、持家90%以上まで広げると9市町村で、いずれも極小〜小規模の町村です
  • 貸家比率20%以上の「賃貸の町」は11市町村で、1位は胎内市(45.5%)、2位は糸魚川市(38.7%)、3位は燕市(38.0%)でした
  • 分譲比率10%以上の「分譲の町」は8市町村で、1位は新発田市(25.0%)。新発田市は県内で唯一「分譲25%超」を記録しています
  • 持家・貸家・分譲の3種すべてが10%以上ある「バランス型」の町は7市(新潟・長岡・上越・新発田・三条・柏崎・加茂)だけで、住宅市場に「複数の入口」がある町は県内主要都市に集約されています
  • 燕市は10年で貸家着工が+125.4%(71戸→160戸)と2倍超に増加し、県内で唯一「10年で貸家が2倍超」に増えた市町村になります

出典

  • 新設住宅着工戸数(市町村別・用途別):
    国土交通省(建築着工統計調査 平成25年度・平成30年度・令和5年度)
  • 人口(1,000人あたり計算用):
    総務省(住民基本台帳に基づく人口 令和7年)

データ基準日:令和5年度(2023年度)
次回更新推奨:令和6年度データ公表後

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