事業を検討するときの人口分布 — 燕市

人口分布

この記事でわかること

  • 燕市 162 地区(大字)の人口分布と、どの地区にどんなお客さん層が集まっているか
  • 4 段階の地区規模と、旧燕市・旧吉田町・旧分水町の 3 ゾーンでの人口構造の違い
  • 美容室・訪問生活支援・学習塾・移動スーパーなど 8 事業ごとの、優先して調査したい地区
  • 市の一般的な高齢化パターンから外れる若年集中地区(井土巻・東町)・子育て集中地区(吉田下中野)の位置と規模
  1. この記事の使い方
  2. 本記事の性格
  3. 燕市の全体像
    1. 地区の規模区分(本記事の Layer の意味)
    2. 合併前の 3 ゾーン(旧燕市・旧吉田町・旧分水町)
  4. 1. まず 3 分で見る判断サマリー
    1. 事業タイプ × エリアの調査優先度
    2. 記号の意味
  5. 2. 事業アイデアから探す(逆引き 5 導線)
  6. 3. 燕市のエリアカード
    1. カード 1:旧市中心 3 地区(Layer 1・3 地区・人口 8,451・市総人口比 10.9%)
    2. カード 2:拠点集落(Layer 2・19 地区・人口 25,200・市総人口比 32.6%)
    3. カード 3:中規模住宅地・農村(Layer 3・45 地区・人口 27,202・市総人口比 35.2%)
    4. カード 4:小規模分散(Layer 4・89 地区・人口 16,348・市総人口比 21.2%)
    5. カード 5:3 合併ゾーン(旧燕市・旧吉田町・旧分水町)横断カード
    6. 特徴地区カード:一般パターンから外れる 3 型の地区
  7. 4. 燕市の地区ごとの人口はどう分布しているか
    1. 4-1. 新潟県 30 市町村の中での燕市の位置
      1. 類似規模の中規模都市 4 市比較
    2. 4-2. どの規模の地区がいくつあるか
    3. 4-3. 旧燕市・旧吉田町・旧分水町で人口構造がどう違うか
    4. 4-4. 地区別 65 歳以上比率は 6.8%〜44.7% の約 7 倍格差
      1. 65 歳以上比率の 5 段階分布(有効 156 地区)
    5. 4-5. 旧市中心 3 地区で 3 層共通集中・旧吉田町ゾーンで若年ファミリー集中 3 地区・旧分水町周辺で 75+ 単独集中
      1. 上位 15 地区の分類
  8. 5. 特徴地区の詳細 — 井土巻・東町・吉田下中野・高齢集中 9 地区
    1. 5-1. 井土巻 — 市平均の 1/5 の若年集中大字
    2. 5-2. 東町 — 井土巻に次ぐ若年集中の 2 例目
    3. 5-3. 吉田下中野 — 旧吉田町ゾーンの子育て世帯集中地区
    4. 5-4. 高齢集中 9 地区(65 歳以上比率 40% 超・人口 200 以上)
  9. 6. 事業形態と地域構造の対応
    1. Layer 4 段階 × 3 合併ゾーン × 事業形態のマトリクス
    2. 燕市の主候補事業と検討候補地区
    3. 優先度が下がる地区の例
  10. 7. 参考シナリオ
  11. 8. 現地調査で確認すべき項目 — 本記事の使い方
    1. 現地で確認すべき項目(本記事の範囲外)
  12. 9. データ・注意事項・免責・出典
    1. データ年次
    2. 秘匿処理・90 歳以上除外
    3. 3 合併ゾーン分類の限界
    4. NOT AVAILABLE データ
    5. 免責
    6. 出典
  13. 更新履歴

この記事の使い方

  1. 冒頭サマリーで燕市の全体像を 3 分で把握
  2. 事業アイデアから逆引きで該当セクションへ
  3. 現地調査の前に、地区ごとの人口構造を判断材料として使う

本記事の性格

燕市で事業を考えるときの参考記事です。事業の成功・失敗を予測するものではなく、地区ごとの人口構造を「調査優先度」として整理します。実際の事業成否は、立地・価格・現地の事業環境・オーナーのスキル・季節性(燕市の場合は金属洋食器工業の稼働状況に左右される就業者の昼間流入も)で大きく変わります。


燕市の全体像

燕市は総人口 77,201 人・面積 110.81 km²・人口密度 696.7 人/km² の県央部の中規模都市です。県内 30 市町村(単独市町村ベース)の中で、人口密度 2 位・女性 20〜49 歳比率 2 位・30〜49 歳比率 2 位・65 歳以上比率が若い側から 3 位(長岡市とタイ)と、4 指標そろって上位に位置する 「若い高密度中規模市」 です。

金属洋食器工業の集積地というイメージが強い市ですが、実データで見ると 現役世代と若年女性が県内でも特に厚い のが特徴です。ただし、市計の平均値だけでは各地区の実態が見えません。地区ごとに掘り下げると、旧燕市の中心街区に人口が集中する一方、旧吉田町ゾーンには若い家族層が、旧分水町ゾーンには高齢化が進んだ地区が集まる、といった 3 つの性格差が見えてきます。この記事では、地区規模の 4 段階(Layer)と、合併前の 3 ゾーンの違いから、事業ごとに調査したい地区を絞り込めるように整理しました。

地区の規模区分(本記事の Layer の意味)

Layer人口規模地区数代表的な地区
Layer 12,000 人以上3水道町・南・秋葉町
Layer 21,000〜1,999 人19井土巻・吉田西太田・西燕町・東町・八王寺・吉田下中野 等
Layer 3400〜999 人45中規模住宅地・農村地区
Layer 4400 人未満89旧町名の細分化街区・農村小集落

秘匿処理された 6 地区(新堀村新田・牧ケ花村新田・佐善村新田・溝村新田・溝古新村新田・国有地)を除いた 156 地区が分析対象で、合計人口は 77,201 人です。

燕市には南魚沼や柏崎のような 3,000 人超の集約大字が水道町 1 地区しかありません。もし他自治体で使われている「3,000 人以上=Layer 1」の切り方をそのまま当てはめると、旧燕地区のもう 2 つの中心街区(南 2,418 人・秋葉町 2,147 人)が Layer 1 から外れてしまうため、本記事では 燕市独自の閾値(2,000/1,000/400) を採用しています。

合併前の 3 ゾーン(旧燕市・旧吉田町・旧分水町)

燕市は 2006 年に旧燕市・旧吉田町・旧分水町が合併してできた市で、3 ゾーンの 65 歳以上比率は旧吉田町 27.3%(最若)・旧燕市 29.2%・旧分水町 31.6%(最老)と 4.3 ポイントの差、女性 20〜49 歳比率も旧吉田町 16.7%・旧燕市 16.0%・旧分水町 14.6% と 2.1 ポイントの差、5〜14 歳比率も旧吉田町 8.9%・旧分水町 8.2%・旧燕市 8.0% と旧吉田町が最高という数値差が今も残っています。事業を検討するときは、市計平均で判断すると埋没するこの 3 ゾーンの差を分けて考える必要があります。

ゾーン地区数総人口市総人口比特徴
旧燕市8048,05262.2%市の中心ゾーン・Layer 1 の 3 地区をすべて含む
旧吉田町3918,26723.7%3 ゾーンで最若・女性 20〜49 歳と 5〜14 歳が最多
旧分水町3710,88214.1%3 ゾーンで最老・高齢化街区が集中

3 合併ゾーンの規模差は約 4 倍 で、Layer 2 拠点集落の中でも旧吉田町ゾーン側の吉田下中野(65+ 比 17.2%・5-14 比 17.2%)と旧分水町周辺の大曲(65+ 比 35.5%・75+ 実数 265)では、65 歳以上比率で 18.3 ポイントの差があります。3 ゾーンの切り分けは座標ベースの近似分類(合併前の旧行政境界と厳密には一致しない可能性)なので、正確な境界は旧町村境界図で別途ご確認ください。


1. まず 3 分で見る判断サマリー

事業タイプ × エリアの調査優先度

ターゲット層旧市中心 3 地区
(水道町・南・秋葉町)
拠点集落 19 地区
(旧吉田町の若い地区)
拠点集落 19 地区
(旧分水町の高齢地区)
中規模住宅地・農村
45 地区
小規模分散
89 地区
若年女性(20〜49 歳)向け◎◎△△×
子育て世帯(5〜14 歳)向け◎◎△△×
高齢者(75 歳以上)向け訪問生活支援○△◎○○
移動スーパー△△○◎◎

この表は「人口構造から見た調査優先度」であり、事業の成功や出店可否を示すものではありません。

記号の意味

記号意味
◎人口構造上、優先的に調査したい
○検討材料になる
△条件次第で検討対象
×人口構造だけでは優先度が上がりにくい
  • 旧市中心 3 地区(水道町・南・秋葉町):市総人口の 10.9%(8,451 人)が集まる旧燕市の伝統的な商業中心地。3 層(高齢者・若年女性・子ども)すべてで市内実数上位
  • 拠点集落 19 地区(旧吉田町側):井土巻・東町・吉田・吉田下中野・吉田西太田 等。若年女性と子どもの集中地区が多い
  • 拠点集落 19 地区(旧分水町側):大曲・花園町・灰方 等。65 歳以上比率 30〜40% 台の高齢集中地区が多い
  • 中規模住宅地・農村 45 地区:市の中央値帯(65+ 比 25〜35%)が中心。旧分水町ゾーンには 40% 超の高齢化地区も点在
  • 小規模分散 89 地区:400 人未満の細分化街区・農村小集落。65 歳以上比率 40% 超が 20 地区

2. 事業アイデアから探す(逆引き 5 導線)

自分の事業アイデアから、記事内のどのエリアカード・章を優先して読めばよいかを示します。

  • 美容室・個人サロンを検討 → 3 章「旧市中心 3 地区」+「拠点集落」+ 5 章「井土巻・東町」節
  • 訪問生活支援・訪問美容を検討 → 3 章「中規模住宅地・農村」+「小規模分散」+ 5 章「高齢集中 9 地区」節
  • 学習塾・習い事など子育て・教育事業を検討 → 3 章「旧市中心 3 地区」+「旧吉田町ゾーン」+ 5 章「吉田下中野」節
  • 移動スーパー・宅配型を検討 → 3 章「中規模住宅地・農村」+「小規模分散」+ 6 章「事業形態と地域構造の対応」
  • 小規模飲食・単独世帯向け事業を検討 → 3 章「旧市中心 3 地区」+ 5 章「井土巻・東町」節

3. 燕市のエリアカード

Layer 4 段階のカードと、3 合併ゾーンの横断カード、パターンから外れる特徴地区カードを掲載します。

カード 1:旧市中心 3 地区(Layer 1・3 地区・人口 8,451・市総人口比 10.9%)

水道町・南・秋葉町の 3 地区。いずれも旧燕市の伝統的な商業・生活の中心街区で、市内で人口規模が最も大きい層です。

地区人口65+ 比75+ 実数女 20-49 実数5-14 実数高齢者関連世帯
水道町3,88626.4%502671307259
南2,41829.2%396384157231
秋葉町2,14728.1%315331183170

この 3 地区で何が起きているか:

  • 高齢者・若年女性・子どもの 3 層すべてで市内実数上位に入り、事業ペルソナが揃いやすい
  • 徒歩圏で商圏が成立する集約大字で、旧燕市の商業・生活の核
  • 隣接する拠点集落(西燕町・吉田西太田等)と合わせた広域商圏を構成し得る
  • 既存事業者の密度が高い可能性がある

どんな事業形態を主軸に検討できるか: 店舗型(美容室・個人サロン・学習塾・小規模飲食)を主軸。訪問型を併設する複合形態も検討対象。

現地で何を確認するべきか:

  • 既存事業者の業態と密度
  • 空き店舗・空き物件の条件と賃料
  • 駐車場の有無・徒歩動線・幹線道路からのアクセス
  • 隣接拠点集落との商圏重複の可能性

カード 2:拠点集落(Layer 2・19 地区・人口 25,200・市総人口比 32.6%)

1,000〜1,999 人の 19 地区で、市総人口の 32.6% が集まる 燕市の主戦場層。この 19 地区の 65 歳以上比率は 井土巻の 6.8% から吉田東栄町の 40.4% まで約 6 倍の幅 があり、女性 20〜49 歳実数も 井土巻 536 から白山町 247 まで 2 倍以上、5〜14 歳比率も 井土巻 7.3% から吉田下中野 17.2% まで 2 倍以上の幅 で、地区ごとに狙うお客さん層が大きく違います。

拠点集落 19 地区は大きく次の 3 型に分かれます:

若年ファミリー型(旧吉田町ゾーン+旧燕市ゾーン) — 若い家族層集中の代表地区

地区人口65+ 比女 20-49 実数5-14 実数5-14 比
井土巻1,9916.8%5361457.3%
東町1,61310.4%4211247.7%
吉田1,26816.8%27313010.3%
吉田下中野1,21317.2%23620917.2%(市平均の約 2 倍)

共通集中型(旧燕市ゾーン中心) — 3 層すべて市内上位

地区人口65+ 比女 20-49 実数5-14 実数
西燕町1,80935.7%266137
吉田西太田1,86425.2%329179

高齢集中型(旧分水町ゾーン+旧燕市ゾーンの一部) — 65 歳以上・75 歳以上が厚い

地区人口65+ 比75+ 実数高齢者関連世帯
大曲1,000 台35.5%265―
吉田東栄町1,000 台34.1%(75+ 19.3%)193―
八王寺1,54729.9%228―
白山町1,53529.4%260―

3 型の違い:

  • 若年ファミリー型 4 地区は 65+ 比 6〜17%・女性 20〜49 歳の絶対数が多く、店舗型(美容室・学習塾)や子育て世帯向け事業の対象が集積
  • 共通集中型は 3 層すべての事業ペルソナが揃うため、複数事業の候補地になりやすい
  • 高齢集中型は 65+ 比 30% 前後で、訪問型(生活支援・訪問美容・配食)の対象世帯が集積

どんな事業形態を主軸に検討できるか:

  • 若年ファミリー型 4 地区:店舗型主軸(美容室・学習塾・子ども向け店舗)
  • 共通集中型:複合型(店舗型 + 訪問型併設)
  • 高齢集中型:訪問型主軸(生活支援・訪問美容・配食)

現地で何を確認するべきか:

  • 対象地区での既存事業者の業態と密度
  • 若年層と高齢層の生活動線
  • 燕商工会議所・保健所での既存事業者リスト照会
  • 井土巻・東町の若年集中の性格(住宅種類・入居層)

カード 3:中規模住宅地・農村(Layer 3・45 地区・人口 27,202・市総人口比 35.2%)

400〜999 人規模の 45 地区。旧吉田町・旧分水町の農村地帯と、旧燕市周辺の中規模住宅地区が中心です。廿六木・佐渡・宮町・寺郷屋・粟生津・笈ケ島・五千石・分水学校町・佐善 等が含まれます。

特徴:

  • 市の中央値帯(65 歳以上比率 25〜35%)が多く、拠点集落ほどの年齢構成の偏りはない
  • 佐渡(42.9%)・佐善(40.9%)など 65 歳以上比率 40% を超える地区 が含まれ、Layer 3 の中でも高齢化が進んだ地区が点在
  • 旧分水町ゾーンには特に 65 歳以上比率が高い地区が集中
  • 単独地区では商圏規模が薄めなので、隣接地区との組合せ商圏も選択肢

検討しやすい事業形態: 移動型・訪問型・宅配型が主軸。高齢集中地区(40% 超)では訪問生活支援・訪問美容の検討候補。

現地で確認すること:

  • 既存の大手宅配・訪問サービス(生協・自治体委託事業者等)のカバー範囲
  • 地域包括支援センター・自治体政策との連携可否
  • 隣接地区との組合せ商圏の可能性

カード 4:小規模分散(Layer 4・89 地区・人口 16,348・市総人口比 21.2%)

400 人未満の 89 地区(うち人口 100 人未満が 18 地区・約 1,056 人)。旧町名の細分化街区、農村部の小規模集落、極狭区画などが中心です。

この 89 地区で何が起きているか:

  • 65 歳以上比率 40% を超える高齢化地区が 20 地区、45% 以上も 2 地区
  • 旧分水町中心街(地蔵堂本町・本町)・旧吉田町の一部(吉田学校町・吉田新田町・吉田曙町)・農村部(渡部・佐善・新堀)と、複数の性格を持った高齢化地区がここに含まれる
  • 燕市面積 110.81 km² はコンパクトなので、南魚沼のような超遠距離巡回リスクは低い
  • 1 地区あたりの人口が薄く、単独商圏では成立しにくい層

どんな事業形態を主軸に検討できるか: 訪問型・移動型が主軸で、隣接地区との組合せ商圏が前提。宅配型も検討対象。

現地で何を確認するべきか:

  • 隣接地区との組合せ商圏の可能性
  • 既存の大手宅配・訪問サービスのカバー範囲
  • 地域包括支援センターとの連携可否
  • 旧町名エリアの空き家率・買物アクセス

カード 5:3 合併ゾーン(旧燕市・旧吉田町・旧分水町)横断カード

旧燕市・旧吉田町・旧分水町の 3 ゾーンで、人口構造がはっきり異なります。

ゾーン地区数総人口市総人口比65+ 比75+ 比女 20-49 比5-14 比
旧燕市8048,05262.2%29.2%14.3%16.0%8.0%
旧吉田町3918,26723.7%27.3%13.0%16.7%8.9%
旧分水町3710,88214.1%31.6%15.0%14.6%8.2%
  • 旧燕市 は市総人口の 62% を占める中心ゾーン。Layer 1 の 3 地区(水道町・南・秋葉町)がすべてここに含まれ、商業・行政・工業の中心
  • 旧吉田町 は 3 ゾーンで最も若い家族層集中ゾーン。女性 20〜49 歳比率と 5〜14 歳比率が最も高く、吉田下中野(5-14 比 17.2%)などの子育て世帯集中地区もこのゾーン
  • 旧分水町 は 3 ゾーンで最も高齢化が進んだゾーン。地蔵堂本町(41.9%)・本町(40.5%)などの高齢化街区がここに含まれる

事業判断上は「Layer 4 段階 × 3 合併ゾーン」の 2 軸で対象地区を絞ります。3 ゾーンの分類は座標ベースの近似分類なので、住民登録上の旧町村界と厳密に一致するかは本記事の範囲外です。

特徴地区カード:一般パターンから外れる 3 型の地区

燕市の一般パターン(旧市中心 3 地区・拠点集落の共通集中型は 3 層集中/中規模・小規模の一部は高齢化)から外れる 3 型の地区は以下です。詳細は 5 章で扱います。

  • 井土巻(Layer 2・人口 1,991・65+ 比 6.8%)— 市平均の 1/5 という突出した若年集中地区
  • 東町(Layer 2・人口 1,613・65+ 比 10.4%)— 井土巻に次ぐ若年集中の 2 例目
  • 吉田下中野(Layer 2・人口 1,213・5-14 比 17.2%)— 市平均の約 2 倍の子育て世帯集中地区
  • 高齢集中 9 地区(65+ 比 40% 超・人口 200 以上)— 旧分水町中心街・旧吉田町の一部・農村部の 3 パターンで分布

ここまでで判断材料の概要は掴めます。次章以降は、この判断サマリー・エリアカードの根拠となる実データを示します。


4. 燕市の地区ごとの人口はどう分布しているか

4-1. 新潟県 30 市町村の中での燕市の位置

燕市は総人口 7 位(77,201 人)・人口密度 2 位(696.7 人/km²)・女性 20〜49 歳比率 2 位(16.0%)・30〜49 歳比率 2 位(24.9%)・65 歳以上比率が若い側から 3 位(31.2%・長岡市とタイ)と、4 指標そろって上位に位置します。

【グラフ:燕市の県内位置と地方都市中規模型を示す散布図】

新潟県 30 市町村と新潟市 8 区の 65 歳以上比率 × 女性 20〜49 歳比率。点サイズは総人口。燕市は「若い高密度中規模市」の位置。出典:総務省 令和 2 年国勢調査/背景:Esri World Gray Canvas

  • 「燕市 = 金属洋食器工業集積のコンパクト市」の一般イメージは実データと整合するが、その具体的な人口構造は「単独市町村の中で密度・現役世代・若年女性が県内トップクラス」
  • 市計平均で事業を検討する前に、市内の地区差(4-2 以降)まで確認する必要がある

類似規模の中規模都市 4 市比較

指標燕市三条市見附市新発田市柏崎市
総人口77,20194,64239,23794,92781,526
面積 km²110.81431.9777.91533.07442.08
人口密度696.7219.1503.6178.1184.4
65+ 比 %31.233.033.032.333.6
女 20-49 比 %16.015.115.315.214.0
30-49 比 %24.923.623.823.622.8

(出典:総務省 令和 2 年国勢調査)

隣接類似規模の 4 市と比べても、燕市は密度で 1.4〜3.9 倍・65 歳以上比率で若い側・女性 20〜49 歳比率で高い側・30〜49 歳比率で高い側と、全指標で最も若く・最も密集した位置にあります。「燕三条」と一括りにされることが多い三条市と比べても、燕市のほうが密度で約 3.2 倍・現役世代と若年女性が厚い層です。

4-2. どの規模の地区がいくつあるか

燕市の 77,201 人は 156 有効地区に分散し、次の 4 段階に分かれます。閾値は「燕市の 1 地区あたり最大人口 3,886 を Layer 1 に、2,000 人以上の集約大字を Layer 1、1,000 人以上を Layer 2、400 人以上を Layer 3」という切り方で、他自治体との比較のためではなく 燕市固有の骨格を最も明示的に示す配置 です。

Layer人口規模地区数総人口市総人口比事業形態の親和性
Layer 1 旧市中心2,000 人以上38,45110.9%店舗型主軸 + 訪問型併設
Layer 2 拠点集落1,000〜1,9991925,20032.6%店舗型 or 訪問型(地区の年齢構成に依存)
Layer 3 中規模住宅地・農村400〜9994527,20235.2%移動型・訪問型・宅配型
Layer 4 小規模分散400 未満8916,34821.2%訪問型(隣接組合せ)+ 宅配型

(合計 156 地区 = 77,201 人。秘匿 6 地区を除く)

【グラフ:燕市 Layer 4 段階マップ + 3 合併ゾーン境界】

大字別地区規模区分 4 段階 + 座標ベース近似の 3 合併ゾーン境界点線。濃赤 = Layer 1/オレンジ = Layer 2/黄 = Layer 3/淡灰 = Layer 4。斜線 = 秘匿 6 地区。出典:総務省 令和 2 年国勢調査・e-Stat 町丁・字等別境界データ/背景:Esri World Gray Canvas

  • Layer 1 の 3 地区(水道町・南・秋葉町)はすべて旧燕市ゾーンに集中
  • Layer 2 の 19 地区は 3 合併ゾーンをまたぐため、地区ごとに年齢構成が大きく異なる
  • Layer 4 の 89 地区でも 65 歳以上比率 40% 超が 20 地区含まれ、旧分水町中心街・旧吉田町の一部・農村部の 3 パターンで分布
  • 燕市面積 110.81 km² はコンパクトなため、南魚沼のような巨大山間集落は存在せず、市全域が相対的に高密度

4-3. 旧燕市・旧吉田町・旧分水町で人口構造がどう違うか

燕市は 2006 年に旧燕市・旧吉田町・旧分水町が合併してできた市で、3 ゾーンの規模差は約 4 倍(旧燕市 48,052 人・旧吉田町 18,267 人・旧分水町 10,882 人)、65 歳以上比率は旧吉田町 27.3%・旧燕市 29.2%・旧分水町 31.6% の 4.3 ポイント差、女性 20〜49 歳比率は旧吉田町 16.7%・旧燕市 16.0%・旧分水町 14.6% の 2.1 ポイント差、5〜14 歳比率は旧吉田町 8.9%・旧分水町 8.2%・旧燕市 8.0% で旧吉田町が最高と、指標ごとに順位が入れ替わるほど 3 ゾーンで人口構造が異なります。

ゾーン地区数総人口市総人口比65+ 比75+ 比女 20-49 比5-14 比30-49 比単独世帯率
旧燕市8048,05262.2%29.2%14.3%16.0%8.0%25.2%25.1%
旧吉田町3918,26723.7%27.3%13.0%16.7%8.9%25.1%26.2%
旧分水町3710,88214.1%31.6%15.0%14.6%8.2%23.5%21.9%

(出典:総務省 令和 2 年国勢調査 表 3・表 6-1 より独自集計・秘匿 6 地区を除外)

  • 旧燕市(80 地区・人口 48,052) は市総人口の 62% を占める中心ゾーン。Layer 1 の 3 地区(水道町・南・秋葉町)をすべて含み、商業・行政・工業の中心。年齢構造は市全体の平均に近い
  • 旧吉田町(39 地区・人口 18,267) は 3 ゾーンで最も若い家族層集中ゾーン。65 歳以上比率 27.3% で 3 ゾーン中最若・女性 20〜49 歳比率 16.7% で 3 ゾーン中最高・5〜14 歳比率 8.9% で 3 ゾーン中最高。吉田下中野(5-14 比 17.2%)などの子育て世帯集中地区もこのゾーン
  • 旧分水町(37 地区・人口 10,882) は 3 ゾーンで最も高齢化が進んだゾーン。65 歳以上比率 31.6% で 3 ゾーン中最老・女性 20〜49 歳比率 14.6% で 3 ゾーン中最低。地蔵堂本町(41.9%)・本町(40.5%)などの高齢化街区もこのゾーン

事業判断上は「Layer 4 段階 × 3 合併ゾーン」の 2 軸で対象地区を絞ります。3 合併ゾーンの切り分けは座標ベースの近似分類(旧分水町:経度 138.86 未満/旧吉田町:138.86〜138.90 かつ 緯度 37.67 以北/旧燕市:それ以外)なので、住民登録上の旧町村界と厳密に一致するかは本記事の範囲外です。

4-4. 地区別 65 歳以上比率は 6.8%〜44.7% の約 7 倍格差

市計 31.2% という高齢化率は、人口 200 人以上の地区ベースでは 6.8% から 44.7% までの約 7 倍格差 に開きます。人口 200 人未満の地区まで含めれば 2.9%〜73.3% までの格差です。

【グラフ:燕市の 65 歳以上人口比率の地区別分布マップ】

5 段階 diverging。濃青 = 15% 未満/淡青・淡黄 = 15〜35%/オレンジ = 35〜45%/濃赤 = 45% 以上。青★ = 若年集中 2 地区(井土巻・東町)/赤★ = 高齢集中 9 地区。出典:総務省 令和 2 年国勢調査・e-Stat 町丁・字等別境界データ/背景:Esri World Gray Canvas

  • 市平均 31.2% だけで見ると、井土巻(6.8%)・東町(10.4%)の若年集中と、渡部(44.7%)・佐渡(42.9%)などの高齢集中が平均化される
  • 井土巻(6.8%)・東町(10.4%)・吉田下中野(17.2%)といった若年集中地区と、渡部(44.7%)・佐渡(42.9%)といった高齢集中地区が同じ市内に並存
  • 高齢集中地区は 3 パターンで分布(旧分水町中心街/旧吉田町の一部/農村部)しており、単一の背景で説明できない

65 歳以上比率の 5 段階分布(有効 156 地区)

65+ 比率帯地区数該当例(人口 200 人以上)
15% 未満(若年集中)8井土巻(6.8%)・東町(10.4%) 他
15〜25%14新興野・児ノ木・吉田・吉田下中野・吉田本所・廿六木 等
25〜35%(市中央値帯)77水道町(26.4%)・南(29.2%)・秋葉町(28.1%)・吉田西太田(25.2%)・八王寺(29.9%) 等
35〜45%55西燕町(35.7%)・大曲(35.5%)・花園町(35.2%)・佐渡・佐善・吉田学校町・新堀・地蔵堂本町・吉田新田町・本町・吉田曙町・渡部 等
45% 以上(超高齢化)2極小集落(人口 30 前後)

有効 156 地区中、市中央値帯(25〜35%)の 77 地区が約半数を占めます。旧分水町中心街(地蔵堂本町・本町)・旧吉田町の一部(吉田学校町・吉田新田町・吉田曙町)・農村部(渡部・佐渡・佐善・新堀) の 3 パターンで 65 歳以上比率 40% 超の地区が分布しており、燕市の高齢化地区は 1 種類の背景で説明できません。

4-5. 旧市中心 3 地区で 3 層共通集中・旧吉田町ゾーンで若年ファミリー集中 3 地区・旧分水町周辺で 75+ 単独集中

「高齢者(75 歳以上)・若年女性(20〜49 歳)・子ども(5〜14 歳)の 3 つのターゲット層は、燕市の同じ地区に集中するのか、それとも別々の地区に散らばるのか」を実データで確認すると、上位 15 地区の中で 3 層すべてが集まる地区は 5 地区、2 層だけが重なる地区が 5 地区、1 層のみに集中する地区が 5 地区 に分かれ、3 合併ゾーン別に見ると 3 層共通集中 5 地区はすべて旧燕市ゾーン(旧市中心 3 地区 + 拠点集落 2 地区)、女 20-49 ∩ 5-14 の若年ファミリー集中 3 地区は旧吉田町ゾーンと旧燕市ゾーンの境界域(東町・吉田・井土巻)、75+ のみ集中 3 地区は旧分水町周辺(大曲・吉田東栄町・殿島) に分かれます。

【グラフ:燕市の 3 つのターゲット層の集中パターン比較】

75 歳以上・女性 20〜49 歳・5〜14 歳の 3 視点。上位 15 地区(共通 5 + 排他 10)を横棒 3 系列並列。出典:総務省 令和 2 年国勢調査

  • 3 層すべてが集まる 5 地区(水道町・南・秋葉町・西燕町・吉田西太田)は複数事業の候補地になりやすい
  • 女性 20〜49 歳と 5〜14 歳の両方が上位に入る若年ファミリー集中地区(東町・吉田・井土巻)が独立して現れるのが燕市固有の観察
  • 75 歳以上だけが集中する高齢集中地区(大曲・吉田東栄町・殿島)は、訪問型事業に絞った検討が有効

上位 15 地区の分類

パターン地区数地区リスト(実数:75+ / 女 20-49 / 5-14)分類上の意味
3 層すべて上位入り5水道町(502 / 671 / 307)・南(396 / 384 / 157)・秋葉町(315 / 331 / 183)・西燕町(318 / 266 / 137)・吉田西太田(223 / 329 / 179)3 層集中地区(旧市中心 3 地区 + 拠点集落 2 地区)
75+ のみ上位3大曲(265)・吉田東栄町(193)・殿島(200)拠点集落・農村部で高齢者が厚い地区
女性 20〜49 のみ上位0―燕市では単独カテゴリを形成しない
5〜14 のみ上位2廿六木(123)・吉田下中野(209)子育て世帯集中地区(旧吉田町ゾーン中心)
75+ ∩ 女 20-492八王寺(228 / 280 / 122)・白山町(260 / 247 / 118)若年独身と高齢者が混在する層
女 20-49 ∩ 5-143東町(63 / 421 / 124)・吉田(72 / 273 / 130)・井土巻(53 / 536 / 145)若年ファミリー集中地区(燕市固有)
75+ ∩ 5-140――

旧市中心 3 地区(水道町・南・秋葉町)はすべて 3 層集中パターンに入り、燕市の商業・生活の核であることが数値でも確認できます。若年ファミリー集中地区の 3 地区(東町・吉田・井土巻)は、女性 20〜49 歳と 5〜14 歳の両方が上位に入り 75 歳以上が非上位という燕市固有の分布で、店舗型事業の候補地として検討価値があります。


5. 特徴地区の詳細 — 井土巻・東町・吉田下中野・高齢集中 9 地区

3 章のエリアカードとは別に、一般パターンから外れる地区を独立して詳述します。断定表現は避け、「一般パターンから外れる観察例」「現地確認の優先候補」として扱います。

5-1. 井土巻 — 市平均の 1/5 の若年集中大字

項目数値
LayerLayer 2
人口1,991
人口密度2,501 人/km²
65 歳以上比率6.8%(市平均 31.2% の 1/5)
75 歳以上実数53(比率 2.7%)
女性 20〜49 歳実数536(市内実数 2 位)
30〜49 歳実数770(市内実数 3 位)
5〜14 歳実数145
単独世帯率53.9%
  • 市平均 31.2% の 1/5 という突出した若年集中大字で、燕市の一般的な「工業都市の中程度高齢化」パターンから完全に外れる
  • 女性 20〜49 歳 536 人(市内実数 2 位)・30〜49 歳 770 人(市内実数 3 位)・単独世帯率 53.9% と、若年独身層と現役ファミリー層の両方が集積
  • 密度 2,501 人/km² は市内でも高水準で、単独商圏が成立し得る規模

検討候補: 美容室・小規模飲食・単独世帯向け店舗の現地調査優先候補。ただし単独商圏として成立するかは、既存事業者の有無・住宅種類(集合住宅か戸建てか)・入居層の実態を現地で確認した上で判断が必要。井土巻の若年集中の背景(金属洋食器工業就業者の集住が有力候補)は本記事では推定せず、現地調査事項として扱います。

5-2. 東町 — 井土巻に次ぐ若年集中の 2 例目

項目数値
LayerLayer 2
人口1,613
人口密度1,942 人/km²
65 歳以上比率10.4%
女性 20〜49 歳実数421(市内実数 3 位)
30〜49 歳実数617(市内実数 6 位)
5〜14 歳実数124
単独世帯率48.8%
  • 井土巻に類似した若年集中の 2 例目で、燕市の若年集中は井土巻 1 地区ではなく複数存在する
  • 女性 20〜49 歳 421 人・単独世帯率 48.8% と、若年独身層の集積が明確
  • 井土巻と並列で美容室・小規模飲食・単独世帯向け店舗の検討候補地

検討候補: 井土巻と同じく美容室・小規模飲食の現地調査優先候補。単独商圏成立性・住宅種類・入居層の実態を現地で確認した上で判断が必要。

5-3. 吉田下中野 — 旧吉田町ゾーンの子育て世帯集中地区

項目数値
LayerLayer 2
人口1,213
人口密度1,294 人/km²
65 歳以上比率17.2%
5〜14 歳実数209(市内実数 2 位)
5〜14 歳比率17.2%(市平均 8.2% の約 2 倍)
30〜49 歳実数391
単独世帯率19.0%(家族世帯型)
  • 5〜14 歳比率 17.2% は市平均 8.2% の約 2 倍で、市内で最も子ども比率が高い地区
  • 単独世帯率 19.0% と家族世帯型の構成で、旧吉田町ゾーンの若い家族層集中の代表地区
  • 学習塾・習い事・ファミリー層向け美容室などの検討候補地

検討候補: 学習塾・習い事・ファミリー層向け美容室の現地調査優先候補。通塾動線・既存事業者の密度・駐車場条件は現地確認が必要。

5-4. 高齢集中 9 地区(65 歳以上比率 40% 超・人口 200 以上)

地区Layer人口65+ 比75+ 比分布パターン
渡部Layer 422844.7%20.2%農村部
佐渡Layer 351042.9%28.4%農村部
吉田学校町Layer 423542.6%20.0%旧吉田町
新堀Layer 430142.2%22.9%農村部
地蔵堂本町Layer 423641.9%26.7%旧分水町中心街
吉田新田町Layer 420441.7%27.0%旧吉田町
佐善Layer 343040.9%19.5%農村部
本町Layer 425940.5%24.7%旧分水町中心街
吉田曙町Layer 433440.4%15.3%旧吉田町
  • 65 歳以上比率 40% を超える 9 地区は、旧分水町中心街・旧吉田町の一部・農村部の 3 パターンで分布
  • Layer 3/Layer 4 に混在し、地区ごとの性格が異なる(旧町名か農村部か)
  • 訪問生活支援・訪問美容・移動スーパーの検討候補地

検討候補: 訪問生活支援・訪問美容・移動スーパーの現地調査優先候補。ただし 9 地区は Layer と 3 合併ゾーンが混ざった多様なパターンを含むため、対象地区ごとの性格(旧町名か農村部か)と、大手宅配・地域包括支援センターとの棲み分けを現地で確認する必要があります。


6. 事業形態と地域構造の対応

Layer 4 段階 × 3 合併ゾーン × 事業形態のマトリクス

燕市は Layer 1 の旧市中心 3 地区(水道町・南・秋葉町・65+ 比 26.4〜29.2%)、Layer 2 の若年ファミリー集中型 4 地区(井土巻・東町・吉田・吉田下中野・65+ 比 6.8〜17.2%)、Layer 2 の高齢集中型(大曲・吉田東栄町・八王寺 等・65+ 比 29.9〜40.4%)、Layer 4 の 89 地区(65+ 比 40% 超が 20 地区)で規模差と年齢構成差が大きく、旧燕市(65+ 比 29.2%)・旧吉田町(27.3%)・旧分水町(31.6%)の 3 ゾーンでも 4.3 ポイントの差があります。地区の規模と合併ゾーンの重なりで、主軸となる事業形態が変わります。

層 × ゾーン主軸候補形態副次形態検討候補事業
旧市中心 3 地区(水道町・南・秋葉町・Layer 1・旧燕市)店舗型訪問型併設美容室・学習塾・訪問生活支援・小規模飲食
拠点集落 若年ファミリー型 4 地区(井土巻・東町・吉田・吉田下中野・Layer 2)店舗型―美容室・学習塾・小規模飲食(若年独身層)
拠点集落 共通集中型 2 地区(西燕町・吉田西太田・Layer 2)店舗型 or 訪問型複合型美容室・訪問生活支援・学習塾
拠点集落 高齢集中型(大曲・吉田東栄町・八王寺・白山町 等・Layer 2)訪問型・店舗型宅配型訪問生活支援・訪問美容(高齢化集積)
中規模住宅地・農村 Layer 3(45 地区)移動型・訪問型宅配型移動スーパー・訪問生活支援・配食
小規模分散 Layer 4(89 地区)移動型・訪問型(隣接組合せ)宅配型移動スーパー・訪問生活支援・配食
旧分水町ゾーン(横断)訪問型・移動型宅配型訪問生活支援・移動スーパー(高齢集中パターン)
旧吉田町ゾーン(横断)店舗型訪問型併設学習塾・美容室(家族層集中パターン)

(実際の事業成否は金属洋食器工業就業者の昼夜間流入と、隣接する三条市・弥彦村からの通勤流入で変動する要素があり、燕市面積 110.81 km² というコンパクトな市域では通勤圏の重なりで実商圏が広がる可能性があります。詳細は 9 章免責を参照。)

燕市の主候補事業と検討候補地区

燕市で「なぜ検討対象になるか」を実データで説明できる主候補は 4 事業です。既存 8 事業(移動スーパー・訪問生活支援・美容室・学習塾・地域小売・配食・訪問美容・小規模飲食)の中から燕市の人口構造に応じて再選定した結果です。

事業対象層主な検討候補地区検討対象と考える根拠
美容室・個人サロン女性 20〜49 歳 + 30〜49 女性水道町・南・秋葉町・西燕町・吉田西太田(共通 5)+ 井土巻・東町・吉田(若年ファミリー集中 3)+ 吉田下中野(家族層)市計 女性 20〜49 歳実数 12,319・比率 2 位(単独市町村中)+ 30〜49 実数 19,253。旧市中心 3 地区と拠点集落で判断材料が最も揃い、井土巻・東町の若年集中地区が加わる
訪問生活支援独居 65+ 世帯 + 高齢夫婦のみ世帯水道町(高齢者関連 259)・南(231)・西燕町(179)・秋葉町(170)・白山町(143)・花園町(125)・吉田西太田(125)+ 40% 超高齢集中 9 地区旧市中心 3 地区・拠点集落で高齢者関連世帯 100 超の絶対規模。徒歩・車の両アクセスが利く中密度の地方都市拠点集中型
学習塾・習い事5〜14 歳 + 30〜49 保護者水道町(5-14 実数 307)・吉田下中野(209・5-14 比 17.2%)・秋葉町(183)・吉田西太田(179)・南(157)・井土巻(145)・西燕町(137)・吉田(130)・東町(124)市計 5〜14 歳実数 6,335 + 30〜49 実数 19,253(保護者相当)。旧吉田町ゾーンの子育て集中地区(吉田下中野・吉田・吉田本所・吉田宮小路)で通塾動線が読みやすい
移動スーパー75 歳以上独居・高齢夫婦のみ40% 超高齢集中 9 地区(渡部・佐渡・新堀・佐善・地蔵堂本町・本町・吉田学校町・吉田新田町・吉田曙町)+ 農村小規模 Layer 4 の分散地区拠点集落は大手カバー範囲内で優先度が下がるが、農村部と旧町名小規模の高齢集中地区で検討価値あり。燕市の面積 110.81 km² はコンパクトで、南魚沼のような超遠距離巡回リスクは低い

補完候補:

  • 配食・宅配(訪問生活支援の派生・大手カバー範囲外への差別化前提)
  • 訪問美容(美容室の派生・要介護 75 歳以上対象・高齢集中地区と組合せで検討可)
  • 小規模飲食(条件付き・井土巻・東町の若年独身混在地区・旧市中心 3 地区の徒歩圏商圏・立地依存強)

低優先:

  • 地域密着型小売 は大手スーパー・コンビニ密度との差別化が構造的に困難なため優先度低
  • 観光地依存の事業(弥彦神社近接・国上山・良寛の里等) は居住人口ベースの本 Biz-Map の主軸から外れるため対象外

優先度が下がる地区の例

以下の地区では対象世帯の絶対数が薄い、または既存事業者との差別化が構造的に困難で、単独商圏では優先度が下がります。

  • 移動スーパー:Layer 1・Layer 2 の拠点集落(大手スーパーカバー範囲・徒歩圏商圏成立)
  • 訪問生活支援:井土巻・東町・吉田(若年集中地区・対象世帯薄)
  • 美容室:Layer 4 極小街区(女性 20〜49 歳が 30 人未満・ペルソナ絶対数薄)
  • 学習塾:Layer 4 極小街区・農村部の 5〜14 歳 30 人未満地区・秘匿 6 地区(学齢人口薄)
  • 地域小売:大手スーパー・コンビニ密度が高い拠点集落全域(差別化余地狭)
  • 配食:拠点集落の徒歩圏内スーパー圏(大手宅配カバー範囲・差別化必須)
  • 訪問美容:井土巻・東町の若年集中地区(要介護 75 歳以上対象少)
  • 小規模飲食:農村・小規模分散地区(昼夜間流入なし・観光需要伴わない)

隣接地区との組合せ商圏で検討する余地は残ります。


7. 参考シナリオ

各事業の「月間・週間・1 日あたりに必要な顧客数」については、Niigata Biz-Map 内部資料で 保守/標準/強気 の 3 段階の 参考シナリオ を整理しています。

  • 保守シナリオ:業界平均の下限・より慎重な想定(事業として継続可能な下限目安)
  • 標準シナリオ:業界平均の中央値目安(一般的な単店舗運営目安)
  • 強気シナリオ:上位事業者相当(集客に成功した場合の目安)

参考シナリオを保守側で満たしたからといって、事業の成功を予測するものではありません。 参考シナリオはあくまで「事業として最低限どの程度の集客規模が必要か」を目安化した参考情報です。ターゲット人口が参考顧客数の N 倍以上あっても、実際に集客できるかどうかは立地・価格・既存事業者との差別化余地・オーナースキル・季節性で大きく変わります。

燕市は女性 20〜49 歳・30〜49 歳・5〜14 歳の絶対数が県内単独市町村中で上位クラスであり、市計の絶対数の大きさゆえにターゲット人口の総量で判断しがちですが、実際の顧客獲得は個別地区の商圏・既存店舗との棲み分け・金属洋食器工業就業者の昼夜間流入の実態で決まる点に留意してください。


8. 現地調査で確認すべき項目 — 本記事の使い方

本記事で得られる材料は次の 5 点です。

  1. 燕市の Layer 4 段階構造(旧市中心 3 地区/拠点集落 19 地区/中規模住宅地・農村 45 地区/小規模分散 89 地区)+ 3 合併ゾーン(旧燕市 80 地区/旧吉田町 39 地区/旧分水町 37 地区)のハイブリッド構造の理解
  2. 自分の事業ペルソナが集中する候補地区の把握(女性 20〜49 歳・5〜14 歳・75 歳以上・30〜49 歳・単独世帯の 5 軸 + 3 合併ゾーン)
  3. 優先度が下がる可能性のある地区の把握
  4. 燕市固有の特徴地区(井土巻・東町の若年集中/吉田下中野の子育て集中/高齢集中 9 地区)の観察
  5. 事業ごとの検討候補地区と根拠

現地で確認すべき項目(本記事の範囲外)

本記事で扱わず、現地で確認すべき項目は以下です。

  • 既存事業者の状況:業態と密度、実際の競争環境、価格帯、営業時間(拠点集落と旧市中心 3 地区の商業集積は既存事業者の密度が高い可能性)
  • 物件条件:空き店舗・空き物件の有無と条件、賃料水準(旧市中心と拠点集落・農村部で大きく異なる)
  • アクセス:駐車場・徒歩動線・幹線道路からの動線
  • 昼夜間流入:金属洋食器工業就業者の昼間流入、隣接市(三条市・弥彦村等)からの通勤(本記事では市単位の昼夜間人口比のみ取得可能・地区別は現地確認必須)
  • 住民ヒアリング:対象地区内での潜在ニーズ聞き取り、住宅種類(集合住宅か戸建てか)、井土巻・東町の若年集住の背景(金属洋食器工業就業者の集住が有力候補)
  • 公的機関との照合:燕商工会議所・保健所での既存事業者リスト照会、地域包括支援センター(高齢者関連事業)との連携可否
  • 3 合併ゾーンの正確な境界:本記事の 3 分類は座標ベースの近似分類のため、旧町村境界図(合併前の旧行政境界)で別途確認

特定地区の順位付け・成功可否の断定、参考シナリオを根拠にした業績予測、顧客化率・シェア率・売上予測は、Biz-Map の範囲外です(詳細は 9 章「免責」参照)。判断材料の 1 つとしてご活用いただき、最終判断は現地で行ってください。


9. データ・注意事項・免責・出典

データ年次

  • 人口・世帯・年齢構造:総務省 令和 2 年国勢調査(2020 年 10 月 1 日時点)
  • 面積:国土地理院 令和 8 年(2026-04-01)面積調

国勢調査から 5 年以上経過している点は、事業検討の前提として留意してください。時系列変化分析は本記事の範囲外です。

秘匿処理・90 歳以上除外

  • 秘匿レコード 6 地区(新堀村新田・牧ケ花村新田・佐善村新田・溝村新田・溝古新村新田・国有地)は総人口が非公表のため、分析対象から除外しています。これらは新田系集落(農地)や国有地と推定されますが、原本の秘匿処理を推定補完はしていません。地図では灰色 + 斜線ハッチで表示しています。
  • 世帯類型の部分秘匿 7 地区(灰方南・地蔵堂・小島・庚塚・溝古新・吉田吉栄・分水栄町)は、高齢者関連世帯合計を空欄扱いとし、分析材料の主軸には使用していません。
  • 90 歳以上の除外:CSV は 5 歳階級和で 65 歳以上/75 歳以上を算出しているため 90 歳以上が除外されています。地区別ランキングでは 90 歳以上を除外した 65 歳以上/75 歳以上を使用し、市計値には市計値(全年齢を含む値)を使用しています。市計 65+比 31.2% と 3 ゾーン合算 29.1% の差は、部分秘匿地区の集計差によるものです。

3 合併ゾーン分類の限界

  • 本記事の 3 合併ゾーン分類は座標ベースの近似分類(旧分水町:経度 138.86 未満/旧吉田町:138.86〜138.90 かつ 緯度 37.67 以北/旧燕市:それ以外)です。旧町村の行政境界と厳密には一致しない可能性があるため、3 ゾーンの正確な境界は旧町村境界図で別途確認してください。

NOT AVAILABLE データ

以下は本記事の範囲外です:地区単位の将来人口推計・地区単位の昼夜間人口比(市町村単位のみ存在・地区単位 NOT AVAILABLE で金属洋食器工業の昼間流入が可視化不能)・世帯所得・買物困難者推計・経済センサス業種別事業所数(小地域公表可否 UNKNOWN)・観光統計・宿泊統計・通勤流入客数。

免責

本記事は「燕市で新規事業を検討する起業家・小規模事業者」および「燕市への出店起業検討者・移住起業検討者」に対して、市内の人口構造・分布から事業候補を検討するための判断材料の 1 つを提供するものです。

  • 本記事は人口構造から見た 調査優先度 を提示するものであり、事業の成功・失敗を予測するものではありません
  • 特定地区の順位付け、事業の成功可否の断定、参考シナリオを根拠にした業績予測は含みません
  • 事業の成否は、立地の細かな条件・価格設定・既存事業者との差別化余地・オーナーのスキル・季節性・金属洋食器工業就業者の昼夜間流入・広告手段等で大きく変動します。最終判断は現地で行ってください
  • 顧客化率・シェア率・売上予測は本記事では算出していません
  • 本記事は Niigata Biz-Map シリーズの一記事です

出典

  • 総務省 令和 2 年国勢調査 表 3「男女、年齢(5 歳階級)別人口」・表 6-1「世帯家族類型別世帯数」(e-Stat 政府統計の総合窓口)
  • 国土地理院 令和 8 年(2026-04-01)面積調
  • e-Stat 町丁・字等別境界データ(令和 2 年国勢調査対応)
  • 地図背景:Esri World Gray Canvas(Esri・HERE・Garmin・OpenStreetMap contributors・GIS user community)

更新履歴

日付内容
2026-09-14初版公開
2026-09-16構成改訂

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