新潟県30市町村で令和5年度に建てられた住宅を、住民1,000人あたりで見ると
首位は燕市(5.54戸)、最下位は津南町(0.59戸) で、
その差は約9.4倍になります。総数ランキング(H-1)では新潟市が1位ですが、
住民1,000人あたりに直すと燕市が新潟市を上回って県内1位、
人口約1.4万人の聖籠町が県内3位に浮上します。一方、総数10位の南魚沼市は住民1,000人あたりでは19位、
総数16位の佐渡市は25位まで下がるなど、
「町の大きさで稼いでいる」市町村と「町の大きさを差し引いても勢いがある」市町村が分かれます。この記事では、国土交通省「建築着工統計調査」と総務省「住民基本台帳」をもとに、
30市町村を住民1,000人あたり着工数で並べ、総数ランキングとの順位差を比較します。※岩船郡(関川村+粟島浦村)は原データが分離できないため、両村の合算値を使っています。単独の値ではありません。
この記事でわかること
- R5年度の住民1,000人あたり着工数を、首位・燕市(5.54戸)から最下位・津南町(0.59戸)まで全30市町村一覧で確認できます
- 首位と最下位の差は約9.4倍で、総数ランキング(約810倍差)ほどではないものの、住民1,000人あたりでも大きな幅があります
- 総数ランキングと比べて順位が上がる市町村(聖籠町・燕市・阿賀野市・加茂市など)と、順位が下がる市町村(南魚沼市・村上市・佐渡市・柏崎市など)が分かれます
- 総数4位・住民1,000人あたり1位の燕市は、町の大きさでも勢いでも上位に入る新潟県内で唯一の人口10万人未満の市になります
- 人口がほぼ同じ燕市(75,935人)と柏崎市(76,217人) で、住民1,000人あたり着工数は5.54戸と2.51戸と2倍以上の差があります
① 全30市町村・住民1,000人あたり着工数ランキング(R5年度)
R5年度の新潟県30市町村を、住民1,000人あたりの新設住宅着工数で並べたランキングです。人口は住民基本台帳(令和7年1月1日)の値を使っています。
| 順位 | 市町村 | 住民1,000人あたり (戸/千人) | 着工総数 (戸) | 総数 順位 | 人口 (人) |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 燕市 | 5.54戸 | 421戸 | 4位 | 75,935人 |
| 2 | 新潟市 | 5.32戸 | 4,049戸 | 1位 | 761,503人 |
| 3 | 聖籠町 | 5.08戸 | 71戸 | 17位 | 13,986人 |
| 4 | 長岡市 | 4.29戸 | 1,094戸 | 2位 | 255,261人 |
| 5 | 阿賀野市 | 3.60戸 | 141戸 | 8位 | 39,165人 |
| 6 | 新発田市 | 3.58戸 | 328戸 | 5位 | 91,677人 |
| 7 | 上越市 | 3.56戸 | 643戸 | 3位 | 180,440人 |
| 8 | 加茂市 | 3.49戸 | 84戸 | 15位 | 24,079人 |
| 9 | 関川村※ | 3.40戸 | 17戸 | 23位 | 5,003人 |
| 10 | 粟島浦村※ | 3.40戸 | 17戸 | 24位 | 5,003人 |
| 11 | 三条市 | 3.38戸 | 308戸 | 6位 | 91,178人 |
| 12 | 五泉市 | 2.80戸 | 128戸 | 9位 | 45,690人 |
| 13 | 見附市 | 2.71戸 | 103戸 | 12位 | 38,061人 |
| 14 | 小千谷市 | 2.67戸 | 87戸 | 14位 | 32,602人 |
| 15 | 柏崎市 | 2.51戸 | 191戸 | 7位 | 76,217人 |
| 16 | 胎内市 | 2.46戸 | 66戸 | 18位 | 26,791人 |
| 17 | 糸魚川市 | 2.44戸 | 93戸 | 13位 | 38,041人 |
| 18 | 刈羽村 | 2.37戸 | 10戸 | 26位 | 4,222人 |
| 19 | 南魚沼市 | 2.25戸 | 118戸 | 10位 | 52,376人 |
| 20 | 村上市 | 2.13戸 | 114戸 | 11位 | 53,492人 |
| 21 | 妙高市 | 2.10戸 | 62戸 | 21位 | 29,514人 |
| 22 | 魚沼市 | 1.94戸 | 63戸 | 20位 | 32,522人 |
| 23 | 湯沢町 | 1.81戸 | 15戸 | 25位 | 8,268人 |
| 24 | 田上町 | 1.61戸 | 17戸 | 22位 | 10,581人 |
| 25 | 佐渡市 | 1.54戸 | 74戸 | 16位 | 48,103人 |
| 26 | 十日町市 | 1.36戸 | 64戸 | 19位 | 47,124人 |
| 27 | 出雲崎町 | 1.29戸 | 5戸 | 29位 | 3,886人 |
| 28 | 阿賀町 | 0.88戸 | 8戸 | 27位 | 9,047人 |
| 29 | 弥彦村 | 0.80戸 | 6戸 | 28位 | 7,534人 |
| 30 | 津南町 | 0.59戸 | 5戸 | 30位 | 8,456人 |
表の読み方:
- ※関川村・粟島浦村は原データが「岩船郡合算」で、両村を分離できません。表の17戸は岩船郡全体の合算値であり、村単位の値ではありません
- 住民1,000人あたりは「その1年で住民1,000人につき何戸の住宅が建てられたか」の指標です
※出典:国土交通省(建築着工統計調査 令和5年度)・総務省(住民基本台帳 令和7年)
▼【グラフ:h2_ranking_per_capita.png 1000人あたり着工数ランキング(30市町村)】
② 上位10・下位10の特徴
30市町村を住民1,000人あたり着工数で上位10と下位10に分けて、それぞれの顔ぶれを確認します。
上位10(住民1,000人あたりで勢いのある市町村)
1位・燕市 5.54戸/2位・新潟市 5.32戸/3位・聖籠町 5.08戸/4位・長岡市 4.29戸/5位・阿賀野市 3.60戸/6位・新発田市 3.58戸/7位・上越市 3.56戸/8位・加茂市 3.49戸/9位・関川村(岩船郡合算)3.40戸/10位・粟島浦村(岩船郡合算)3.40戸
- 政令市の新潟市、県内2大中核市の長岡市・上越市が入る一方、人口2〜10万人の中規模市(燕市・阿賀野市・新発田市・加茂市)も上位を占めます
- 人口約1.4万人の聖籠町が3位に入り、町の大きさが小さくても上位に来るケースがあります
- 上位10のうち、人口10万人以下の市町村が7つを占めます
下位10(住民1,000人あたりで着工が少ない市町村)
21位・妙高市 2.10戸/22位・魚沼市 1.94戸/23位・湯沢町 1.81戸/24位・田上町 1.61戸/25位・佐渡市 1.54戸/26位・十日町市 1.36戸/27位・出雲崎町 1.29戸/28位・阿賀町 0.88戸/29位・弥彦村 0.80戸/30位・津南町 0.59戸
- 中山間地・豪雪地・離島の市町村(十日町・津南・魚沼・妙高・湯沢・佐渡・阿賀町)が下位に集まっています
- 佐渡市(人口4.8万人)は総数16位ですが、住民1,000人あたりでは25位まで下がります
- 最下位の津南町 0.59戸は、首位・燕市(5.54戸)の約9分の1の水準です
③ 総数順位と住民1,000人あたり順位の乖離
同じ市町村でも「総数ランキング」と「住民1,000人あたりランキング」で順位が大きくずれる自治体があります。順位差が7以上ある市町村を、上下2グループに分けて比較します。
総数中位でも住民1,000人あたりで上位(町の大きさを差し引くと勢いがある)
| 市町村 | 総数順位 | 住民1,000人あたり順位 | 順位差 |
|---|---|---|---|
| 聖籠町 | 17位 | 3位 | +14 |
| 関川村(岩船郡合算) | 23位 | 9位 | +14 |
| 粟島浦村(岩船郡合算) | 24位 | 10位 | +14 |
| 刈羽村 | 26位 | 18位 | +8 |
| 加茂市 | 15位 | 8位 | +7 |
- 聖籠町は人口約1.4万人・着工71戸で、総数では中位ですが住民1,000人あたりでは県内3位に入ります
- 加茂市は人口2.4万人・着工84戸で、総数15位から住民1,000人あたり8位に上がります
総数上位でも住民1,000人あたりで中位以下(町の大きさで稼いでいる)
| 市町村 | 総数順位 | 住民1,000人あたり順位 | 順位差 |
|---|---|---|---|
| 南魚沼市 | 10位 | 19位 | -9 |
| 村上市 | 11位 | 20位 | -9 |
| 佐渡市 | 16位 | 25位 | -9 |
| 柏崎市 | 7位 | 15位 | -8 |
| 十日町市 | 19位 | 26位 | -7 |
- 南魚沼市(人口5.2万人・118戸)・村上市(人口5.3万人・114戸)・佐渡市(人口4.8万人・74戸)はいずれも人口4〜5万人台で、総数では中位に入りますが住民1,000人あたりでは下位側に位置します
- 柏崎市は人口7.6万人・191戸で、総数7位ですが住民1,000人あたりでは15位に下がります
▼【グラフ:h2_scatter_total_vs_per_capita.png 総数vs人口比の散布図】

④ 燕市・聖籠町・関川村の勢い上位の観察
燕市:総数4位・住民1,000人あたり1位
- 総数421戸(4位)・住民1,000人あたり5.54戸(1位)
- 人口75,935人で、新潟市(4,049戸)・長岡市(1,094戸)・上越市(643戸)と比べて着工総数は少ないですが、住民1,000人あたりに直すと新潟市(5.32戸)と長岡市(4.29戸)を上回ります
- 総数と住民1,000人あたりの両方でトップグループに入る新潟県内で唯一の人口10万人未満の市になります
聖籠町:総数17位・住民1,000人あたり3位
- 人口13,986人(30市町村中で人口の小さい方から9番目)・着工71戸
- 住民1,000人あたり5.08戸で、新潟市(5.32戸)・燕市(5.54戸)と同じ水準に位置します
- 総数17位から住民1,000人あたり3位まで、順位が14上がります
関川村・粟島浦村(岩船郡合算値):住民1,000人あたり9〜10位
- 両村は原データが「岩船郡合算」で、17戸を各村の人口(各5,003人)で割った同じ値(3.40戸/千人)が両方に付いています
- 岩船郡の合算人口10,006人で割り直すと住民1,000人あたりは1.70戸となり、順位はさらに下がります
- 単独の値としてではなく「岩船郡全体の水準」として読む必要があります
⑤ 意外な観察
観察1:燕市と柏崎市はほぼ同じ人口なのに住民1,000人あたりは2倍以上の差
- 燕市:人口75,935人・着工421戸・住民1,000人あたり5.54戸(1位)
- 柏崎市:人口76,217人・着工191戸・住民1,000人あたり2.51戸(15位)
- 人口の差は300人未満ですが、着工数は燕市が柏崎市の約2.2倍。住民1,000人あたりでは首位と15位という開きがあります
観察2:総数トップの新潟市は住民1,000人あたりでは燕市に抜かれる
- 新潟市は着工総数4,049戸で県内トップですが、人口761,503人で割った住民1,000人あたりは5.32戸で県内2位
- 首位の燕市(5.54戸)とは0.22戸の差で、僅差ながら順位が入れ替わります
- 総数ランキングでは約10倍の差がある新潟市と燕市が、住民1,000人あたりに直すとほぼ並ぶ関係になります
観察3:人口1万人前後の3町村で住民1,000人あたりが3倍以上開く
- 聖籠町(人口13,986人・71戸・住民1,000人あたり5.08戸):3位
- 田上町(人口10,581人・17戸・住民1,000人あたり1.61戸):24位
- 弥彦村(人口7,534人・6戸・住民1,000人あたり0.80戸):29位
- 人口が1万人前後で近い3町村でも、住民1,000人あたりの水準は約6倍の開きがあります
観察4:人口4〜5万人台の中規模市が下位側に集まる
- 南魚沼市(10位→19位)・村上市(11位→20位)・佐渡市(16位→25位)・十日町市(19位→26位)と、人口4〜5万人台の市が総数から住民1,000人あたりに直すと7〜9ランク下がります
- 総数ランキングでは上位・中位に入る町の大きさですが、住民1,000人あたりに直すと下位20市町村に含まれる形になります
▼【グラフ:h2_gap_top10.png 総数と人口比の順位が最も乖離する市町村】

⑥ データの見方・注意点
着工数は住宅需要ではありません
建築着工統計の着工戸数は「建設が始まった住宅の数(供給側の数字)」であり、その市町村の住宅需要の強弱を直接示すものではありません。住民1,000人あたりに直しても同じで、「住民1,000人あたり◯戸建てられた」までを言い、「住民1,000人あたりで住宅需要がどれくらい」の話には踏み込めません。
岩船郡(関川村・粟島浦村)は合算値です
国土交通省の原データでは、関川村と粟島浦村の着工数が郡単位で公表されており、村単位に分離できません。この記事のランキング表では両村を「岩船郡合算」として同じ17戸・同じ3.40戸/千人で表示していますが、これは岩船郡全体の水準を各村の人口で割った値です。単独の値としては読めません。合算人口10,006人で割り直すと1.70戸/千人となり、順位はさらに下がります。
小規模市町村では単年度の変動が大きくなります
年間の着工数が10戸未満の市町村(弥彦村6戸・津南町5戸・出雲崎町5戸・阿賀町8戸)や10戸前後の市町村(刈羽村10戸・湯沢町15戸・関川村+粟島浦村17戸)では、単年で数戸増減するだけで住民1,000人あたりの数値が大きく上下します。これらの市町村の順位は「下位グループにある」という位置づけで読み、単年の順位だけで水準を決めない方が安全です。
順位=豊かさではありません
住民1,000人あたり着工数は、その市町村の人口規模・世帯数・持家率・地価水準など複数の要素が反映された結果であり、住みやすさや暮らしの豊かさを直接示す指標ではありません。順位は「その年に住民1,000人あたりで何戸の住宅が建てられたか」の相対比較としてお読みください。
まとめ
住民1,000人あたり住宅着工ランキング(R5年度)の要点
- 首位・燕市(5.54戸)と最下位・津南町(0.59戸)で約9.4倍の差。総数ランキング(約810倍差)ほどではないものの、住民1,000人あたりでも県内には大きな幅があります
- 総数ランキングと比べて順位が上がるのは聖籠町(17位→3位)・関川村/粟島浦村(岩船郡合算・順位差+14)・加茂市(15位→8位) など。順位が下がるのは南魚沼市(10位→19位)・村上市(11位→20位)・佐渡市(16位→25位) など人口4〜5万人台の市が多くを占めます
- 燕市は総数4位・住民1,000人あたり1位で、両方でトップグループに入る新潟県内で唯一の人口10万人未満の市。人口がほぼ同じ柏崎市とは住民1,000人あたりで2倍以上の開きがあります
- 下位10には中山間地・豪雪地・離島の市町村(十日町・津南・魚沼・妙高・湯沢・佐渡・阿賀町)が集まり、最下位の津南町 0.59戸は首位の燕市の約9分の1の水準です
出典
- 新設住宅着工戸数(市町村別):
国土交通省(建築着工統計調査 令和5年度) - 人口(住民1,000人あたり計算用):
総務省(住民基本台帳に基づく人口 令和7年)
データ基準日:令和5年度(2023年度)・住民基本台帳令和7年1月1日
次回更新推奨:令和6年度データ公表後

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