新潟県で農業依存度が高い市町村はどこ?|第1次産業就業者比率ランキング(2020年)

ランキング

粟島浦村の第1次産業就業者比率は31.2%で、最も低い柏崎市(2.9%)の約10.8倍にのぼります。

新潟県内30市町村の農業・漁業・林業に就く人の割合は、市町村によって大きく異なります。
人口規模の大きな都市では3〜4%台にとどまる一方、中山間地・離島では10〜30%台の市町村が複数あります。

この記事では、国勢調査2020年のデータをもとに、新潟県30市町村の第1次産業就業者比率を比較します。


この記事でわかること

  • 第1次産業就業者比率1位は粟島浦村(31.2%)、30位は柏崎市(2.9%)で、約10.8倍の格差がある
  • 上位には離島・中山間地の農村が並び、佐渡市(17.9%)・津南町(24.7%)も高い水準
  • 第1次産業比率が8%以上の市町村は全30市町村中13市町村(43%)
  • 10年間(2010〜2020年)でほぼすべての市町村で比率が低下しており、農業就業者の高齢化・離農が背景とみられる
  • 比率が高い市町村ほど就業者総数が少なく、中山間地・農村部の産業構造的な特徴が表れている

第1次産業就業者比率ランキング(2020年・全30市町村)

順位市町村名総就業者数第1次産業比率(2020年)第1次産業比率(2010年)10年変化(pt)産業タイプ
1粟島浦村263人31.2%33.8%-2.6農業型
2津南町4,914人24.7%27.4%-2.7農業型
3佐渡市26,029人17.9%21.9%-4.0農業型
4関川村2,649人16.9%農業型
5南魚沼市28,656人12.0%12.0%0.0複合型
6十日町市26,103人10.9%12.4%-1.5複合型
7胎内市13,953人9.3%11.1%-1.8高付加価値製造業型
8出雲崎町1,998人9.2%9.4%-0.2製造業集積型
9魚沼市17,946人8.9%10.9%-2.0製造業集積型
9村上市28,555人8.9%9.7%-0.8製造業集積型
11阿賀野市20,647人8.7%製造業集積型
12五泉市24,053人8.5%8.3%+0.2製造業集積型
13阿賀町4,469人8.0%8.5%-0.5製造業集積型
14弥彦村4,154人7.1%7.9%-0.8製造業集積型
15聖籠町7,220人6.9%9.5%-2.6製造業集積型
16加茂市12,736人6.8%7.6%-0.8製造業集積型
17小千谷市17,202人6.1%7.9%-1.8製造業集積型
18田上町5,462人6.0%製造業集積型
19新発田市47,539人5.9%7.4%-1.5複合型
20妙高市14,978人5.4%7.2%-1.8高付加価値製造業型
21糸魚川市19,998人5.1%6.4%-1.3製造業集積型
22刈羽村2,224人4.8%製造業集積型
23上越市94,235人4.3%5.3%-1.0高付加価値製造業型
24三条市49,378人4.0%4.2%-0.2製造業集積型
25見附市20,045人3.6%4.0%-0.4製造業集積型
25燕市41,335人3.6%3.8%-0.2製造業集積型
27長岡市128,543人3.4%4.3%-0.9製造業集積型
28湯沢町3,822人3.2%4.7%-1.5複合型
29新潟市376,334人3.1%3.6%-0.5複合型
30柏崎市38,970人2.9%3.8%-0.9製造業集積型

※出典:総務省(国勢調査 令和2年・平成22年)


▼【グラフ:R1_第1次産業比率ランキング.png 新潟県30市町村 第1次産業就業者比率ランキング(2020年)】


上位グループの分析(1〜5位)

1〜5位は、離島・中山間地・農村部の市町村で占められています。

1位の粟島浦村(31.2%)は、新潟県北部沖合に浮かぶ離島です。就業者数は263人と県内最少規模ですが、漁業を中心とした第1次産業に就く人の比率が突出して高い水準にあります。漁業だけでなく民宿業も盛んで、島の経済を第1次産業と観光業が支える構造とみられます。

2位の津南町(24.7%)は、魚沼地域の山間部に位置する農業型の町です。魚沼産コシヒカリをはじめとする米作を中心に、アスパラガス・雪下にんじんなどの野菜・特産品の生産が盛んで、農林業就業者が就業者全体の24.5%を占めています。積雪の多い環境が高品質な農産品の生産を可能にしているとみられます。

3位の佐渡市(17.9%)は、面積の大きな離島で農業・漁業ともに規模があります。農業産出額は県内7位(約93億円)で、朱鷺と暮らす郷をコンセプトにした「佐渡産コシヒカリ」のブランド米生産が知られています。ただし10年間で第1次産業比率が4.0ポイント低下しており、農業就業者の高齢化・離農が進んでいるとみられます。

4位の関川村(16.9%)は、山北地域の農山村です。2010年比較データが存在しないため10年変化は算出できませんが、第1次産業就業者449人が就業者全体の16.9%を占めています。

5位の南魚沼市(12.0%)は、魚沼コシヒカリのブランド産地として知られる市です。2010年から2020年にかけて第1次産業比率が変化しておらず(12.0%で横ばい)、ブランド米産地としての農業構造が安定している状況とみられます。農業産出額は約76億円で県内9位の規模です。


注目市町村

聖籠町(15位・6.9%)は10年間で最大の低下幅(-2.6ポイント)を記録した市町村の一つです。同町は北港臨海工業団地を持つ製造業集積型の自治体で、工業系の就業者が増加する一方で農業就業者の減少が進んでいるとみられます。2020年には就業者総数が7,220人と2010年比で7.4%増加しており、工業系雇用の拡大が農業比率の相対的な低下につながっているとみられます。

胎内市(7位・9.3%)は、市街地から中山間地まで広がる地形を持ち、農業・製造業の両方に一定の規模があります。製造品出荷額は約131億円(県内13位)で「高付加価値製造業型」に分類されながら、第1次産業比率でも県内7位に入るという複合的な産業構造を持ちます。農業産出額は約107億円で県内6位の規模です。

五泉市(12位・8.5%)は、10年間で第1次産業比率が+0.2ポイントわずかに増加した唯一の市です。他の市町村が減少傾向にある中で横ばい〜微増となっており、農業参入や農業法人化の動きが一定の就業者数を維持する要因となっている可能性があります。


下位グループの分析(26〜30位)

下位5市町村はいずれも都市型・工業型の自治体です。

30位の柏崎市(2.9%)29位の新潟市(3.1%)は、都市機能・製造業が集積する市で第1次産業比率は低い水準にとどまります。新潟市は就業者総数37万人超と県内最大規模ですが、農業就業者は1万1,608人に限られます。

28位の湯沢町(3.2%)は、スキーリゾートとして知られる観光地で、第3次産業(宿泊・飲食)が就業者の80.8%を占めます。農業の余地が少ない地形・気候条件も第1次産業比率が低い要因とみられます。

26位の燕市・25位の見附市(3.6%)は、ともに製造業集積型の市で第2次産業就業者が就業者全体の3〜4割を占めており、農業の割合が相対的に低い構造です。


10年間の変化傾向

第1次産業比率は、比較データが取得できた26市町村のうち24市町村で低下し、1市町村で横ばい(南魚沼市・0pt)1市町村でわずかに増加(五泉市・+0.2pt)という結果でした。

低下幅が最も大きかったのは佐渡市(-4.0pt)で、農業・漁業就業者の高齢化による離農・廃業が主な要因とみられます。次いで津南町(-2.7pt)・粟島浦村(-2.6pt)・聖籠町(-2.6pt)が大きく低下しています。

新潟県全体として農業就業者の高齢化・後継者不足が続いており、今後も第1次産業比率は緩やかに低下する傾向が続くとみられます。


データの見方・注意点

第1次産業就業者数は2020年国勢調査のデータです

国勢調査は5年ごとに実施されます。2020年以降に農業経営体の廃業・新規就農があった場合は実態と異なる可能性があります。

「第1次産業」には農業・林業・漁業が含まれます

農業・林業・漁業の就業者を合算した数値です。市町村によって農業が主体の場合(津南町・佐渡市など)と漁業が主体の場合(粟島浦村)があります。業種別の内訳は各市町村の個別記事を参照してください。

就業者数が少ない市町村(粟島浦村・出雲崎町・刈羽村など)は比率の安定性に限界があります

就業者数が1,000人未満の小規模市町村では、数十人の増減で比率が数ポイント変動します。数値の解釈は参考値としてご活用ください。

一部市町村は2010年比較データが取得できていません

関川村・阿賀野市・田上町・刈羽村については2010年のデータが取得できず、10年変化を算出していません。


まとめ

  • 1位は粟島浦村(31.2%)、30位は新潟市(3.1%)で約10倍の格差がある
  • 上位は離島(粟島浦村・佐渡市)・中山間地(津南町・南魚沼市・関川村)の農村に集中している
  • ほぼすべての市町村で比率は低下傾向にあり、農業就業者の高齢化・離農が背景とみられる
  • 下位グループは製造業集積型・都市サービス型の市が並び、新潟市・柏崎市・燕市などが3%台で最下位グループを形成している
  • 第1次産業比率が8%以上の市町村が13あり、新潟県は製造業が強い一方で農業も県内各地に根付いている産業構造を持つ

出典

  • 産業別就業者数:総務省(国勢調査 令和2年・平成22年)

データ基準日:2020年(令和2年)国勢調査
次回更新推奨:2025年(令和7年)国勢調査データ公表後(2026年頃)

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