新潟市の農業産出額は約534億8千万円で、2位の新発田市(約235億5千万円)の約2.3倍にのぼります。
ただし「農業の質(農家1戸あたりの生産額)」では順位が大きく変わります。
産出額トップの新潟市が農家1戸あたり761万円(5位)にとどまる一方、新発田市は1,266万円(1位)、
村上市は1,262万円(2位)と、大規模農業経営が進んでいる市が上位に入ります。この記事では、農林水産省の市町村別農業産出額(推計)2022年と農林業センサス2020年のデータをもとに、
新潟県30市町村の農業産出規模と農業経営の質を比較します。
この記事でわかること
- 農業産出額1位は新潟市(約534億8千万円)、29位は湯沢町(約2億4千万円)で、規模に約222倍の格差がある
- 上位5市(新潟市・新発田市・村上市・長岡市・上越市)で全県農業産出額の約56%を占める
- 農家1戸あたり産出額では新発田市(1,266万円)・村上市(1,262万円)が首位で、大規模農業経営が進んでいる
- 中山間地の津南町(692万円・6位)や弥彦村(861万円・4位)は少ない農家数で高い産出額を実現している
- 粟島浦村と刈羽村は農業規模が小さく産出額推計値は非公表となっている
農業産出額ランキング(2022年・全市町村)
| 順位 | 市町村名 | 農業産出額(推計) | 農業経営体数 | 経営耕地面積 | 農家1戸あたり産出額 | 農家1戸あたり産出額順位 | 農地1haあたり産出額 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 新潟市 | 約534億8千万円 | 7,032戸 | 28,463ha | 761万円 | 5位 | 188万円 |
| 2 | 新発田市 | 約235億5千万円 | 1,860戸 | 9,024ha | 1,266万円 | 1位 | 261万円 |
| 3 | 村上市 | 約208億6千万円 | 1,653戸 | 6,299ha | 1,262万円 | 2位 | 331万円 |
| 4 | 長岡市 | 約172億1千万円 | 3,795戸 | 14,079ha | 453万円 | 14位 | 122万円 |
| 5 | 上越市 | 約160億3千万円 | 3,111戸 | 13,258ha | 515万円 | 11位 | 121万円 |
| 6 | 胎内市 | 約107億3千万円 | 1,033戸 | 3,714ha | 1,039万円 | 3位 | 289万円 |
| 7 | 佐渡市 | 約93億1千万円 | 3,404戸 | 7,099ha | 274万円 | 23位 | 131万円 |
| 8 | 阿賀野市 | 約85億9千万円 | 1,731戸 | 6,507ha | 496万円 | 12位 | 132万円 |
| 9 | 南魚沼市 | 約75億8千万円 | 2,959戸 | 5,721ha | 256万円 | 25位 | 132万円 |
| 10 | 三条市 | 約71億円 | 2,014戸 | 5,291ha | 353万円 | 19位 | 134万円 |
| 11 | 五泉市 | 約70億2千万円 | 1,530戸 | 5,006ha | 459万円 | 13位 | 140万円 |
| 12 | 十日町市 | 約65億9千万円 | 2,705戸 | 4,664ha | 244万円 | 26位 | 141万円 |
| 13 | 燕市 | 約65億円 | 1,159戸 | 5,073ha | 561万円 | 10位 | 128万円 |
| 14 | 津南町 | 約59億9千万円 | 866戸 | 2,158ha | 692万円 | 6位 | 278万円 |
| 15 | 魚沼市 | 約50億7千万円 | 1,590戸 | 2,998ha | 319万円 | 20位 | 169万円 |
| 16 | 柏崎市 | 約46億7千万円 | 1,040戸 | 3,476ha | 449万円 | 15位 | 134万円 |
| 17 | 小千谷市 | 約31億円 | 1,152戸 | 2,534ha | 269万円 | 24位 | 122万円 |
| 18 | 見附市 | 約25億4千万円 | 700戸 | 2,120ha | 363万円 | 18位 | 120万円 |
| 19 | 加茂市 | 約24億4千万円 | 596戸 | 1,476ha | 409万円 | 17位 | 165万円 |
| 20 | 妙高市 | 約24億1千万円 | 862戸 | 2,032ha | 280万円 | 21位 | 119万円 |
| 21 | 阿賀町 | 約22億2千万円 | 353戸 | 616ha | 629万円 | 8位 | 360万円 |
| 22 | 聖籠町 | 約19億9千万円 | 303戸 | 1,215ha | 657万円 | 7位 | 164万円 |
| 23 | 糸魚川市 | 約18億4千万円 | 881戸 | 1,435ha | 209万円 | 27位 | 128万円 |
| 24 | 関川村 | 約16億9千万円 | 408戸 | 1,118ha | 414万円 | 16位 | 151万円 |
| 25 | 弥彦村 | 約14億3千万円 | 166戸 | 837ha | 861万円 | 4位 | 171万円 |
| 26 | 田上町 | 約10億8千万円 | 186戸 | 780ha | 581万円 | 9位 | 138万円 |
| 27 | 刈羽村 | 約6億円 | — | — | — | — | — |
| 28 | 出雲崎町 | 約4億6千万円 | 167戸 | 335ha | 275万円 | 22位 | 137万円 |
| 29 | 湯沢町 | 約2億4千万円 | 130戸 | 205ha | 185万円 | 28位 | 117万円 |
| — | 粟島浦村 | データなし(規模小) | — | — | — | — | — |
※出典:農林水産省(市町村別農業産出額(推計)令和4年)・農林水産省(農林業センサス 令和2年)
▼【グラフ:R3_農業産出額ランキング.png 新潟県30市町村 農業産出額ランキング(2022年)】

上位グループの分析(1〜5位)
上位5市は新潟県の主要農業地帯に位置する規模の大きな市です。
1位の新潟市(約534億8千万円)は、農業産出額・農業経営体数・経営耕地面積のすべてで県内最大です。平野部の広大な農地でコシヒカリをはじめとする水稲を中心に生産が行われています。農家1戸あたり産出額は761万円(5位)で、経営体数が7,032戸と多いため1戸あたりの規模は相対的に小さくなっています。
2位の新発田市(約235億5千万円)は、農家1戸あたり産出額1,266万円で県内1位です。農業産出額が2位でありながら農家数は1,860戸と比較的少なく、1戸あたりの産出規模が大きいことから、大規模農業経営・農業法人化が進んでいるとみられます。北蒲原地域の肥沃な農地と大規模水田経営が背景にあると考えられます。
3位の村上市(約208億6千万円)は、農家1戸あたり産出額1,262万円(2位)と高水準です。産出額上位でありながら農業経営体数が1,653戸と新発田市と同程度で、大規模農業への転換が進んでいるとみられます。岩船産コシヒカリのブランド米産地としても知られており、高品質な水稲生産が産出額を支えているとみられます。
4位の長岡市(約172億1千万円)と5位の上越市(約160億3千万円)は、農業産出額はいずれも上位ながら農家1戸あたり産出額は450〜515万円台にとどまります。農業経営体数がそれぞれ3,795戸・3,111戸と多く、小規模・兼業農家が多数存在していることが背景にあると考えられます。
注目市町村:少ない農家数で高い産出を実現
弥彦村(25位・約14億3千万円)は産出額では下位ながら、農家1戸あたり産出額が861万円(4位)と非常に高い水準です。農業経営体数わずか166戸で約14億円の産出を実現しており、1戸あたりの規模が大きい大規模農業経営が進んでいるとみられます。また農地1haあたり産出額も171万円と高めで、面積あたりの生産性も比較的高い農業が展開されているとみられます。
聖籠町(22位・約19億9千万円)も農家1戸あたり産出額657万円(7位)と高い水準で、工業団地を持つ一方で農業でも効率的な経営が行われているとみられます。
阿賀町(21位・約22億2千万円)は農地1haあたり産出額が360万円と県内1位です。経営耕地面積616haと少ないながら、単位面積あたりの産出が高いことは、水稲以外の高単価作物(野菜・特産品等)の生産が含まれているとみられます。
津南町(14位・約59億9千万円)は農家1戸あたり産出額692万円(6位)で、866戸の農業経営体で約60億円を産出しています。魚沼産コシヒカリ・こがねもちをはじめ、アスパラガス・雪下にんじん・高原スイートコーンなど高品質野菜の産地としても知られており、ブランド農産物による単価の高さが産出額を支えているとみられます。
下位グループの特徴(25〜29位)
下位グループは農業規模が小さい市町村です。
湯沢町(29位・約2億4千万円)は、スキーリゾートとして知られる観光地で、農業に適した平地が少ない山間部に位置しています。農業経営体数130戸・経営耕地面積205haと県内最小規模です。農家1戸あたり産出額185万円(28位)と低く、農業は産業的な位置づけが低い状況です。
出雲崎町(28位・約4億6千万円)は海沿いの小規模な自治体で、農業規模は限られています。
佐渡市(7位・約93億1千万円)は産出額では上位にある一方で、農家1戸あたり産出額274万円(23位)と下位にとどまります。農業経営体数3,404戸と多く、小規模農家・兼業農家が多数を占めているとみられます。
データの見方・注意点
農業産出額は農林水産省の推計値です
市町村別農業産出額は農林水産省が発表する推計値です。実際の農業収入・農家の手取りとは異なります。
粟島浦村・刈羽村はデータが非公表です
農業規模が非常に小さい市町村は推計値が非公表となります。粟島浦村は漁業が主産業で農業産出額はほぼゼロ、刈羽村も小規模のためデータが公表されていません。
農業経営体数は2020年農林業センサスのデータです
農業産出額(2022年)と農業経営体数(2020年)は調査年が異なるため、農家1戸あたり産出額は参考値として解釈してください。
まとめ
- 農業産出額トップは新潟市(約534億8千万円)で、2位新発田市(約235億5千万円)の約2.3倍の規模
- 農業の「質(農家1戸あたり産出額)」では新発田市(1,266万円)・村上市(1,262万円)が1〜2位で、大規模農業経営が進んでいる
- 中山間地の津南町(6位)・阿賀町(8位)・弥彦村(4位)は農業産出額の絶対規模は小さいが農家1戸あたり産出額・農地1haあたり産出額で上位に入っており、少ない農家数で高い生産性を実現している
- 佐渡市・南魚沼市・十日町市は産出額上位ながら農家1戸あたり産出額は中〜下位で、小規模・兼業農家が多い構造とみられる
- 湯沢町・粟島浦村は農業産業の規模が県内で最も小さい
出典
- 農業産出額:農林水産省(市町村別農業産出額(推計)令和4年)
- 農業経営体数・耕地面積:農林水産省(農林業センサス 令和2年)
データ基準日:農業産出額2022年(令和4年)・農業経営体数2020年(令和2年)
次回更新推奨:農業産出額データ更新後(毎年公表)

コメント